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コラム第10回

映画の中のアリゾナ 〜西部劇だけがアリゾナじゃない! (6)


トブリー・キャッスル アリゾナで撮影された映画を紹介するこのシリーズ。

 6回目の今回は、映画の全部又は一部のシーンでフェニックスが舞台となり、実際にもフェニックスで撮影されている映画3本を取りそろえました。

 まずは、マリリン・モンロー主演の名作「バス停留所」。

 次に、スティーヴ・マックイーン主演のアクション映画を1994年にリメイクした「ゲッタウェイ」。

 最後に、女性たちの等身大の恋と生活を描いた「ため息つかせて」です。


バス停留所
BUS STOP (1956)

 監督:ジョシュア・ローガン
 出演:マリリン・モンロー、ドン・マレー、アーサー・オコンネル

 「バス停留所」は、ウィリアム・イングの戯曲を映画化した、マリリン・モンロー主演の映画です。

ヒストリック・ヘリテージスクエア 「ナイアガラ」「帰らざる河」「七年目の浮気」でグラマー女優としてのスターの地位を獲得したマリリン・モンローは、演技派女優として成功することを望み、ハリウッドを離れてニューヨークのアクターズ・スタジオでリー・ストラスバーグから本格的な演技のコーチを受けました。そしてハリウッドに戻り、1年ぶりの主演作となったのが、この「バス停留所」です。

 「バス停留所」では、マリリン・モンローは純朴なカウボーイから一方的に言い寄られる歌姫役を演じていますが、歌姫の心の揺れを彼女なりに演じきっており、当時の批評家から絶賛されたばかりか、今なおファンの多い作品となっています。

 さて、この映画の前半は、フェニックスが舞台です。ドン・マレー演じるカウボーイがロデオ大会のために都会へ出てきたところ、そこでマリリン・モンロー演じる歌姫と出会うのですが、その都会というのがフェニックスという設定です。もちろん単なる舞台設定だけでなく、実際の撮影もフェニックスで行われたとのことであり、現に「フェニックスで撮影された映画」といえば真っ先に挙げられる作品ではありますが……何せ半世紀も前の映画のこと。映画が撮影されてから現在までの間に街並みは随分変わってきているためか、画面上からフェニックスのどこで撮影されたのかを推察するのは、残念ながらちょっと困難です。

 なお、この映画の見せ場の一つに、ロデオ大会の場面があり、そこではロデオ競技の主な種目を見ることができます。映画の中ではややコミカルに描かれていますが、これからアリゾナでロデオ大会を観覧しようとする方にとっては、きっとよい予習となるでしょう。

(写真:古い街並みの残るヒストリック・ヘリテージスクエア)


ゲッタウェイ
THE GETAWAY (1994)

 監督:ロジャー・ドナルドソン
 出演:アレック・ボールドウィン、キム・ベイシンガー、ジェームズ・ウッズ、マイケル・マドセン

 「ゲッタウェイ」のオリジナルはスティーヴ・マックイーン主演のアクション映画(1972年)でした。これをアレック・ボールドウィンとキム・ベイシンガーの主演により見事に再生させたのが、今回ご紹介するリメイク版(1994年)の「ゲッタウェイ」です。

フェニックス・ダウンタウン このリメイク版は、オリジナル版の良さをうまく生かしつつ、舞台を1970年代から1990年代に移し替え、演出も現代的でテンポの良いものに仕上げています。元来がアクション映画なだけに、派手なガン・アクションや炎上といったアクションシーンも盛りだくさんです。しかしこの「ゲッタウェイ」はそれだけにとどまらず、主人公の男女間の心の揺れ、そして絆というものを、当時は実際に夫婦でもあったアレック・ボールドウィンとキム・ベイシンガーの競演によりしっとりと描いています。

 さて、この映画の一部は、アリゾナで撮影されています。実際、映画のエンドクレジットによれば、アリゾナ州内ではフェニックスプレスコットユマ(Yuma)の各所で撮影されたことが確認できます。ストーリー上も、前半はフェニックスが舞台となっています。

 ただし、実際の映画のスクリーンから、どのシーンがどこで撮影されたものかを把握するのは困難です。冒頭近くの脱獄のシーンはフェニックス・ダウンタウンではないかと推測されますが、確認できるのはそこまでです。ドッグレースのシーンはフェニックス・グレイハウンド・パーク(Phoenix Greyhound Park, 3801 East Washington St, Phoenix)のよ うにも見えますが(映画上の設定は「フェニックスにあるドッグレース場」)、これは別のドッグレース場で撮影されたという情報もあり、判然としません。また、映画に何度か出てくる草原の中にある道路は、おそらくプレスコット郊外の道路だと思われますが、これも決め手に欠けます。クライマックスのホテルのある街はユマで撮影されたものという情報もあるものの、私(管理人)がユマを訪れたことがないため、これも確認不能です……。

 とはいえ、スクリーンからはアリゾナ、そして米国西南部の雰囲気がよく伝わってくる映画と言えるでしょう。

(写真:フェニックス・ダウンタウン)


ため息つかせて
WAITING TO EXHALE (1995)

 監督:フォレスト・ウィッテカー
 出演:ホイットニー・ヒューストン、アンジェラ・バセット、ロレッタ・デヴァイン、レラ・ローション

 ホイットニー・ヒューストン主演の「ため息つかせて」は、現代に生きる女性たちの恋愛の理想と現実を描いた作品です。

 本作では、主人公をはじめとする4人の女性にスポットライトが当てられ、それぞれの恋愛模様が描かれます。ただしこの映画で出てくるのは、いわゆる「映画のような甘い恋」ではなく、いい男を求めているはずが結局ダメな男とばかり付き合ってしまったりとか、実業家の夫から突然離婚を言い渡されたりとか…。そういった女性たちの「現実」を、この映画では決してウェットにならず、むしろコミカルに描き出しています。

 さて、この映画。実は映画上の舞台はフェニックスという設定です。登場人物のセリフにも、フェニックスやその周辺の地名、施設名がしばしば飛び出してきます。

 もちろん実際の撮影もフェニックス及びその近郊の街で行われたとのことです。しかし……この映画も、やはり、画面上から撮影場所を詳細に特定できるシーンはほとんどありません。例外的に、冒頭のドライブのシーン(主人公が他州からフェニックスに引っ越すことを示す)はモニュメントバレー近くの道路でしょうが、これはフェニックスからは遠いですね。

 映画全体の印象としては、同じようなテーマのストーリー(もちろん細部は違いますが)が4人分もあるため、やや冗長という感じを受けてしまうところもあります。しかし、ホイットニー・ヒューストンの歌、そしてフェニックス郊外のさわやかな風景が、映画全体に彩りを添えています。

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