相対性理論

「アルベルト・アインシュタイン」について

アルベルト・アインシュタインについては、あまりにも多くの
事や、語録や生涯や業績が語られています。

知名度のせいですが、もはやかなりの推測やデマも混ざっている
でしょう。

従って概略のみとします。

1879:ドイツに生まれる。
1894:イタリアに家族が引っ越し、後でアインシュタインも
     イタリアに来る。
1896:スイス・アーラウのギムナジウム卒業し、チューリッヒ
     連邦工科大学への入学。ドイツ国籍を放棄。
1900:卒業。翌年にスイス国籍を取得。
1903:結婚。
1904:博士号用に「特殊相対性理論」に関連する論文を書くが
     非受理、代わりの「分子の大きさの新しい決定法」の
     論文が受理された。
1907:有名な式、「E=mc2」を発表。
1909:チュリッヒ大学助教授。
1910:プラハ大学教授。
1916:一般相対性理論を発表。
1921:光電効果の研究で、ノーベル物理学賞受賞。
1925:ボースと共に、ボース=アインシュタイン凝縮の存在を
     予言する論文発表。
1935:アメリカ永住、1940:アメリカ国籍取得。
1955:科学技術の平和利用を世界各国に訴える「ラッセル=
     アインシュタイン宣言」に署名、同年に死去・

「相対性理論」の内容

日本版「相対性理論」
      アルベルト・アインシュタイン 著
      内山 龍雄 訳・解説
       岩波文庫 1988年

原題 「動いている物体の電気力学」
       ドイツ 1905年発行

動いている物体の電気力学
1:運動学の部
 1:同時刻の定義
 2:長さと時間の相対性
 3:静止系から、これらに対して一様な並進運動をしている
   座標系への座標および時間の変換理論
 4:動いている剛体、ならびに時計に関する変換公式の
   物理学的意味
 5:速度の合成則
2:電気力学の部
 6:真空中におけるマックスウエル・ヘルツの方程式の変換、
   磁場内にある物体の運動に伴って生ずる起電力の性質に
   ついて
 7:ドップラー現象および光行差の理論
 8:光線のエネルギーの変換則、完全反射する鏡に与える
   輻射圧の理論
 9:携帯電流がある場合のマックスウエル・ヘルツの方程式の変換
 10:加速度が小さい場合の電子の力学

感想

原題は、電気力学ですが、相対論の多数の論文の最初のものです。
これ自体は、論文ですから短いですが、日本語訳は解説では、
元の論文自体の解説を行っています。

通常の解説は、書かれた時ではなく、訳した時点での関連事項を
説明します。

本訳の解説は、論文自体の解説としています。

何故、電気力学から相対論かといえば、本書では「磁石」と「電場」
を観測する系で見た時の現象を考察しているからです。
そもそも、静電荷は見つかっていますが、磁荷(マグネチック・
モノポール)は見つかっていません。
従って、静電荷と相対論で磁場を語る事も出来ます。

静電荷は、存在する系での表現であり、それを異なる動いている
系で観測すれば、電流になります。
そして、電流の周囲には磁場が発生します。
従って、静電荷か電流・磁場かは、観測する系で変わるだけです。

まさしく、相対論の内容です。
観測という事が入ってくるときに、光速度が一定という理論も登場
します。
この論文自体が、特殊相対論の考えを表している事が判ります。

これに重力を取り込むと、一般相対論となります。

「相対性理論」は、相対論に関する最初の論文の訳です。

原題は、異なりますが内容的に、このように言っても良い

だろうと本書の訳者は述べています。