「ヒポクラテス」について
ある分野の創始とか、祖とか、新しいとかはよく使用されます。 時代が新しくなった時の、科学の進歩は、すでに20世紀でも 創始者という言葉が登場します。 しかし、古い・新しいは、比較の言葉であり、それから時代を 想定する事は難しいです。 ヒポクラテスは、古代ギリシャの人ですが、紀元前ともなると 記録も、著書も残っている事が奇跡的です。 現実に、多くの人々の内で現在でも名が知られている人は少数 ですし、ましてや著書が残っている人は希です。 ヒポクラテスについては、伝記というか集典が作られていますが 内容に不明点も多いし、食い違いもあります。 それが、普通です。 著作物に至っては、本物か偽物かの調査からはじまる状態です。 それも仕方ないでしょう。 古代ギリシャの学問で残されている分野も多くなく、哲学と並んで 医学も残されたひとつで、そこにヒポクラテスの名を見る事が できます。 ヒポクラテス以前を古いと言いますが、それは何かといえば、 神話・伝説・呪い等が原因というものです。 ヒポクラテスは、医学を経験科学へと発展させて、医学の祖とも 呼ばれています。 ただし、古代ギリシャの事ですから、20世紀以降の近代医学の 立場から見れば、考え方は異なる事は別に珍しくありません。
「神聖病について」の内容
日本版「神聖病について」 ヒポクラテス 著 小川政恭 訳 岩波文庫 「古い医術について 他8編」 1980年18刷 原題 「神聖病について」? ギリシャ :紀元前460年頃−紀元前370年頃 詳細不明 「古い医術について 他8編」の内容 まえがき 空気、水、場所について 神聖病について 古い医術について 技術について 人間の自然性について 流行病1 流行病3 医師の心得 誓い
感想
「古い医術について 他8編」全体を取り上げても、どれを取り あげてもそれほど大きな意味はありません。 既に述べた様に、迷信的な対応から、科学としての医学的思考へ 変えていったのです。 時代が古いですから、その個々の内容の正否を調べても、それほど 意味があるとも思えません。 「神聖病」は当時のギリシャで流行ったもので、現在の「てんかん」 だろうと言われています。 現在でも突然起きると驚きますし、ましてや昔は呪術の考えが強く、 治療というよりも、祈祷やなにかの儀式・浄めが行われていたと 推察されています。 これに対して、ヒポクラテスは神は関係なく、自然現象で起きる 病気としました。 古代ギリシャでは、解剖学や生理学はなく、勿論手術はありません。 従って、病気を分類してその結果を基に診断を重視する考え方が ひとつありました。 ヒポクラテスが含まれる方は、別の方法でした。 それは、診断以上に病気の治療に重点をおく考えです。 病気の種類よりも、治療の環境や改善状況を重視しました。 当時の乏しい医学知識では、ヒポクラテスたちの方が成功を 納めました。 しかし、現代西洋医学はその進歩で正しい診断が可能になって 来ました。 その結果、治療とその経過をみるヒポクラテスの考え方は、 消極的とされています。 時代と、技術が変われば成功の高い手法も変わるでしょう。
「神聖病について」は、ヒポクラテスの著作のひとつです。
紀元前の古代ギリシャの学問は、一部が残っています。
その一つがヒポクラテスの医学であり、迷信や祈祷から新しいとされます。