技術と技能

両者の区別はほとんどの人は分かっていると思っていましたが、そうでもないように思うようになりました。

特に本人がどちらか、あるいは現在行っている事がどちらになるのかが理解出来ていない様に思います。

技術は多数の人により改善・向上されて、他の人や次の世代へうけ継がれてゆきます。

その為に広い意味の文書化・マニュアル化が行われていて原則としては、これを読む事によって、受け継ぐ人は大幅に知識を得て過去の技術の取得時間を短縮できます。

当然ながらノウハウやマニュアル化されていない技術も多くあり、また容易に内容が理解出来ない場合もあります。

あくまでも原則論です。

一方、技能とは特定の人が習得した能力です。

これを、技術と同じようにかつ同レベルで文書化・マニュアル化できれば両者を分ける必要はありません。

現実はそれが可能になっていません。

優れた技能を持つ人がその内容を文書化出来ない事、たとえ出来てそれを読んでも同レベルの技能に達するまでの時間が長くかかる事、技能者本人の指導がないと困難な事があげられます。

このようにまとめると、技術は真似が可能で技能は困難と考えると思います。

現実は技能は受け継ぐ人がいないと衰退してしまう可能性があります。

技術は真似は可能でも、現実はそれを元により高い内容に発展させて行くのが目的となっています。

すなわち進歩の遅い分野では技術はどこでも同レベルに揃う可能性がありますが、進歩の早い分野では一度ついた差は追いつくよりも広がる可能性が高いです。

そして、優れた人に受け継がれて行くことによって衰退する可能性は低いと言えます。

技術者の夢のひとつに、優れた技能者の能力を技術に置き換える事があります。

これは技能者が簡単に増やせない事と技能を衰退させないためです。

そのひとつとして、テイーチングがあります。優れた技能者の作業をロボット等に憶えさせます。

これは効果があり非常に発展しました。

しかし、予想されない・希に起こる事態への対応という面では到底技能者にはかないません。

技能者は昔かたぎ等と呼ばれる事がありますが、全面的に否定はしませんが多くは偏見です。

優れた技能者は新しい技術で生まれた装置を使いこなす上でやはり他の人よりもより優れた結果を示します。

現在では、技能者と言っても一度憶えたものだけを続けるだけでは次第に不要になり、技術開発された物に置き換えられてゆきます。

しかし、新しい装置をも取り込んでそれを最高のレベルで使いこなすという面では技能者はいつまでたっても技術の先を行きます。

従って、今日では技術と技能が協力する事で新しい装置・技術を生み出し、それの改良にはそれを最高に使いこなす技能者が必要です。

両者の垣根が低くなり協力しあう事で技術・技能の発展がはかれると考えます。

もし片方が他は不要と思っておれば、あるいは受け継ぐ人に如何に伝えるかに無関心であれば、直ぐに時代から取り残され才能や結果は死に絶えるでしょう。

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