「ウィリアム・ハドソン」について
自然科学の範囲は時代と共に変化しています。 拡散するジャンルを少数の分野に分ける事になるので、いつも 境界は存在する事になります。 それに該当するのは多数ありますが、博物学・動物学・植物学・ 等もそのひとつです。 動物生態学で、ローレンツ、フリッシュ、テインバーゲンがノーベル 医学・生理学賞を受賞したときは、かなり驚いたものです。 ただ、博物学はその内容で自然科学からドキュメントから小説 まで広い範囲の認識でしょう。 ウイリアム・ヘンリー・ハドスンも、作家・ナチュラリスト・ 博物学者等で呼ばれています。 アルゼンチンで生まれでイギリスに渡った後に、アルゼンチンや イギリスの鳥類などに関する著作を残しました。 著作は小説もあるようですが、体験と実際の観察を元にかかれた アルゼンチンの動植物に関する事を博物学者の目で書かれています。
「ラ・プラタの博物学」の内容
日本版「ラ・プラタの博物学」 ウィリアム・ハドソン 岩田 良吉 訳 1934年、改版1975年 岩波文庫 原著: 「ラ・プラタの博物学」 ウィリアム・ハドソン ・目次 第一章:パンパの野 第二章:ピューマ 第三章:生物の津波 第四章:動物の奇妙な武器 第五章:鳥における恐怖心 第六章:動物母子の本能 第七章:スカンク 第八章:バッタの擬態と警戒色 第九章:トンボの襲来 第十章:カと寄生動物の話 第十一章:マルハナバチその他の問題 第十二章:高貴なハナダカバチ 第十三章:自然の燈火 第十四章:クモに関する事実と感想 第十五章:死んだふりする本能 第十六章:ハチドリ 第十七章:カンムリサケビトリ 第十八章:キバシリ類の鳥 第十九章:自然界における音楽と舞踏 第二十章:ビスカーチャの生活 第二十一章:瀕死のファナコ 第二十二章:家畜のふしぎな本能 第二十三章:ウマと人 第二十四章:再びみられぬもの
感想
19世紀後半では今よりも、イギリスで、アルゼンチンの現地の 動植物の生態を記述したものは少なかった様で、多数の著書が 書かれ、迎えられた様です。 パンパスあるいはパンパは、アルゼンチンを西部(アンデス地方) ・北部・中央部(パンパ)・南部(パタゴニア地方)の4地方に 分けたときの、中央部です。 パンパは大平原でアルゼンチンの富の源泉とも言われている地域 です。 本書は目次通りで、昆虫から多くの種類の鳥類、哺乳類まで、 主に動物を主体にしたパンパスの生物の生態を書いています。 本書の現題は「The Naturalist in la Plata」で、それからは ナチュラリストとも言えますが、その時代では区別はなかった でしょう。 現在でも、博物学への認識は学問名ではなく、個別の内容で 判断する傾向があるのでしょう。
アルゼンチン生まれのイギリスの博物学者。
パンパスという特異な環境の動物等を書きました。
学問に捕らわれない自由な内容も多いと言われています。