平成25年5月23日 戸隠神社参拝記


 昔、父が「戸隠神社に行ってきたが、あそこは本当に聖域という感じがする。」と語っていたことがあります。

 この戸隠神社は、神代の昔、天照大神が、弟である素戔鳴尊の乱暴狼藉を怒って天の岩屋へ隠れてしまった際、他の神が何とか岩屋から天照大神を出そうと相談をします。その時、天八意思兼命(戸隠神社中社の祭神)が「岩戸の前で踊り歌い、天照大神の興味を引く」という方法を考え出しました。
 天の岩屋の前で踊りの上手な神である天鈿女命(戸隠神社火之御子社の祭神)が踊り、他の神が騒ぎ立てると、岩屋の中の天照大神は何事がおきたのかと岩戸を僅かに開けて外を見たのです。すると、岩戸の外で待ち構えていた天手力雄命(戸隠神社奥社の祭神)が岩戸を全部開け、天照大神を岩屋から出してしまったのです。天手力雄命は、岩戸を下界に投げ捨ててしまったのですが、その岩戸は日本の真ん中あたりに落ちました。この時、天手力雄命が放り投げた岩戸が戸隠山になったという話なのです。日本の神話の中でもかなり有名な話なので知っている人も多いと思います。

 戸隠神社は山中にあり、5つの社に分かれています。道路脇にある社もありますが、奥社と九頭龍社は長い道を歩かなければなりません。このようなことから、おそらく長野県内の大きな神社の中では、最も参拝に労力を必要とするところでしょう。多分人生でそう何度も来ることはないかも知れません。もしかしたら一生一度かも知れない。全国的にも名を知られた神社であることから、いつか行ってみようと思っていましたが、思い切ってこの日(平成25年5月23日)に行こうと計画を立てたのです。目的は戸隠神社だけではなく、長野市松代にある象山神社、皆神神社、善光寺の参拝も含まれていましたが。
 この日は素晴らしい晴天で、写真撮影には絶好とも言える天気でした。朝7時半に自宅を出発し、長野市松代に到着したのは8時頃でした。すぐに象山神社と皆神神社に参拝し、スマートフォンのナビ機能を駆使して戸隠神社へ向かいました。

 長野市街地から登っていった際、一番最初に参拝できるのは「宝光社」という建物です。近くに駐車場があるので、そこに駐車して参拝しました。

■ 宝光社


 宝光社参道の鳥居です。



 宝光社についての説明書きです。



 「誰だ、こんな危険な階段を作ったのは。」と、ツッコみたくなるような、非常に急勾配で長い階段です。はるか上の方に宝光社社殿の屋根が小さく見えます。正直、「最初で、もうこんな試練か・・・。」と不安になりました。



 もう少しで階段を上り切ります。写真撮影の際も、バランスを崩して階段を転げ落ちないだろうかとすごく心配になります。



 宝光社社殿です。正直、びっくりするほど荘厳な社殿でした。



 社殿の脇は工事中で、クレーン車などの重機が忙しく動いていました。

 階段を上る時も怖かったのですが、参拝を終えて下る時もかなり怖いです。高所恐怖症の方は注意したほうがいいです。
 車に戻り、ちょっと登ったところにある火之御子社に向かいます。










■ 火之御子社


 この鳥居は道路のすぐ脇にあります。社殿の屋根も鳥居の上に見えています。鳥居の脇には小さな駐車場があります。



 火之御子社についての説明書きです。



 火之御子社社殿です。宝光社とはうって変わり、苦労なくたどり着きました。

 火之御子社を後にし、更に車で登っていくと、土産品店や旅館が立ち並ぶ場所に出ます。そこを過ぎれば中社に突き当たります。中社からさほど離れていないところに駐車場があるので、そこに駐車しました。










■ 中社


 中社の参道と鳥居です。



 中社についての説明書きです。



 宝光社ほどの苦労はなく、中社社殿にたどり着きました。



 写真からではわからないと思いますが、実は結構参拝客が来ていました。社殿前から一瞬参拝客の歩く姿が消えたので、すかさず撮影した画像です。境内には社殿の他、社務所や「青龍殿」という宝物館もあります。今回、宝物館は拝観しませんでした。
 ちなみに、中社の境内の一角にはまだ雪が溶け残っていました。


 駐車場に戻り、更に山道を車で登っていきます。なお、長野市街地から奥社参道入口までは舗装された道路ですので、普通に車でたどり着けます(麓から歩いて参拝するコースもあるのですが、完全に一日費やしそうなので今回は見送りました。)。奥社参道入口の近くにある有料駐車場に駐車し、歩いて参道に向かいます。










■ 奥社・九頭龍社

 さて、戸隠神社参拝のハイライト、奥社参拝です。


 奥社・九頭龍社に通じる参道です。ここからは参拝客の車は通行できないので歩きになります。片道40分ということですが、所要時間を聞いただけでも結構厳しいですよね。



 奥社参道の大鳥居です。遠くに見える参拝客の姿を見ると、先が思いやられます。



 先が見えないほど長い参道です。奇跡的に参拝客の姿が目立たない参道の様子を撮影できました。・・・逆に遠さが強調されたような気もしますが。



 奥社参道入口から歩くこと20分。ようやく中間地点である「随神門」に来ました。



 随神門を抜けると、テレビなどで見たことのある杉並木が現れます。本当に壮観です。



 杉並木の道にカーブが出始めました。この直後、奥社参道は足場・勾配ともに非常に厳しくなります。途中でおばあさん二人組が「引き返そうか迷っている」なんて言ってました。僕も「下手な登山よりも疲れる」と心配になりました。あまりの厳しさに歩くのに一生懸命で、写真撮影をしばらく忘れてしまったくらいです。



 やっと、最終地点が見えました。奥に見える岩山が、戸隠山・九頭龍山です。



 九頭龍社の社殿です。奥社社殿とは隣り合っていると言っていいほど近くにあります。



 九頭龍社についての説明書きです。



 奥社社殿前の鳥居です。



 戸隠神社奥社社殿です。



 奥社についての説明書きです。



 奥社社殿です。参拝客が一瞬いなくなったので、すかさず撮影しました。


 帰りがけ、杉並木を歩いていると見知らぬ中年男性3人組に「もう参拝を終えたんですか?」と話しかけられました。なんでも、僕が中社で一生懸命写真撮影をしているのを見かけたらしく、印象に残っていたんだとか。

 参道を引き返し、駐車場に戻ったのは12時半過ぎでした。駐車場を後にし、山を下って善光寺へ向かいました。善光寺については「長野県内の国宝」のコンテンツで紹介しています(参拝の様子を詳細に記録したのではなく、国宝としての善光寺の紹介ですが)。善光寺を参拝し終えた時にはもう余力がありませんでした。長野市内にいる友人と会おうかとも思ったのですが、とても無理でした。

 奥社・九頭龍社参拝の際は、登山靴やトレッキングシューズを履くことを強くお勧めします。ちゃんとした運動靴ならば対応できるかも知れませんが、ファッション性の高いスニーカー(靴底の凹凸が少ないタイプ)では危険だと思います。僕はこの日の2日前に特殊部隊でも愛用者が多いと言われているトレッキングシューズ(メレル モアブミッド)を購入し、それを履いて参拝に臨んだので、歩行に関しては問題ありませんでした。
 水分補給できるように飲み物も持っていった方がいいです。参道の途中には自動販売機はありません。あと、状況によっては帽子もかぶっていきましょう。奥社参拝は「軽い登山」だと思った方がいいです。

 素晴らしい晴天で日差しも良かったのですが、心地よい風が吹き渡っており、気持ちよかったです。いい日に参拝できたなぁと嬉しくなりました。