項目別バックナンバー[1]:インターネット情報:65

Flash・レス化

モバイル・携帯機器分野では、アップルは2010年に「ブラウザのクラッシュの原因はFlashであり、動作が重くセキュリティ問題があるを抱えるFlashは携帯機器には不向き」として代替としてプラグインが不要のHTML5を推奨した。
だがHTML5は当時は発展中であり2014年の正式の仕様勧告までは、Flashの実装状況はブラウザ毎で異なった。
GoogleはHTML5を強く推し、独自の動画規格WebMを開発した、他方ではAndroidをFlashに対応させたが、モバイル分野ではその後のAndroid 4.1以降ではFlash非対応とした。
アドビ自身もFlashからの変換ツールを開発しており、HTML5を推進する立場をとっていた。
その結果としてその後のほとんどのスマートホンにおいてはFlashコンテンツは非表示になっている、最初はコンテンツがある場所は空白等が表示されて動作しない状態もあったが、次第にFlashコンテンツが埋め込まれている部分は余白さえも表示されなくなった。

Flashからの移行方法の検討の前に、セキュリティ問題を見直す。
Flashは本格的なプログラミング言語の処理系を含むので、プログラマーは任意に多彩な機能を実現できる、だがその為に信頼性保証のないサーバから読み込んだソフトウエア(プログラム)が動作する時にセキュリティ上の不安と懸念が存在する事になった。
Flashにはセキュリティ機構が実装されていてローカル記憶装置や周辺機器とのアクセスは制限される、同様にダウンロード元でないドメインのサーバとの通信も制限される、それらの通信とファイルの読み書きでは利用者の選択する許可が必要となる。
上記から通常ではFlashでシステム破壊や、ローカルに保存した情報が盗まれる事はない筈なのだが、コンピュータシステムのクラッシュや不審なプログラムを許してしまう脆弱性が過去に複数見つかった。
一般の利用者はブラウザに組み込まれたFlash Playerを有効にした状態で利用しているので、脆弱性を利用したコンピュータウイルスは急激に感染拡大する危険性がある。
その為にブラウザ側では最新版のソフトウエアの使用を促した、かつ利用者が許可した場合にのみFlashの動作を可能にしてきた、現在では旧バージョンの最新版への更新だけでなくFlash Player自体のアンインストールを推奨しており、利用者許可での使用も近く非対応となるだろう。

「HTML5」は2014年に勧告されたマークアップ言語だ、「HTML5」ではその標準機能として動画やマルチメディアコンテンツに対応している、例えば動画再生を行うvideoタグがあり、「JavaScript」(注:フラッシュの前に使用されていたジャバとは全く異なる)とともに使う事でグラフィックを表示するcanvasタグがある。
SEO(検索順位上位表示技術)から見ると、不明な外部サイトにアクセスしない事や、訪問者の意思に無関係に動画や音声が動作しない事や、検索エンジンが読めないコンテンツが存在しない事など、Flashと比較してHTML5には優位があった。
またマークアップ言語自体の機能である事はプログラム開発者にとっても開発がしやすい環境になる長所になった、そしてFlashで実装してた機能はHTML5とJavaScriptなどのオープンな標準技術でほぼ実現できた、これらの複数の利点からHTML5は急激に普及した、それに伴ってFlashの利用率が下がった。
Adobe社は開発ソフトとしてAdobe Flash Professiolnalを提供して来たが、上記事情からあるバージョンからはHTML5での開発にも対応した、さらには用途を拡大してAdobe Animateに名称を変更し、HTML5とJavaScriptで制作するツールに変わってきている。

ウエブサイト管理担当者は、Flash・レス化を行うためには現状で担当するサイトでFlashを利用しているかどうかを調べ出す必要がある、実際にはサイトに多数のページがある場合が普通なので、確認作業あるいは見つけ出しの作業量は大きい。
その具体的方法としては、ウエブサイトでFlashによるコンテンツが存在する時に必ず使用する「swfファイル」に注目してそれを探す方法がある、検索エンジンでファイルの拡張子がFlashを示す「swf」となっているものを検索する方法でFlashコンテンツの存在を見つける。
Flashと同じ機能を残したままで、他の方法・技術に置き換えるのだが、現状では今では一般的な技術になっているHTML5やJavaScriptに移行するためにそれに置き換える作業を行う事になる。
これらの利用のためのいくつかのツールもあるが、その中にはFlashからの自動変換ツールも登場している、どの程度に利用できるかあるいは使いこなせるかが課題であり、Flashの利用状況を把握したうえでそれを元に確認しながら進める事になる、以降の作業も含めてウエブサイトやhtmlに関する知識が前提となる。

HTML5をそれ以前のHTML4と比較した場合の特徴には大きく下記がある。
・HTML5ではヘッダーやフッター等のウエブページ構造を示すためのタグが追加されたので、文書構造が簡単に示せる事になった。
 それによりブラウザや検索エンジンにウエブページ構造の意味が伝わりやすくなり、SEO対策の上でメリットとなった。
・HTML4では、ブラウザに動画や音声を挿入する場合に「Flash」という専用のプラグインが必要だが、HTML5ではプラグインがなくても動画や音声が使える専用のタグが追加された。
・スマートホンやタブレット端末が登場して、これら携帯端末でウエブサイトを閲覧するユーザーが増えて来た、パソコン用のウエブサイトをスマホで見ると、多くは画面サイズが小さい事から見づらくなる。
 HTML5では、表示する端末の種類ごとに画面サイズを最適化する処理を可能にした、この異なる端末で自動で見やすくする処理を「レスポンシブ・ウエブデザイン」と呼ぶ。
この項では2番目の目的でHTML5変換を行うが、そのビジネス用途では変換ソフトを利用する事になる、変換ソフトにも多くの種類があるし、変換したいウエブサイトのコンテンツの種類で使い分ける必要がある。
そしてHTML5が「Flash」レスだけが有用な理由ではない事も重要だ、FlashコンテンツのHTML5への変換作業でも、少なくともHTMLのコードを読むことができる必要がある理由は明らかだ。

Flash・レス化の手段としてHTML5への変換を行うが、その時に併用するのがJavaScript(ジャバスクリプト)の導入だ。
JavaScript は軽量なインタープリター型のあるいは実行時にコンパイルされるタイプのプログラミング言語だ、ウェブサイトのページで使用されるスクリプト言語であり、シングルスレッドでオブジェクト指向で、関数プログラミングに対応しており動的な操作を可能にする。
静的なウエブサイト・ページに動的な操作を加える事が出来るので、画像を動かしたり拡大したり出来る、他には送信フォームやアクセス解析にも使われる、グーグルの提供するサービスのコードでも馴染みがある。
一般的なブラウザはJavaScriptをサポートしていて初期状態ではオンになっているがオフにも出来る、現状ではオフにしてその機能を使わないデメリットの方が大きいと言える。
JavaScriptは1995年の開発であり、普及させたアメリカのオラクル社が当時にJavaも提供していたので、JavaScriptの名称で商標登録したが、双方は全く異なるプログラミング言語であり混同しない注意が必要だ。


クラウドコンピューティング

クラウドコンピューティング(cloud computing)は、コンピュータネットワークを使用(経由)して、コンピュータ資源とサービスを提供する利用方法であり、略してクラウドとも呼ばれる。
ネットワークとしてのインターネットの普及とそれを利用してのクラウドが世界的なレベルで普及した事で、オンラインを使用するならば必要な時に必要な資源とサービスを受けられるようになった。
クラウドコンピューティングは情報技術(IT)でのリソースへの考え方を一気にかつ大きく変える事になった、そこではまずは企業等の組織ではそれ以前のITリソースへの考え方と対応を変える事になったそしてその導入が進めれてきた。
それに引き続き、ネット事業者を中心に個人レベルへのクラウドコンピューティング(クラウド)の提供が進められた事で、個人レベルでもクラウドの利用が一般的になって来た、こちらを中心にクラウドの状況を考えてゆく。
クラウドコンピューティングではサーバー、ストレージ、データベース、ネットワーク、ソフトウェア、分析、インテリジェンスなどをインターネット経由で配信して、迅速にかつ柔軟に各種の利点を提供する事になる。

クラウドコンピューティング登場前は、オンプレミス方法が主流だった。
「プレミス」には「構内・店内」の意味があり、そこからオンプレミスは「ハード機器であるサーバーや、ソフトウェアを合わせたすべての情報システムを、使用者が管理する施設の「構内」に設置して使用する」ことを意味する、自社運用とも呼ぶ。
オンプレミスのメリットは、
・自社での構築なのでシステムを柔軟にカスタマイズしやすく、他の自社システムと連携しやすい
・セキュリティ面では自社のネットワーク内でシステムを動かすので第三者が入りにくくて安全性が高い
デメリットは
・すべてを自社で用意して構築するので初期コストが高い
・構築にも時間がかかる
・ネットワーク障害などのトラブルに対して、自社で対応しなければならない
    
2005年頃からクラウドサービスが浸透すると、オンプレミスからクラウドへの移行傾向が強くなった、サーバーなどの環境が拡張可能な仮想環境で提供されるので、利用者は必要容量にのみ利用料金を支払うだけでよくコスト低減になる事が大きな理由だった。
クラウドが進むと、カスタム性の高いオンプレミスも見直されて、クラウドとオンプレミスの双方を取り入れた「ハイブリッドクラウド」にも注目されている。

クラウドコンピューティングサービスでは、利用者のインターフェースは主にウェブアプリケーションの形式で提供されるので、1995年頃からのインターネットの商用利用開始から本格的に利用が始まった。
ただしインターネット自体が試行錯誤的に普及している段階であり、クラウドコンピューティングも同様に試行錯誤的に広まった。
インターネットのサービスを利用するには、回線事業者とインターネットプロバイダー(サービス提供者)とに契約する事になる、初期には固定電話回線が主に使用されたので既に電話を利用しておればインターネットプロバイダと契約する事だけ利用できることが多かった。
クラウドコンピューティングを利用するには、そのサービス事業者であるクラウドサービスプロバイダ(クラウドプロバイダ)と契約する事になるが、インターネットの利用環境は前提として必要だ。

クラウドプロバイダとは、クラウドベースのプラットフォームでアプリケーションやストレージサービスを提供するサードパーティ企業であり、電気やガスの公共料金と同じように、使用したクラウドサービスの分だけの支払いを行う従量課金制だ。
利用する企業にとってのメリットには、オンプレミスの制約にはない柔軟性と、複数のデータセンターで運用する冗長化での信頼性と、カスタマイズ性と、需要の変化へも対応可能な負荷分散能力などがある。
加えて最近ではクラウドでの情報保管上のセキュリティへの関心が高まり重要視されている。

クラウドコンピューティング(クラウド)方式では、利用者にはインターネット環境とそれにアクセスできる端末となるコンピュータのみがハードとしては最低必要になる、パソコンの能力が進化した事でノートパソコンでも充分に端末となりえる。
オンプレミスからの部分的な移行ならば、ほぼ何も追加は不要となる。
オンプレミスからの全面的なクラウド方式への移行を行った場合は、フルクラウド方式となり、そこでは端末とインターネット接続環境があれば良い。
オンプレミス方式で負担となって来た、多数の機器への費用(購入費用やリース費用)や維持費や管理費は不要となる、同時に社内のネットワーク設備を簡素化できる。
社内で自前のネットワークシステムを保有していなかった中小企業や、あるいは保有していてもシステム変更が容易に対応できる企業ではフルクラウド方式は有力な選択となり、早くに実施する傾向となる。
それら企業等では、端末に軽量なノートパソコンを使用してクラウド上の業務システムに接続する方法を選択する、そして社内の情報関連設備やネットワークを簡素化する、それらを選ぶ企業等が増加している。
フルクラウド方式の採用によりインターネット環境とノートパソコンがあれば業務が可能になると働き方の多様化が可能になったがそれはリモートワークの推進にも繋がった、2020年の新型コロナウィルス感染問題ではリモートワークが広まっている。

クラウドコンピューティングの考え方である、「ネットワーク経由でのコンピュータ資源の利用」は、コンピュータがの最初期である1950年代から存在して基本的には新しい技術ではない、初期はメインフレームを使用したネットワーク経由のサービス提供が色々と行われていた。
付加価値通信網(VAN)はその時に使用された用語だった、データ通信サービスに様々な種類のデータ処理機能を付加して提供していた、通信事業者が提供するものに加えて、自社で回線設備を持たない事業者が通信事業者の回線網を借りて提供したものもあった。
1970年代にアメリカで始まり、日本では1985年の電電公社民営化以降に色々な付加価値通信網(VAN)事業者が参入して利用が広がった。
用途的には企業の拠点間や企業間のデータ交換のためのサービスが主流で行われた、その後にパソコン通信などで一般利用者向けの付加価値通信網サービスも行われた。
1990年代後半になるとインターネットが急激に普及した事で、それ以前に付加価値通信網で提供されていたサービスのほとんどが、インターネットを利用したサービスに移行した、それで付加価値通信網の用語も使われなくなった。

1990年代後半のインターネットぼ普及は、通信回線の変化でもあったが、同時にオープンな技術と標準化された技術が確立されてゆく変化でもあった、それが「クラウドコンピューティング」の普及に繋がった。
初期のメインフレーム時代はプロバイダ側・通信事業者は独自技術で差別化を行い、顧客の囲い込みを行った、それに対してパソコンの登場を含めての機器の小型化が行われると標準化が進められて来た、そしてインターネットの普及により標準化が通信に関しても広がった。
プロバイダ側は独自規格・技術から、オープンソース技術の普及に注目が変わりそこでは特定のメーカー・事業者の囲い込みと制約を受けにくい資源が提供された、例えばサーバー等のハードウエアであり、ソフトウェアであり、加えて各種の仮想化技術であった。
2000年代以降には上記のオープン技術と標準の技術が、世界共通の手続きとして確立されて普及したので、「クラウドコンピューティング」のサービスが普及した。
大規模なプロバイダは、インターネット経由で無い専用線接続で、仮想化で無い物理サーバーの提供・独自技術の提供などを併用しての差別化も行っている、それは多国籍企業には自前の国際回線は不要であり、災害対策面でも有効であると言う、付加価値がある。
インターネットの「クラウドコンピューティング」と合わせれば、通信事業者が提供するサービスでほぼ利用者の望むサービスは殆どが網羅されている状態だ。

 

このページの先頭へ