項目別バックナンバー[5]:技術情報:3

遺伝と進化

遺伝子組み換え技術については、特に高等動物については倫理面で各種の意見 が出ています。特に宗教の強い地域では進化論自体が認められていないとも 言われます。
分子生物学の進歩と共に遺伝子の解明も進んでいます。発展途上ですが、初歩 知識を整理しておきたいと思います。
ダーウインの進化論:進化が突然変異によっておきるという考えがはじめにあ ります。その突然変異が、如何にして生き残り進化に繋がるかの考え方の一 つがダーウインの進化論です。彼以前には、変異個体の意志が影響するとの 考えもありましたが、彼の自然淘汰説が常識的に認められています。すなわ ち、突然変異個体が周囲の環境に適している場合に生き残る確率が高く、結 果として自然に淘汰されて残ってゆき、進化がおきるという説です。彼の進 化論は当然ながら、マクロなスケールでの進化論です。従って、突然変異自 体が極めて希に生じると考えています。
20世紀は、量子論・相対論の時代です。特に後半での量子論の進歩はあらゆ る分野で適応され発達しました。それは、その以前のマクロの物を矛盾なく 包みこむものです。それゆえに、裾野が広がるだけで対立は生じません。
木村資生のミクロの進化論:生物学でも例外ではありません。同様に遺伝・進 化論も同様です。ダーウインの進化論を包みこんでしまう、木村資生のミク ロの進化論も本来は、直ぐに認められて良いと思われますが、上記の様に進 化論は学問と異なる部分で遅れてしまう要素があるようです。
この内容は次回で。

木村資生のミクロの進化論は、分子生物学で生物学の量子論的です。ダーウイ ンの進化論(マクロ)と決定的に違う事は、「マクロの進化論では突然変異 はごく希にしか起こらないですが、ミクロの進化論では突然変異は絶えず度 々起こっている」という事です。
ミクロの進化論は分子生物学ですので、細胞またはそれ以下のレベルを扱いま す。最近のはやりで言えばDNAや遺伝子との表現が適しているかもしれませ ん。マクロの世界でも生物の寿命は幅広いですが、ミクロの世界では細胞の 増殖は絶えることなく起こり続けています。
非常に大きい回数で生じる細胞の増殖の中で、突然変異もそれに応じて絶えず 起きている事になります。これは単純に回数の問題だけで考えても納得出来 ると思います。それでは、突然変異の細胞が増え続けてマクロの個体の突然 変異として表れるのどれ位でしょうか。
生物は、通常は非常に多くの細胞で出来ていますから、突然変異を起こした細 胞が個体の全体の突然変異として表れるのはどの程度でしょうか。通常は、 マクロの進化論で言われるごく希なケースになります。
ただ、ミクロの突然変異が遺伝子の様な重要な物に生じた場合は、個体の異 常としてマクロに表れる確率は大きくなります。
この分野はこれから、ますます重要になりますが、考え方は理解し易いし(実 際に計算するのは別です)重要になってゆくでしょう。


アモルファス

物質の状態としは、固体・液体・気体が基本です。他にもプラズマ等があります。
固体については、基本は結晶です。形状の大小や純度は異なっても、規則的な 原子配置で構成されています。
ガラス状態もあります。これは、原子の配置からは固体と液体の中間的な物 と見られています。
アモルファスは、固体ですが、狭い範囲では結晶的な性質を持つ(規則性が高 い)が、広い範囲ではかなり不規則な原子配置を持ちます。従って、性質も 結晶に近いですが、乱れの分は異なります。
単結晶が製造が難しいのみ対して、比較上はアモルファスは広い面積が得や すいと言えます。広い範囲では、不規則性が高いのですから、当然とも言え ます。単結晶よりは性質が劣るが、一般に作り易い場合が多いので、性質が 改善できれば、実用性ではアモルファスの方が可能性が大きい場合がかなりあります。
太陽電池が代表的な用途として知られていますが、これからどのように利用さ れるか興味のある物質です。


シュレデインガーの猫

量子論の世界は確率の世界でもあります。確率的に通常起こりえる・起こりえ ないと言える場合は分かり易いですが、微妙な問題もあります。
シュレデインガーは量子力学の基本方程式を研究した事で有名ですが、「シュ レデインガーの猫」のパラドックスでも有名です。放射能を出し分解する物 質の寿命は通常は「半減期」等の確率で定義します。簡単に言えば、「半減 期」が0.0000001秒とすると、その時間に50%の確率で放射能が放出される 事をしめします。もし放射能が当たると死ぬ猫がそばにいると、50%の確 率で死ぬ事になります。「半減期」は非常に短い場合と長い場合が存在します。
さて問題です、「半減期」が1年とするとその時間にいる猫は50%生きてい る事になります。猫という個体が50%生きているというパラドックスは如 何に説明すればよいでしょうか。
現実の社会では矛盾しているように思いますが、そもそも時間のスケールの長 い・短いとは何でしょうか?。人間にとってです。もしそれが宇宙の誕生を 基準にしたなら、逆に非常に短い世界を基準にしたら考え方は全く異なります。
人間のスケールで考えるとパラドックスになっても、他のスケールではそうで は無くなります。(別の現象が同じ様に起きますが)確率の問題を1匹の猫 で考える事に無理があります。動物の生死と、さいころの目の出方を同じに 考える事は抵抗があると思います。しかし、確率とはそういう物です。


高分子科学の基礎

物質の最小単位は、次々新発見があります。それはここでは置いておいて、ま ず原子から始めます。原子が複数集まって分子を構成します。勿論、原子単 独で存在する場合もあります。
高分子は、分子が非常に多く結合して構成されます。その基本となるものを、 モノマーと言います。これは他のモノマー等と結合して大きな分子になる事 が容易な物質です。オリゴマーは、高分子と呼ぶ程は大きくはない、物質で す。モノマー・オリゴマー等が結合して高分子材料が出来ます。
高分子材料の分子量は、定義が難しいですが、結合し易い性質は依然持ってい ますので、特定の状態の再現は困難です。しかし、若干の差は特性に大きな 差を生じませんので、有用な材料として広く使用されています。
通常の分子は、固体>液体>気体と温度で変化します。一般に分子量が大きい 程に、この変化が高温で起きます。高分子材料では、固体でのみ存在します。 温度を上げると、結合がより進み変質するか、劣化するか、分解します。
高分子は自然界にも存在しますが、我々が使用する材料のほとんどは人口的に 結合を作った物です。そしてまだ、研究は進んでいます。
その結果、組成から生まれる科学名と、開発した企業等の付けた商標名が存 在します。一般の物質と異なって、後者の商標名の方が有名な場合が多数存 在します。組み合わせが無数にありますので、よほど工夫した特許でなけれ ば類似品の開発が続くケースも多くあります。また、科学名も正式名とそれ の頭文字を取った呼び方が使われるので、慣れないと混乱します。
個別の材料や性質等は次号で。

高分子というとピンとこない人もいるとも思いますが、プラスチックという言 葉を使っている場合もあります。材料的には無限に組み合わせがありますが 一般に市販されて使用されている物は30-50種類です。
分類も目的で分かれますが、熱可塑性と熱硬化性があります。熱可塑性とは、 熱がかかると柔らかくなり、温度がさがると元の性質に戻る物です。熱硬化 性とは、熱を加えるとより反応が進み硬化が進む物です。温度が下がっても 一度反応した物は戻りません。
現在は、高分子材料(プラスチック)ブームでその用途は広いです。理由は、 色々な特性があり、しかも成形性に優れるからです。作りたい形状のものが 容易に出来ます。またかっては、ガラス・金属などを使っていたものが、プ ラスチックに置き換えられる場合が増えています。
高分子材料(プラスチック)は、性質の改良が出来やすい材料ですので、技術 の進歩によって新しい性質の材料が作り出されるのです。
性質も、他にはない特色が沢山にありますがきりがないので、次回によく使わ れる材料と略称等を述べて一旦終了とします。

高分子の話しはキリがありません。同じ話題では飽きるので今回は、名称をま とめて一時終了とします。
凡例;ISO略号:正式名:通称名等
ABS:アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン:ABS樹脂
CN:セルロース・ニトレート:硝酸繊維素(セルロイド)
EP:エポキシド:エポキシ樹脂
MF:メラミン・フオルムアルデヒド:メラミン樹脂
PC:ポリカーボネート:ポリカーボネート
PE:ポリエチレン:ポリエチレン
PETP:ポリエチレン・テレフタレート:(PET、テトロン)
PF:フェノール・フォルムアルデヒド:フェノール樹脂
PTFE:ポリテトラフロロエチレン:(テフロン)
PVC:ポリビニルクロライド:塩化ビニル樹脂
( )ハ商品名です。これ以外にも沢山あります。
大きなテーマのため、まとまりがなかったです。

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