燃焼時に重量を増加させる元素

「燃焼時に重量を増加させる元素」について

正式名:「金属を焼くとき金属と化合し、
          重量を増加させる元素の本性について」
著者:アントン・ラヴォアジェ
発表年:1775年 パリ
書籍ではなく、論文です。

原典「燃焼時に重量を増加させる元素」について

化学の課題は、呼吸と燃焼でした。
これらが説明できてから、近代科学がはじまります。
それ以前は、宗教・神秘としてとらえられていました。
燃焼して、重量が増加する現象は今では信じられないかも知れま
せんが「負の重量」のものが燃焼で外へでるとも思われていまし
た。
次第に、空気中から何かが加わると考えるようになりました。
この考えに対する確証実験を行ったのが、ラヴォアジェです。
その結果を、酸素として命名し、元素という考えを他の科学者と
共に行いました。
ラヴォアジェの元素表という33種の物を残しています。
内容は不完全ですが、考え方としては重要でした。
多くの論文中で有名なのが、酸素に関する本論文でしょう。

「燃焼時に重量を増加させる元素」の内容

密閉容器内での金属の灰になる実験
空気の組成の説明
二酸化炭素の組成の説明
酸化水銀からの酸素の調製
「質量保存の法則」を暗黙に前提

感想

フランス革命の時代まで化学がその本質に達していなかった事は
どのように感じるかは、人により異なるでしょう。
1774年にフランス革命で逮捕されて処刑されるという、中で
の種々の実験と論文で、近代化学への以降に貢献したのが、
ラヴォアジェです。
現代から見ると、不完全な部分が多いのは当然ですが、その後の
化学の発展に寄与した事は間違いありません。

全く新しいとは言えないまでも、不安定な状況での考え方を実験
で検証して、次への道筋を作った言えるでしょう。
元素、酸素、元素表などの命名や考察は、不完全なものも、方向性
を示す事でその後次第に正確になって行きます。
酸素という言葉は今も生きています。

歴史に残る古典的自然科学書をよみましょう。

間違いがあっても天才の思考を少しでも理解しましょう

哲学的・宗教的な部分は現在の遺伝子工学にも匹敵