ドーピング

ドーピング問題がスポーツ界を駆け巡っています。

単純に言えば、本来は人間の体内に存在しない物質または存在しない量を、体内に入れてはいけないという事でしょう。

従って、ドーピング問題と薬物問題は異なります。

ドーピングは、薬物を含みますがそれに限りません。

しばしば問題になるのが、病気の治療の薬がドーピングにかかる事です。

そもそも薬と毒との区別は極めてあいまいですし、目的に関わらず本来は人間の体内に無い物質を薬と称して取り込むのですから、結果がどのように判断されるかは未定となります。

これでは、まずいというので、禁止物質リストの作成になります。

しかし、これの管理は制作と同様に容易ではありません。

不可リスト(ブラックリスト)と、可能リスト(ホワイトリスト)と、不明リストを作る必要があります。

そして、不明リストの物質の処置も決めておく必要があります。

新薬の開発競争は激しいですので、禁止物質リストのメンテナンスもそれ以上の速度が必要になります。

少し異なりますが、高校野球で酸素濃度を高めた疲労回復設備の使用が禁止されました。

強制的に酸素を本来の人間の摂取量よりも多くする事は禁止ともとれます。

しかし酸素に関しては、非常に微妙な問題です。

激しい運動の直後の酸素吸入器の使用は一般的になっています。

マラソンをはじめとするスポーツでの競技の少し前の高地トレーニングも一般化しています。

これらは明らかに、人工的に体内酸素量を変える目的です。

サッカーに於いて、南米のエクアドルやボリビアは首都が高地(文字通り)にあります。

競技場も同様です。

この国の、ホームの勝率の高さは有名です。

これは人工ではありませんが、自然な環境での酸素量の影響と言えます。

人工的と自然環境との区別は、いくつかの場合ははっきり出来にくいです。

ドーピング問題の難しい所は、管理技術が必要で判断が微妙なときに、純粋の科学的な判断以外が働く可能性があることです。

時がたって振り返ると、疑問の判定に思えるものがあります。

しかし現状は、当時の結果のみが残らざるを得ないのが実状でしょう。

科学的にはそれは避けられませんし、それ以外の要素があっても実証は困難だからです。

自然状態で人間の体内にない物質といっても、今の食物汚染では本人の知らない間に体内に蓄積されている事は充分に考えられます。

通常が有害物質ですが、偶然に能力を高める物質だった場合に問題とされるなら、本人はたまりません。

しかし、人間は何を考えるかは予想できません。

ドーピング問題は永遠に解決しない問題と思います。

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