キングコブラ | (コ):インドや東南アジア産。毒蛇界の帝王。眼が凄い。
因みに、ヘビの名前に“キング”がつくのは「ヘビ喰いヘビ」を意味し、
「王様のように立派」の意味ではないようだ。
(もっとも、キングコブラは王様にふさわしい。)
或る研究所がヘビ毒を研究していて所員がこのヘビに咬まれた。
ストックしている全ての血清を打って一命をとりとめた。
キングコブラに咬まれて助かった唯一の人とか。
蝶界のミニコミ誌TSUISOに、昔プロの体験談が載っていた。
熱帯雨林を散策中、繁みでガサガサ音がする。
ヘビなら揶揄ってやろうと思ってちょっかいを出したら
キングコブラだった。さぞや吃驚しただろうな!! |
インドコブラ | (コ):インド周辺。ヘビ使いが使っているヘビ。
フード(体を膨らます)や目玉模様で知られる。
目玉模様にはいろいろなパターンがあって可笑しい。 |
アマガサヘビ約10種
(インドアマガサ、
キイロアマガサ、
タイワンアマガサetc) | (コ):インド、東南アジア、台湾に生息。
猛毒の持ち主として知られる。名前の由来だが、
台湾の“雨傘”に似ているからという説がある。
なおウミヘビもコブラ科に属するが、
アマガサヘビの先祖が海に進出していったと云われている。
だからウミヘビも毒蛇で、
ベルチャーウミヘビの毒は、ヘビ界(陸棲、海棲)最強とのこと。 |
ブラックマンバ | (コ):アフリカに生息。
猛毒、長大、敏速、攻撃性、被害の大きさ、によって最も有名な毒蛇。
あまりに速いので、テレポーター(瞬間移動能力者)と云われている。
つぶらな瞳で人気がある。
抗毒血清が開発される以前は、このヘビに咬まれると、
およそ20分以内で確実に死に至ったそうだ。
これが、死への最短時間で、これより猛毒のヘビはいそうにもない。
(小説にはでてくるが) |
エジプトコブラ | (コ):アフリカに生息。
クレオパトラが自殺に使ったヘビと云われている。と云っても、エジプトには、他に然るべき毒蛇がいないからであって、別に根拠はない。
そもそも、「毒蛇による自殺」は、プルタルコスの創作ではなかろうか?
(全く関係はないが)頼山陽も屈指の名文家と云われているが、
彼の「日本外史」は法螺話と云われている。
名文家というのはどうも筆力が、事実を凌駕・補完するらしい。
学者も、もっともらしい“専門用語”、数式が、内容を凌駕する。
例えば「ESSの理論」、あれは何だ??? |
ドクハキコブラ類
(クロクビドクハキ
コブラ、リンガルスetc) | (コ):アフリカ。
毒液を相手の目に吐き飛ばす。相当正確らしい。
アジアのコブラ類でも、こういう芸当をするのがいる。
クサリヘビ科にはいないから、溝牙に関係があるのか? |
タイパン | (コ):オーストラリア、東南アジア
近年、インランド(内陸)とコースタル(沿岸)の2種に分かれた。
インランドタイパンが、陸棲毒蛇で最強の毒を有すると云われている。スピード豊かと云われるがおとなしいようで、
あまり被害はないようだ。 |
他のオーストラリア
の毒蛇 | (コ):オーストラリアの毒蛇
全てコブラ科である。
ブラウンスネークという猛者が、
郊外のピクニック家族の傍を通っていく映像を見たことがある。
また、死亡率トップのタイガースネーク(別種だったか?)が
絶滅危惧種になって今や保護されているというニュースを
読んだ記憶がある。
これがアングロサクソン流、万事筋金入りなのである。
オーストラリアから侵入してきたセアカゴケグモに
大騒ぎする日本とは大違いなのである。
デスアダーは、ズングリムックリしてコブラらしくない。
(コブラ科は概ねスマートである)
デスアダーは、ツチノコのモデルと云われたことがある。
サイトでご覧あれ。 |
ブッシュマスター、
ヒャッポダ(百歩蛇) | (マ):日本のマムシの親戚。
台湾のヒャッポダは体長1m程、
南米のブッシュマスターは3mを超すのもいるらしい。
日本のマムシは50cm位だから、それぞれマムシの兄貴分、大親分なのである。ヒャッポダは咬まれると百歩進まないうちに死ぬというのが名前の由来だが、勿論そんなことはない。
ただ、マムシの倍もあるのだから、
咬まれた際のダメージは想像を絶する。
ヒャッポダに足を咬まれながら病院にもいかず、
懸命に家の手伝いをしていた台湾の少女のドキュメンタリーを
読んだことがある。
両親は働きに出ている。自分が、一家を支えねばならぬ!
たまたま現地を訪れていた日本の医師一行が足を切断して
命を救ったのだが、その少女は決して涙をみせなかった。
多分家族のことを考えて、泣く余裕もなかったのではなかろうか?
手術中はすぐ下の妹が、皆の面倒を見ていたそうだ。
ブッシュマスターは名前の通り“森の主で”、
3mを超す大マムシというのは想像を絶する。
おとなしいという説もあれば、
地域によっては攻撃的という説もあって、
茫漠としているのがいかにも“主”らしい!!
非常に稀な種のようで、プロでも見たことのある人は少ないらしい。 |
ラッセルバイパー | (ク):台湾、東南アジア、インドに生息。ラッセルクサリヘビとも云う。
クサリヘビ科のヘビは背中の鎖模様が特徴なのだが、
確かにこのヘビはその典型。クサリヘビ科だから出血毒のヘビだが、
このヘビは神経毒も相当強いらしく、つまり始末が悪いのである。 |
カーペットバイパー
(ノコギリヘビ) | (ク):インド、中東、アフリカ。
威嚇する時に、ノコギリのような音(ジージー)をだす。
これはYouTubeで聞くことが出来る。
50cm位のヘビだが、猛毒で個体数も多く被害甚大。
カーペットのように目立たず、しかも逃げないから、
踏みつけたりしてガップリ咬まれるらしい。
インドでは、カーペットバイパー、インドコブラ、インドアマガサ、
ラッセルバイパーが、被害の大きい四大毒蛇と云われている。
毒蛇が多い地域では、ヘビの同定が大変だ。 |
ガブーンバイパー
ライノセラスバイパー | (ク):アフリカに生息。
ガブーンバイパーは2m弱、10kgの個体も確認されているから
相当大型である。
デブ、ユーモラスな顔、大きい口、大きい毒牙、おとなしい性格、
だから毒蛇マニアには垂涎のヘビなのである。
YouTubeで餌に喰いつく映像を見ることが出来る。
おとなしいと云っても、獲物に喰いつく時は流石に速い。
これが毒蛇!と実感する。
ライノセラスバイパーはニシキツノクサリヘビとも云われ、
カラフルな色彩で人気がある。
両者一緒に語られることが多いから、兄、妹を連想する。 |
パフアダー | (ク):アフリカに広く分布する。
猛毒で個体数も多いから被害も大きい。
恐れられているヘビなのだが、不思議なYouTubeを見たことがある。
アフリカの草原でパフアダー(1.5m位か)とウサギが出会った。
するとウサギが猛然と攻撃し始めたのである。
ヘビの廻りを走り回って蹴飛ばそうとする。
ヘビも最初は応戦していたが、堪らず逃げだし木に登っていった。
ウサギはしつこく木の廻りを走っている。
これは何だ?子どもを必死に守っていたようにも思えない。
それに、例えばイタチ科のオコジョやイイズナなら(20cm位)、
ウサギがどんなに頑張ろうと、簡単に捻ってしまう筈である。
つまり、これがヘビの実力であると思う。
待伏せ攻撃なら人をも倒すけれど、
白兵戦ならウサギにも遅れをとるのである。
そう云えば、4〜5mのアナコンダが1.5m位のジャガーの餌食になっていた。ヘビは文字通り“蛇蠍”の如く嫌われているけれど、
こんなに弱いのだから何だか可哀想になってくるのである。
(確かに被害は大きいのだろうが・・) |
ガラガラヘビ約30種(
ニシダイヤガラガラヘビ
ヒガシダイヤガラガラヘビ
カスカベルガラガラヘビetc)
| (マ):北米、中米、南米に約30種生息している。
けれど、意外にも北米が中心なのである。北米には、
ニシダイヤとヒガシダイヤの共に2mを超す大物が頑張っている。
ガラガラヘビはrattle snakeと云われるが、
rattleは、日本の子どもの玩具ガラガラのことらしい。
YouTubeでその威嚇音を聞くことが出来るが、
私には“シャー”としか聞こえない。
西部劇では良く撃ち殺されていたけれど、
今ではどれも死屍累々といったところらしい。
南米ではカスカベルガラガラヘビ1種となる。
カスカベルは教会のベルのことらしいが、
御本尊はそんな可愛らしいものではなく、南米で恐れられている。
北米から、他のガラガラヘビはどうして進出しなかったのだろう?
進出しても後述のアメリカハブ達にブロックされたのだろうか?
カスカベルガラガラヘビの進出成功の秘訣は?
興味は尽きないのである。 |
アメリカハブ約30種
(フェルドランス、
テルキオペロ、ジャララカetc) | (マ):アメリカハブはヤジリハブとも云われる。
咬まれたというよりは槍で突かれたと思う程に強烈で
(だから注入される毒量も多く)、しかも猛毒である。
中でも例に挙げた3種に咬まれると致命的らしい。
フェルドランスはフランス語で“槍の穂先”、
テルキオペロはスペイン語で“ビロードの絨毯”の意味らしい。
動かずじっとしている所に近づいて槍で突き刺されるわけだ。
日本のハブに近縁であるが、獲物の鼠を追って、
畑や人家の周囲に出没するのもハブに似ている。
因みに、日本のハブも英語で“lance-head snake=槍の頭のヘビ”。
こういうのが30種もいるとなると相当に恐い。
ガラガラヘビが1種だけなのは、彼らが立ちはだかっているからだろうか。
前述のTSUISOに、アマゾンを探検した蝶屋の話題がでていた。
深夜、毒蛇をズルズルと引きずってきたそうだ。
南米ハブか?南米ガラガラヘビか?
それにしても、みんな良くやるのである。
こういう毒蛇を専門に喰らうムスラーナ(希少種)という無毒ヘビがいる。
ハドソンの「FAR AWAY AND LONG AGO」に幻想的な“黒いヘビ”が
登場する。私は、これは多分ムスラーナだと思っている。
結局、ハドソンはムスラーナを最後まで知らなかったのだろうか? |
ブームスラング | (ナ):アフリカ産のナミヘビ。
ナミヘビ科ではあるが、強烈な毒蛇として夙に名高い。
当然死者もでているが、これは飼育下の事故のようだ。
野外でも捕まえれば咬まれるだろうが、
スピード豊かだからとても捕まえられまい。
だから、(ヤマカガシ同様)安全な毒蛇なのである。
ナミヘビ科の毒蛇には他に、アフリカツルヘビや
ペルークサリヘビモドキが知る人ぞ知る毒蛇なのだが、あまり情報がない。 |
ホンハブ | (マ):日本固有種。
ハブは、ホンハブ、ヒメハブ、サキシマハブ、トカラハブの4種がいるが、
ハブと云えばこのホンハブを指す。
世界の有名な毒蛇に比べればやはり下位にランクされるが、
2m級というのは毒蛇の中では大きい方だろう。
毒性はマムシより劣るといっても、注入される毒の量は多いのだから、
やはり恐ろしい。
それにアメリカハブ同様、人家の廻りに出没するのがつらい。
ところが、年々減少して今や絶滅危惧種にもなりかねないとのこと。
オーストラリアの猛毒蛇タイガースネークと同じ運命とか。 |
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