「天球の回転について」について
正式名:「天球の回転について」 著者:ニコラウス・コペルニクス 発表年:1543年 ニューレンベルグ 日本語訳:なし
原典「天球の回転について」について
プトレマイオスと並べて述べられるのがコペルニクスです。 前者が「地動説」で後者が「天動説」です。 コペルニクスの「天球の回転について」は非常に有名ですが、日 本語訳がまだないと思います。それでいて多くの本でその内容に ついて語られています。それほど歴史的に重要とされています。 翻訳もなく、古典名著なのかといわれても困りますが外せない本 という事で内容を紹介したいくつかの本等からその内容を見てみ たいと思います。 まずこの本が、宗教的な理由から変則的な出版になった事です。 出版が死の間際に行われた事がひとつで、完成本を著者が読んだ かどうかも不明です。 次に第3者の序文が追加され「数学計算上の仮説」と追記された 事です。著者が知らなかった可能性が高いとされています。 そして、本書の基になる「コメンタリオルス」という論文が無記 名で30年前に書かれている事です。
「天球の回転について」の内容
1:宇宙は球形である。 2:大地も球形である。 3:大地と水がいかに球形になっているか。 4:天体の動きは永続で、円運動の合成。 5:地球の場所について。 6:地球にくらべて天は広大。 7:古代ではなぜ地球が中心で不動と考えたか 8:7の不十分な事。 9:地球の他の運動があるか、宇宙の中心について。 10:天球の順序。
感想
研究者は原典でも、英語訳でもよむのでしょう。ケプラーの様に 多数の日本語訳があるのは希で、著名な本でも日本語訳がない事 は珍しくありません。 理由のひとつに、歴史的に重要な要素が含まれる本でも、時代的 に多くの部分は現代では誤りである事です。それを研究している 人以外は全訳を必ずしも必要としていないと言えます。 コペルニクス的転回と言われる天動説ですが、本著の内容は思想 的転回につきると思います。 しかし細部を見て現代から誤りとしても、知識の積み重ねという 自然科学の性格上意味はないです。 天球という考え・円運動・太陽の宇宙中心説・恒星不動説などが、 誤りであることは現代では誰でも知っていますが、ようやく地球が 中心の考えから脱した時代にそれ以上を望むべきではない事は明ら かです。 無記名の論文・死後出版など宗教的な制限のなかでの出版自体が画 期的だったと言うべきでしょう。
歴史に残る古典的自然科学書をよみましょう。
間違いがあっても天才の思考を少しでも理解しましょう
哲学的・宗教的な部分は現在の遺伝子工学にも匹敵