音声学

「ベルティル・マルンベリ」について

ベルティル・マルンベリは、20世紀の言語学・音声学者です。

スウェーデン生まれで言語学を学び、フランスのパリとスウェーデン
の双方で、言語学・音声学を研究・指導しました。

音声学は、言語学に自然科学の手法を導入したもので、生理音声学・
実験音声学等で業績がありますが、これらを含めた、言語学全体も
研究対象です。

言語学・音声学は、文字通りに対象が言語です。

マルンベリの場合は、フランス語が主体ですし、欧米系の言語に
限られる事はやむを得ないです。

日本人は、日本語や東洋の言語が研究対象になります。

言語学でも音声学でも、同じ壁になります。

欧米系の言語の、優れた研究内容も、理論と手法は応用になります。

ただ、それでも知識として、知っていた方がゼロよりも良いと
言えるでしょう。

「音声学」の内容

日本版「音声学」
      ベルティル・マルンベリ
      大橋保夫 訳
       1976年
       白水社

原著:
「音声学 第8版」
      ベルティル・マルンベリ
      1970年

・目次
序説
第1章:音響音声学
第2章:生理音声学
第3章:調音の型
第4章:母音
第5章:子音
第6章:言語学の分類
第7章:結合音声学
第8章:音量(長さ)
第9章:アクセント
第10章:実験音声学
第11章:音韻論または「機能音声学」
第12章:進化音声学
第13章:音声学の意義と実用
文献一覧

感想


皆さん、フランス語は得意ですか、あるいは少しは話せますか。

最初に書いた様に、言語学とその一部の音声学は、対象の
言語が大きく影響します。

本書の対象は、フランス語ですから、日本人から見れば独特の
アクセントや発声は難しく、慣れないものです。

具体的な例は、フランス語ですから、説明されても判らない
事はむしろ多いです。

翻訳者は数々の工夫を行った様です。

発音記号は国際学会で使用される様ですが、日本人にはフランス
に使用しても、理解しづらいです。
言語学者の一部には邪道と言われる、カタカナ表記もされています。
翻訳書はあくまでも日本人向けです。

音声は言語音を対象にします、人間が発音する声とそれを聞く
聴覚が対象ですので、他の伝達手段は研究対象外です。

従って、人間とその発声器官や聴覚器官なしでは、語れません。

生体器官の研究は自然科学でもありますが、言語学と結びつける
事で音声学が成り立ちます。

音声学は、1:人間の音声と聴覚の研究、2:一つの言語に
ついての種々の研究、3:一つの言語が歴史的に如何に変わって
来たかの研究、4:一つの言語の正しい発音の規則の研究が
あります。

繰り返しますが、2−4は言語の種類で変わります。
そして、4は文化や政治等で存在する場合のみ成立します。

本書は啓蒙書であり、多くの図や例で構成されています。
ただ、フランス語の学習の面もあります。
音声学はどの様な事を研究するのか、目次の内容の様にどの様に
分けて考えて行くか、音声・発音等は時代で変化するとか、
一般に教えられる事も多いです。

ただ、その一歩先はフランス語の知識の殆どない私には
著者・翻訳者の想定以上に難しいとも言えます。

言語学の1分野の音声学です。

情報伝達手段の1つの言語のみが対象です、音ではありません。

対象言語で依存する事が殆どで、本書はフランス語です。