ガラパゴス化という言葉の普及

まさか、進化論が生物学以外にビジネス・科学技術・経営・製造等の多数の分野でも適応される事を予想した人は少なかっただろう。
しかし、時間というファクターを除けば、生物だけでなく進化するもの全てに適応される事は結果から見れば当然だった。
進化論も多数あるが、現在で一番有名なのはダーウィンの進化論です。
それは、多くの知見からまとめられたものだが、その大きな事にガラパゴス諸島での観察と検討がある事は有名です。
ガラパゴス諸島は大陸から離れていて、しかも個々の島間も影響が少なく、ガラパゴス諸島のみでも異なる生態系の研究対象にもなると共に、そこと大陸との間でもまた研究対象ともなります。
ダーウィンの進化論は、
1:突然変異
2:自然淘汰
3:優性遺伝
等が進化の引き金と継続になっています。


これらを、生物学以外の事に言葉を換えて適応すると、進化と淘汰が結果として残ります。
かくて、この言葉は有名になり辞書にも載るようになりました。
ガラパゴス化という言葉は携帯電話くらいから使用されましたが、それ以前も言葉はなくても類似事項は多かったです。
それならば、何故に繰り返したのかの疑問が出て来ますが、その答えはガラパゴス化からの脱出方法を示しており、主要なビジネスで成功例は少ない現状が、実は答えが出し切れていない事を示しています。


ガラパゴス諸島を日本に、大陸を世界に置き換えたビジネス等の考察が主に使用されています。
日本という世界とは異なる市場と、世界市場との違いを無視して、日本だけで進化したものは世界市場へ出てゆけず、世界市場から参入があると飲み込まれて行っています。
ガラパゴス諸島の生物が、大陸の生物に飲み込まれたかどうかは不明ですが、双方が交わる事態になると同様の事が起きると予想されます。


ビジネス・技術等で優れているとか進化しているとかの判断基準は何か。
それが問題の始まりで結果とも言えます。
つまり、日本での判断基準と、世界での判断基準が異なるというのが一応の結論です。
もしも、日本での判断基準が世界での判断基準を越えておれば、良いという考えもあるし実際にそのような製品もあります。
ただし現実は、そのようなケースが、殆ど無く日本市場で進化しても、そこで止まりやがて世界での判断基準に置き換えられてゆく、そしてそこで対抗できるものが不足しているのが現状です。


もっとも、規格争いは日本国内だけでなく世界中で行われています。
そこで勝ち抜いたものが、世界規格となって登場するのです。
日本の企業等以外でも、世界中に規格争いで敗れて進化に取り残された所は多数存在します。
逆に言えば、日本で作られた規格が世界規格にならない状態が続いています。
そもそも、世界規格競争に参入しなくても世界規格ば定まった頃に、参入して結果的に無駄になる開発費を使わない選択もあります。
実は高度成長期の日本も似た状態にありました。
アメリカで開発された技術を、知的所有権を払い利用して、当時の安い労働力と有利な為替と人海戦術の品質改善作業等で製造面でアメリカを越えたのです。
しかししの結果、為替が変動性になり円高が進み、労働力は高いコストになり、世界的に品質は良くて当然になりました。
その状態で先端の開発力を持つ事に注力が移行しましたが、方向が社会構造的に不十分でベンチャー企業は育たず、大企業は多くの不採算部門を抱えて自由度が少なく世界的に見て多くの分野で遅れを取る事になりました。


そして、依然として新技術開発力に優れるアメリカと、過去の日本と同様に安い労働力と製造技術への集中投資に成功した東アジア諸国に対して、競争力が低下しました。
そんな中で、なかなか改善されないガラパゴス化が致命傷になりつつあります。
一次的な反省はしても、結果は繰り返すことからの脱出は、ビジネスの根本にあり風土的に予想外に障害となっています。

 (2012/07/06)

このページの先頭へ