「ニュートン」について
アイザック・ニュートンは、本サイトでは「プリンキピア」に ついでの登場になります。 ニュートンは、1642年生まれで、万有引力の発見、近代光学の 研究、微分積分の研究、他の多数の成果を残しました。 光学については、それ以前の光に関する知見から、新しい考えが、 複数の研究者で、色々と発見された時期に当たります。 古代から中世を経て、色の研究もされていた時期です。 ニュートンは、太陽光の複合性(屈折率で分離する)を発見 して、新しい近代光学の始まりに貢献しました。 「光学」は、「光学の基礎」として書き始められて、度々改訂 されています。 最終改訂4版が、死後であり、3版と4版のどちらを決定版 とするかは、意見が分かれる様です。
「光学」の内容
日本版「光学」 アイザック・ニュートン 著 島尾 永康 訳 岩波文庫 1983年 原題 「光学 第3版」 1721年 発行 第1篇・第1部 定義1:光の射線とは、光の最小粒子であって、異なる直線上で 同時に存在するばかりでなく、同一の直線上で相継いで存在する ものとする 定義2:光の射線の屈折率とは、一つの透明な物体または媒質から 、他の透明な物体または媒質へと進むとき、屈折される、あるいは その道筋を変える性向のことである。射線の大きいもしくは小さい 屈折性とは、同じ媒質に同じく入射しても、その道筋を大きくもし くは小さく変える性向のことである 定義3:射線の反射性とは、ある媒質から他の媒質の表面に落ちる 射線が、反射される、または元の媒質へ戻される性向のことである 、戻される容易さに応じて、射線の反射性の大小が生じる 定義4:入射角とは、入射線によって描かれた直線が、入射点に おける反射面または屈折面への垂線となす角のことである。 定義5:反射角または屈折角とは、反射または屈折された斜線に よって描かれた直線が、入射点における反射面または屈折面への 垂線となす角のことである。 定義6:入射、反射および屈折の正弦とは、入射角、反射角およ び屈折角の正弦のことである。 定義7:射線がすべて等しい屈折性をもつ光を、私は単純、均質 、同質とよぶ。また射線のあるものが他のものより屈折性が大き い光を、複合、不均質、異質と呼ぶ。 定義8:均質光の色を、私は原色、均質色、単色とよび、不均質 の光を、不均質色、複合色とよぶ 公理1:反射角と屈折角は、入射角と同一平面内にある。 公理2:反射角は入射角に等しい。 公理3:もし屈折された射線がまっすぐ入射点に送り返されたな らば、それは入射線によってさきに描かれた直線上に屈折される であろう。 公理4:疎な媒質から密な媒質への屈折は、垂線に近づくように おこなわれる。すなわち、屈折角が入射角より小さくなるように おこなわれる。 公理5:入射の正弦は、屈折の正弦に対して正確にまたはほぼ正 確に与えられた比になる。 公理6:略 公理7:略 公理8:略 命題1 定理1:色の異なる光は屈折率の度合も異なる 命題2 定理2:太陽の光は屈折性の異なる射線からなる 命題3 定理3:太陽の光は反射性の異なる射線からなり、他よ り屈折率の大きい射線は、他より反射性が大きい 命題4 問題1:略 命題5 定理4:略 命題6 定理5:略 命題7 定理6:略 命題8 問題2:略 第1篇・第2部 略 第2篇・第1部 略 第2篇・第2部 略 第2篇・第3部 略 第2篇・第4部 略 第3篇・第1部 略
感想
「プリンキピア」は、はっきり言って難しくてなかなか、近寄り にくい本です。 「光学」は、これとは逆で上記に内容を目次的に示したように、 定義から入り、公理>命題>定理・問題へと数値を使わずに展開 して行きます。 その具体的内容は、豊富な実験を元に検証して行きます。 かなりの量ですし、読みやすいと言って良いかどうかは不明ですが 少なくても、数値や突飛な発想へいきなり飛ぶことはありません。 また、プリンキピアがラテン語で書かれたのに反して、英語で 書かれた事も影響しているとも思えます。 ただ専門書の性格で、すぐにラテン語版も出ました。 上記の2つのことが、本書を読みやすくしており、普及したと 思えます。 現在の目でみても、同様に思えます。 現在では光は、「波動」と「粒子」の2面性として捉えられて います。ニュートンは、この本質には踏み込んでいないが粒子 的な説明が多いので、そちらの見方が強いと言われています。 実験と実証された証明という手堅い内容ですが、「疑問」という 形で、仮説的な内容が記載されています。 これをどのように扱うかは、色々意見があるでしょうが、通常の 論文の考察・予測的な推察にあたると見られています。 本書の他のバランスから、疑問としているが、かなり真実と著者は 考えている可能性はあります。
ニュートンの3大研究のひとつの近代光学です。
太陽光が、複合性があることを実験でじっくりと示しています。
難しい数式を使用しない、多くの読者を対象にした著書です。