種の起源

「種の起源」について

正式名:「自然選択、すなわち生存競争で恵まれた品種の
      保存によってなりたつ種の起源」
略称名:「種の起源」
著者:チャールズ・ダーウィン
発表年:1859年、イギリス
日本訳原本:1872年版

日本語訳について

「種の起源」はきわめて著名な本です。従ってその日本語訳も
沢山あります。
下記に列記しますが、現在は最後の岩波文庫版が一番流通して
いると思います。
題名について、おおきく2種類あります。「種の起源」と
「種の起原」です。一般によく知られている「種の起源」を
本項の題名としましたが、参考本は「種の起原」である事を
明記しておきます。

「生物起源」 立花銑三郎 1896
「種の起原」 大杉栄   1915
「種の起源」 松平道夫  1927
「種の起源」 内山賢次  1927
「種の起原」 小泉丹   1929
「種の起原」 原伸夫   1958
「初版種の起原」 徳田御稔 1959
「種の起原」 八杉竜一  1963

原題の「origin」の訳は「起源」が多いがなぜ「起原」も
多いかは不明です。

内容

ダーウィンの進化論は有名です。
本人は、「進化」と「進歩」はことなるとしています。
ダーウィンの進化論は、「自然淘汰説」または「自然選択説」として
有名です。
それは、自身の豊富な例の収集による部分が大きいですが、その過程
で、飼育栽培の人為選択とマルサスの「人工論」が、自然界の解答を
得るきっかけといえます。
人為選択とは、人間が好む品種を選ぶことです。
「人工論」は、人工の増加が食糧の増加を上回るので、結果的に人工
を制限せざるを得ないという内容です。
自然界でも同様の事が生じて、結果的に環境に適したものがわずかに
生き残ると考えた訳です。
環境については、色々と考察していますが、自然環境・生物的環境を
考えています。
有名なガラパゴス諸島の例などで、注目したのは同一種の競争と
分布が広がった時の、地理的・生態的隔離です。この場合に特に差が
生じやすい事をみつけ、そのように結論つけています。
結局は、自然界でも人為選択と同様に、「選択」「淘汰」が行われる
事が彼の結論です。ただし、その速さは異なります。
まれに起きる「突然変異」は、大きく進化する要因とも考えています。

感想

ダーウィン以前の時代では色々の進化論が提唱されています。
個体の意識が進化をもたらすというものもあります。
生き残りたいという思いが、変異に繋がるというのは一般的には
無理があります。
逆に突然変異が生じた時に、自然淘汰・選択が働くとした所に
ポイントがあります。
ダーウィンの進化論は、一部では宗教的な理由から否定されましたし、
一方では真理として長く受け入れられてきました。
この進化論が、マクロの現象であり、ミクロでは突然変異は絶えず
起きているという木村資生の「中立論」が登場するまで長く進化論の
中心にありました。
ミクロの現象が、マクロに発現すると考えた場合は現在も生き続けて
いると言えます。

歴史に残る古典的自然科学書をよみましょう。

間違いがあっても天才の思考を少しでも理解しましょう

哲学的・宗教的な部分は現在の遺伝子工学にも匹敵