― 在外被爆者に関するトピックスをいくつか抜粋して紹介します ―

2005年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2004年 9-10月 11月 12月
※(かっこ)内の日付は当ホームページにおける更新日です。
※情報は上から [日付の新しいもの→古いもの] の順で並んでいます。

2005年5月

(5月17日) 在米被爆者訴訟 国と広島市が協議 市の全面敗訴を受け
(5月17日) 国による初の海外原爆展が開催中 米国シカゴ市 8月14日まで
(5月17日) 被爆者手帳の申請も在外公館の活用を 厚労省が検討へ
(5月17日) 在外被爆者からの健康手帳申請 本申請まで平均で約1年
 審査期間が長期化 - 広島市
(5月12日) 在米被爆者訴訟、日本国外からの申請認める判決 広島地裁 - 3件目の原告勝訴
(5月12日) 被爆者手帳を所有する在外被爆者 30数カ国に約3,530人 厚労省調べ
(5月12日) メキシコ在住の被爆者・山下さん、長崎市長と懇談
(5月12日) NPT再検討会議の議長を務めるブラジル大使、長崎市民にメッセージ
(5月12日) 韓国在住の寝たきり被爆者にベッドを 長崎の高校生グループが募金活動を行う
(5月12日) 韓国在住の被爆者・李さんに未払い手当の支給を決定 長崎市 訴訟は継続
(5月12日) 外務省の検討を「好ましい方向」 尾辻厚労相が認識示す
 - 在外公館を活用した手当支給申請について

(2005年5月17日)
【中国新聞】【厚生労働省ホームページ】 〔在米被爆者訴訟 国と広島市が協議 市の全面敗訴を受け〕 

※5月12日付〔在米被爆者訴訟、日本国外からの申請認める判決 広島地裁〕の続報

 5月14日付、同17日付『中国新聞』によると、いわゆる「来日要件」を違法として米国在住の被爆者と遺族ら4人が起こした訴訟で、10日の広島地裁判決で全面的に敗訴した広島市は16日、厚生労働省と協議し、控訴するかどうかの対応を検討しました。

 同紙によれば、広島市の秋葉忠利市長は10日「個人的な思い」とした上で「高齢化した被爆者をこれ以上わずらわせることは避けたい」と述べ、控訴断念も示唆しています。

 一方、同16日更新の『厚生労働省ホームページ』によると、同省の尾辻秀久大臣は13日の閣議後記者会見で「(海外からの申請の是非を問う3件の裁判の)判決がいくつか乱れているので、それをどう整理して考えるのか」としながらも、被爆者の高齢化への配慮や、在外公館の活用などの解決策にも触れ、「全体の中でよく検討したい」と慎重な発言をしました。

補足 / 「来日要件」が焦点になった過去の2件の裁判について ―
・ 韓国在住の寝たきり被爆者・崔季Kさん(昨年7月に死去)による、日本国外からの健康管理手当申請をめぐる裁判(被告・長崎市)=昨年9月長崎地裁判決:原告勝訴(→クリック!)
・ 崔さんの妻、白楽任さんによる、日本国外からの葬祭料の支給申請をめぐる裁判(被告・長崎市)=今年3月長崎地裁判決:原告勝訴(→クリック!)
― 以上2件の裁判では、地裁判決後、長崎市の伊藤一長市長が国に控訴断念を申し入れましたが、最終的には国の要請により、長崎市は福岡高裁に控訴しています。

 → 詳細は『中国新聞』5月14日付、同17日付 をご覧ください。
 → 尾辻厚労相の閣議後記者会見(概要・抜粋)の内容はこちら(クリック!)

 なお5月15日付『中国新聞』は、在韓被爆者渡日治療広島委員会(河村譲会長)が14日、広島市内で開かれた総会で、10日の広島地裁判決を受け、健康管理手当や保健手当を日本国外からの申請で受給できるよう求める要請書を小泉純一郎首相に送ることを決議した、と報じました。

 → 詳細は『中国新聞』5月15日付をご覧ください。

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(2005年5月17日)
【長崎新聞】〔国による初の海外原爆展が開催中 米国シカゴ市 8月14日まで

 5月16日付『長崎新聞』は、国の機関が開いた初の「海外原爆展」の模様をレポートしました。
 この原爆展は国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館が主催、米国シカゴ市郊外の「ピース・ミュージアム」で5月6日から8月14日まで開かれています。

 展示内容は原爆投下直後の広島、長崎の模様を写した写真パネルや、被爆資料、子どもたちによる平和を願うメッセージなど。また被爆者自身による案内と体験談も行われているそうです。

 記事では、見学者の真剣な反応や、展示の第一の目標を「核兵器使用の悲劇が二度と繰り返されないこと」とする同ミュージアム館長へのインタビューなどが紹介されています。

 → 詳報は『長崎新聞』5月16日付をご覧ください。

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(2005年5月17日)
【長崎新聞】【厚生労働省ホームページ】
被爆者手帳の申請に在外公館の活用を 厚労省が検討へ

4月20日付〔健康管理手当の支給申請に在外公館の活用を 外務省が検討へ
  5月12日付〔外務省の検討を「好ましい方向」 尾辻厚労相が認識示す〕  - の続報

 5月13日付『長崎新聞』、同日更新の『厚生労働省ホームページ』によると、厚生労働省の戸苅利和事務次官は12日の定例記者会見で、韓国在住の被爆者が現地の在外公館で被爆者健康手帳の交付申請をできるよう「外務省と韓国との間で話が行われていると思うので、今の法律の範囲内でどういう対応ができるのか、外務省とよく相談する」旨の意向を示しました。
 また同16日更新の『厚生労働省ホームページ』によると、同省の尾辻秀久大臣も13日の閣議後記者会見で「被爆者の皆さんが高齢化しておられるという事情がある」「全体の中でよく検討したい」旨を述べました。

 在外被爆者に対する在外公館窓口の活用については先月、外務省が、「健康管理手当の支給申請」が可能になるよう厚労省との協議を進める意向を示していました。
 このたびの厚労省事務次官および大臣の発言は、さらに「手帳の交付申請」も検討項目に加えるもので、私ども在外被爆者がこれまで長年にわたり要請してきた希望に一歩応じてくださるものとなりました。

 → 詳報は『長崎新聞』5月13日付をご覧ください。
 → 戸苅厚労事務次官の記者会見(概要・抜粋)の内容はこちら(クリック!)
 → 尾辻厚労相の閣議後記者会見(概要・抜粋)の内容はこちら(クリック!)

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(2005年5月17日)
【中国新聞】〔在外被爆者からの健康手帳申請 本申請まで平均で約1年 審査期間が長期化 - 広島市

※2004年11月8日付〔在外被爆者からの健康手帳申請 審査に平均で約半年 - 広島市〕の続報

 5月13日付『中国新聞』は、広島市における、在外被爆者からの被爆者健康手帳の申請状況と、本申請までに平均で約1年の時間を要している状況を伝えました。

 2004年度上半期(4〜9月)は、申請から審査終了まで平均7〜8カ月でしたが、現在は審査期間が長期化しているようです。

 同紙によると、2002年12月以降の、県市別における事前申請件数と平均審査期間は
   広島市 - 事前申請1,126件 平均審査期間 約 1年
   広島県 -         378件           約半年
   長崎市 -        約380件         8〜10カ月
   長崎県 -          79件         6〜7カ月
となっていて、特に申請件数の多い広島市の長期化が目立っています。

 手帳取得に至るまでの手順は
<事前申請→審査→審査終了、本人に通知→渡日による本申請、手帳交付>
といった流れになりますが、高齢化により証人探しが難航している等の事情から、広島市では「被爆状況の確認は国内以上に難しく、長期化は避けられない」として理解を求めているそうです。

 なお広島市における内訳は約9割が韓国からの申請で、残りの大半は米国から、となっています。
 また12日現在で、319件が未処理・審査中、ということです。

 → 詳細は『中国新聞』5月13日付をご覧ください。

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(2005年5月12日)
【中国新聞】【長崎新聞】〔在米被爆者訴訟、日本国外からの申請認める判決 広島地裁 - 3件目の原告勝訴

 5月10日付『中国新聞』、同11日付『長崎新聞』によると、
「海外に暮らす被爆者が被爆者援護法に基づく健康管理手当などの支給を受けるためには、訪日して申請しなければならない」
などの現行の施策(いわゆる「来日要件」)を違法として、米国在住の被爆者と遺族の計4人が、広島市を相手に起こした訴訟の判決が10日、広島地裁でありました。
 能勢顕男裁判長は原告の訴えを全面的に認める判決を下しました。

 原告は、@日本で被爆者健康手帳を取得した3人と、A日本で手帳を取得後、米国で亡くなった被爆者の妻1人 - です。
 訴えは、
@3人の健康管理手当や保健手当の申請が日本国外からの申請であったことを理由に、市が却下したこと
A故人が亡くなった時の居住地が広島市でなかったことを理由に、市が妻からの葬祭料申請を却下したこと
- に対して、申請を却下した処分を取り消すよう求めたものでした。

 判決で能勢裁判長は「国が施行規則などを基に海外からの申請を認めないのは違法で、これを基に申請を却下したのも違法」(『中国』紙より)と述べ、援護法の趣旨に従い海外からの申請を全面的に認める判断を下しました。

 両紙によると、在外被爆者が居住国からの申請を求めることの是非が争点となった訴訟は今回で3件目ですが、いずれも原告の訴えが認められています。 

 → 詳報は『中国新聞』5月10日付
        『長崎新聞』5月11日付 をご覧ください。

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(2005年5月12日)
【中国新聞】【長崎新聞】〔被爆者手帳を所有する在外被爆者 30数カ国に約3,530人 厚労省調べ

 5月5日付『中国新聞』、同10日付『長崎新聞』は、被爆者健康手帳を所有する在外被爆者が30数カ国で約3,530人になるとの厚生労働省の発表を伝えました。

 居住国別では、いずれも概数で
・韓国2,300人 ・米国870人 ・ブラジル140人
と公表され、このほかの30数カ国220人については「人数が少ない」として明らかにされませんでした。

 なお同省では本年度、在外被爆者を対象にした初の実態調査を行う予定(←2004年12月21日既報)ということです。

 → 詳細は『中国新聞』5月5日付
        『長崎新聞』5月10日付 をご覧ください。

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(2005年5月12日)
【長崎新聞=メキシコ市4月27日】〔メキシコ在住の被爆者・山下さん、長崎市長と懇談

 4月29日付『長崎新聞』によると、非核地帯会議出席のためメキシコを訪問中の伊藤一長長崎市長は27日、長崎で被爆し現在はメキシコに住む陶芸家の山下泰昭さん(66)と懇談しました。

 同市の原爆被爆対策課によれば、メキシコで長崎市発行の被爆者手帳を所有するのは山下さんただ一人、と記事は伝えています。

 山下さんは、爆心地から2.5キロの長崎市平戸小屋町で被爆。68年、メキシコの古代文明を学ぼうと移住し、通訳を経て、7年前から絵画や陶芸の創作活動に専念し、現在は首都メキシコ市から車で3時間の地に工房を構えているそうです。

 → 懇談の内容など、詳報は『長崎新聞』4月29日付 をご覧ください。

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(2005年5月12日)
【長崎新聞=メキシコ市4月26日】〔NPT再検討会議の議長を務めるブラジル大使、長崎市民にメッセージ

 4月28日付『長崎新聞』は、核拡散防止条約(NPT)再検討会議(5月、米国ニューヨーク市)で議長を務めるブラジルのセルジオ・ドゥアルテ軍縮・核不拡散担当大使からの、「核兵器の廃絶を訴える行動を続けることは、とても大切なことだ」とする被爆地・長崎市民に向けたメッセージを伝えました。

 これは同社報道部・田崎智博記者が26日、ドゥアルテ大使に行ったインタビューを紹介したものです。

 なおNPT再検討会議に先立ち、メキシコ市では26日から非核地帯会議が開催され、これにメキシコ政府の要請を受けた長崎市の伊藤一長市長も、国際NGO「平和市長会議」の副会長として出席。ドゥアルテ大使らとともに会議場正面の壇上に席を用意されたそうです。

 → 詳報は『長崎新聞』4月28日付 をご覧ください。

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(2005年5月12日)
【長崎新聞】〔韓国在住の寝たきり被爆者にベッドを 長崎の高校生グループが募金活動を行う

 4月27日付、5月2日付『長崎新聞』によると、核兵器廃絶を訴える署名活動を続ける高校生のグループ「高校生一万人署名活動実行委員会」が長崎市内で5月1日、寝たきりの在韓被爆者にベッドを贈るための募金活動を行いました。

 委員会のメンバー5人は3月末、韓国・釜山市で署名活動を行った際、病気で寝たきりの韓国人被爆者を見舞い、床ずれを痛がる様子を知って、可動式のベッドを贈ろうと思い立ったそうです。

 当日は小雨の降る中、メンバー約20人が街頭で熱心に市民に協力を呼びかけていたそうです。

 また、この活動には長崎友愛病院や「子どもの平和と生存のための童話館基金」も資金面で協力する、ということです。

 → 詳報は『長崎新聞』4月27日付、5月2日付 をご覧ください。

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(2005年5月12日)
【長崎新聞】〔韓国在住の被爆者・李さんに未払い手当の支給を決定 長崎市 訴訟は継続

※2月9日付〔韓国人被爆者の李さん訴訟 高裁判決から2年 いまだ決着つかず〕の続報

 4月23日付『長崎新聞』によると、長崎市は22日までに、韓国在住の被爆者・李康寧さん(77)への未払い手当約103万円などを支払うことを決めました。

 李さんは1999年5月、韓国へ帰国したことにより健康管理手当を打ち切られました。李さんはこの処分を違法として、国と長崎市を提訴。しかし李さん側が勝訴した一審、二審とも国が控訴、上告したため、現在は最高裁で争われています。

 しかし二審福岡高裁判決から2年が経過した今年2月、李さんの持病が悪化していることから、李さんの支援者が長崎市に対して、手当の早期支給を申し入れました。

 このため長崎市は李さんの健康状態を考慮し、厚生労働省などと協議。その結果、在外被爆者が日本出国後に手当を支給する政省令(03年3月)に基づき、李さんに2年6か月分の未払い手当と支払遅延損害金を支払うことを決めた、ということです。

 なお、今回支給されることとなった未払い手当については最高裁で係争中ですが、訴訟そのものは継続される、ということです。

 → 詳報は『長崎新聞』4月23日付 をご覧ください。

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(2005年5月12日)
【厚生労働省ホームページ】〔外務省の検討を「好ましい方向」 尾辻厚労相が認識示す - 在外公館を活用した手当支給申請について

※4月20日付〔健康管理手当の支給申請に在外公館の活用を 外務省が検討へ〕の続報

 4月20日更新の『厚生労働省ホームページ』によると、同省の尾辻秀久大臣は19日、外務省が健康管理手当の支給申請を在外公館でできるよう検討している件について「好ましい方向だと思っている。在外被爆者の方々も高齢化が進んでおり、外務省とよく相談しながら検討したい」旨の前向きな発言をされました。

 これは19日の閣議後記者会見での質問に答えたもので、「まだ厚労省としては承知をしておらず、外務省との協議もしていない」段階としながらも、「外務省の考え方をよく聞いた上で、できるだけ早く」検討の結論を出したいとの考えを明らかにしました。
 さらに先日の町村信孝外相の発言が韓国在住の被爆者を対象としたものであったことに対しては「韓国だけでなく、すべての在外被爆者の皆さん平等でなくてはいけないと思っている」との認識を示しました。

 → 尾辻厚労相の閣議後記者会見(概要・抜粋)の内容はこちら(クリック!)

 また4月22日更新の『厚生労働省ホームページ』によると、同省の戸苅利和事務次官も21日「在外公館の活用は、給付の適正性の確保などの観点からひとつの考え方ではないか」と前向きな姿勢を見せました。
 加えて、在外被爆者の高齢化が進んでいることから「これからの支援のあり方を考えてゆくべき時期に来ている」とし、「よく外務省と相談しながら検討するように言ってあり、今いろいろ相談している状況」と語りました。

 → 戸苅厚労事務次官の記者会見(概要・抜粋)の内容はこちら(クリック!)

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