項目別バックナンバー[5]:技術情報:36

高純度

半導体を中心にした電子技術を中心に、高純度物質特に単結晶が必要になりました。
その純度は、分子レベルであり、使用した製品・部品の性能を決めるものです。
基本となる、バンド理論は量子力学の物性への近似計算で生まれたものです。
従って、20世紀中頃からの技術です。
高純度物質制作技術と、それの加工技術と応用技術が連携して、急激な電子化技術が生まれました。
使用法は、高純度物質に制御して不純物を混入する方法です。
この方法で再現性が得られて、安定した性能の製品が作れます。

純度が高いと言うことは、障害物がない状態にたとえられます。
何も走っていない高速道路や空や海や宇宙です。
ただ、そこに不純物ともいえる障害が混ざると、行動が制限されます。
自由に行動できなくなります。
高純度物資に制御された不純物を入れる事は、動作を制限・・それも制御された状態にする事です。
特に判りやすいのが、導電体と絶縁体の差の説明で、自由に動ける電子の有無と量の説明です。
この後に、半導体の説明がきてその次に不純物の影響・効果の説明が来ます。
半導体や不純物は、絶縁体よりも自由に動ける電子が増えた状態であり、それが制御された状態です。
その事で多様な性能や動作が可能になります。
そこに至るまでに、高純度物質と不純物の制御された混入技術が必要です。

純度を高くする方法は、物質の特性の差を利用する事です。
多いのは、融点の差です。
具体的には融点付近の温度で固体の部分を液状化するとその部分の不純物が分離できます。
その時の気体雰囲気や対象固体の支える方法や、温度を上げて溶融する方法が重要な技術です。
不純物はどこからも混入可能性があります。
純度をあげる工程は、同時に不純物を混入させない技術で発展して来ました。
細部はノウハウが多い分野です。

純度をあげる工程の行き着く先は、無接点です。
無接点支持・無接点過熱でコントロールする方法です。
それで溶融状態に出来るのかと思いますが、粘度のある溶融状態では微妙にコントロール可能な技術があります。
ほとんどノウハウの世界です。
純度と同様に、温度や過熱機器の位置管理精度は従来の材料の要求レベルと桁が事なります。
それ故に、使用材料は限られますし、新しく純度の高い材料を提供出来る技術はそれ自身が大きな意味を持つ場合が多いです。

高純度の素材料が提供されると、次はそれの加工技術です。
加工工程で不純物が、管理できなければ、素材料の高純度は生かされません。
当然ながら、高いレベルのクリーンルームや空調・建物・加工装置等が必要になります。
ゴミや汚れや作業者の持ち込むものでも、全て不純物になります。
半導体ビジネスを代表とする、高純度材料と加工技術の急激な進歩は、急速な技術革新ですが、同時に利益を回収しきれない新規投資の必要なビジネスになり、技術の保有が必ずしも有利を保証しないという不思議な現象も起こしました。

宝石は多くは、自然界に存在する単結晶です。
サイズが大きいものは少なく、大抵は不純物も混ざっており、それが色になっています。
工業用の高純度単結晶製造技術は、人工宝石製造技術でもあります。
アルミナ単結晶は、無色透明ですがわずかなクロム不純物が入るとピンク色になり不純物が増えると赤色が濃くなります、自然界ではルビーと呼ばれていますが単結晶もピンクルビー等と呼ばれます。
その他の不純物が入るとサファイアと呼ぶ事もありますが、宝石では青色の物を指す様です。
人工宝石は天然と比べると安価ですが、何が劣るかは骨董と同じ希少性でしょうか。
単結晶製造技術は色々な方面に展開は可能です。
勿論、需要があればです。


マスキング技術

複合素材からなる部品は一般的ですが、加工には選択加工が必須です。
それは一般でないので、主として薄型製品では、マスキング技術が使用されて進歩しています。
マスキング材料が、選択加工可能であればマスキング技術があれば、結果的に全体の選択加工が可能になります。
マスキングには、選択マスキング=アデティブ方法と、全面マスキング後の選択除去=サブトラクト法があります。
また、マスキング材は加工工程後には除去が一般的工程です。

選択加工は恒久材料では難しいが、加工時にのみ使用するマスキング材料では可能性が大きく広がります。
場合によっては、加工方法とマスキング材とマスキング技術がセットになった技術も普通になりました。
そして、もっと進めば、部品等の加工全般の工程をカバーする事も可能です。
その場合は、加工方法やマスキング材とマスキング技術は、コストや歩留まり等の改良で置き換えられる事になって行きます。
最初で完成ではありません。

マスキング材は機能を果たすならば、薄い方が性能が高い傾向です。
選択加工用のパターン形成が、膜が薄い程に精度が高く出来る事がマスキング材でも同様です。
しかし、マスキング材の提供方法で厚みが変わります。
フィルム状の提供の時は厚みが必要です、貼り合わせ後に剥離するライナーを使用する場合でも、非マスキング面に凹凸があれば厚いと追従は難しいです。
逆に、フラットな非マスキング面の時でロール状が可能な時は適しています。
これは通常空間のドライ・プロセスです。
他にウエットと低気圧空間もありますが、以降で・・。

薄い膜をマスキングに使用する時は液状を塗布してから、乾燥して膜にします。
通常はウエットプロセスで行います。
薄い膜が形成出来ますが、液状の性質で凹凸面には向いていません。
凹凸の凸部のエッジが薄い膜になり、マスキングのネックになります。
液状は原理的には平面以外も対応出来ますが、薄いといっても重力の影響はあるので制限はあります。
ウエットは設備面で大がかりになりやすく、ドライ膜で可能ならば避ける事が多いです。
設備と性能と生産部品とで変わる事です。
設備面の大きさを無視すると、低気圧空間加工=真空プロセスやスパッタや蒸着等も全て有力です。
長く実験レベルでしたが、製造技術進歩で量産にも参入しました。

マスキング材は基本は捨てるものですので、量は少ない程にコストや効率が良いです。
逆に言えば、コスト的に会わない場合は使用しないか、再利用出来る方法を探すべきと言えます。
それでは、最初の条件にあうものはと言うと、電子材料で特に機能材料でかつ小型で加工付加価値の高い製品群と言えます。
電子部品は、小型化の方向に進む傾向が強い製品でありかつ加工性が高いため、マスキングが適応される事の多い分野です。
そして、マスキング工程は材料や技術革新で全体の工程を変える可能性が高いです。
それは、製造設備の新規投資を要求し、製品の利用数や分野の将来性の見込み間違いが影響の多い分野です。

マスキング技術は、小型製品で大量生産でロールか1バッチが大量の場合が有効です、これは度々伝えています。
小型化はそれにあっていますので、少し前まで日本の得意技術でした。
例えば、半導体のシリコン・ウエハーの直径の大型化とか、液晶等のフラットデスプレイのガラス等の加工単位の大型化です。
ただし、大量生産は大量消費が最低の前提です。
これの、見込みが狂うと稼働率が下がり元々の意味を失います。
大量消費製品が次第に少なくなると、大型加工単位の見直しと同時にマスキング技術の見直しも行われる事になります。


製品模型

現在では新製品開発時に、縮尺された製品模型を作ることは多いです。
ひとつはデザインの確認で、平面図面を実際の立体にして判り易い形で確認して行きます。
それ専用の技術者や装置も開発されています。
縮尺模型は、おもちゃの時代から精密な立体デザインに移っています。
製品だけでなく、公園や建築物や町作りも模型作りから始まる時代です。
プロ用の平面図面を、一般向けの立体模型にする事は利点が多いのでしょう。

模型には技術的な利点もあります。 条件が揃えば、縮小サイズ実験に使用が可能な事があります。
有名なのは、航空機の風洞実験ですが、今は広がっています。
サイズ効果の理論的研究がないと、遊びになりますので注意が必要です。
ただ、デザインのより正確な立体模型化が要求されます。
そして、経験条件か、理論的な条件がつきます。

自然法則や実用工業用語には、普通は単位がついてまわります。
それらは、スケールが変わると結果に影響します。
従ってそれらは、模型実験がそのままスケールアップしては利用出来ません。
しかし、単位をもたない数値もあります。
正確には、そのように作ります。
単位がない数値は、サイズが変わっても影響を受けません。
それは、模型実験計画の基礎です。

製品模型は有効のために、製作専門部署やメーカーが存在します。
正確な縮尺精度で製作する能力があります。
需要の多くは、縮尺模型ですが、一部に超小型部品や細胞やウイルス等の拡大模型もあります。
形だけか、多少の動きが可能か、類似材質か等要求は多彩です。
製品模型の場合は、デザイン検討目的ですから、繰りかえし製作や概略模型から、次第に詳細模型に段階的に進む事も多いです。
コストや仕様の内容が異なるので、製品模型と言っても多様です。

模型というのはサイズ的に変わるイメージです。
ただし、原寸模型もあります。
目的は、その機能や精度で多岐に渡ります。
見るだけ?、触って見るだけ、機能限定?、材料簡易化?。
商品の機能を持たない事が模型のイメージです。
ただ、近い機能を持てれば試作的な事が出来ます。
製品模型は原寸化で、性格が変わる場合があります。

行き着く先は、現在はコンピュータ・グラフィックと3次元プリンターです。
ただし、あくまでも現在です。
これは別途取りあげるとして、やはりソフトとハードの組み合わせという構図は変わりありません。
模型がデザインと、試作ですから、それのコンピュータ化とすれば双方が対応でデータが共通で使える事です。

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