酔芙蓉 第一巻 神田川


 

第一部-1 神田川  

神田川・小正月・七福神・連雀町・雛祭り・花見・更衣・七夕・影供・中秋

 根岸和津矢(阿井一矢)


   
  ・ 神田川

「与七ちゃん帰りまで待てるかい」

「いいとも、おつねちゃんのとこまで荷物も持っていくぜ」

「おやそりゃありがたい」

猪牙の上で、すみはお容を抱きながら船頭の与七にそんな話しをしながら和泉橋を過ぎて小さな桟橋のある土手に猪牙をつけてもらい船を下りて柳原土手に上がった。

荷物を抱えた与七と玉があとに続いて上がってきた。

裏の通りに抜けると其処がツネの仮住まいであの大地震の後、身寄りが見つからない二人の兄妹と3人で住む割長屋だった。

「お容ちゃん川風が寒かったろうよ」

「でぇじょうぶだい」

「深川っ子は川風にゃ驚きませんよ」とこれはお玉、すみも「この子は船に乗って歌でも歌わせときゃ、上機嫌さぁ」

「三味も上手なんだって聴いたぜ」与七が言うと容は機嫌よく歩きながら木やりを歌ってみせた。

声を聞きつけたツネが長屋から顔をのぞかせ、小さい子の手を引いて「お容ちゃん相変わらずいい声だね」といいながら出てきて「寒いからお入りよ、おやよひっぁんじゃないか、久し振りだ相変わらず元気じゃねえか」

「いっぱい引っ掛けてお行きよ」

「かたじけねぇ、お呼ばれしていこう」と中に入り冷やでいいかいという声を聞きながら「おかたじけ、そいつがいいや」といいつつ差し出されたかわらけから美味そうにごくごくと飲み干すと、「土手の八兵衛さんのところで待ってるぜ」と言い残して出て行った。

この日は師走の12日で富士の山は真っ白になっているのが見えた。

この年は12月が小の月で29日までしかなくあわただしい年の瀬がまじかだった。

「お幸ちゃんおんもであそぼう」と容は小さな幸の手を引いて外に出た。

長屋のかみさんたちと挨拶を交わして稲荷の祠の前で陽のさすところを見付け、二人で木やりを歌ったり、船頭の歌う川歌とでも言うかそのようなものを二人して歌うのだった。

「お容姉ちゃんは歌が好きね」「あたぼうよ、おいらおっきくなったら、芸者に出るんだ」「それって歌や踊りが出来る人がなるんでしょ」「だからおれっちはお稽古でしごいてもらうんだ」「きれいな着物が着れて好いな」「だろ、おつねさんも昔は深川で有名だっんだとよ」と二人で大人びた会話をしているが、まだ容は8才で幸は3才でしかなかった。

「おうちにお入り」と玉が迎えに来て、3人は家に入り暖かい飴湯を飲み終えると、すみは容を挨拶させてから長屋をあとにした。

「岩さんの家によって、お京さんに挨拶して帰るよ」「お京叔母ちゃん大好き」と容が言えば「おかみさんは女っぷりがいいもんね」と玉も言いつのるのだった。

表に出ていかにも火消しの兄いらしく、粋なうちの前で京に出会い「おすみちゃんじゃないか、寄ってお行きよ」と声を先にかけられ「もちろんだよ」と仲のよい幼なじみらしく気取りもなく入っていくのだった。

「おつねさんのとこかい」

「そうそう今荷物を置いてこれからけえるとこだよ」

「コタロウちゃんがまた色々荷を増やしておつねさんが売りさばくのも最近は堂に入って来て、利が多くなったそうだよ」

「そうなんだってさぁ、不思議な子達だよね、家の方たちは結局見つかんないそうじゃないか、アンナ若い衆が商売が上手なんて驚いたよ」

「うちのも驚いていたっけが、最近では若い衆たちも色々話を聞いたりしてるようだし、年の割りに大人びてると岩さんまで言うほどだよ」

「勝先生の塾に入ってから特にサァ、柔術まで習ってるようだし何かにつけて凄い子サァ」と京もほめるのだった。

「おつねさんまで最近は感化されて、近所のがきまで手習い師匠につけるように子供たちに駄賃を渡しちゃ何か用事をさせているんだよ」

「おかげで長屋じゃ皆が師匠に払うお礼を子供たちが出せるので親は大助かりさ」

「ところで今日は船かい」と聞かれ容が引き取って、「よひっぁんがのしてくれて、すぐ其処で待ってるよ」

「おやじゃちょいと挨拶でもしてこようか」と若い衆にあとを言いつけると和泉橋際の八兵衛の小屋に出かけるのだった。

何も打ち合わせなくとも居るとこは土手の八兵衛さんのところと知っている間柄だった。

挨拶もそこそこに「日のあるうちに船に乗りなせえよ」という八兵衛に従って見送られながら神田川を両国へくだるのだった


 ・ 小正月

小正月の朝、冷たい風がやんでどんど焼きに小枝に団子をさして急ぐ子達に混じり容も近所の子達と稲荷まで急いだ。

「ワーイ、ワーイ」「早く来いよー」と兄弟でもあるのか何人ものばらばらの背格好の子が大騒ぎしながら小枝をめいめいに持ちながら駆け回っていた。

大人たちが火をたいて集まった子達に甘酒を振舞っていたので来た順に手をだして湯飲みの茶碗を受け取りふぃふぅ言いながら飲んでいました。

賑やかに皆で小枝を火にかざし熱々を口にして、振る舞いの甘酒を何杯もお替りする子も居たが、容と多加は早々と家に帰り、三味線を抱えてお師匠さんのお家に向かうのだった。

「木遣りくづし」
サアーエ 格子づくりに御神灯さげて
兄貴やうちかと姉御に問えば
兄貴や二階で 木遣りのけいこ 
音頭とるのがありゃうちの人
エンヤラヤ エンヤラヤレコノセ サノセ 
アレワサ エンヤラヤ

つねりや紫食いつきゃ紅よあいた
色で仕上げたあたしの身
エンヤラヤ エンヤラヤレコノセ サノセ 
アレワサ エンヤラヤ

めでためでたの若松さまよ
枝の栄えてオヤ葉もしげる
エンヤラヤ エンヤラヤレコノセ サノセ 
アレワサ おめでたや

いつも習う歌だが、この月の端唄ということで文弥師匠がおさらいしてくれたものです。

昼前には三味線のお稽古も終わり、多加の家に行くことにした。

多加の家は容の家の真向かいで姉妹同然に普段から行き来していた。

「ただいま」

「お帰りお容ちゃん」

「ただいま」

「お多加はお昼を何時食べるかい、お容ちゃんと食べるならも少しまっとくれよ」

「うん」と二人で返事をして奥の座敷に入り二人でまた三味線の弾き比べをするのだった。

 
 ・ 七福神

「お容、早くいかねえと置いてかれるぞ」
「おとっつあん、まだ早いよ」
「何言ってんディ、芳坊なんぞとっくにめえを通ってったぞ」
青物商を営む父親はもう朝の一仕事を終え一服つけながらいつものように容をからかいながら一休みしていた。
母親が握った梅の入ったお握りと、心尽くしの玉子焼きを持ってお多加の出るのを待って家を出たのです。
「風がなくていい塩梅だ」
「ほんとだ歩いていても寒くねえや」
「久米先生もこんなら腰がいてえなどいいめすめえよ」と大人顔負けの会話をして手習い師匠の家に行くのだった。
今日は朝から天気がよく手習い師匠に連れられて、深川七福神めぐりに町の子達8人が集まった、「これで全員集まったから出かけようね」と久米次郎栄が声をかけ高橋を渡りまず神明宮の寿老人へ向かいました。

万年橋を渡り、深川稲荷の布袋尊まで来て一休みして、竜光院の毘沙門天にきました。

「この神様は国を守り、悪魔を退散させる強い神様じゃから、皆もよく拝んで強い子になるんだぞ」と久米先生は長い間拝んでおりました。

円珠院の大黒天はあっさりと通り、心行寺の福禄寿で人望人徳が高くなるよう皆で拝みました。

冬木弁天堂に着いて、「芸事の好きな子達は忘れずに御願いすように」といわれ容は「立派な芸者になれますように」とお頼みしたのでした。

最後に、富岡八幡宮(とみがおかはちまんぐう)の恵比寿様におまいりしてから、持ってきたお弁当を開き、わいわいと騒ぎながら食べてお采を分け合って竹の水筒から水を飲み終わると半日の遠足が終わり、久米先生のお宅まで戻り今日の歩いた道すがらの出来事を話すのでした。

 
 ・ 連雀町
 
「おっかさんもう桜がきれいだね」永代橋を渡り街中に入り行きかう人も春に浮かれたように歩いていた。

「今年はおつねさんも誘ってお花見にいこうね」

「ほんとかい、あっちは上野に行った事がないから、ぜひ行きてぇもんだ」

「好いともさ、お玉も喜ぶよ」

「おかみさん、玉もお供していいんですか」

「もちろんさぁ、お前が来なきゃはじまんねぇよ」やはり荷物を持つのはお玉のお役目ということでしょうねぇ。

「何時ごろになるの」

「さうさねぇ、おつねさんの都合も有るけど明後日の4日が見ごろだと、裏の太兵衛さんが言ってたよ」

「お多加ちゃんも誘っていいかい」

「もちろんさぁ、おみつちゃんも文三さんをお供に連れて行くという話になってるよ」

「おとっちゃんはどうすんだろう」

「おとっつぁんは、町内で別にいく約束が出来てるよ、何でも明日、飛鳥山に行くんだとさ」珍しく歩いて日本橋まで来て通りの賑やかさにも驚いたが橋を渡り、連雀町まであと少しのところで後ろから来た虎太郎が声をかけてきました。

「八百茂のおかみさんとお容ちゃんじゃないかい」という声に3人が振り返ると、3人のお侍さんと一緒に大またで歩く虎太郎さんが追いついてきました。

「どちらまで」と聞く虎太郎さんに「おつねさんのお店」という言葉に微笑む虎太郎さんが「私も直に帰りますからまた後ほど会おうね」とお容にいい「おかみさんも今日はゆっくりとしてお行きください」といって待っていたお侍さんと脇に入っていきました。

「虎太郎さん大人びてきたね」

「立派なもんだ、おさむれえと一緒でも堂々としてるじゃねえか」

「勝先生の塾のお仲間かねえ」と言ううちに養繧堂さんのお店の前に来ておりました。

ここは虎太郎さんの妹のお幸ちゃんが養女に迎え入れられて今はお琴ちゃんと言われていると、この間深川まで来たおつねさんと虎太郎さんがお春さんに話をしたと、聞かされたばかりでした。

先の須田町から連雀町に移り住んでまだひと月ちょっとで初めて訪れる家だったが、聞くまでもなく表になんともう虎太郎さんが帰っており待っていてくれました。

「早いお付きですね」とおすみ、「アハハ」と笑う虎太郎さんに「驚くじゃねえか、どこを抜けてきたんでぃ」となじるようにいう容でした。

「驚いたかい、皆と別れて裏から早足ですっ飛んできたよ」と笑顔で言う虎太郎さんはいたずらっ子そのままで店の内のおはつさんとおつねさんに「お着きだよと」声をかけると「またあとでね」といって分かれていきました。

皆で座敷に上がると「疲れたかい」と聞くおはつさんに「どうってことねえよ、あたいは歩くのが好きだ」ともう上野に連れて行ってもらうための強がりを言うお容でした。

「こんぺいとう(糖花)をお食べよ」

「珍しいものがあるね」

「虎太郎さんが唐物を仕入れたときに、ついでに買ってくれたのさ」

「容はでえ好きだよ」といいながら口の中で転がして口当たりを楽しむのでした。

「お玉ちゃんも遠慮せずにお食べよ」といいつつ、二つの懐紙に包んで「これはあんたらのお土産だから、別にしといてこの分は残さずお食べよ」とお容とお玉には小鉢にそれぞれ十粒ほども分けてくれました。

「お容ちゃんは虎太郎さんと今日が始めて会ったのかい」と聞かれ「そうだよでもすぐ様子でわかったよ」とお容「おやまぁ、どうして解ったか聞きたいくらいだ」大げさに驚くおつねさんに皆が大笑いするので不思議に思う容でした。

花見の約束も出来て、帰りは屋形船が迎えに来る約束「そろそろお京ちゃんのところに行って待っていなきゃね」

「よひっちゃんが来るかい」「何でも大事なお客を其処の昌平橋までのしてくるから帰りはぜひ乗ってけえれよといってくれてさ、八兵衛さんのところで待ち合わせだよ、お京ちゃんのところに連絡が付くようにしてあるからそろそろ行こうかね」と言い出したのは一刻ほど話が弾んだあとでした。

虎太郎さんも裏から出てきて振るやかに挨拶して家を出ました。

船の上で「おっかさん、お琴ちゃんにも会いたかったね」と思い出したように言い出すお容に「こっちまで時々はこられるからまた今後来たときゃ会えるよ」といわれ「そんならまた来たときにゃ会えるかね」と納得するのでした。

 
 ・ 雛祭り

「雛祭りの飾がきれいに飾れたから家においでよ」と誘いに来たお多加ちゃんに「家のを先にみねぇよ」と家に上げてかわいらしく飾られた二つの人形と雪洞を見て「見たから行こうよ」と手を引くように道を横切り、横の路地から庭に入り縁側から上がると本当に奇麗に飾られた人形たちに「えらくおとっつあんが張り込んだもんだ」とお容が感嘆の声をあげると満足そうに「きれいだろう」とうれしそうなお多加ちゃんでした。

太治郎兵衛さんが座敷に来て満足そうに「お容ちゃん今甘酒があったまるからゆっくりしておいきよ」と子供たちに言うのだった。

「明日も天気がよければ言うことなしだ」と子供たちも明日の花見が待ち遠しく始めての上野のお山の様子を想像するのでした。

 
・ 花見

上野のお山は振るわっていた、ここには酒を持ちこめないのでそぞろ歩く人たちも花を愛でゆったりとしていた。

御殿女中の一行でもあろうか頭に白い布をかぶった一行に付き従うお侍も多くきておりました。

花の下で余興にあげる歓声もどこからか聞こえてござや毛氈を抱えて場所探しの御供さんが大きな声で「こちらがようございます」と大店の旦那衆らしき一行に声を出しています。

お容たちは先に来ていたおつねさん達と清水観音堂で無事に出会へ、あちこち散策の上で人の少ないところで花が下にも上にも見えるという奇跡的に開いた場所でお弁当を広げるのだった。

おつねさんとお初さんはそれぞれが鮫小紋の黒襟をつけた粋な着物で来ていたし、おすみさんとお容ちゃんは市松小紋を小粋に着こなしています。

みつさんとお多加ちゃんは花散らしのあでやかな薄紅色の着物に赤い半襟と花と競うようなあでやかさでした。

虎太郎さんといえば今日はお供でございますという顔で、お玉や金助と文三たちと賑やかに笑って踊っておりました。

「そんなにハシャイデしらふとは恐れ入谷の鬼子母神でい」とお容が言えば「これが当世流行(はやり)のしらふの素踊りでござい」とおどけて金助が言うので皆で腹がよじれるほど笑うのでした。

お山は鳴り物やお酒の持ち込み禁止といわれていますが黒門を出れば酒を商う店が出ているので外に出ては一杯ひっかけると言う早業をするものもあるようでした。

昨日の八百茂の旦那たちのお弁当は豪勢でしたがこちらもなかなかのものです。

( )のなかは旦那衆のほうには入り、こちらは入らなかったようです

一の重、かすてら玉子 (わたかまぼこ わか鮎色付焼) むつの子 早竹の子旨煮

早わらび 打ぎんなん 長ひじき 春がすみ(寄物) 

二の重、(蒸かれい) 桜鯛 干大根 甘露梅   

三の重、ひらめとさよりの刺身に、しらがうどとわかめを添え、赤酢みそを敷く 

四の重、小倉野きんとん 紅梅餅 椿餅 薄皮餅 かるかん   

割籠わりご、 焼むすび よめな つくし かや小口の浸物 

どうですなかなかのものでしよう。

やはり大勢で出かけこのような豪勢なお弁当を食べる楽しみは行楽の中でも花見が一番でしょう。

お弁当の楽しさも終わり、お玉、文三さんたちが片づけをしている間に身じまいを直してお山をあとに筋違橋まで歩き、3人と別れて土手の八兵衛さんのところで屋根へ乗って深川に帰るのです。

「しゃみがなくて寂しかろう」と与七さんが言えば「くちじゃみせんがあらぁね」と負けぬお容ちゃんでした。

軽口をたたき、歌を歌い船の中までも振るやかに花見の続きで盛り上がるのでした。

大川から小名木川に入り掘割から仙台堀に行く途中の船宿の桟橋で降りて、家に着くまでみなの花見気分は続いておりました。

 
・ 4月朔日 更衣

「早く起きて着替えておくれ」

「オイオイ今日はさみいからけえってからで良いだろうよ」

「寒けりゃ上に半纏でも半被でも着て行きなよ」てな具合で今日は衣替え、八百茂さんの家でも朝からお上さんに綿を抜いた袷に着替えさせられて明け六つの鐘と共に大八車を金助に引かせて大根河岸まで仕入れに出かけます。

永代橋を渡って左折し、豊海橋(乙女橋)で新堀川を渡り、北新堀・大川端町と隅田川沿いに進み新川沿いに西に進み「二の橋」を渡り霊岸島へ銀町から越前堀を左に見て進み亀島川沿いに、亀島橋を渡り八丁堀から京橋際の大根河岸に至りと書くと色々と複雑そうですが、毎日通る道はそれほど複雑でもなく半時とはかかりません。

「親方寒いと思ったけど日が出るとやっぱり夏がちけえや、汗が出ますぜ」

「そうか、おりゃまだあったかくなんてねえぜ」

「ハッハそりゃ親方ぁ大八のそばぁ歩いてるだけだからですぜ」

「ばかぁいえよ、空車引いてなにょほざいていやあがる」

「そんでももう日の上がり方が早いですぜ、夜遊びして来た日は眠くていけやせん」

「わけいんだから遊ぶなとわ言えねえけど、ほどほどにしときゃぁがれ」

「腰が抜けるほど飲む銭なぞありゃせんからでえじょうぶでぇ」

「銭ィ稼ぎたきゃ自前の店を早く持ちなよ、それにゃ早くかかぁを持ちやがれ」

「親もそうはいいやすがね、一人住まいが続くと気が楽でやめられやせん」

「例のコタさんを見ろやい、アンナ子供でもやる気が有るお人はどこか違うぜ、おつねさんまでアンナに働きが良いなんぞ見たことあんめいがよう、てめえでもやりゃ出来る見本だぁな」

「話ゃ変わりやすが旦那ぁ本当にお容ちゃんを芸者に出す気でやすか」

「あたぼうよ、一度約束したら守んなきゃしょうがあんめぇ、だけどよ親のこけんてぇもんがあるからホクホク顔で良いともなんていえやしねえ」

「例の久米先生の跡取りが駿河台の坂崎様のご用人だから其処にたのんで行儀見習いにだして様子を見なきゃゆるさねえとは言ったんだがよ、久米先生が11歳にならんとなぁと返事が来てよ、おりゃこまってるんだぁ」

「春米屋のお多加ちゃんも岩本町の市場様にどうかという話ですぜ」

「てめえそれをどこで聞いた、どうせ幸兵衛と博打場の馬鹿話の合間に聞き込んだか」

「おみとうしですかい」

「やっぱりそうかい、ほかで話すんじゃねえぞ」

ほぼ半時足らずで大根河岸について荷を仕入れて五つには大根河岸を出て店に戻るまで馬鹿話を交えて語る事がおおいようです。

与吉旦那も帰りは半纏を脱いで金助と交互に大八車を引いては、交互にあとを押して店に戻り荷を降ろして、ぼて振りの二人に荷を振り分けます。

二人のぼて振りは朝から店の昨日の売れ残りを担いで裏店を回って安く売りさばいてきています、これも先月コタロウ君の話を聞いてから始めたのですが割合と安いのでよく売れるし、店に威勢の悪い品物が見えないので評判も上々です。


  ・ 七夕

今は秋といってもマダマダ夏の日差しがさす暑い日の七夕の夕方です。

6日の夕暮れ時お多加ちゃんとお容ちゃんは七夕の笹飾りを作り終えて、それぞれの家で庭先に飾りました。

「きれいに棚飾りが出来たね」「あたぼうよ、家は八百屋だぜよそから買うのはそうめんぐらいじゃねえか」廊下に置いたお供えの棚には西瓜、茄子、胡瓜、大根、里イモ、枝豆、生姜、茗荷などを供えます、庭先の笹にも願いを書いた紙やいろんな色の切れ地がさがりました。

「金の字今晩はそうめんを食ってけよ」

「金さん一杯つけるからね、そうめんはつけたりのようなもんだからあんしんおしな」

「ヘェ、頂いていきやす」と家族総出で空の星を見ながら廊下でそうめんをすすり、男は枝豆で酒を最近はやりの銚子から手酌で頂いています。

「おかみさん、こりゃよく冷えた上酒でやすね」

「お酒はおつねさんから分けていただいたやつで、新川の河嶌屋さんの灘の下り酒だよ、それに冷やし方はコタロウさんに教わった、秘伝だよ」

「驚きやしたね、あん人は酒も飲めるんでやすか」

「バカァお言いでないよ、おつねさんのために夏冷えた酒が飲めるように瓶に工夫して酒が冷たくなるようにしてくれたんだよ」

「家の宿六のためにと同じものを届けてくれたんだよ」

「凄いもんですね、これもやはりオランダ渡りの秘伝てぇやつですかね」

「そいつは聞かなかったねぇ」とおすみさんが考えながら話を進めながら、銚子のお替りをお玉に言いつけてもって越させました。

「コタさんは凄いお子さんでやすが、今日のシチセキ(七夕)の飾の野菜の工夫ナンざ驚きやした、ねぇ旦那」

「オオそうよなんたって極上が三十組、こりゃ金の字の売り込みのおかげで全部はけたからおめぇの手柄だぜ、上の組が八十六組おめぇ残りは売れネえんじゃなくてこちらが配ったもんだから残んなかったくれぇなもんだ」

「旦那あの安く売った分は儲けが出ないんでやしょ」

「おうさ、入れ物は十文野菜に二十文で三十文で長屋の連中に売りさばいたらなんと二百組も売れちまったもんなぁ」

「コタさんに聞きやしたが、あの竹篭は前にいた長屋の子達に一組10文で編ませて、あとは例の善爺さんが仕上げたそうで、コタさんは売るだけ損するそうですぜ」

「善爺さんが言ってやしたがね、コタさんが来てこういうものを作ってくれと頼まれたが日にち的に無理ですぜというと子供たちに網のほうは編ませるから籖(ヒゴ)作りと仕上げを頼むというので子供にゃ網目がそろわねえでしょ、というと考えてみようと一組を見本に編んで貰ってすぐに、でえく(大工)の長吉さんて言うところでくしの歯の大きくしたようなやつを何十枚もこさえてきて、善爺さんの孫娘にやらせてみたら爺さんビックリたまげたと言うくらい、きれいに編めたそうでやすぜ」

「オイオイ金の字、さきおとつい品物を取りにいきゃがっていつの間にそんな長話きいてきやがった」

「ヘヘヘ、コタさんがね、善爺さんが酒がだめで甘いものならいける言うのでお土産に買って来てくれた物だそうですがね、あそこにちょいと渋皮の向けた出戻りがいて金さんまあちょいとお茶でも飲んでいきなんし」

「バカァ言って嫌がる、手前甘いものも辛いものも何でもござれたぁ恐れ入る、鼻の下伸ばして茶を何杯も飲みやがったな」

「ヘヘお見通しのとおりでやすよ、上物の縁には朱に塗った竹ヒゴで編むなんて知恵をつけたのはお清さんだそうで」

「誰だよそのお清さんてぇのは」

「例の出戻りで、ちょいとコタさんにほの字気味見たいでやしたね」

「マタァ馬鹿いってやがる、コタロウさんはまだ十三だぞ、惚れたはれたの年じゃなかろう」

「其処がコタさんの凄いところで」

「金さん安心おしよ、あの後家さんはともかくコタロウさんは学問で頭の中は一杯だよ、商売は頭じゃなくて唯の行き当たりばったりだとさ、おつねさんがそういうからそんなもんかと皆が納得してるよ、だから女にゃまだ当分目が行かないから、金さんのほの字の後家さんはコタロウさんのほうで用なしさ」

「ヘッありがたやまのほととぎす」

「なんだなぁ、はや手回しに後家さんの手でも握ったか」

「エヘヘッ、おみとうしのとおりちょいと荷物を積むときに手が触れたついでに力を込めたら、金さん人が見るからなんてぽっと赤くなりやがってうぶなもんで」

「ほんにばかだよこのしたぁ」とおすみさんもあきれ返る金助の早業です。

「極上が籠に弐朱の取り分と聞いたときは驚いたぜ、売れないときは引き取りますから、壱分で話を進めてくださいと頼まれたときや信じられるものじゃなかったぜ、店の取り分が参両三分と来たら金の字のおかげもあるからの、おめえにご祝儀で三分だそうじゃねえか」

「エッ旦那本当ですかありがてえ」と早速手を出す金助に12枚の壱朱銀をおかみさんが手渡しました。

「お玉も今度は手伝ったからご祝儀だよ」とおかみさんが壱朱銀を3枚も大盤振る舞いです。

「ところで旦那今回はどのくらい儲かったんでやしょう」

「そうサナア細かいとこは省いてもざっと八両ほどは儲けになったろうよ」

「来年もいけやすかね」

「それサァ」とおかみさんが引き取り「来年は同じようなことするものが出るから高くは売れめえよと、おつねさんが言ってたよ」

とまあ与吉さんも金助もお玉ちゃんもホクホクの夜でした。

夜が明けて七日の朝になって、近所の子達が集まり大川に笹飾を流しに出かけました。

 

 ・ 影供

いつものように朝の仕入れ途中の馬鹿話も毎度のことで。

「オイ金の字よ、昨晩はたいそうご機嫌だったが夜遊びにも行かず寝に帰っただけかい」

「そうですよ旦那、あれだけ頂いちゃもう飲みに行く必要もありやせんぜ」

「だけどよオメェいつの間にかコタさんなんて親しい間柄になったんだよ」

「エー旦那のめえですが、まだ直接お会いして親しく話したこたぁありやせん」

「そりゃ誰の前でも同じこった」

「ヘエヘエ左様でござい、そんででやすね、小頭の岩さんのところに居る長吉の野郎をご存知でやしょ」

「オオおめえの従兄弟だとか言う葛西の大百姓のせがれかい」

「大百姓てほどでもないんでやすがね、そいつが見たんですよ、端午の節句あたりのことだそうですがね、柳原土手のところで茶やの娘が悪酔いしたどこかの奴3人ほどに絡まれているのを、若いお侍が無体をするなとたしなめたと思いなせえ」

「オオそれからどおした」

「合いの手はよろしいでやすよ、そしたら奴の野郎が二本刺してるからとししゃりでるネイ、田楽だって二本刺してるぞ、などと悪態をつきやしてね」

「どおしたどおした」与吉さんも悪ふざけが好きなようで。

「若いお侍が刀に手をかけたときに、スーット、コタさんが路地から出てきて、いかがされました若様ときたもんだ」

「おお虎太郎かこやつが無体をいいよるゆえ腹に据えかねたところじゃと、のたもうたね、其処でコタさんが奴に向かって昼日中から街中で酒に酔っての無体は慎みなせえと、啖呵をきったもんだ」

「こらこら、そりゃ啖呵と違うだろ」

「こりゃ言葉の勢いってもんでサァ、ところが奴が子供と侮り、拳を振り上げ殴りかかったもんだ、そうしたら奴のやつがどうしたもんだか二、三間も向こうにすっ飛んでしまったそうでやすぜ」と大八を引く手を離して振り回します。

「そしたら残りの連中が二人掛かりで殴りかけたもんでやす、コタさんがスーと前に出たらまた二人がもんどりうって、まるで芝居の立ち回りみたいにコタさんは何もしないのにトンボを切ったように見えたそうでやすぜ」

「それを見ていた若様といわれたお侍が見事である、と威厳のある声でおっしゃられたそうでね」と団十郎ばりに声を張り上げます。

「岩さんと長吉達が駆けつけた時には奴たちが天狗だぁ、キリシタンバテレンの術だぁとわめきながら逃げ出したところだそうでやすよ」

「それこそあっという間に片がついて、二人は笑いながら和泉橋を渡って行ったそうで」

「そのあと岩さんたちがあの方々は大身の若君と影供の柔術の達人だと見物の人たちに吹聴してから茶やの娘に事情を聞いたそうでがんす」

「オイオイ又聞きの又聞きかい、それにしてもおめえの話す言葉は葛西の言葉か深川の言葉かよくわからねえ」などと言ううちに大根河岸につきました。


 ・ 中秋

今日はお月見、先だっての六夜待ちは主に大人の月見とすれば、今夜は家族でお月見を楽しみます。

八百茂さんでは七夕と同じ盛り籠を用意して同じくらいは売れたようです。
まだ今日はまねをする店は出ていず同じような値段で売りさばくことが出来ました。
コタロウさんは手数料なしで、実費で善爺さんに儲けさせてあげたそうです。
「コタさんは欲がなさすぎだよ」とおつねさんがいえば、「深追いしても利が薄くなるから、やりたい方に遣らせて置くのが恩を売ることにもなって、あとでいい事があるよ」と取り合いませんでした。

八百茂さんにも「半分売れたら損が出ない程度におやりください」とおつねさんに言ってもらうほどの気は配っていました。
「おすみよう、コタさんには、御礼をしなきゃいけねえなぁ」
「もちろんですよ、でも今回はそちらで儲けてくれというからには、お金でなくて商売ものでもお届けすれば、喜ばれますよう」
「そうかじゃ栗や柿の良いのが出たらお届けしてくれよ」と話もついて八百茂さんの夜の宴が始まりました。

最近お容ちゃんの出番が少ないですが朝から晩までお稽古に汗を流していて、大人の会話には無理して加わらない分別もついてきました。

例によってお玉や金助の馬鹿話でお酒も進みますし、お容ちゃんにリクエストが多く家に居ても音曲付きで楽しめますし、昔習った小唄、端唄で与吉さんもおすみさんも加わってのどを競います。
「エー、おかみさんにお伺いしゃすが、コタさんはなぜアンナに商売が盛んになったんでしょうね」と金助が酔った勢いで普段は聞けぬことを聞いてきました。
朝の仕入れでも親方が知らないので「おすみに聞いてみな」と知恵を点けられてのことです。
「おんや、お清さんから聞いてないのかい」とおすみさんも当てこすりを言います。
「テヘヘそれが、しらねえらしいでやすよ」と付き合ってることを白状してしまいます。
「今年の正月二日のことと思いねえ、まだ須田町にいた頃のことさ」とおすみさんが話し出しますと与吉さんも身を乗り出します。

「おつねさんが河嶌屋(かわしまや)さんの先代が隠居したときにお世話になったのはみなも承知だろうけど、今の旦那の嘉兵衛(よしべえ)さんに新年の挨拶に伺うについて虎太郎さんとお琴ちゃん、前はお幸ちゃんといわれていた子を連れて3人新川に出かけたと思いなよ」と話を続けます。
「乙女橋から新川に出たところへ、二の橋を霊巌島から渡ってきた岩さんとばったりさ」
「どちらまでとコタロウさんが聞くと、オウサ千組の隠居に挨拶してきたところだ、といわれたところでコタロウさんにはさっぱりだから、おつねさんが岩さんの叔父さんだよと教えたもんだ」とおすみさんも話しに熱が入ります。

「河嶌屋さんにご挨拶に、とおつねさんがいうと店の前まで一緒にというので、お幸ちゃんをからかいながら、しばらく話しながらのんびり歩くとさ、中から手代が飛び出してきたので、すわ大事件かと岩さんが色めきたったところにさ、おつねさんの顔見知りの番頭さんが心配顔で出てきたのさ」話が長引きそうなので与吉さんがちょっと待ってくれと厠に。
「オヤ私もと」夫婦で中座しました、帰りにつまみに出汁用の煮干しを小皿に二つ。

「どういたしました」
「旦那様が昼餉の御餅をのどに詰まらせまして、医者を」全部を聞かぬうちにコタロウさんが「急ぎますから、岩さんも一緒に奥に通ります」と番頭さんをせかして奥に通ると、「岩さんに旦那さんに後ろから抱き付いてこぶしを脾腹に当てて上にぐいと力を入れて引き上げてください」と岩さんの腹の位置で場所を教えすぐさま岩さんが抱きかかえたもんだ。
大男の岩さんが力いっぱいにグイと持ち上げると、ゲッとばかりに旦那がのどに詰まった餅を吐き出したもんだ。
紫色の顔に赤みが戻りぜいぜいと息をしていた旦那が「オヤお前さんがたは誰だい」と気が付いたようです。

「千組の隠居の甥の岩吉といいやす」と岩さんが言えば「旦那ご無事でよござんした」とこれはおつねさん。
「オヤおつねさんじゃないかい、この子らは誰だい」そりゃ見知らぬ子が二人も座敷にいれば驚くのが普通です。
「私が地震のあと一緒に住んでいる親とはぐれた子達ですよ」というと「旦那様このお子が岩吉さんに旦那の介抱をお指図してくださいました」と番頭さん。
其処に医者が到着したが、店で聞いたらしく「よかった良かった、幸ちゃん(嘉兵衛さんの幼名)おめえが助かったのはこの人たちのおかげだよ、おいらにももちが詰まったのはなかなか取り出せねえよ」と医者が言ったもんだ。

おすみさんが「何でも幼なじみだそうだがモチは難しいらしいね」
「もちが詰まると口が開いても噛みつかれるので手がはいらねえんだ」とこれは与吉さん。
「でね、そのあと旦那がさぁ、困ったときは何でも相談しろといって、おつねさんに今の境遇を色々と聞いて、京、大阪の名品を数々おつねさんに特別に仕入れて卸す様にしてくれたんだよ」
「それも店の商売とは別の自分用にして利を取らないものだから、おつねさんは丸儲けさ、それと新しい店を出すについちゃ番頭さんが出向いて養繧堂さんと相談してくださってね、暖簾から何から面倒見てくれたもんだ」

「それだけであんなに儲けが出たと噂ですかね」と金助。
「お清さんがそういったかい」とおすみさんが言うと頭をかきながら
「あいつがね、お前さんも頑張って才覚して店を持ってくださいよ、なんてねへへへ」
「また白状しゃがった、こら金の字所帯を持つ気になったか」
「考えてはいるんでやすが、こちらが良くてもあちらがね」
「ばかあいえよ、おめえに気が有るなら口利くぞ」
「旦那そりゃもう少し待ってくださいやし」とまあこんな事情で。
「夜に永代を往復するのも冬はつらいぞ」など与吉さんがおどします。

「噂だけじゃなくてお店の話はもう金の字も聞いたんだろ、例の月代わりに安売りして見本の品を売り切ってることは」
「ついこの間2分で珊瑚珠の簪を買ってやりましたよ、この間ほしいけど半分でも手がでやしないというので金を渡して店の前に並ばせやしたがね、よく似合うのなんのって」
「このやろう先月の儲けを使ってもうそんなことしてやがる」と与吉さんも呆れ顔。

と、お容ちゃんが調子を変えて、

♪ 悪止めせずとも  そこを離せ  明日の月日が無いじゃなし

  止めるそなたの心より  帰るこの身は

  エー  まーどんなに辛かろう

 とまあこんな家族でございます、月も煌々と夜空に輝きさわやかな川風が町家の庭に流れ、お容ちゃんの歌声も冴え渡ります。

   
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