「ライアーゲーム」映像版を観る
「ライアーゲーム」は、漫画原作からのテレビドラマ化が2回と最終戦が映画化されました。
私は、漫画を読まないので原作関連は述べる事が出来ません。
従って映像化のみの、感想です。
「ライアーゲーム」は、複数ジャンルの要素を詰め込んだ、現在のエンターメント性を追い求めた作品です。
そこには、徹底した架空の設定と、まるで駒の様にデフォルメされた登場人物がいます。キャラクターが重要視される現在でも、得意な徹底ぶりです。
そして、全てをゲーム化する時代の寵児とも言えるストーリーです。
個々のキャラクターやゲームについては、いわゆるネタばれになるので出来るだけ避けて話を進めたいと思います。
たぶん、この種のストーリーではゲームの設定・ルールが重要な意味がありますが、それのオリジナル性を述べる能力はありません。
ただ、伏線を貼り意外な展開を見せるゲームに限られており、ゲームの内容は映像作品の決めて的な大きな意味を持ちます。
その必要要素は、視聴者に判りやすいと感じさせるルールであるが実は実際はそうではない事・個人の能力が結果に繋がる事・多重のどんでん返しが設定出来る事・ディラーの利益が関係する事・一見は偶然で支配される様でいて実は戦略が重要な内容である事等があります。
どんでんがえしは、視聴者に異なる事を見せて目をそらす事で行います。
いわゆる手品師の、動作と逆の手の動きです。
それが、特殊な設定であったり、派手で目立つキャラクターだったり、極端に性格が異なるふたりの主人公だったりします。
特に、詐欺師の秋山の動きは動であり、目立つものです。
その動きは、ゲーム参加者も視聴者も注目します。
逆に、バカ正直の神崎直の動きは、表向きはゲームの性格からかけ離れて見えてしまいます。
その中にはめ込まれた伏線は、既に意味を考えさせる事を忘れさせます。
正反対の主人公2人は、ミスディレクションに利用され、突然に強いコンビ行動に変わる事で予想外のどんでん返しを生みます。
勝ち抜きゲームはいくつかの方式があります。
リーグ戦、トーナメント戦、パラマス方式等です。
それぞれ試合数が異なると同時に、ストーリーに特徴があります。
小説や映像で使用されるのは後者2つです。
どちらも試合数は、参加者から1引いた試合数です。
「ライアーゲーム」は、個人戦と団体戦の双方がありますから、トーナメント方式になります。
同時に、団体というよりグループ内での競争になります。
ただトーナメントの場合は、特定の競技者からの視点では、見えない試合が多数、別に行われている設定になります。
このゲーム性、対抗戦方式の小説・映像はいくつか例があります。
数々のスポーツものは、そのルールによります。
山田風太郎の甲賀忍法帖という、後世に大きな影響を与えた作品はパラマス方式です。
これは個人戦向きですが、団体戦や複数人でのグループ作り・裏切り等の要素は入りぬくいです。
それを考えれば、「嘘つきゲーム=ライアーゲーム」は複数人の勝ち抜けが一番面白く出来る可能性があります。
例とすれば、「少数決」・「天使と悪魔」・「エデンの園」等が一番優れた設定と思います。
完全な個人戦、団体戦は、どんでんかえし要素が作りにくいと言えます。
ただし、団体戦で裏切りが入ると意外度はアップします。
このタイプの映像では、登場人物の個性化と目立ちかたが非常に微妙です。
キャスティングを見れば犯人が分かる、横溝正史作品の映像化とは全くの逆です。
オールキャストは、ノーキャストと限りなく近い事を知る事になります。
似た構成で思い出せるのは、関西ローカルのテレビドラマの「安楽椅子探偵シリーズ」でしょう。