懐疑な化学者

「懐疑な化学者」について

正式名:「懐疑な化学者」
著者:ロバート・ボイル
発表年:1661年 イギリス

日本語訳
「懐疑な化学者」:世界大思想全集
  社会・宗教・科学思想32:「懐疑な化学者」・大沼正則訳

原典「懐疑な化学者」について

気体の圧力と体積の「ボイルの法則」に名前を残す著者です。
その他には、音の空気中の伝わりについて。
結晶・色等の物理的な研究
水と氷結の研究 等多数。

時代的に、錬金術の研究も行っていたらしい。
この実験で、化学問題に興味を持ち、以降に最初に上げた色々な
研究の成果をもたらしました。
「ボイルの法則」は、1662年に発見。


全部をまとめた全集は、1677年に出版されたとされています。
完全には、1744年になった。(死後)

「懐疑な化学者」は、ボイルが本格的に近代的な化学の研究
にはいる前に、古い元素論に疑問を持ち別れる内容といえる
でしょう。
従って、逆に内容的には体系化されておらず、分かりにくいもの
です。

「懐疑な化学者」の内容

ガリレオの「天文対話」のような、旧思想派の2人と
ボイルの代弁者とその聞き役 との討議形式になっています。
正し、対話というよりは、かなり長い説明になっており効果は
疑問です。

ボイルの代弁者は、元素を定義しようとします。
それは、物質の実験的・化学的探査で発見されるべきとしています。
この定義では、元素が発見されるまでには多くの時間がこの後
必要としました。

感想

近代化学(量子化学ではない)におけるボイルの功績は有名です。

しかし、その個人の歴史を見ると以外と思う事が見つかります。
発見というものが、長い研究の結果として生まれるとすれば当然
なのですが、先入感ですね。

有名な「懐疑な化学者」が、「ボイルの法則」発見以前であったり
集大成の全集が完全にまとめられたのが、没後だったりは意外性が
あります。

それ以前には、古い元素観(言葉的にも異なる)が存在して、魔法
の様な錬金術が横行していました。
それを思想的に、追及する事で新しい元素観にたどりつくのが本書
です。

内容的には、科学書というよりも思想書・哲学書に近い内容に
感じます。

歴史に残る古典的自然科学書をよみましょう。

間違いがあっても天才の思考を少しでも理解しましょう

哲学的・宗教的な部分は現在の遺伝子工学にも匹敵