「ファラデー」について
イギリスの化学・物理学者の、マイケル・ファラデーは19世紀に 数々の業績を残しています。 いくつかを列挙すると ・塩素の液化 ・電磁誘導の発見 ・電気分解関連の発見 ・光の磁気効果の発見 ・反磁性の発見 ・復氷の発見 ・ベンゾールの発見 ・金コロイド発見 ・ベンゼンバーナー発明 特に有名なのは、電磁誘導関係で、電気力線・磁力線の考え方の 影響は大きいです。 静電容量の単位の「ファラッド」や、 物理定数の「ファラデー定数」に名前が残っています。
「ロウソクの科学」について
ファラデーの業績からすれば、多くの専門書や論文が著名で ある筈です。しかし、日本に於いては晩年に少年少女向けに おこなった講話を、クルックスが速記してまとめた 「ロウソクの科学」が有名です。 ファラデーは自身が幼少の時に、定期的な科学の講話を聞きに 行って興味を持っていた科学の道に進む事を決めたとされて います。そして、ローヤル・インスチチユーションの助手になり 科学の道にはいりました。 ローヤル・インスチチユーションは、研究所と学校を合わせた 所で専門的な講義とともに、少年少女向けの講義も行っています。 「ロウソクの科学」はそのひとつをまとめたもので、基礎的な 分野を述べているので現在でも通じます。
「ロウソクの科学」の内容
原著 「ロウソクの科学史」The chemical history of a candle,ed. by W. Crookes(1861) 1860年のクリスマス休みにファラデーが少年少女のために おこなった講話を編纂したもの。(速記:クルックス) 訳書は複数存在します。下記はその1冊です。 日本版「ロウソクの科学」 矢島祐利訳 岩波文庫 1933年12月 改訂 1956年09月 第1講:ロウソク。炎−そのもと−構造−運動−明るさ 第2講:炎の明るさ−燃焼には空気の必要なこと−水のできること 第3講:燃焼の産物。燃焼から水−水の性質−化合物−水素 第4講:ロウソクの中の水素−燃えて水になる− 水のもうひとつの成分−酸素 第5講:酸素は空気中にある−大気の本性−そのいろいろの性質− ロウソクからのもうひとつの産物−炭酸ガス−その性質 第6講:炭素つまり炭−石炭ガス− 呼吸とそれがロウソクの燃焼ににていること−結論
感想
物事を、真に理解しているかどうかは他人に説明出来るかどうか で判るとも言われます。 まして相手が、少年少女であれば、より難しいでしょう。 「ロウソクが如何に作られ>如何に燃えて灯りがともるか?」 これを説明する事は意外と難しいです。 個々には、ほとんどの人が学生時代に学んだ内容の応用であり 説明されれば簡単でしょうが、自身で説明するのは簡単とは 言えないでしょう。 芯になる糸状のものにロウをぬったロウソクの製法から始まり ます。 固体のロウソクが如何に気体になって燃えてゆくのでしょうか。 そこには、固体のロウの液化>芯を伝ってゆく液体の毛細管現象> 液体の気化>気化したロウの周囲の空気の流れでの炎の形の 変化>炎にはロウが気化した部分と燃焼している部分が存在する。 燃焼に辿りつつだけでもかなり厄介です。 次は何が燃焼するのか。 その物質はどこから来たのか。 そして、どうなったのか。と話は進みます。 ロウソクに含まれる水素と空中の酸素が燃焼して水蒸気になる。 ロウソクに含まれる炭素と空中の酸素が燃焼して炭酸ガスと 煤になる。 これらを、実験で調べる方法を含めて説明されています。 最後に、燃焼>酸化>呼吸へとつなげています。 基礎ゆえに現在も読まれ続けていますが、もし入試等の書き問題 として出されたら、説明出来る人はどの程度でしょうか。
著名な科学者が、少年少女向けにおこなった講話です。
ロウソクの燃焼現象に含まれる科学現象を説明。
実は多数の科学現象がその中に含まれています。