分散化時代とベストエフォート

品質・故障・寿命・安全性などの話をするときに、30倍の危険性などがいわれます。

数値的には色々ありますが、小さな事故等があればその30倍の同じような危険な要因があるという意味です。

これが積み重なって、最後は重大な事故等の発生が起きるという話になります。

つまり、小さな事故等の要因を見逃すか無視すると類似の程度の要因が30倍存在し、それを見逃す・無視するとまたその類似要因が30倍は存在するので、最後はその中のどれかが大事故につながるとされています。

これは、品質・故障・寿命・安全性に対応する基本の考えで、小さな要因でも早期につみ取ってゆく事が大きな改善につながる事を意味し、それの連続で大事故を防ぐという方法論になります。

日本が一時、品質で世界に誇る時がありました。これは最現場まで品質意識が徹底されており、小さな要因の改善が行われ結果的に大きな品質の向上に繋がっていました。

しかし、その後事業の分散化時代になりました。

いわゆる原料から製品までの一貫生産は少なくなり、複数の専門メーカーの分業で製品が生まれるようになりました。

これは技術開発・生産性等では効率的ですが、上記の品質等の問題ではネックになります。それは、個々の企業のレベルが揃わないと全体のレベルが向上しないからです。

最終製品の品質に問題があると、その要因がどこかに存在します。

それが分散されたどこかにあるかは、分かり難くなりしかも一番弱いレベルの所に存在すれば、発見も改善も行えるかどうかが不明です。

インターネット通信速度を表す時に「ベストエフォート」という言葉を見かけます。これは条件が一番良い状態が揃ったときの最大値をしめします。

インターネット通信速度は、実に多岐のそして異なる事業者や個人や環境の要因で変わります。

これは、1つの通信会社で制御は不可能です。当然に改善・対策も不可能に近くなります。

その結果は数値は保証できない事になり、実際は意味のない数値・ベストエフォートが登場します。

現代は、多数の要因が重なって生じる結果がほとんどです。その結果、色々の問題が生じそして改善がされにくくなっています。

最大の技術よりも、一番悪いレベルのもので全体が決まってしまいます。

はなやかな先端技術よりも、地味な底辺の実力が重要な時代です。そして困った事に後者が弱体してゆく危険性が表れています。

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