「アルバート・アインシュタイン」について
本サイトで取りあげるアインシュタインの著書は2冊目だ。
「相対性理論」1905 はアインシュタインが相対性理論について最初に書いた論文であり、「相対論の意味」はブリストン大学での講義をまとめた初版から、改稿を続けて死の前年に書かれた第5版が翌年に死後出版されたものだ。
その改稿過程からアインシュタイン自身にとっては相対性理論の集大成的な位置ずけと言える。
実際に第5版には、著者自身が上記の様な記述をしている。
アインシュタインの簡略な年譜は、「相対性理論」にも載せたが、著書:「相対論の意味」を中心に書き直したものを下記する。
年譜
1879:誕生
1900:スイス連邦工科大卒業
1902:スイス連邦特許局試雇
1905:主要4論文発表
「光量子仮説」「ブラウン運動」「特殊相対性理論」「エネルギーと質量等価」
1911:プラハ大正教授
1912:スイス連邦工科大正教授
1914:ベルリン大
1915:一般相対性理論
1921:ブリストン大学講義
1922:「相対論の意味」初版出版
1933:アメリカ・ブリストン大学
1945:「相対論の意味」第2版
1950:「相対論の意味」第3版
1954/12:「相対論の意味」第5版
1955:「相対論の意味」第5版出版>和訳
1955:死去
「相対論の意味」について
原著
「相対論の意味」
The meaning of relativity)
1922 初版
1955 第5版 A.Einstein
日本語訳
「相対論の意味」 第5版
1958 アインシュタイン
訳:矢野健太郎 岩波書店
「相対論の意味」岩波文庫版
2015
目次
相対論以前の物理学における空間と時間
特殊相対性理論
一般相対性理論
一般相対性理論(続き)
第二版への付録
・「宇宙論的な問題」について
・3次元に関して等方的な4次元空間
・座標の選択
・場の方程式
・物質に関する方程式を拡張することによる、上記の考察の拡張
・要約とその他の注意
付録2 非対称場の相対論
・場の方程式系の「連立性」と「強さ」について
・相対的な場の理論
・一般的注意
感想
「相対論の意味」岩波文庫版には「一般相対性理論 100年」と帯がある。
年譜の通り、「一般相対性理論 1915」から2015 は100年という意味だ。
相対性理論は特殊相対性理論と一般相対性理論からなり、1900年にプランクに発表された量子論と並び現代物理の基本的理論とも言われる。
「光量子仮説 1905」はプランクの発表した量子論に対するアインシュタインの考察だ。
特殊相対性理論は相対性原理と光速度不変の原理からなる。
一般相対性理論は加速度によるいわゆる「見かけの重力」と重力場を「等価」として慣性系以外にも一般化した。
数学理論では、仮定から出発した理論が閉じた空間で矛盾なければ成立する。
それが有用かどうかは、理論の正否とは無関係だ。
物理学理論も仮定から出発して自身が矛盾しない様に構築される事が前提だ。
ただし、自然科学だから自然界でその理論が正しいかの検証が必要だ。
広く知られているように、正しい事の検証は不可能に近く、いくら多く積み重ねても1つの否定検証で崩れる性格がある。
しかも検証実験や観測が精度的に難しい、それゆえに結果から正しいか間違いかを判断することを難しくしている。
相対性理論を正しいとする検証結果は複数報告されているが、それが不十分と考える人もいる、「一般相対性理論 100年」でもまだ検証は続くし、理論が進展されるて新しい知見が期待されるとその観測・検証が行われる。
例えば有名な日蝕時の太陽付近の光の観測は、「ニュートン力学」よりも「相対性理論」の方が一致していると観測された、二択ならば優位だがそれだけで「相対性理論」が検証されたとは言えない。