項目別バックナンバー[5]:技術情報:44

人工衛星

自然界の宇宙に存在しないものを、人類が宇宙に打ち上げている時代だ。
種類は多岐に渡るが、数の多さと歴史の古さと実用性の高さで見れば、地球を周回する衛星軌道を動く人工衛星が一番だ。
もはや珍しくない故に、他の用途のものよりは話題性は弱いが、逆に全く無関係な生活も少なくなっている。
衛星は、地球の様な惑星を周回すれば呼ばれるのだが、宇宙にゴミを打ち上げても意味はなくゴミが飛び交う宇宙は危険になるだけだ、人工衛星と呼ぶには、目的と運行管理・制御されている事が必要だ。
人工衛星は機械だしそれには寿命もあれば失敗や故障もあるが、注目される物は稼働状態の運行管理・制御された物だ。
ゴミ化したものは、大気圏で燃えつきた方が安心だ。

衛星・人工衛星共に、絶対的に安定な軌道は存在しないが、人工衛星の機能する寿命内で安定すれば良いとの考えも出来る。
軌道離脱とり、地球に引き寄せられて大気圏突入での熱破壊が多い。
だが、機能を終えても周回を続けているものも多い、わざと破壊するかどうかは思想と技術の問題だ。
周回軌道には円軌道・短楕円軌道・長楕円軌道とあるが、正確には完全な円軌道は難しくそれに近い短楕円軌道が実用的だ。
周回角度は、用途により異なる広範囲観測衛星は周回角度を変えながら地球の観測部を広くする。
地球に近い軌道ほどに観測精度は向上するが、地球の引力に引き寄せられるでそれと逆の推進力を保有して軌道を保つ必要がある。

人工衛星の用途の1つが静止衛星だ。
地球から見ての静止だから、実際は周回時間が地球の自転時間と一致している軌道だ。
周回時間は自然法則で軌道高度で決まるので、静止衛星はそれに基づく軌道高度に乗せる事により実現出来る、あとは必要な位置に誘導すれば静止衛星となる。
通信衛星を始め、静止衛星の利用用途は広い。
軌道高度は高いという制約はあるが、位置制御と安定のエネルギーが少なくて長期使用が可能となるメリットは大きい。

人工衛星では航行用と姿勢制御用と通信用と、あとは任務様にエネルギーを使用する。
太陽電池は基本だが、固体燃料や液体燃料も使用するし、弱い推進力にはイオンエネルギーも使用する。
軌道の低い偵察衛星では、長期の多くのエネルギーが必要で原子力発電の使用となる、それは主に軍事用途となる。
民生用途は、エネルギー効率の良い軌道や機器や方法の開発が重要になる、燃料を大量に積む事よりも、効率化と省エネルギー化を図る事が人工衛星を小型軽量にして、打上を容易にして、軌道修正のエネルギーも少なくなり優位というのが現在の方向だ。

人工衛星は通常は、地球上の発射基地から大型ロケットに乗せて打ち上げる。
打上技術と人工衛星の管理・運営技術とは異なる。
打上ロケットは、多くの燃料を積載する要求と、機器を軽量化して少ない燃料とロケットの推進力で高く打ち上げるという要求から、多段式が採用されて燃料を消費した部分は切り離して、次第に小型化しながら上昇する。
そして周回高度に達すると、人工衛星を切り離して個々の人工衛星に制御を移す、従って1回のロケットで打上可能な重量の制約はあるが、その範囲内ならば人工衛星等の台数は制限されない。
打上ロケットは、地球の自転を利用して赤道に近い地域で自転方向に打ち上げるのがエネルギー効力が良く、どの打上も同一の方法で設計されている。

衛星は惑星の周囲を公転するのだから、地球に限定されない、それは人工衛星にも言える。
現在では地球以外の惑星の探査・観測目的に使用されている。
一部で着陸している事も知られている。
この場合は、地球から打ち上げてから目指す惑星に向かう軌道に乗せて、惑星に近づくとその公転軌道に乗るように軌道を修正する。
惑星間の運行と複数の軌道修正と、通信時間ラグなどの問題が増える。
地球周回の人工衛星に成功すると、次ぎに目指す計画の1つになる。


垂直離着陸

飛行機は輸送手段としてメリットは多いが、デメリットも多くその1つは離発着に巨大な滑走路が必要な事だ。
飛行機の大きさにより長さや設備の異なる空港の整備・設置が課題となる。
それの対応策として、垂直離着陸方式が考えられ、古くはヘリコプターが代表とされ、それの改良がされて来た。
現在もヘリコプターの利用範囲は広いが、方式の異なる垂直離着陸機が実用化されている。
また、小型機を中心に無人ヘリコプターの開発と実用化が検討されている。

無人ヘリコプターが俄に注目されたのが、アマゾンのドローンによる配達実験だ。
一部では使用されていたり、ラジコン・無人ヘリコプターというホビーも存在していたが、無人・無線操縦・狭い離着陸面積による商品配達の可能性などが報じられ一気に注目された。
まだまだ、その実用性・安全性・将来性やその反対のリスクなどの不明点は多い、技術面や利用技術や法整備など掴みきれない課題は多い。
宅配便自体が急速に普及したビジネスであり、郵便と比較した信書という概念とその扱いでまだまだ問題を抱える。
同時に利用者の生活習慣の変化に伴う、受取り効率・方法などの検討は終わる事はないと思われる、無人ヘリコプターの配達にも多様な或いは類似の問題が予想される、まずは機器としての技術問題のクリアが必要だ。

ヘリコプターの利便さを残し、使用範囲を拡げる狙いの1つががジェットヘリだろう、上空での運航速度の向上を目指した。
ヘリコプターの中でも大型に限られるが、用途的に問題は少ない、むしろ上空での運航中のヘリコプターの回転機が邪魔とも言える、ジェットヘリはひとつの解答として残る。
その次の発想に、完全な垂直離着陸ではなくともそれに近い機能を持つ、ジェット機の開発だ、垂直離着陸出来るジェット噴射機能を持たした、これもまた1つの解答だ。
その変形とも言えるし、ジェットヘリからヘリコプターの回転機を除いたものが通称オプスレイで知られる機種だ、ジェット噴射口が垂直離着陸時と上空での運航時で90度回転する。

オプスレイで有名になった垂直離着陸機は、離着陸時と水平飛行時でジェット噴射口を90度回転させる事で実現する。
新方式故に実験段階では事故が多かったとされ、日本では導入時に危険性が強調されて反対が起きた。
方式が違えば、整備士やパイロットに新しい技術が要求されるし、一般機でも設備的に劣る小さな空港・基地で運用されるケースが多く、単純な比較では事故例が多く見える事は事実だろう、新しい技術の導入時には必ず起きる事だと言える。
実績のある古い技術は安全優先だが、それは単純でない複雑な方針で決まる事で技術問題は一部でしかない。

オスプレイ等の垂直離着陸機で離着陸時と水平飛行時でジェット噴射口を90度回転させる方式は、ジェットヘリと短い距離の滑走で離着陸する機種と比較すると見かけは、類似に見えるが明らかに未経験の事がある。
それは、ジェット噴射口を90度回転させる時間に何が起きるかだ、それ以前の方式は離着陸時と水平飛行時の2つの推進方式の足し算になったが、オスプレイではその時間は空白の未経験時間となる。
噴射口を回転させている時間にどの様な状態が起きるかは、実験・経験で調べて対応する事になり、不明段階での試験飛行時に事故が多かったとしたら技術的に全く未経験の事に対応出来なかったとしか言えない。
ただし、実用化が進む段階でそれがどの程度解消されたかは、当事者以外は不明と思えるし、あるいは経験的な対応なのかも知れない。

垂直離着陸機は飛行原理からも判る様に、エンジンの回転という動作から大型機は技術的に難しい。
大型輸送用のヘリと用途が重なる訳でない、むしろ輸送用途では少ない小型ヘリと用途が重なる、むしろ大型輸送用のヘリの用途の隙間を埋める位置付けと言えるかも知れない。
小型滑走路や仮設滑走路や小型空母などの小さな離着陸スペースしかない場所で使える飛行体の開発はこれからも進むと考えられる。


人工知能

コンピュータ制御から、人工知能の研究が進んでいる。
コンピュータは事前にプログラムされた内容に従って動作するのだが、その動作の選択をコンピュータ自体に行わせようとする試みだ。
人間が作った物が人間以上の能力を持つ事は、交通機関を始め多数あるが、知能でそれを行うことを目指す。
この為には、
 1;初期のプログラムとデータベースが高度の判断能力を持つ
 2:初期のプログラム以降にコンピュータ自身がデータベース等に追加の判断能力を蓄積する
 3:2の作業を複数のコンピュータ間で行う 等が考えられる。
1:は2:の成果を意味する。

人工知能は、人間が成長する事をイメージして作られ研究されている、人間の脳は必ずしもプラス方向に進化し続けないし、病気や障害を受ける事もあるが、人工知能には人間の脳のマイナスの部分を持たす事は想定しない、少なくとも初期の開発段階はその面が強い。
従って、学習で成長する事が前提でそれが人間が行うのでなく、人工知能自身が学習を行い能力を高める事を繰り返す様に考えて作る。
人工知能には、人間の代わりを狙う面と、人間を越えた能力を目標とする両面がある、人間が作ってきた機械類がそれぞれの用途では人間を越える能力を持って来た事と同じだ。

人工知能の発達の歴史は、人間の脳の研究と、自身での学習・・若干意味を混乱させるかも知れないが機械学習と呼ばれる・・・方法の研究からなる。
コンピュータは機械だからという面と、手動=人間が行うと言う言葉の反意語として機械学習という言葉が使われる。
人間の脳も、コンピュータも物・物質からなるという基本的な考え方からなり、脳は生命という特別なものとする考えとは出発が異なり、倫理とかの考え方も物としての脳の中から生まれるとする、勿論学習の対象となる。
最終は人間の脳のような汎用性の高いレベルを目指すが、コンピュータのサブルーチン的な分野・ジャンルを限った所から研究が進む、それはコンピュータの過去の進化と同じだ。

人工知能の定義が明確でないがそれぞれのイメージで研究が進む、それは人間の知性や知能の定義が同様に明確でない事と無関係でない。
人間の知性や知能自体が現在研究中だ、遺伝子研究を含め、知りたいという考えと実用的な夢と、一方では倫理問題や制御不可能な被害を及ぼすリスクの間で明確な方向性がまとまらないままに研究されている。
その中で人工知能は人間に置き換わるもの、あるいは上回るものを目指す意識があるが、具体的に「人間」という多様な生き物の中のどこかと言えば明確にし難い。
それ故に、限られた分野や能力をまず目指す、チェス・将棋・囲碁などの勝負という形で見える分野であったり、小説執筆というような人間の知的分野だったり(実はハーレクインの様に純粋な創作でない分野もある)する。
実用的にはロボットと繋がる事が多い、単に学習というとロボットをイメージする様だ。

人工知能と学習は切り離せ無いのだが、そこに人間が関わらないと人間の考える能力を超える可能性が増える。
人工知能が自分自身で学習して成長するという機械学習と呼ばれるが手法だが、新しい手法が登場するごとに呼び方が変わる事もある。
どこまで、人間が関わらないか発展段階ではグレーゾーンだ。
はっきりしている事は、ルールや目的や結果の評価が可能な事には有効で、それが曖昧では人間以上に対応させる事が難しい事だ。
学習する事で結果の評価方法が向上する場合は、機械学習を繰り返す事で人工知能自身で能力を向上させる事が可能になりそうだと考えられる。

人工知能が急激に興味を集め始め、同時に学習が具体的に機械学習とか深層学習とかの言葉に置き換わった。
ただ、人間の知能を知る事が目的なのか、別のコンピューターシステムなのかさえまだまだ研究中だ、人間の脳の代わりを作るのかエキスパートシステムと呼ばれる分野・用途限定で目指すのかも別れる。
人間を越える可能性が見えると、人工知能の倫理感が話題になる、SF小説では遙かな以前から話題になっている事だ、ゲームや小説を行う場合は無関係でも製造装置やセキュリティシステム用途や介護用途を考えるだけで既に現実の課題となる。
人に危害を与えないと言う課題だけでも既に簡単な研究段階のテーマを越えている。

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