「カール・フォン・フリッシュ」について
カール・フォン・フリッシュは、オーストリア出身で、ドイツのミュンヘン大学のヘルトウィッヒ教授の元で大学を卒業した。
その後は、母校の講師を経て、複数の大学教授を歴任し、母校に戻り主任教授となった。
戦後は一時ドイツの混乱時に、オーストリアで教授となったが後年、再度母校に戻った。
最初は「ハヤ」の体色変化の研究でドクターとなった。
その後に、「ミツバチ」をテーマに加え次々と研究を進めた。
1924年に著書「ミツバチの言葉」を出版した。
特徴として、その研究手法の独創性を上がられる。
研究範囲が、動物学・化学・物理学・生理学等の多岐に渡る。
ノーベル医学生理学賞が、ローレンツとフリッシュとティンバーゲンに与えられた事は驚きだった。
理由は、それ以前の受賞テーマと異なっていたからだ。
ただ、それでは3人の研究がどの分野なら相応しいかと考えると無い。
複数のジャンルを横断した、新しいテーマならばいつも起こりうる悩みだ。
「ミツバチ」は研究テーマとしても多様な内容を含む。
同時に、養蜂業という当時も既に盛んであり、同時に多くの問題を抱えていた事業も絡む。
ミツバチの習性や、どの様にすれば効率よく、または品質の良い収穫を得るかは判っていなかった。
作業者の経験で行われていた事に、具体的な知見を与える事になった。
広い視野での研究方法は、次第に広がってゆく事になった。
「ミツバチの不思議」の内容
「ミツバチ」 Bees Their Vision,Chemical senses,and Langguege
カール・フォン・フリッシュ
1950年 Karl von Frisch
「ミツバチの不思議 その言葉と感覚」
カール・フォン・フリッシュ
内田 亨 訳
1963年:法政大学出版局>本書
・目次
再版のことば
まえがき
序
凡例
一 蜜蜂の色覚
二 蜜蜂の化学感覚
三 蜜蜂の言葉
追録
あとがき
文献
感想
本書は、フォン・フリッシュの1断面だ。
ミツバチは集団生活をしているが、働き蜂が花から蜜を集める。
その花の識別を第1章で取りあげる。
花はその色で昆虫を集め、結果として花粉を運ばせ受精するという考えと、色は無関係とする考えがあった。
ミツバチは色を区別するが、色覚を持っているかは不明であった
フリッシュは実験により、人間とは異なるが色覚を持っている事を示した。
赤色が色盲で、紫外線を識別する結果だった。
そこから次々と、研究と養蜂業への応用へと進めた。
第二章は、一章を受けて、臭覚に注目した。
ミツバチの臭覚とその器官を手術を交えて研究した。
そして、臭覚と密接な触覚との繋がりに辿りつく。
そして、次々と展開して行く。
第三章は、1匹のミツバチが蜂蜜を見つけると突然に大群が訪れる現象から始まる。
その連絡手段を求める。
フリッシュは観察用の巣箱を作り、個体識別を行った。
そして、「ミツバチの踊り」が連絡手段と知る。
その踊りの内容の分析で、方向や距離や匂いの情報が含まれると調べた。
そして、試行錯誤で具体的な内容へ進む。
著者自身が、空想かと思った大陽の方向や重力などとの関係まで進む。