平成24年1月6日、1月26日 長野県内神社参拝行脚


 最初に言っておきますが、うちは仏教徒です。でも、「仏教徒だから神道は認めない」というつもりは毛頭ありません。凝り固まらずに「日本古来の神様にもちゃんと尊敬の念を抱こう」というスタンスです。
 さて、思うところあって僕は「長野県内の有名な神社には参拝しておきたい」と考えるようになり、いろいろと巡ってみました。その様子をここに掲載しようと思います。

 なお、神社の説明にある「社格等」というのは、一応の目安として加えていますが、神社の格式は現在全て平等とされているそうです(伊勢神宮は別格とする)。参考程度にお考えください。
 予備知識として、下記に昔の神社の格付け的な事柄を紹介しています。ただし、これは「このページを見ている人が何となく分かってくれればいい」という程度に簡単に記したものなので、資料として使うのはおやめください。




※ 近代社格制度
 明治〜第二次世界大戦時まで続いた、神社の格式を定める制度。第二次世界大戦後廃止されているが、神社の格式を一応如実に表しているという事で、用いられることが多い。
 官幣社は皇室(宮内省(当時))から、国幣社は国庫から例祭における幣帛が供進されたという違いがある。府県社は府や県等の庁から奉幣を受けていた。
 序列については、明確かつ厳然とした待遇差があったわけではないらしいが、一応、
      @官幣大社 A国幣大社 B官幣中社 C国幣中社 D官幣小社 E国幣小社 F別格官幣社
という順があったらしい。
 ここでいう社格とはあくまで国による待遇の度合を表したものであり、その神社が集める信仰の厚さや御利益の度合等を表したものではない。
 長野県では官幣大社が諏訪大社、国幣中社が生島足島神社、国幣小社が戸隠神社、穂高神社。


※ 一ノ宮、二ノ宮等
 昔、国司が赴任先に赴いた時には、その国で格が高い神社に参拝するしきたりがあり、一番初めに参拝すべき神社を一ノ宮と呼ぶようになった。国によっては二ノ宮、三ノ宮もあり、一部の国では四ノ宮までが決められていた。ただし、神社の栄枯盛衰もあったため、時代によって変わっていることもある。
 長野県(信濃国)では諏訪大社が一ノ宮、小野神社と矢彦神社が二ノ宮、穂高神社と沙田神社が三ノ宮、武水別神社が四ノ宮とされている。二ノ宮と三ノ宮が2社並立している理由は不明。


※ 式内社
 西暦927年にまとめられた『延喜式』の巻九・十である延喜式神名帳(えんぎしき じんみょうちょう)に掲載された神社を式内社という。式内社は全国で2861社ある。昔から存在していた神社の目安として、一種の社格にはなっているが、朝廷の勢力範囲外の神社などは入っていないなど、政治色が濃い選定となっている。


※ 名神大社
 名神(みょうじん)は日本古来の神々の中で特に霊験著しいとされる神に対する称号であり、前述の『延喜式』に特に名神と記載されている神社を「名神大社」と呼ぶらしいが、詳細は不明。
 長野県では、諏訪大社、穂高神社、武水別神社、健御名方富命彦神別神社、生島足島神社。


※ 別表神社
 神職の人事に特別の扱いを要する神社のこと。「人事規定の別表に挙げられている神社」であることから、別表神社と呼ばれる。神社の格付けではなく、神職の人事のみ関係する区分けであるが、結局この別表に挙げられる神社は、社殿・境内・神職の数などの面で比較的大きな規模の神社であり、一般的に「格付けの一つ」として捉えられている。長野県では、諏訪大社、生島足島神社、戸隠神社、穂高神社、若一王子神社、武水別神社、四柱神社、深志神社、手長神社、長野縣護国神社。












平成24年1月6日
第一次参拝行脚

 この日の朝、僕は自宅を出発し実家に帰省したのですが、その途中、初詣をしていきました(一般的には初詣は正月三が日と言われていますが)。初詣先の選定にあたっては、

「帰省のルートから大きく外れない場所」
「昔住んでいたなど縁があり、かつしばらく行ってない場所」
「由緒正しい神社仏閣」

という条件をつけ、結果、長野県安曇野市、長野県千曲市、長野県上田市を巡ることに決めました。「神社仏閣」というくらいですから、この時は寺院も巡っていますが、このページは神社に特化して作成したので、寺院の事については参拝した事実を簡記しただけです。






信濃国 三ノ宮
穂高神社(ほたかじんじゃ)

所在地・・・長野県安曇野市(ただし奥宮は上高地、嶺宮は奥穂高岳頂上)
主祭神・・・穂高見神(ほたかみのかみ)
社格等・・・旧国幣小社、信濃国三ノ宮、名神大社、別表神社


 安曇野市には平成17年春から平成19年春までの2年間住んでいました。この穂高神社には仕事の関係で一度来たことがあるのですが、ちゃんとした参拝は初めてになります。「日本アルプスの総鎮守」とも呼ばれています。


穂高神社 本宮 手前から鳥居、神楽殿、拝殿


穂高神社 本宮 拝殿










信濃国 四ノ宮
武水別神社(たけみずわけじんじゃ)

所在地・・・長野県千曲市
主祭神・・・武水別大神
社格等・・・旧県社、信濃国四ノ宮、名神大社、別表神社


 千曲市には平成13年秋から平成15年春までの1年半住んでいました。この武水別神社には仕事の関係で二度来たことがあるのですが、ちゃんとした参拝は初めてになります。この地域随一の八幡宮として武士の崇拝を集めていたらしく、木曽義仲や上杉謙信が戦勝祈願したそうです。


武水別神社 社務所(左端)、本殿(中央左寄り奥)、拝殿(右手前) 


武水別神社 本殿




 武水別神社から生島足島神社へ向かう途中、信州の鎌倉と呼ばれる「上田市別所温泉」を巡り、常楽寺、北向観音、安楽寺を参拝しましたが、このページでは省略します。「旅行記」のコンテンツ内にある“その他”のページに掲載しています。




通称 日本総鎮守
生島足島神社(いくしまたるしまじんじゃ)

所在地・・・長野県上田市
主祭神・・・生島大神、足島大神
社格等・・・旧国幣中社、名神大社、別表神社


 この生島足島神社は中学の社会見学で1回、家族で3〜4回来ています。実家から最も近い大規模神社になります。一説によると、この生島足島神社は長野県内の神社の中では諏訪大社に次いで御利益があるのだとか。日本の中央に位置している神社とされ、「日本総鎮守」とも呼ばれています。「信濃国○ノ宮」という中にはその名は見えませんが、社格等を見れば長野県屈指の由緒正しい神社であることが分かります。


生島足島神社 御本社
右に見えるのは御神橋。通常は参拝者は渡れません。


生島足島神社 御本社


 生島足島神社の直近にある長福寺にも参拝しましたが、このページでは省略します。「旅行記」のコンテンツ内にある“その他”のページに掲載しています。

 こんな感じで第一次参拝行脚は終了し、実家に戻りました。やはりこういった聖域の清浄な雰囲気に触れるというのは良いものです。素晴らしい初詣となりました。










★★★★★★★★★★










平成24年1月26日
第二次参拝行脚

 この日僕は、仕事の関係で松本地方に行くことになりました。更に、この仕事とは別に、他の課の課長から「ついでに諏訪地方に行ってもらいたい。」と、もう一つ仕事を頼まれてしまったのです。通常ならば「面倒くさい」と思って然るべき場面ですが、僕は「ピン」ときました。せっかくの諏訪地方行きと松本地方行きを利用しない手は無い、と。
 松本地方での仕事は午後からです。諏訪地方での仕事は結構時間的に自由が利きます。松本地方での仕事も諏訪地方での仕事も、仕事時間は10分程度で終わってしまう内容。諏訪〜松本間は30キロメートル程度。しかも雪がちょっと積もっている。・・・素晴らしい好条件です。
 「雪で道路状況が悪いと思うので早めに出ます」ということで、職場をかなり早く出発。朝9時ころ諏訪地方へ行って仕事を済ませ、昼前まで諏訪大社を参拝。昼休みの時間に小野神社と矢彦神社を参拝。午後1時ころ松本地方で仕事を済ませる・・・という計画を急遽立てました。そして実際に計画通り、いや、計画以上の行動ができました。





信濃国 一ノ宮
諏訪大社(すわたいしゃ)

所在地・・・長野県諏訪湖周辺(四ヵ所)
主祭神・・・建御名方命(たけみなかたのみこと)、八坂刀売命(やさかとめのみこと)
社格等・・・旧官幣大社、信濃国一ノ宮、名神大社、別表神社、正一位


 言わずと知れた長野県で最も有名な神社です。全国に6500社ある諏訪神社の総本社で、鹿島神宮・香取神宮とともに武勇の神・武門武将の守護神として崇められています。諏訪湖周辺に4つの境内を持ち、それぞれに社殿があります。
 小学校5年生の時、社会科見学で諏訪湖周辺を回り、その時に諏訪大社へ来たことがあります。しかしながら、その時は多分1社か2社回っただけだと思います。今回は4社すべて参拝するのが目的です。

諏訪大社 上社 前宮

所在地・・・長野県茅野市


諏訪大社 上社 前宮 鳥居


諏訪大社 上社 前宮 拝殿





諏訪大社 上社 本宮

所在地・・・長野県諏訪市


諏訪大社 上社 本宮 参拝所(手前) 拝殿(右奥)


諏訪大社 上社 本宮 拝殿




 諏訪大社上社本宮の直近にある法華寺にも参拝し、下諏訪町へ向かいました。




諏訪大社 下社 春宮

所在地・・・長野県諏訪郡下諏訪町


諏訪大社 下社 春宮 鳥居


諏訪大社 下社 春宮 幣拝殿





諏訪大社 下社 秋宮

所在地・・・長野県諏訪郡下諏訪町


諏訪大社 下社 秋宮 鳥居


諏訪大社 下社 秋宮 幣拝殿





 下諏訪町を後にし、一般道を通って岡谷市を抜け、塩尻市に行きました。





信濃国 二ノ宮
小野神社(おのじんじゃ)


所在地・・・長野県塩尻市
主祭神・・・建御名方命(たけみなかたのみこと)
社格等・・・旧県社、信濃国二ノ宮

 初めての参拝になります。坂上田村麻呂や木曽義仲が戦勝祈願のため参拝しているほか、武田勝頼が鐘楼を寄進するなど、由緒正しい神社です。


小野神社 鳥居


小野神社 拝殿




 小野神社と矢彦神社は隣接しており、「同じ境内に神社が二つ並んでいる」と思えるほどです。




信濃国 二ノ宮
矢彦神社(やひこじんじゃ)


所在地・・・長野県上伊那郡辰野町(小野神社の横。この矢彦神社の境内は地図上では塩尻市内に存在する“辰野町の飛び地”である。)
主祭神・・・大己貴命(おおなむちのみこと)、事代主命(ことしろぬしのみこと)
社格等・・・旧県社、信濃国二ノ宮

 初めての参拝になります。上伊那郡54ヵ村の総鎮守とされ、源頼義・義家や木曽義仲が社殿を造営しているなど、厚い信仰を集めていたそうです。


矢彦神社 鳥居 (奥に見える建物は神楽殿)


矢彦神社 拝殿




 さて、ここまでは計画通りでした。午後1時過ぎ、仕事を終えた僕は勤め先に「仕事終わりました。これから帰ります。」という電話連絡をしたのですが、ふと、以前インターネットで調べた時に知った「松本市内に信濃国三ノ宮がある」という事実を思い出したのです。急いでスマートフォンでウェブ検索してみたところ、その神社の名前は「沙田神社」。はっきり言って、場所はよく分かりません。
 「時間的には厳しいかもしれない。しかし、ここまで来てこの神社をスルーするのは得策では無い。」と考えた僕は、思い切って「なんとなくこっちの方面だと思う」という勘だけを頼りに車を走らせました。
 ・・・勘は当たっていました。神様の導きかもしれません。




信濃国 三ノ宮
沙田神社(いさごだじんじゃ)


所在地・・・長野県松本市
主祭神・・・彦火火見命(ひこほでみのみこと)
社格等・・・旧県社、信濃国三ノ宮、式内社

 初めての参拝になります。坂上田村麻呂により社殿が造営されたそうです。


沙田神社 参道の鳥居


沙田神社 拝殿


 こんな感じで第二次参拝行脚は終わりました。
 さて、これで信濃国一ノ宮から四ノ宮までは参拝したのですが、長野県内にはまだまだ有名な神社はあります。とりあえず長野県内の神社の次の目標は戸隠神社、仁科神明宮(国宝)、長野縣護国神社といったあたりです。
 というか、日本の神社の頂点である伊勢神宮に行かなくては。