「パブロフ」について
イワン・ペトローヴィッチ・パブロフは、モスクワ生まれで 生理学・化学を専攻しました。 1897年出版の「主要消火腺の働きについての講義」で反響を 得ました。 これで有名になり、この研究の展開として条件反射の研究が 始まりました 条件反射の研究は、現在は「パブロフの犬」として有名です。 しかし、当初は批判意見も多くあったとされています。 脳の研究は、この後に急激に進化しています。 そのために、パブロフの研究を歴史的意義ととらえる事もあり ます。 意見は、色々ですが脳自体が研究対象となることとなったと 言う意味で、非常に重要な研究であったと言えます。
「大脳半球の働きについて」の内容
日本版「大脳半球の働きについて −条件反射学−」(上)(下) イワン・ペトローヴィッチ・パブロフ 著 川村 浩 訳 岩波文庫 昭和50年 原題 「大脳半球の働きについての講義」 1927年 ソ連 発行 第1講:大脳半球の働きを研究する主な方法の基礎づけと歴史。 反射の概念。反射のいろいろ。信号活動が大脳半球の もっとも一般的な生理学的特徴である 第2講:大脳半球の働きを客観的に研究する技術的方法。信号作用 は反射である。無条件反射と条件反射。条件反射形成の 条件 第3講:条件刺激と自動刺激による条件反射の形成。条件反射を 形成する要因。条件反射の抑制。(1)外抑制 第4講:(2)条件反射の内抑制。(イ)条件反射の消去 第5講:(2)内抑制(続き)。(ロ)条件抑制 第6講:(2)内抑制(続き)。(ハ)遅延 第7講:大脳半球の分析と総合活動。(イ)条件刺激がはじめに 一般化される性質。(ロ)分化抑制 第8講:大脳半球の分析と総合活動(続き)。(ハ)分析活動の 実例。(二)同時複合刺激の分析と総合。(ホ)継時複合 刺激の分析と総合 第9講:大脳半球皮質における神経過程の放散と集中。(イ)個々の 分析器(皮膚と聴覚)のなかでの抑制過程の放散と集中 第10講:大脳半球皮質における神経過程の放散と集中(続き)。 (ロ)抑制過程の大脳半球での放散と集中。(ハ)興奮過程 の放散と集中 第11講:興奮と抑制過程の相互誘導。(イ)誘導の正の相。(ロ) 誘導の負の相 第12講:神経過程の動きの現象と相互誘導現象との合併 第13講:モザイクとしての皮質。(イ)皮質のモザイク性の実例 と、それを発生させるもっとも単純な方法。(ロ)個々の 点の生理学的役割の変動性。(ハ)いくつかの点の持久性。 複雑な動く統一系としての皮質 第14講:条件刺激の影響による皮質細胞の抑制状態への移行 第15講:内抑制と睡眠とは物理化学的基礎からみて同じ過程である 第16講:動物の覚睡状態から完全な睡眠へのいくつかの移行相 (催眠相) 第17講:神経系のさまざまな型。機能作用の結果としての大脳 半球の病的状態 第18講:機能作用の結果としての大脳半球の病的状態(続き) 第19講:手術作用の結果としての大脳半球の病的状態。(イ)大 脳半球皮質活動の一般的変化。(ロ)聴覚分析器の活動 障害 第20講:手術作用の結果としての大脳半球の病的状態(続き)。 (ハ)視覚分析器の活動障害。(二)皮膚の機械刺激分析 器の活動障害。(ホ)前頭葉切除後の障害。(へ)皮膚 温度分析器の障害。(ト)梨状回切除後の障害。(チ) 運動分析器の障害 第21講:手術作用の結果としての大脳半球の病的状態(続き)。 (リ)大脳半球皮質の部分的破壊によって動物の行動異常 を誘発する試み 第22講:研究の一般的特徴。その課題と困難。われわれの誤り 第23講:動物で得られた実験データの人間への応用
感想
原題や項目名から判るように、講義の内容を元にした著書です。 講義を元にしたものは、比較的に理解しやすく書かれています。 おいしい物を見ると、よだれが出る現象は何故起きるか?。 有名な「パブロフの犬」のはじめです。 これに対して、内的な要因>本能というのが、それ以前の説です。 それに疑問を持ち、多くの実験を重ねてゆきました。 おいしい物を見る事と、よだれが出る事の間にどのような関係が あるのか?。本能とは、思えなかった事から、実験が繰りかえされ ました。 その中で、他の本来は関係のない事を加えると、最後には追加した 事だけでも、よだれが出る。 これは、本能では説明が出来ず、脳が憶えていて反応すると 考えます。 それを、反射と呼び、その原因とあわせて条件反射としました。 脳が関係すると言うことは自明ではありませんが、色々な条件を 考えると、そこに行き着きます。 脳の働きについては、ほとんど研究されていませんでしたが、これ 以後急激に脳が研究対象となって行きます。 本著の講目からも推定出来る様に、条件反射は外的要因で作る事 が出来る事と、それが大脳半球に強い関係がある事が実験で示さ れました。 本書を歴史的意味と言う意見は、脳の働きが複雑で本書の実験内 では不足している事の意味です。 脳の働き、反射・条件反射や、実験手法での研究という内容は、 その後の進歩に影響しているし、現在でも無意味では無いと 言えます。
条件反射の研究は、現在は「パブロフの犬」として有名です。
内的な要因>本能というのが、それ以前の説です。
多くの実験で、脳を介しての外的要因での条件反射としました。