「クリスマスキャロル」を観る 一人芝居考
一人芝居は最近に始まったことではありませんが、色々な形で行われています。
落語・講談・漫談などを含めると一人で演じる物は多くあります。
演劇という分野に限ると、普通のイメージでは、複数人で行われれます。
一人で演じると言っても、朗読や動きの少ない物は、落語・講談と同じであり演劇とは言い難いです。
一人芝居にもいくつか方法があります。
一つは基本的に一人の登場人物のみで物語が完結するものです。
一人が一人を演じるので、理屈は合っていますが劇の構成・演出は工夫が必要になります。
もう一つは、一人で複数の役を演じるものです。
これにも種類があって、普通の演劇のように行うタイプがあります。
もう一つが、市村正親が演じた「クリスマスキャロル」です。
これは上記に加えて、台本のト書きにあたる部分も加えたものです。
なぜ必要かと言えば、演じる役が人数が多く・会話が度々いれかわるので役の変更のみでは、観客に伝わり難いのです。
「クリスマスキャロル」を例にすれば、50人以上の役を一人で演じるとされています。
そして同時に3-4人が登場する場面があります。
これを観客に容易に理解するように演じるには、上記のト書きにあたる説明も加える必要があります。
演劇では複数の役者の、呼吸というかコンビネーションが大きく左右します。
一人芝居になるとこれは不要になります。
一方、台詞等の間違いなどのフォローはすべて一人で行う必要があります。
一人芝居では多くは、簡単な舞台装置で行われます。
私が知らないだけで、大がかりな舞台装置で行わない理由は特に見あたりません。
ただ、一人で複数を演じるのに大道具の助けは不要と言えます。
ただし、音響や照明は必要でこの面ではまさしく、演劇です。
そもそもなぜ一人芝居が行われる様になったのでしょうか?。
通常の演劇よりもどこにメリットがあるのでしょうか。
一つは、舞台装置の簡略化があると思います。
これはしばしば、場の繋ぎにも影響して結局は場数が少なくなる傾向がみれます。
もう一つは、落語や講談にもみられる優れた演者一人の面白さを演劇にも取り入れようとする考えと思います。
実際、一人芝居は両者の中間のイメージがあります。
また、前者が度々演じる事で熟練度が増すように、演劇も少数で決まったキャストならば内容の熟練が期待できます。
そして一人芝居はそれが最も可能だと考えられます。