昆虫記

「ジャン・アンリ・ファーブル」について

ジャン・アンリ・ファーブルは1823年生まれのフランスの
生物学者です。

昆虫の行動研究の先駆者であり、その研究成果をまとめた
「昆虫記」はあまりにも有名です。

ただし、内容的に学術論文の体裁を取らずに、むしろ気軽な
読み物的な書き方をしました。

具体的には、対象を人にたとえる様な表現をしました。

従って、内容的には先駆的であり、極めて多くの読者・特に
年齢的にも幅広い を得て読み継がれていますが、専門家は
やや厳しい評価が多いとされています。

そもそも、動物行動学がノーベル医学・生理学賞の対象になった
のは、コンラート・ローレンツらからです。
「昆虫記」はノーベル文学賞の候補になっています。

「昆虫記」の内容

日本版「昆虫記」
      ジャン・アンリ・ファーブル 著
      山田吉彦 訳
       岩波文庫 1963年改訂版

原題 「昆虫記」
       フランス 全10巻:1879−1910発行

第1巻:
1:聖たまこがね      2:虫籠        
3:玉虫つちすがり     4:こぶつりすがり   
5:科学的な殺し屋     6:きばねあなばち   
7:短刀の三刺し      8:幼虫と蛹      
9:高等なる学説      10:ラングドックあなばち
11:本能のものしり    12:本能のもの知らず
13:ヴァンツゥ山登攀記  14:動物の移住    
15:じがばち       16:はなだかばち   
17:はえの猟師      18:寄生虫−繭    
19:戻り道        20:どろぬりはなばち 
21:実験いろいろ     22:巣の取り換えっこ

第2巻
略             10:昆虫心理に関する断章
略 17:過変態

第3巻
略             6:寄生の理論     
11:幼虫の二形      
15:進化論へのお灸    略
              18:雌雄の振り分け  
略

第4巻
略
5:本能と識別力      略

第5巻
1:聖たまこばね−団子玉  略
              10:せんちこがね−一般衛生
略             16:蝉−歌      
略             18:かまきり−猟   

第6巻
略
7:しでむし−埋葬     略
13:こおろぎ−住居と卵  略

第7巻
略

第8巻
略
3:えんどうまめぞうむし−幼虫  略

第9巻
1:ナルボンヌのどくぐも−棲み穴  略
7:黄金蛛類−お隣の住人      略
13:数学の思い出話−ニュートンの2項式 略
17:ラングドックさそり−住居   略

第10巻
1:みつかどせんちこがね−巣穴   略
15:きんいろおさむし−婚姻の習わし 略

感想

ファ−ブル昆虫記は、子供向けを含めて、多数の翻訳があります。
巻数が10巻あり、全訳とは限りません。

ほとんどの人が、何らかの形でどこかの部分を読んでいる本で
しょう。
理由は、前にも述べた学術論文ではなく、読みやすさを考えた内容
だからです。

そして、全体は多い内容ですが、どこから部分的にも読める様に
なっています。

そして、取り上げられる昆虫は、あまり気づかないものが多いです。
いわば、裏の世界の昆虫ともいえますが、それらが生き生きと
描かれています。

そして、注目はそれらの観察方法です。
仮説と実験と観察との繰り返しは、まさしく行動生物学の手法です。

それに加えて、昆虫以外の事も時々とりあげています。
それも、どちらかと言えば批判的にです。

あまり、同じ科学者からは認められにくい本になったと言えます。

あまりに有名ですが、筆者を含めて全部は読んでいない人が普通
でしょう、そして憶えていなくてもどこかは読んだ筈です。

結果的には、不思議な位置に存在する稀書か、あるいは現在に
なれば教科書的な本といえます。

「昆虫記」は、「ファーブル昆虫記」とも言われます。

全10巻の大作ですが、部分訳を含めて多く訳されています。

先駆的内容ながら、子供にも読める内容になっています。