電子書籍の元年

そもそも、メインフレームからパソコンというコンピュータ個人保有の流れの中でテキストデータはいつも主流のひとつでした。
ただ、アメリカ発祥の2バイトデータが日本等の多文字文化に持ち込まれ、必然的に4バイトデータを取り扱う必要になりました。
ただし、全世界を対象にするとより柔軟に多くの種類の文字を扱う事になるでしょう。

4バイトデータ対応になり、日本語と漢字が使用出来るようになると、テキストデータは通常の日本語文に近くなりました。
正確には特殊記号やルビ、常用以外の漢字など未対応は残りました。
従って全ての日本語で記述された物が、電子化出来るという訳でないですがおおむねのものは、可能となりました。

この頃から、日本語ワードプロセッサーが多数登場しましたし、同時にパブリックテキスト(著作権フリーのテキスト)が登場しています。
日本語入力の環境は、完全に統一はされていませんが、かな>漢字変換を基本にした方式が主流になりました。
そして、実用面でも日本語文章をワープロで作成する事が次第に多くなります。
プロの文章家も同様にワープロを使用し始めます。
ただし、入力速度について来れらないソフト・ハードも多く、テキストエディタ+日本語フロントエンドプロセッサーの組み合わせを推奨する人も多いです。
同様に、親指変換キー配列を推奨する人もいます。

外部メディアとして、フロッピィディスクそして、CD-ROMが使用されてゆきますが、併行してパソコン通信そして、インターネットの普及になります。
ここに至って、デジタルの電子データは送受信が容易に行える様になりました。
それは、著作権フリーデータや著作権のあるデータもインターネットを通じて配布が可能になりました。

これらを電子書籍と呼ぶ事に問題はないと思います。
いくつかの出版社も参加しています。
ただし、社会現象になるほど、普及するまで至っていません。

携帯電話の登場とその普及は、極めて大きな社会現象です。
「ケイタイ小説」なるジャンルの登場は、意外でした。
個人的には、まともに読んでいないので何等かのコメントも不適です。
ただ、パソコンで小説等を読む人に較べて、携帯電話で小説を読む人が多い事はひとつの大きな変換点です。

情報の先端である欧米では、文字等の制限の少なさもあり、著作権フリーの小説の電子化はすでに進んでいます。特にフォント問題があまり大きな問題ではない事は、大きなアドバンテージです。
実は、フォントと使用可能な文字種の問題が日本語の場合は非常に大きいのです。
もし貴方が、戦前の小説をそのまま電子化しようとします。実はこれは、非常に困難な作業です。
漢字に限っても、現在使用している漢字種の中に存在しない物が続出します。次に例えば貴方のパソコンに存在しても、特殊文字の場合は他のパソコンに存在しない事は多くあります。その為にこの種のものは、フォントを含めて電子化する必要があります。それは現状では、PDF形式が適していますし、日本で有名な「青空文庫」は登録テキストは幾つかの決まりに基づいて作られています。そして、日本で著作権フリーの電子書籍が少ない理由でもあると思います。

黒船現象とも言われる、電子書籍対応の情報端末の普及は衝撃的ですが、実は日本語圏ではまだ対応体制が不足といえます。
新しくワープロ等で入力されたテキストは、既に電子化されています。それらを電子書籍化する行為は容易ですが、著作権との兼ね合いでなかなか進まずに手探り状態です。そして方式やフォーマットが異なるものが実験的に続々と出て来る状態です。
そこには、ネットの世界で大事な規格統一やフォーマットの統一は忘れられています。

まだ利用者を掴むには努力が必要でしょう。(2010/10/18)

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