規格統一と自由競争

資本主義社会では自由競争が前提であるので、正当な競争の結果として類似製品の規格が異なることはしばしば有ります。

研究・開発には多くの費用と時間等を必要とするので自分たちが開発した規格を製品化したい気持ちは開発者・企画・その他関連部門の総意と言えるでしょう。

多くの製品は規格が決めってからそれに合わせて作る事や途中変更が可能です。その結果がJISやIPC等の規格です。

最先端技術では、しばしば状況が異なります。

技術の進歩の速さ・製品開発に要する費用等の資源の多さ・市場の大きさ等規格を統一するのに障害となる事項が沢山に存在します。

そして、一番困った事は規格が製品に現れる事です。

規格が製品に現れない事はかっては普通でした。例えば、カラーテレビの「シャドーマスク」と「トリニトロン」は規格は異なりますが使用者には影響はありません。

また電子部品の多くはブラックボックス的な面が多く、個々には異なる規格で作られていても、モジュールとして見れば同一機能と言えるものです。

記憶装置でも、通常使用者が交換しないもの例えばHDD・メイン半導体メモリー等は規格は一部の人以外は気にしない製品です。

ただ、これが着脱式の製品になると互換性の有無という大きな壁が立ちはだかります。

かって、着脱式記憶装置は規格が乱立して(製品も)ユーザーにとって非常に迷惑な時が長くありました。

FDDでも互換性では問題がありました。CD-ROMの出現でかなり互換性は向上しました。音楽用のCDが規格統一に成功していたからです。

CD関連の普及はこれの影響なしでは考えられません。ただ、これもRAM方式のCDでは互換性が不十分でした。結果としてあまり普及していません。

変わりに普及したのが、CD-R・CD-WORMです。一度のみ書き込み可能は失敗を含めて、最初は普及に限界があるとされていましたが、記憶メデイアの価格の急激な低下でたとえ使い捨てでも良いとさえ言える程に普及しました。

次に登場したのが、DVDです。色々とありましたがかろうじて規格統一に成功しました。

その結果、現在の大規模の普及に繋がっています。

CDもDVDも規格統一で、より利益を得た所は存在しますが、全体としては規格統一の恩恵を得た所が多いと思います。

そして現在問題になっている「高密度DVD」の規格問題です。報道等では非常に大きな問題とされています。

ただ、DVDの次世代のメデイアかどうかには疑問はあります。

FDの1.4MB、CDの640MB、DVDの4.7GBの変遷を見ると規格統一に時間がかかるか、失敗するとその時間の間により優れた第3の規格が登場する可能性があります。

遅れた規格は当然に優れていますが、先行規格の普及度によっては入りこむ余地が無いこともあります。

もし規格が分裂しており、第3の規格が登場した時点でどちらかが優勢になっておれば、不利側が新しい第3の規格を採用する可能性があります。

規格の不統一が当事者に取ってつらい結果になりがちな理由です。過去の傾向からは多くの会社が両方の規格に対応または、双方対応機器を作成する可能性が高い確率で考えられます。

消費者(利用者)にとっては、不利な進行にならない事を願いそして過去の経験から、ある程度結果が分かるまで買い控える可能性があります。

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