項目別バックナンバー[5]:技術情報:6

透明材料

ガラスのイメージは透明ですが、必ずしも全てがそうではありません。同様に ガラス以外にも透明な物質は存在します。
物理的には、透明とはある特定の周波数の電磁波が反射せずに通りねける事を いいます。従って、光が届かない所でもラジオが聴けたりもします。周波数 の高いテレビ電波や携帯電話等が届かない事もあります。
ここでは、電磁波を光(可視光線)と考えます。(光は特定の波長領域の電磁 波です)従って光が通過する性質を持つ物質を指します。
プラスチックには透明なものが多くあります。次にセラミック(主として金属 酸化物)にも透明なものが多くあります。宝石類の多くは、セラミックの結 晶ですので透明なものがあることは理解できると思います。これらは、通常 は絶縁物が主体ですが、一部は程度の差はあっても電気を流し易い性質の物 が有ります。これが現在多く使用されている透明電極です。液晶を中心に透 明電極は無くてはならない材料となっています。

透明と言っても実際は色々と差があります。光の透過性をはかると現実にはか なりの現象があります。従って、透明性の向上が一つのテーマとなります。 もう一つが光の透過性が不足ならば、より強い光をあてて明るくする工夫です。
通常は透明性は純粋な材料ほど高い傾向があります。色々な混ざりものがある と色が付いたりして透明性はおちます。逆に純粋な材料は強度等に欠点が多 くあります。この中に他の材料を混ぜる事で強度等の性質を改良できます。 この矛盾を解決する為に研究されてきて、最近ではかなり優れた材料が登場 しています。例えばプラステック液晶などは強度と耐楽品性等が必要ですが すでに実用化されています。 また酸化アルミ(アルファ・アルミナ)はルビーですが、工業的に純粋な結 晶を作れば透明です。クロムの不純物を混ぜると徐々にピンクから赤くなり ます。その程度をコントロールすることでルビーレーザー材料として使用さ れます。宝石のルビーはクロム不純物の量が非常に多い物です。そしてそれ 以外の不純物が多い場合は青くなりサファイアと呼ばれます。
透明電極材料は、昔はかなりの高温で作る事ができましたので、ガラスでやっ とプラステックは無理といわれましたが、現在は可能になっています。少し 前に取り上げた乾式メッキ・特にスパッタ系が技術革新に繋がっています。

ハーフミラーは半透明材料を利用して作ります。光が明るい側からは透明に見 えて、逆に光が弱い暗い側からは反射して鏡の様に見えます。窓ガラスを鏡 と思って妙な表情や仕草をして見ていると外からは透明で全部見えていたと いう笑い話しもあります。
透明という言葉には、光を反射するか透過するかの区別を含みます。従って、 透明性が少ない材料でも後ろから光を当てる事で透明性が向上します。最近 透明材料が使われる代表的な製品の液晶では、光をどのように利用・使用す るかに工夫が有ります。光の弱い順では、自然反射光・自然透過光・バック ライト・サイドライト・複合利用などがあります。 見る側の反対に反射板を置いて、透明材料と反射板の間を明るくしてやれば 光が明るく見えます。 液晶の最大の特徴は低消費電力ですので、サイドライト等の消費電力を抑え る工夫が重要になります。そのために複合利用が行われています。 用途によっては、あまり消費電力にこだわらない場合もあります。


ゲームの理論

最近は企業の研修にロールプレイングゲームが使用されたりします。ゲームの 理論は元々は、第2次大戦から始まっているとされています。戦争もゲーム もビジネスも競争という面では同じですので、以後応用されています。
基本的な考え方は、相手または環境が自分に取って最悪の対応をしたときに、 被害を最小にし、かつ対応が間違った時に自分の利益・優位を最大にする事 です。双方を調べますので夢のような理想的な進行は通常はありません。
最小のリスク内で最大のリターンを得るのが目的ですので、ハイリスク・ハイ リターンは選択しません。あくまでもローリスクが前提です。
これが、現実にどの程度役にたつのかは意見が分かれるかも知れませんが、実 行方法の決定の判断要因として必要な情報である事は間違いありません。
欠点は、複雑な事項になるとコンピュータでも時間が非常にかかり結論が実用 時間ではでない事が多い事です。また、定性的事項も定量化する工夫が必要 な事です。いわゆる評価点決定が必要な事です、これは間違いやすく結果の 信頼性に影響が発生します。

最小のリスク内で最大のリターンを得るのが目的ですと前回で述べました。こ れを「ミニ-マックス法」とも呼びます。
これは何かの区切りとなる現象の前後で比較する事となります。通常はこの現 象は継続しますので、1回のみの判断では不十分で複数のケースをくりかえ し、そのどこかの時点で判断をする事になります。
文字通りゲームの囲碁・将棋・オセロ・チェスなどは2人の1対の手順が1現 象になります。経営等では人口的に決めるか、季節や1年・1月などで繰り 返が生じる単位を現象の単位とします。これを決めるのも重要になります。
元々の始まりと言われる、第2次大戦の神風特攻隊に対する対策の場合は、1 現象で終わります。成功か失敗かです。別の特攻隊は別の継続しない現象と判断できます。
繰り返し継続する時は、くり返しの回数・深さが重要です。深い程よいのは当 然ですが、木の枝の様に急激にケースが広がりコンピュータの計算能力を超 えるため時間的な制限があります。
計算量を減らす為に、設定深さに達しなくても既に計算したものより悪い結果 になると打ち切ります。これを「アルファ・ベータ枝刈り」と言います。 沢山のケースの中から、どれから調べるかが速さのポイントになります。可 能の高いものを選びだす事が必要になり色々な工夫が研究されています。
打ち切った回数の直後に判断を変える大きな変化があると見落とす事になりま す。これを「水平線現象」と呼びます。これを避けるには回数を動的に変え る必要があります。これも大きな課題となっています。

有利・不利を定量的に表す必要があるので、評価点という考え方をします。こ れを決めるのは難しいですが判断を数値で行う必要があります。
最初に浅い全計算で評価点を求めて、結果から深く調べる順序を決めます。こ れは前回のべた枝刈りの方法です。
また、不要な枝分かれを削除する為に、相手や環境等に協力させる事も行われ ます。協力してもらってもたいして結果が良くなければ、それより不利な条 件は調べる事は意味がないとします。
ツリー状の調査・計算は急激に量が増えます。従って大きなメイン記憶と、デ ータベースを必要とします。
基本はあらかじめ予想されるケースを初期値として持っていますが、類似範囲 内であれば学習機能でデータベースを更新する事が可能です。
これが進み、どのような場合でも対応できるようになると、人口頭脳に近くな ります。

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