図書館はベストセラー書を購入するべきか
現在は出版ブームとも言えますが、反面出版社の事情は危機的でもあります。
ほとんどの産業がなんらかの問題点を抱えているので、これ自体は不思議でもありません。
ここで問題になってきたのが、リサイクルショップの存在と図書館の購入本です。
リサイクルショップは「本は商品ではなく、内容(情報)が商品」という、かっての音楽で問題になった事の繰り返しです。
ここでは、読んだ本をどのように扱うかで2種類にわかれます。
一方は本自体の収集家またはアマチュア研究家です、もう一方は読めば捨てる人です。
後者の人は捨てるならばリサイクルショップに売るという考えになります。
前者の一部の人は新刊書を購入せずにリサイクルショップで購入すると言われています。
一部の例外を除いて、リサイクルショップで簡単に入手できる本には偏った傾向があり、どの程度新刊本の出版社に影響があるのかは具体的データがないとはっきりしません。
図書館がいわゆるベストセラー本を購入する事には、意見が分かれます。
(1)税金で運営されているのだから借りたい人の多い本をまとまって購入するのは当然である。
(2)図書館は出版文化を後世に残す使命があり、内容は貴重であるが一般の人は読まない本・高価で個人では購入できない本を購入して保存すべきである。
図書館がまとめて購入して貸し出すので、新刊が売れないと言われるのは(1)です。
借り出し希望が多くても、時間がすぎれば複数保管することに意味がなくなる訳ですからある程度の自重は必要と考えます。
特に、これに予算を費やし(2)の購入が出来なくなるようでは、長期的にみて図書館と言うよりも昔風にいえば貸本屋というべき存在になります。
今は個性が求められる時代ですので、図書館も色々なタイプと目的があってしかるべきと思います。
出版社についても同様の事がいえます。
ベストセラーで利益を得て、売れなくても文化的に貴重な本も出版することが使命と言うべきでしょう。
しかし、利益が確保出来なくなるとまず(2)に相当する本が出版出来なくなります。
本が出版できなくなれば、図書館がどのような方針を持とうとも(2)は不可能になります。
現在は情報社会です。必ずしも活字本のみが文化を伝えるものではありません。
しかしまだ過渡期であり、長い年月を経ても残しうる方法は確立されていないと思います。
私たちは生まれるまえの本も読む事が可能です。後世にまで如何に本・文化を残して行くか考えて行く必要があります。
読み捨て・使い捨てが本の世界までやってくる事は避けることも、避ける必要もありません。
しかし、この種類の本のみになることは避けねばなりません。
図書館で購入本を選ぶのは、プロの筈ですので長期的視野と文化の継承という使命を持って仕事をして欲しいと思います。