プラグマティズム

「ウイリアム・ジェームズ」について

ウイリアム・ジェームズについては、本サイトの「心理学(上)」
でも取上ました。

その多彩な経歴が、分野の垣根を作る事の障害を感じて、多数の
分野の考え方を相互に含む、考え方に進めました。

プラグマティズムは、実用主義・道具主義・実際主義・行為主義
とか訳される考え方であるが、結局は「プラグマティズム」という
言葉で使用されています。
真理を追究する手段の考え方です。

経験不可能な事の真理を考えることはできないから、物事の真理を
実際の経験の結果により判断する。
それの効果があれば真理であるとする。
宗教・哲学上の問題を非哲学的な手法で探求しようとする思想
です。

心理学の行動主義・記号論理学の科学的経験主義・物理学の
操作主義等に影響を及ぼしたとされています。

従って、プラグマティズムは定義の難しい考え方です。
論理面・倫理面・心理面の、混合から成り立つとされますが、
その比重が研究者で異なる事になりました。

「プラグマティズム」の内容

日本版「プラグマティズム」
      ウイリアム・ジェームズ 著
      枡田 啓三郎 訳
       岩波文庫 1957年

原題 「プラグマティズム」
       アメリカ 1907発行

序
第1講:哲学におけるこんにちのディレンマ
第2講:プラグマティズムの意味
第3講:若干の形而上学的問題のプラグマティズム的考察
第4講:一と多
第5講:プラグマティズムと常識
第6講:プラグマティズムの真理観
第7講:プラグマティズムと人本主義
第8講:プラグマティズムと宗教

感想

ウイリアム・ジェームズの化学から解剖学・生理学・医学から
哲学へと研究対象が変わって行きました。

哲学・心理学へと進んで、「心理学の原理」を書きましたが、
その後は「宗教的経験の諸相」も書いています。

この題名にあるように、経験主義者の立場ですが、同時に見えない
ものへの興味も増えて行きました。

彼の経験は、自然科学の経験も宗教の経験も、同様に考え方を
規定するものとなりました。

それ故に、経験の対象は現実として受け入れるが、それ以外は
除外するという「根本的経験論」と呼ばれるものに進む事に
なった。

プラグマティズムは、研究者によって定義自体が揺らぐ性格が
ありますが、その後色々な分野での意見の対立を総括的に見る
方法として、各所に影響を与えた様です。

ただし、それは方法論的には理解されても、必ずしも容易な
解決をもたらしている訳ではないのが現状でもあると言えます。

「プラグマティズム」は、異なる分野にまたがる。

分野ごとで対立する事に対しての、方法論を提示した。

経験した事に重視するが、自然科学・宗教とも含む。