「攻撃」について
正式名:「いわゆる悪ーー攻撃の自然誌」:Das Sogenannte Bose 著者: コンラート・ローレンツ 発表年:1963年 オーストリア 「攻撃 悪の自然誌 1」:(1970) 「攻撃 悪の自然誌 2」: 日高義隆・久保和彦 訳
原典「攻撃」について
コンラート・ローレンツは、オーストリアのウィーン生まれで 比較解剖学と動物心理学の博士です。 動物の行動をその自然環境で比較する「比較行動学」を創始した 事で有名です。 それが1900年台でも、この分野では古典です。 1973年にノーベル医学・生理学賞を、みつばちの行動研究の フォン・フリッシュと、せぐろかもめの行動研究のティンバーゲン と共に受賞した。 当時は、「比較行動学」が医学・生理学賞の対象になった事に驚きが あった。 「比較行動学」は、人も含めた動物の行動を研究し進化の観点から 系統発生的にとらえる学問です。 生活する自然環境下での観察を重視し行動の意義・目的を明らかに していきます。 観察行動は個体の生存や種の維持に関わる摂取・求愛・闘争、防衛 などの主に遺伝的に決定される系統発生的行動です。 種族が遺伝的にもっている本能のことです。 本能という言葉は、本書でも度々登場します。 進化の観点という言葉の通り、ダーウィンの進化論を原点に しています。
「攻撃1」の内容
1:海の序章 2:研究室での続き 3:悪の役割 4:攻撃の自発性 5:習慣、儀式、魔法 6:本能の大議会 7:道徳類似の行動様式
感想
日本でも類似の人はいますが、ローレンツの家は動物園とも 呼ばれます。 複数の動物と暮らしながら、行動を観察しまた介入します。 ローレンツは動物の行動と、人間の行動を区別しない所に 特徴があります。 「比較行動学」は人間の行動の研究への、ひとつのアプローチ でもあります。 同じ種で殺し合う、攻撃する事は動物ではそれ以前でも研究 されていました。 それは本能・遺伝等で理解しようとしていました。 種の保存から「悪」ではなく「善」とする見方が多いです。 しかし、現実は人間も戦争をすれば、殺しあう事もあります。 それは「悪」とされますが、その研究は心理学・政治学等で 行われていました。 しかし、人間も動物ですから動物と同じアプローチしようと するのが「比較行動学」です。 そこには、「悪」を「本能」から理解しようとする考えに 辿りつきます。 動物は攻撃を無害にする為に何を行ってきたのかの考察が なされてゆきます。 その先には、人間の「悪」とされている行動の研究と解決へ のアプローチが繋がります。
ローレンツは動物の行動を自然環境で比較する「比較行動学」を創始。
動物の行動と、人間の行動を区別しない所に特徴。
「比較行動学」は人間の行動の研究への、ひとつのアプローチ