項目別バックナンバー[5]:技術情報:14
はんだ
はんだは一般には「鉛6:錫4」の共晶合金を指します。
広くは、同種または異種の金属を機械的・電気的に接続する材料・表面処理材
料を指す事もあります。通常は金属合金ですが、広くはこれに限定しない場
合もあります。
合金に限っても配合は無数にありますし、合金は性質が完全に安定ではありません。
最近は、信頼性向上や被接続材料(例えばアルミやセラミック)の種類に応じ
て組成を変えたり添加材料を加えたりしています。
錫はそれ自体でも接続材料・表面処理材料として使用されますが、「ホイスカ
ー」と呼ばれる「ひげ結晶」が成長しやすく、これが色々な問題を起こしま
す。鉛を5%以上含むいわゆる「高温はんだ」が開発されていますが用途は
拡がっていません。
現在では、環境問題から「鉛フリーはんだ」(鉛を使用しない)の開発が実用
化とともに注目されています。
電気的・機械的接続目的では作業温度が低い事が望まれます。そして、製品と
しての使用温度はより高い事も期待されます。そして、なによりも価格が安
い事が必要です。
鉛の環境問題がありながら、なかなか鉛フリーはんだへ移行し難い理由が上記
にあります。鉛フリーはんだは色々な種類が提案されており実用化もされて
います。しかし、どの条件も全てまたは大部分をクリアしている場合はほと
んどありません。
注目されて来ているのは、環境問題対策費用を含めたコスト・価格で考えると
必要であるとの認識が拡がっているからです。
鉛フリーはんだの作業温度は、鉛はんだよりも高い事は普通です。装置を新し
く導入する場合に、鉛フリーはんだへの切り替えを考慮して(少なくても作
業温度が高くなる)設計・選択することは常識となっています。
環境問題は、色々な分野が関係しますが将来を見据えた技術・イメージ(技術
・企業理念)戦略が関係します。
コストや機能のみで決まらずに、それ以外の要素がはいってはじめて採用の是
非がきまる面があります。
従って、いつからとの問いの答えは立場によってバラバラになります。戦略的
であり、かつ絶えず周囲の状況を見て判断しますのできわめて流動的です。
このような分野では、まず最初は外注での対応から始めるのが定跡となってい
ます。投資リスクを少なくして、技術・市場情報を入手しやすくかつ顧客の
要望にすばやく対応してゆく上でたぶん誰もが考える事でしょう。
鉛フリーはんだを含めた環境問題関連技術は、最初は「すきま技術」です。た
だし突然、多数の参入が生じる可能性があり「すきま」でなくなる可能性が
あります。そこで続けて先行するには、難しい戦略が要求されます。
鉛フリーはんだを例にすると技術的には、はんだ材料技術・鉛フリーはんだ用
装置製造技術・材料と装置とを使用しての実装等の実使用技術等があります。
この他に、個々の評価技術も必要です。
色々な技術は相互に関係していますので、コンピュータの規格競争と同じで主
流にならないと負け組となります。
はんだには、環境問題とともに寿命問題が存在します。
通常の金属でも疲労破壊は存在しますが、合金でかつ融点が低いはんだでは、
より寿命は短いといえます。接合が機械的と電気的の双方で行われていた時
は、問題になりにくいでしたが製品が小型化してはんだで双方を兼ねる使用
方になると危険度は増します。とくに表面と界面の変質は大きいです。はん
だをバルク(多くの量)で使用していた時は目立ちませんが、少量で使用す
る時代になると機器の寿命が接続はんだの寿命で影響される場合もあり得ま
すので注意が必要です。
容易に溶融・固まる材料は、変質しやすい事は常識として理解が必要です。
はんだは、表面処理と接続(機械的・電気的)の働きが要求されると述べて来
ました。方式は多数ありますが、複雑な電子回路の部品実装に対応できるク
リーム半田技術が進歩が激しいです。従って、技術そのものが廃れることは
直ぐにはないでしょう。
一方では、従来のはんだに拘らない接続技術・表面処理技術が種々使用されて
来ています。従来のはんだが持つ欠点対策・新規材料への従来はんだの使用
が困難・微細加工においてはんだは向かない・クリーン設備での生産ではん
だは不満足な材料 等が理由です。
結局は、従来はんだの欠点を解消しつつ蓄積してきたはんだ技術を展開する方
向と、新材料・接続技術開発とに2分化してゆくでしょう。
従って、はんだ自体が全くなくなる事は早急にはないといえます。
電子冷却
電気と温度との関係を表す効果は3つあります。
温度差がある異なる金属間に電圧が発生して電流が流れる(電子が移動して電
流なるが正しい筈だが、意味が重なる言い方が多い)現象を「ゼーベック効果」と言います。
これを使用する代表は熱電対温度計です。
「ゼーベック効果」の逆にあたるのが、「ペルチェ効果」で電流が流れると両
端に温度差が発生します。
局所を簡単に冷却する方法として、小型電子機器に使用されています。
昔は効率・規模等から用途がないと思われていた時期もあります。
そして両者を加えたものが「トムソン効果」です。これは単一の金属で生じます。
「トムソン効果」は一つの金属上で温度の差が有る2点間に電流を流すと、熱
を吸収したり発生したりする効果です。
ただし、全ての金属でトムソン効果がある訳ではありません。
電流が流れる事は、両端に電位差が有ることです。この場合、電位が高い側が
温度が高くなる場合(正トムソン効果)と、逆に電位が低い側が温度が高く
なる場合(負トムソン効果)が存在します。
正効果ではエネルギーは解放され、負効果ではエネルギーは吸収されます。
なぜならば電子が持つ熱エネルギーが移動した時に、移動先の温度に合わせ
て電子の持つエネルギーが変わるからです。(温度の高い方から低い方向に
移動するとエネルギーを放出して温度が下がる)
「ゼーベック効果」「ペルチェ効果」のように異なる金属の組み合わせの時は
エントロピー増加の法則というか、状態が平衡状態になろうとする性質の存
在を考えれば理解し易いです。
2種類の金属を貼り合わせると、直ぐに平衡状態になるように電子の移動が生
じ、平衡になります。
これに温度変化(部分的に)>ゼーベック効果、電位差>ペルチェ効果を与え
れば電子の平衡は崩れます。そして、再度平衡になろうとする変化を起こし
ます。これが前者では電位差の発生で、後者は温度差の発生です。
丁度、逆の変化になります。ふたつの効果(現象)は同一の物が、見方を変え
たものといえます。
プロジェクター
プロジェクター=映写機のイメージの時代もありました。
しかし、コンテンツの媒体が多様化するにつれて写真やフィルムを写す映写機
のイメージはなくなりました。
まずは、透明フィルムに書かれた内容をスクリーンに映す方法が一般化されま
した。これは、プリンター特にカラープリンターの普及も関連します。
次に、非透明物の反射方式の投影機が登場します。これで用紙の制限が少なくなりました。
ついで、ビデオプロジェクターが登場します。ビデオ信号をだす機器は増えま
した。同時に信号の種類も統一の方向です。とすれば、その信号を繋いでス
クリーンに映す方法は一般的になります。
最初はアナログ信号でしたが、デジタル信号に対応できるようになりました。
これはパソコンの出力を利用できる事を指します。
パソコン内でソフトで作って、画面に映し出せるものをそのままスクリーンに
拡大表示できる事を意味します。
プロジェクターは基本は映画等とおなじですが、縦横比率・全面の拡大率の均
一性などが重要です。
一般の他の映像装置の品質が全て優れている訳ではありませんが、発光装置と
スクリーンの距離が近くなると、性能の差が現れます。パソコンと繋いだプ
ロジェクターの使用はこの距離が近い事を要求しています。
デジタル信号では、ソフト的に機能の改良が可能です。
ハードとソフトのどちらで、または双方で対応する事で急速に発展しています。
その延長で登場したのが、リアプロジェクターです。スクリーンに投影したも
のを反射で見ずに、透過で見ます。ブラウン管・液晶などの装置とおなじ構
成になります。そして、用途も同じものが開発されます。
リアプロジェクターは、液晶表示などと比べると薄いとはいえませんがブラウ
ン管よりは薄くできます。
スクリーンに投影しますので、画面の大きさ自身は大きな障害にはなりません。
勿論、映像的に高い品質を得ることは簡単ではありません。
拡大投影では、基の映像は小さくても拡大しても充分な品質を保つレベルの密
度が必要です。そして均一な拡大技術も必要です。
単純に言えば、電子部は発行部のチップと発行機構だけです。
これで、液晶・プラズマ表示と同じ表示品質ならば非常に優位ですが、現在は
それを目標に改良中という段階です。
CTスキャンに使用するのは、X線です。
断層撮影としては、これ以外にも色々の技術が開発されています。
磁気を使用するのは、原理的にもことなる部分がありますが類似技術として扱
われます。(MRI、NMR-CT)
陽電子断層撮影は非常に設備が大きくなりがちですが、特にガンの検査に有用
とされています。(PET)
光断層撮影は、フォトカプラで二つに分けた光の片方を被検査体にあて、再度
二つを干渉させます。主に眼の検査用です。(OCT)
乳房撮影(マンモグラフィ)は、X線ですが乳ガン検査用の別の装置です。
技術開発は続いており、検査線種・対象・時間・精度など全てが対象ですので
ますます進むでしょう。