項目別バックナンバー[5]:技術情報:16
ガス中毒・センサー
突然に表面化したガス器具の不良問題とそれが原因の一酸化炭素中毒問題が、
メディアを埋めています。ガス関連製品の根本が不具合で専門メーカーが成
り立っていたとの奇蹟的な事実に驚きます。
ガス中毒には、毒性ガスによる急激な事故と、酸素欠乏による遅効性の事故が
あります。後者は色々な要因が関わるケースがあります。
毒性ガス、特に一酸化炭素中毒は、ガス漏れか不完全燃焼が原因になります。
どちらも、ガス器具の不良が原因です。
本来それの対策が有って初めて、安全な製品となります。
ガス漏れに対しては、ガスの成分によっては安全性が異なります。これの種類の問題とする意見もあります。
燃焼の問題では、発生するガスの検知問題なりますので、別のアプローチが必要となります。
モニタリングシステムは既に稼働しています。
ガス警報器を各家庭・事務所に設置して、遠隔操作で管理します。
うっかり電源をオフにしていると、確認の電話があると思います。
これが緊急の時にどれほど有用かは、あまり議論の意味はないと思いますが、
トラブルの有無の統計から、不良ガス装置を見つける事は可能と思います。
ただ、普及度については個人的に充分な情報は持っていません。
ただ、今回のトラブルに関しては情報は装置メーカー側で持っていて、それを
隠していた面が大きいとの感触があります。
この状態では、モニタリングシステムは機能しません。
技術力で情報を得ても、人的にそれ以降をおさえてはもう技術とは別の世界です。
ガス機器の事故?が相次いで表面化しています。
製品製造において、製品不良が原因か、使用方法が原因かは対策上は重要です。
ただ、PL法以降は、使用方法が原因でも場合によっては、製品不良としてとらえる可能性があります。
製造者にとって、想定外の使用方法が事故の原因であっても責任の有無は微妙です。
PL法では、本来製品が使用される機能での事故は除かれます。ガス器具での不
完全燃焼やガス漏れはそれにあたるかどうかは、立場で判断が分かれると思
います。同時に個々の事故で異なる可能性もあります。
製造者側が、製品不良ではないとコメントしても、それが最終結論ではありま
せん。今は問題が出てきている段階で、原因が定まるのは今後と予想します。
裁判になるケースが複数でると思います。
PL法は注意表記のみの問題ではなく、技術問題でもあります。
ガス検知器・センサーは、事故防止の上からも需要があります。都会などで、
遠隔操作の検知・管理が行われている場合もあります。
当然ながら、その精度や信頼性・寿命は重要です。
古くは、セラミック等のガス関知物が利用されていました。ただ、ガスの種類
依存性や環境(湿度)等の依存性があり利用に制限があります。
同様に、抵抗体・ヒーターの温度・抵抗値(温度で変化する)を利用する物も
古くから利用されています。
電流を流して高温に設定しておく事で、ガスが接触すると燃焼し結果として
温度が上昇して検知出来ます。センサ部分以外の回路等が必要で初期は制限
とされていましたが、電子技術の進歩でほぼ解消されたと言えるでしょう。
ガス事故の原因として、ガスの種類が上げられます。燃焼用ガスも種類は多数
ありますが都市ガス(組成は色々ですが)・プロパンガスに大きく分けられます。
ガス警報器もガスの種類により使い分ける必要がありますし、空気に対する比
重により設置位置もかわります。床近くか、天井近くかは重要です。
専門家にまかす方が無難です。
ガスは必ずしも、臭いがあるわけではありませんが、事故防止の意味で臭いをつける事が多いです。
事故と言っても、原因が問題です。最近明らかになりつつ情報では、機器の問
題を全て使用方法にすりかえている様です。最低限度は機器によるものは、
分離して直ぐに対応し、取り扱いに関する事も対策を行ってゆく必要があります。
遺伝子
遺伝子とそれにかかわる、DNA/RNAの話題は絶えずあわただしく更新中です。
従って基本でも網羅でもなく、トピックスとして取り上げます。
遺伝子は、4種の核酸の並び方の組みあわせで遺伝子情報が作られ伝達されま
す。したがって、それを解析すると遺伝子の役目との対応に近づきます。
これがいわゆる、ゲノム解析ですが並び方についてはほぼ終わりとされていま
す。するとこれから、どの部分が何の役目をしているかの分析です。
ここでいつも問題になるのが、知る事の次に利用がくる事です。遺伝子の利用は非常に重要な問題を抱えています。
従って、不明点を残したままで研究を行い事の危険性です。
いつの時代にも、技術と倫理観とのバランスが欠いた研究者はいます。好奇心
・自己満足・未来的包括的見通しを持たないなど色々言われていますが、一
度狂うと修正が困難な事に理解が不足している事が原因でしょう。
4種類の核酸を4コ単位で組み合わせて、1情報単位になっています。組み合
わせ内容は今は分かっていますが、最初は理論が先行しました。
組み合わせの数と、存在する情報単位の数からの推察です。これが、見事に合
っていたのでほとんどノーベル賞との噂もありました。
しかし、実験の結果「遺伝子情報は、1情報単位との組み合わせに限らず複数
の情報単位と対応する場合もある」事が分かり、数字からの理論が間違っていた事がわかりました。
一般にノーベル賞は、理論に対しては受賞が慎重と言われていますが、理論の
正否の判定が難しく、受賞後に誤りが分かる可能性がある為と言われています。
DNAは、二重螺旋構造をしている事は現在では詳しく知られています。そして、
二重という意味が、転写コピーが可能で有ることを示しています。
小さな遺伝子がコピーで、ひとつの生体まで成長するというイメージが出来ま
す。正確な表現ではないとは思いますが、遺伝子単位の突然変化と、それの
コピーの淘汰成長の結果としての生体としての変化がイコールでない事は、重要です。
ゲノムの定義はあまりなじみがないと思います。
ネット辞書では以下とされています。
「ある生物をその生物足らしめるのに必須な遺伝情報」として定義される。
遺伝子「gene」と、染色体「chromosome」をあわせた造語であり、1920年に
ドイツのハンブルク大学の植物学者Hans Winklerにより造られた。複数の染
色体からなる二倍体細胞においては全染色体を構成するDNAの全塩基配列を意味することもある。
簡単にいえば生体の遺伝情報の事です。ただ、遺伝情報・遺伝子・DNAには少し
ずつ違いがあり、どうでも良いともいえるがわずらわしいです。
遺伝情報が、書き込まれる(意味的に)のがDNAです。ただし、例外的にRNAに
書き込むものもあるのでイコールではないです。でも例外は概略としては無視した方が理解しやすいでしょう。
二十螺旋構造に並んだDNAには、遺伝子の働きをもつものと、意味のない(遺伝
的に)ものが存在します。従ってDNA=遺伝子ではありません。
全てがイコールでは無いですが、ほとんどイコールに近いものと理解しても一
般常識的には、無茶な事はないと思います。
もっと正確な「ゲノム」の意味もありますが、混乱しそうになります。
突然変異は、遺伝子異常が原因になります。これの条件として自然淘汰説があ
ります。突然変異の結果が強い性質の時のみ、淘汰の結果として生き残るという考え方です。
マクロ的には、突然変異は非常に希にのみ生じるとされて来ました。それ自体は実際の現象です。
しかし遺伝子レベルでは、突然変異は絶えず生じている(言葉としては変ですが)と今はされています。
遺伝子のコピー・増殖時のトラブルで、誤った情報(遺伝子配列)が生じる現
象です。この時は遺伝子レベルで淘汰されます。
結果的に、変異遺伝子の増殖は一般に進まない為にマクロに現れる事はないと考えます。
マクロに現れない理由には、遺伝子レベルの淘汰の他に劣性遺伝もあります。
遺伝子としては受け継がれているが、強い遺伝子によってマクロ的に表面に
現れないで隠されている事も多くあります。
マクロといっても細胞レベルでは、ガン化も突然変異と考えられます。困った
事にガン化した細胞には強くて増殖・転移するものが多くあります。
遺伝子組み換えが現在の話題の中心です。
これは、人為的な当然変異としてもとらえる事ができます。
現在は遺伝子組み換えとは言っても、遺伝子を切り取りや合成はできますが、
「組み込み」は人間は制御できていません。
可能な事は、目的の遺伝子セットを宿主生物にいれるだけです。
その後の「組み込み」は、自然界の突然変異と同様に生物任せです。
偶然にマクロな変異にたどりつくか、その結果は目的に合致しているか、目的
以外の副作用はないか(常識的に、ない訳はありませんが)などの問題は、全て偶然に頼っています。
これは操作ではなく、偶然の発見であって、かつ科学的に再現性が保証されていません。
結果が、コントロールできずにかつ再現性が保証されない状態は非常に危険で
す。人間のみならず、地球規模の生態系をどのように変えてしまうか分からなくかつ制御できなません。
従って、メリットはあっても、賛否両論があり、研究自体も制限の元で行われるのは当然と思います。