方法序説

「ルネ・デカルト」について

デカルトは1596/3/31にフランスの小貴族に生まれ、生活は恵まれていたと言われる。
学問との繋がりや研究への道は、はっきりしない、軍隊で霊感で学問の方法を取得したと言われても、何ともコメント出来ない、第2部はこの当たりと関連する。
交流は持たず自己の哲学の研究に没頭したとも言う。
当時はガリレオの有罪判決の時期で、生前に本名で成果の発表を控えた事もあり(第6部に述べられている)、没年・1650年以降の出版が多い。

「方法序説」について

原著
 「方法序説」 1637年 フランス
  「Discours de la methode」

日本語訳 
 「方法序説」
    1953 高阪正顕 訳


刊行当時の正式名称

「かれの理性を正しく導き、もろもろの学問において真理を求めるための方法の序説、なおこのほうほうの試みたる屈折光学、気象学および幾何学。」
(仏: Discours de la methode pour bien conduire sa raison, et chercher la verite dans les sciences. Plus la Dioptrique, les Meteores et la Geometrie, qui sont des essais de cette methode.)

元来は3つの科学論文集を収めた500ページを超える大著で、であった。
現在の「方法序説」として扱われるテキストは、最初の78ページの「序文」部分だ。
そこでは、自身の方法論の発見・確立や刊行に至るまでの経緯を述べている。
序説の訳の「Discours」は、形式ばらない論考の意であり、デカルト自身が「方法の試み」であると呼んでいる。


「方法序説」の内容

「方法序説」部分は、全6部で構成される。
第1部:デカルトの学問に関する様々な考察
第2部:デカルトが探求した方法の主たる規則の発見
第3部:デカルトがこの方法から引き出した道徳上の規則
第4部:「神」と「人間の魂」の存在を証明する論拠、デカルトの形而上学の基礎
第5部:デカルトが探求した自然学の諸問題の秩序、特に心臓の運動や医学に属する他のいくつかの難問の解決と、「人間の魂」と「動物の魂」の差異
第6部:デカルトが自然の探求においてさらに先に進むために何が必要だと考えるか、また本書執筆の経緯

感想

大著の序文の部分が、「方法序説」だと言うが元の大著は見た事も読んだ事もないので、解説等での想像に限られる。
ガリレオの宗教裁判の影響で、多くの研究が没後発表になった。
そして、大著の出版動機を「自分が著作を用意していたことを知る人々に意図を誤解されないよう、1634年になって書かれた論考から慎重に選ばれた「屈折光学」・「気象学」・「幾何学」に「方法序説」を付けて公表に同意した」と述べとされる。
まさしく、「方法序説」は出版直前に書いた序文になるが、それ自身が論文として成立するとして、現在でも読まれている。
その内容は、方法論であり基礎となるものとされており、哲学的な思想を表すとしての評価がされている。
デカルト自身も、基礎論に立っての、具体的な応用の重要さも理解しているし、多くの研究も行われている。
ただし、それらの多くは没後に公表された、それらの内容からはデカルトを哲学者としてだけに留めるもので無いと判る。

「方法序説」はガリレオの様に裁判に掛けられない範囲を選び、出版したもので、しかも匿名(偽名)で出版されとされている。
自然科学に注目するのが本サイトの趣旨だから、含まれる自然科学的な部分を見ておく。
・屈折光学には光一般、望遠鏡、視覚、幻像などの研究も含む。
・気象学には、塩の性質、風、雷、雪、虹、光輪の一種を含む。
・幾何学では、解析幾何学の創設者と言われその内容を含む。

没後発表には、血液循環論を含む「人間論」がある。
光に関する記述は、「世界論」にある。