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地図

地図は地球表面の状況を、縮小して記号化して平面上に表現したものだ、ただし地球は球面なので全部または広い面積を地図にする時は平面にする為に工夫が必要になる。
地図では情報は地図記号で表されるが、例えば代表的な地図である地形図では地図の種類や国ごとに記号は統一されて使われている、地形図以外では例えば道路地図等では必ずしも規格によらない物が多い、そして用途が違えば例えば鉄道路線図では駅や線路の接続関係が重視されて、地形的な正確性を無視する事もある。
長い期間紙に印刷した地図が使用されて来たが、現在では地図のデジタル化が進み地図上に多くの情報を持たせる事が出来る、そして電子機器のディスプレイ上で見ることが出来る。
地図は様式の分類では、特定の地域を抜き出した切図や、広い範囲を一枚に表した全図や、一冊の形式にまとめた地図帳等がある。

地図の作製方法による分類では、測量(広義)の直接的な成果を紙上に展開して地形・地物・説明文字を加えて作った実測図があり、その実測図の成果にその他の各種資料を加えて編集して原図を作製しそれを元に作られる編纂図がある。
実測図はさらに基準点測量を基礎にしてさらに細部を地形測量で測図した地形図と、単に地形測量等で測図される略測図に分けられる。
書店等で販売されている一般的に入手出来る地形図は、東西南北情報や、緯度と経度情報や、等高線による土地の高低差情報や、海・湖・川の水域情報や、行政区画情報や、道路や建物の情報等の多数が含まれている。
日本では国土地理院が地形図の測量を行っていた、そこで従来から使われていた測地系がGPSなどで使用しているものと大きく異なっていた、その為に測量法の改正で2002年4月1日に「日本測地系」を「世界測地系」に変更した、そこでは緯度と経度は座標変換が必要だった。
編纂図にも、実測図をもとにして実地調査や統計や文献調査の成果を加えて編纂して図化した一般編纂図があるその例は地勢図や地方図などだ、その他には特定の事のみを示す目的の特殊編纂図がありその例は土地利用図や人口図等がある。
地球は回転楕円体であり扁平な球体だ、従って平面的な小さな地域の実測図では実用的な表現は可能だ、しかし球面の影響の大きな広い地域の編纂図では直接的な測量結果の反映とはずれるので読む時には注意を必要とする。

地図はそこに掲載する地域によって、世界地図・世界全図や半球図や日本地図・日本全図等の各国の地図と、市町村図などに分類される、前述の様に前者のように面積が広い場合は球体故に平面等に正確には表せない。
球体を面に映して(投影して)表す方法は複数にある
投影する面の種類での分類では、地図は平面図法や円錐図法や円筒図法等に分類され、映した面を平面に拡げ展開して地図となる。
球体を正確には平面では表せないが、何を優先するかの考え方でも幾つかに分類される
・正積図法>地球上の面積と地図上の面積との比率を正しく表現する図法で狭い地域に向いている
・正角図法>地球上の角度の関係を地図上に正しく表現する図法
・正方位図法>地球上のある基準点からの方位を地図上に正しく表現する図法

ボンヌ図法
正積図法の一種である正積擬円錐図法であり、中央の経線を直線にして、緯線は一定点を中心とする同心円に取り、その他の経線は各緯線上に中央経線からの経度差に応じて結ぶ。
 中央経線とすべての緯線の長さが正しく表わされる、中央経線と標準緯線上では投影によるひずみはないので、中緯度の地帯を表わすのに適する。

投影法(続)

正角図法
メルカトルは経線が平行直線に、緯線が経線に直交する平行直線になる地図を作製した。この図法の地図は航海に利用された。
メルカトル図法
 航海で地点AからBに向かう時、北に対して取る船の舵の角度を、この地図上で2点間を結んだ直線と経線のなす角度にすれば、いずれは目的地である地点Bに到達できる、遠回りになるが確実に目的地に到達できるこの直線を「等角航路」と呼ぶ。
 メルカトル図法は長所「等角航路を地図上で表現でき、航海用に利用可」、短所「高緯度での面積の拡大がひどく、最短距離が曲線」

正方位図法
方位と距離を正しくする。
 この図法では、図の中心から別の地点までの方位と距離を正しく表現する。
 図の中心と別の地点を結ぶ直線は、2点間の最短距離を表す。
 正距方位図法は長所「最短距離、つまり大圏航路を図の中心と別の地点を結ぶ直線で表現できて航空図に利用可」、短所「周辺部のゆがみ大」

地図には平面情報を提供する以外に立体地図や3次元地図がある。
立体地図や3次元地図は高さがあるものを利用する人に感じさせる地図の事であり、高さがあるものには地形の起伏や建築物の高低(大縮尺の場合)等を含む、又は海の深さ情報を持つ海図もある。
そのなかには
・平面の紙に記したもの
・模型で起伏を表したもの
・コンピュータのデータで高さの情報を持たしたもの がある。
3次元地図での平面地図を用いた手法にはステレオグラムがある、隣接視点からの2枚の平面状の図を見ることで人間は脳内に立体的な像を再現可能だと言う立体視の技術があり、その手法で作成された地図であり例えば赤色・青色の色眼鏡をかけて見る場合もある。

コンピュータ地図では、コンピュータのデータとして3次元情報を持つ、このデータを3次元コンピュータグラフィックスの技術を使用してコンピュータ画面上に地図として表示する。
コンピュータ地図では一般的なコンピュータグラフィックスと同様に、拡大・縮小・移動とスクロールが出来るが、3次元では立体視特有の操作が可能になりそこでは「目」を空中の一点に置いてそこからの視線を上下左右に移動して見ることも可能になる。
コンピュータ地図のデータは離散的な点の3次元座標を数値標高モデル形式で持ちこれからソフトウェア処理で地表面をポリゴンで表す、あるいは最初からポリゴン形式で持つ場合もある。
コンピュータ地図の例としてのカーナビゲーション用の地図では、都市の建物の3次元情報を持つ場合はポリゴン形式が多い。

ポリゴン
 多角形を指し、地図データ及び描画では、領域の輪郭はポリゴンで道路や鉄道はポリラインで表す、ポリゴンで構成された物体は基本的に直線と平面のみで構成される。
 線・面分割を細かくすると擬似的に曲線・曲面も表現できる。
数値標高DEMデータ
 地表面を等間隔の正方形に区切、それぞれの正方形に中心点の標高値を持たせたデータ。


超音波

人間は喉で声帯を動させて空気を振動させる事で音を出している、そこで発生した音は喉で反響させて、声となる。
人間が声として出す音は300Hz-4kHzの周波数だとされている、そしてその中で人間が聞くことが可能な音=可聴音はそれより広い範囲で20Hzから20kHzの周波数とされる。
従って一般には音は上記の声と同じで空気の振動を指す、物が振動する事でその周囲の空気が振動してその振動が音として伝わる、空気以外の媒体でも振動して同様に伝わる場合が広くあり音波(弾性振動波)と呼ぶ。
音波(弾性振動波)の中で人間の耳には聞こえない高い振動数を持つものを、超音波(ultrasound ・ultrasonic)と呼ぶ、音波と超音波は可聴域の音声と比較しても物理的性質は同じであり、違いは人が聴くことが出来るか出来ないかの差だけだ。
広義の意味での超音波には人が聞くと言う以外の目的で利用される音を意味していて、人間に聞こえるかどうか自体は区別しない。

超音波は媒体により伝わる、媒体としては気体でも液体でも固体でもその中を伝搬するが、真空中では伝わらない。
超音波は電磁波やその一つである光と比較される事がよくあるが、光が透明な媒体を伝わりかつ真空中でも伝わるのに対して、超音波は光の通らない媒体中でも伝わる。
超音波はその伝わり方が媒体の振動という事から、電波や光とは異なる性質であり、超音波は媒体により伝わりやすさが異なり密度が高い方が伝わる効率が高くなる傾向があり、気体<液体<固体の順で伝搬効率が高くなり音速も速くなってゆく。
超音波は、気体である空気中よりも、むしろ液体で有る水や、固体の金属などの物質中で強い伝播力を発揮する事が特徴になる、例えば空気中の音速は約340m/秒であり、水中では約1,500m/秒になる。
超音波はその伝わり方が媒体の振動による事から、周波数を高めても伝搬媒体との性質が整合していなければ共振やキャビテーションの発生等が生じる、それが障害となり伝搬できなくなるので実用上の周波数の上限となる。
ただし共振やキャビテーションの発生現象は、超音波洗浄機等に利用されている。

電磁波は波の性質を持つが、同時に粒子としての性質も持ちと光子(フォトン)と呼ばれる、波の1周期の長さを「波長」と呼ぶが周波数が低いほど波長は長く、周波数が高いほど波長は短くなる関係がある、そして波としての波長が短くなる(周波数が高くなる)と粒子としての性質が強くなる、その領域に光もある。
音波・超音波は媒体の音響振動で波のように伝わり、その波の1周期の長さをやはり波長と呼び、電磁波と同様に周波数が高いほど波長は短くなる。
媒体の音響振動もやはり粒子としての性質がある、固体の結晶格子では振動は格子振動と呼ばれて対応する粒子を音子(フォノン)と呼ぶ。
音波・超音波は気体や液体の中では縦波(疎密波)により伝わる、固体中では横波も存在する、そして音波・超音波は減衰して行く性質がある、周波数が高いほど(波長が短い程)に減衰率が高くなる、そのために音(可聴音)よりも波長が短い超音波はより短い距離しか届かない、減衰は媒体によって変化する。
音波・超音波は均質な媒体中では直進するが、音速が異なる物体との境界面では電磁波・光と同様に反射する性質がある、この性質は色々な探知・診断機器で利用されている。
周波数が高い超音波は可聴音に比べ指向性が高く、それは周波数が高いほど顕著になる、この性質はピンポイントでの計測用途に使用される。

超音波で可能な事は多数でジャンル的にも多岐にわたり、今では広い用途で超音波は人の生活に於いて必須的に必要なものとなっている。
超音波の性質と特徴を利用して色々な超音波機器が作らている、それらを大きく分けると、「動力的応用」と「通信的応用」になる。
通信的応用としては
 1:探知機>魚群探知機、金属探知機、非破壊検査装置 等がある、これらは超音波が固体・液体の不透明な媒体の中を進行する性質を利用する
 2:計測>風速計、流速計、波高計 等があり超音波が気体中も進み、気体や液体の密度で進行速度や減衰率が変化する性質を地用する
 3:医療用途:胎児の診断、結石破壊 等、通称「エコー」と呼ばれる診断装置であり、後述。

電磁波とその一つである光(レーザー)を使用するエネルギー・動力用途は多数開発されているが、同様に超音波もエネルギー・動力用途に利用されている。
超音波では媒体を振動させるというイメージが大きくそれの利用が主体となる、一方では超音波は内部が見えない媒体内を進行する事からそれの利用用途も重要だ。
超音波の動力的応用>
・振動を利用した攪拌用途
 1)洗浄用途:金属部品・半導体・機械加工部品等
 2)分散・乳化用途:マヨネーズ製造・油の混合等
 3)脱泡用途:写真の感光液や現像液・食品加工
・振動を利用した加工用途
 超音波は指向性が高く、加工圧を制御しやすい事からドリル加工や、金属やプラスチック加工に使われる。
 4)振動切削加工用途:金属加工・プラスチック加工等
・熱を利用した用途
 指向性を利用した局所的な熱加工が可能だ
 5)局所的な溶着用途:プラスチック部分用着・ICのリード線接着等
・医療用の動力用途
 6)超音波治療用途:結石破壊治療・白内障治療等

医学用途で超音波診断装置で体内の多数の部分の画像検査を行う、超音波検査は病変の有無や各種臓器の機能異常を調べる、治療経過や効果も調べる。
超音波の反射波を利用して、コンピュータ処理で画像化するのが超音波検査であり、エコー検査と呼ばれている。
例えば、腹部超音波検査・心臓超音波検査・血管超音波検査・泌尿器超音波検査・乳腺超音波検査・甲状腺超音波検査等がある。
超音波診断の長所
・特別な巨大な装置と準備は不要>MRIや内視鏡と比較して、エコー検査は小型の装置で特別な準備なしで行える
・リアルタイムの画像観察が可能>画面が見やすいように、検査室は暗くする事が必要
・複数方向からの観察が可能>音波を出す小型の探触子(プローブ)を検査者が色々な方向から当てる
・非破壊検査>音波は被曝がなく繰り返し検査が可能、幼児や妊婦でも検査可能
超音波診断の短所
・骨や空気が観察の障害になる>プローブと皮膚との間に空気が入ると不都合なのでゼリーを塗る
・視野は狭い
・検査に知識と経験が必要

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