キチンはカニ、エビ、オキアミなどの甲殻類の外殻や、イカ・貝類・昆虫類などの外皮、細菌細胞膜やキノコにも含まれている多糖類で、消化吸収されない動物性の食物繊維です。キトサンはキチンを熱い濃アルカリ溶液に浸すとキトサンに変わります。これは弱い酸にとける物質です。キチンとキトサンを総称して「キチン質」と呼びます。キチンの成分のキトオリゴ糖類が免疫の活性を高め、ガン抑制作用があることがマウスの実験で報告されています。他に食塩の過剰摂取により血圧が高くなることは知られていますがキチン・キトサンを投与することで、食塩の取り過ぎが原因の高血圧に効果があるという研究報告がありました。これは腸内でキチン・キトサンが食塩の塩素を吸着して体外に排泄することから考えられます。他に慢性便秘、腎臓病、肝炎、高コレステロール血症などに様々な効果があるといわれていますが、その効果については人体でも有効かどうかは今後の検証をまたねばなりません。また、キチン・キトサンには腐敗を防ぐ効果がありますので、漬物に少量添加し雑菌の繁殖を抑制します。
年間1000億トン以上のキチン・キトサンは有効利用されずにほとんどが廃棄されています。地上に残された最後のバイオマス(生物資源)として新しい利用法を模索中です。エビの殻から抽出されたキトサンがハツカダイコンの種子発芽をはやめ収穫量を増加したという報告があり農業への利用も開発中です。食品では果汁や果実酒にある渋味(タンニン)の吸着除去、食品工場の排水中のたんぱく質や他の固形成分を吸着、凝集して水の精製、化粧品の溶剤成分、医療用人工皮膚、家畜の飼料添加などその用途も多様です。
効用・効果
免疫活性を亢進し、ガン抑制作用が期待される。
腸内の発ガン物質、毒素、老廃物を凝集・吸着して体外に排泄する。