場の古典論:理論物理学教程2

「理論物理学教程」について

「理論物理学教程」については、「力学:理論物理学教程1」を参照
して下さい。

全巻を扱うつもりはないですが、2巻は近代物理学の基礎ともいえる
テーマを扱っています。
量子力学の教科書は多いですし、電磁気学も同様です。
しかし、相対性原理と電気力学については、極端に少なくなります。

その分野の初期の教科書(改訂は後にされていますが)としては、
代表的です。
20世紀の物理学の、「量子論」「相対論」は時代は20世紀でも
初期の書籍は古典です。

本著は、題名の通り、古典論と量子論とをつなぐ一歩ともいう内容です。
相対性原理の教科書として古典として代表的と思います。


「場の古典論:理論物理学教程2」の内容

日本版「ランダウ=リフシッツ 理論物理学教程
    場の古典論(改訂新版)」
    広重徹・恒藤敏彦訳 東京図書株式会社 1964年9月
1章:相対性原理
2章:相対性力学
3章:場のなかの電荷
4章:場の方程式
5章:不変な場
6章:電磁波
7章:光の伝播
8章:運動している電荷の場
9章:電磁波の放射
10章:重力場のなかの粒子
11章:重力場の方程式
補遺

感想

「量子論」「相対論」の目的は、連続媒質の電気力学へと続きます。
本著では、その過程の「微視的電気力学」に限っています。
具体的には、真空および点電荷の電気力学が内容です。

著者は、論理的な電磁場の理論は特殊相対性理論を含んでいるので
特殊相対性理論を基礎に置く、としています。

ただし、その最後に当たる、10章・11章は重力場の理論と
一般相対性理論が述べられています。

相対性理論は、基準系と慣性系という概念の元で、あらゆる慣性基準系
で自然法則は同一が成り立ちます。

古典力学のポテンシャル・エネルギーは、慣性系では、瞬間が存在
しないので、必ず伝播速度が存在します。
その伝播速度の上限を光速度としたのが、アインシュタインの
相対性原理です。
古典物理学の相対性原理は、伝播速度が無限としています。

従って、アインシュタインの相対性原理の古典物理学への移行は
光速度を、有限>無限とした時に成り立ちます。

伝播速度が重要になると、時間が絶対ではない事が、導かれます。

これらから進めてゆくと、粒子とその相互作用という古典物理学
は、力の場の概念が必要になります。

この様に展開して行くと、現在の量子力学につながる概念が次第に
現れて来ます。
電磁場・電磁波・光の速度・電磁輻射・電磁場以外の場(重力)
等です。

かくして、場の古典論から量子論へとつながって行きます。
本著の内容は、そのつなぎまでです。

本著は、題名の通り、古典論と量子論とをつなぐ一歩ともいう内容です。

「量子論」「相対論」の目的は、連続媒質の電気力学へと続きます。

伝播速度の上限を光速度としたのが、アインシュタインの相対性原理。