情報処理試験の変貌と実務からの要請

情報処理試験の歴史は長いです。1969年から実施されています。特種・監査・第1種・第2種の区分時代も長かったです。

1995年に次の世紀に対応するためという理由で、大幅に変更さました。

システムアドミニストレータと言う使用者側の区分ができたのが1つです。

そして特種が大幅に改訂されました。情報システムを開発する時の流れ順に対応する区分を設ける事が狙いでした。

将来の需要予想による変更でした。情報処理の世界の激しく早い変化と、外的な変化はこの予想を狂わせました。

外的要因には社会側の要請の変化と、対応受験者の能力と、専門化の是非があると思います。

そして、世紀が変わってから次の変更が行われました。修正程度ともいえます。

この一番は特種の午前の問題の共通化であると思います。前回の変更時にもしばしば、午前の試験は第1種(上級プログラマー)と殆ど同じといわれていましたので、共通化は見方によればあまり大きな変更ではないとも言えます。

試験の区分と内容の最大の問題は、社会側の要請する人材を育てる事ができるかどうかにあると思います。

現在では、学生時代での情報処理関係の専攻者が増えています。

この人達にとっては、第1種及び共通午前問題は極めて簡単と聞いています。

ところが、現在社会の実務の中心にいる人は詳しい人でも、勉強家でも専門の教育を受けていません。

少数の専門家は限られた情報関係の企業等に在籍しています。

各企業等の実務者は、逆に午後の事例解析や小論文は実務体験と日々の業務改善の経験から得意な場合が普通です。

情報処理関係を専攻した若年層は少ない実務経験か・全くないので架空に作らざるを得ないので苦手か内容が乏しいものになりがちです。

特種の各区分とも合格率は低いですが、不合格者は2つに分かれる事が予想できます。

ところで社会の要請に合った人がこの試験内容で育つのかどうかが問題です。

結局は実務経験のある人が第1種の能力を身に付けて合格すると、目的がはたせるようです。

所がこのような人たちは既に各職場で重要な位置を占めており、試験に合格したからと言ってそれをいかせる部門に異動できるかどうかは疑問です。

一方では午前の共通化は特定の能力を持つ人のみが、複数の区分で連続して合格しやすい傾向も示します。

この事は合格者が重複しており見掛けより人材は不足している事を示します。

実務においては、情報化についてこれない人も多くいます。この人たちを急激に切り捨てては、実務はなりたち難いでしょう。

情報処理技術者の理想と現実に大きな差が発生します。この溝を埋めてはじめて、情報化が成功します。

残念ながら、試験制度を変えてもこの溝を埋めることには無力です。

実務者にとっては試験は制度によらず高い壁であり、専門教育を受けた人たちには、現実の溝を理解することは極めて困難です。

結果的に理想と現実の差として残り、失敗に終わります。

情報処理は道具であり、実務をこの道具を使って改善するのが目的であることを認識すれば、道具を持っている人と道具を必要とする人だけが別々にいても何も出来ない事が予想できます。間に双方をある程度理解している人が入るか、双方が勉強してまともに意見交換ができる必要があります。このような人たちを試験という方法で育て、見いだす事は難しいと言えます。資格と能力のギャップは、情報のような急激に進歩している分野では狭めることは無理ではないかと思います。

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