タッチパネルについて

私が技術者として働き始めた頃が、丁度ボードパソコンが登場した時だった。
その時には既に、メインフレームやミニコンは登場していて、アメリカではパソコンも登場していた。
日本でも、少し遅れてパソコンブームになったがいわゆるマニア向けで、ビジネス向けにはもうすこし時間がかかった。
そのころから入力機器、特にポイント機器は複数登場していた。
ただ、精度と長期信頼性を求めるビジネス用と個人ユースでは異なっていた。
マウスという、ポイント機器の登場はもう少し後だったが、それは現状も使用されている。
機械式が光学式になり、無線になっても原理は変わらなく、まだまだ使われるだろう。
しかし退職にあわせるように、近頃急激に増えているのがタッチパネル方式だ、まさかマウスが長く君臨するとは、この分野では珍しく何時終わるかも不明だ。
用途別に2つのポイント方式が使用されそうだ、それは大きな方式の移り変わりだ。


位置を何で検知するかは、大きく電気を使用する方法とそれ以外に別れる。
電気・電子機器ならば、コストや普及を考えれば前者になり、後者は精度等を重視した用途になる。
後者には、
・表面弾性波方式
・赤外線方式
・電磁誘導方式
等がある。
厳密には、電気を直接に使わないか併用も含む。


一方、前者には使用する機器でいくつかに別れるが、表示装置を含むパソコン本体と電気的に繋がるものと、繋がらないものに別ける。
前者には、マウスを代表とする多数のポイントデバイスと呼ばれるものがある。
デスクトップ・パソコン等では、その用途はまだまだ続くと思える。


後者もかなり早くから登場しているが、それほど圧倒的とも言えなかった。
具体的には
・マトリクス・スイッチ
・抵抗膜方式
等があり、ごく最近でもまだ残っていると思われる。
強く圧力をかけると、押されたものが変形する用途と言った方が判り易いだろう。
指では力が集中しにくいので、タッチペン等の圧力をかけやすいものを使用するのが多いのが実状だった。
ただ、携帯電話等の用途では指で押す方式として使用されていた。
静電容量方式の登場は、スマートフォンの登場と重なり急速に普及した。
フラットで変形しない平坦なガラス表面に指タッチする。
それも、複数の指のタッチで異なる動作が可能である。
iPhoneを代表とするスマートフォンの登場とその独特の操作性は、動作原理の違いと重なるといえる。
そして、それはタッチパネルでの動作方式の違いへの、対応の速さでタッチパネルメーカーにも影響を与えた。
フラットパネルで先行した日本メーカーが、必ずしも静電容量方式タッチパネルで先行しなかった事はシェア争いに影響があった可能性はある。


そもそも、ポイントデバイスの性質で使い方を考えるのか、使い方から方式が決まって行くのかがなかなか判り難い。


静電容量方式タッチパネルの特徴は、複数点を同時にポイント出来ることであり、例えば画面の移動・拡大等が可能になり、2本以上の指操作が普通になった。
スマートフォンの使い方そのものが、実は静電容量方式タッチパネルの機能だった訳だ。スマートフォンの操作にどこか新しい可能性を感じる事は実は当然で、新しいポイントデバイス方式と一体となっている。


静電容量方式タッチパネルは当然ながら万能でなく、指が電気を通す必要があるので、環境や手の状態で反応しないと言われる可能性はあるだろう。
ただ、実状は利用者で対応出来ないレベルかは判らない。
指の大きさでポイント面積が広くなる事は自明で、話題にもならないだろう。
2本指操作は、人間独特で同様の操作を別のものでする事は意外と難しい。


タッチパネルにも、動作方式が複数あるので、方式が変われば機能も弱点も異なる。
設計者はそれを前提に用途別に設計する。
勿論、ソフトが関係するしハードはそれ以上に対応の有無が必要だ。
OSが、双方の方式にダイレクトに対応が必要かどうかは、まだユーザーからは回答は出ていないだろう。
待ちきれなくて、パソコンOSのシェアトップから、双方対応バージョンが出たが、かなりリスキーな変更と言える。

 (2013/01/22)

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