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| バーティカル・リミット
ごめん!テレビで観ちゃった。
このテの映画は、劇場で観ないと公正な評価なできないよね、とか言いながら、やっぱり書いちゃうけどさ。
その辺割り引いて見ても、この雪山のコワサは凄い!
恐過ぎて映画館に行く気がしなかったんだけど。
自然って、やっぱり恐い、雪山登山にだけは手を出すまい(うっかりハマりそうで恐い…)。
それにしても、よくもまあ、次から次へと雪山の驚異を並べたもんだわ、中にはちょっと、ムリヤリっぽいエピソードもあるんだけど、実際にはもっともっとムリヤリなアクシデントもあるのかも、って気もする。
なにがムリヤリって、ニトログリセリン、急な事なので使うのは仕方無いとは言え、大量に保管している軍関係者が扱いについて何も知らない、ってヘンじゃないの?アジアの国だからバカだと思ってるのかしらん。
まあ、それは置いといて、見晴らしの良い真っ白な雪山で、相手の姿がバッチリ見えながら意思疎通ができない、あのもどかしさは独特で、新鮮。
主役は明らかに雪山なので、まあ許される、と言うか、充分楽しめたしハラハラしたんだけど、物語りはちょいと食い足りない。
父の死をめぐる兄妹の葛藤は、なんか生き残ったからいいやー、みたいな終わり方で、解決したんかい?だし、これも良くある事だけど、主役の兄は美人と結ばれて良かったね、だけどどうして二人はくっついたんだっけ?みたいなね。
そして、結果論ではあるけれど、3人助けに6人で行って、帰って来たのは3人きり、ひどい言い方だけど役立たずの小娘一人救うために(我ながらひどい…)有能な登山家を4人も殺して、ハッピーエンド気分には、私はなれないわ。
雪山の恐さを強調したいのは分るけど、あんなに殺さなくっても、他にやり方はあったのでは?
なんて、パニック映画の見方としては邪道なのかな。 |
ハート・ロッカー
正直あまり食指の動く題材ではなかったが、なんだか賞を取ったとかで話題になっていたし、目新しいモノが見られるかも、と思ってDVDを借りてみた。
結果的に、そうでもなかった。いやつまらなくはなかったんだけど。
冒頭は目を引かれた。
イラク戦の爆弾処理班の話とは聞いていたので、重装備で『仕事』に向かいながら冗談を交わすシーンで、始まる始まると見ていたらいきなりドッカーン!グチャ!-end-…じゃ、なくて(笑)。
あのヘルメットの中が赤くなる瞬間は、ちょいと戦慄したな。
で、印象的なプロローグに続いてヒーロー登場。
残念ながら、私はこの主人公に、あまり感情移入できなかった。だって最初から飛ばしすぎ。目がイッちゃってるし。
行きつ戻りつしてる人を見るのは面白いが、完全に出来上がっちゃってるとつまらない。だって接点が見付からないもの。
最初にドカンとショッキング映像(特にその唐突さ)を見せられているし、終始ピリピリした戦場の空気は伝わって来た、気がするが…ちょっと疲れた。
色んな爆弾の手口とか、子供を使ってとか、単純に興味深く見た。
でも、誰が敵だか分からない不安なんてベトナムで学べよ、だし、礼儀正しいイラクのインテリおじさんにショックを受けたとか(最初何だか分からなかったよ)いつになったら白人以外を猿じゃないと気付くんだよ、だし。
やっぱり思い入れはできないなぁ。
砂漠でグダグダと撃ち合いするシーンは、面白かった。
ラストは色々解釈が分かれているようだけど、私から見ると解釈のしようも無い程普通。
あんなキチ○イが平和な生活に戻れるワケないじゃん。
って言うか、そうでなくても彼の戻った"平和な家庭生活"ってヤツが、逃げ出したい人がいるのが分かる気がするし。
ただ、戦争映画を見て良く思う事があって。
人には二種類ある、人を殺した人と、殺してない人。
そしてそれは、巻き戻しは不可能なんだな、と。
それを感じられるという事は、けっこういい戦争映画なんじゃないだろうか。 |
パイレーツ ・オブ ・カリビアン
出た出た、久しぶり、大好きな海賊映画。
コスプレ好き、帆船好き、西洋式のチャンバラも大好き! な私にとって、こういうお気楽な海賊モノは、願ったりかなったりのお楽しみ企画だ。
しかもディズニーランドの『カリブの海賊』がベース。むろん、大好きなアトラクションの一つだ。
おまけに主演(?)の海賊役がクセモノ役者のジョニー・デップ♡。
で、行って来ました、劇場へ。
うーん、期待通りの楽しさ、にぎやかさ。
期待を超えて驚く事も無かったけど、こちらの思いが大きかったせいでしょう。
予想外だったのはゾンビ物だった事。でも考えてみれば、ディズニーランドの『カリブの海賊』にも出て来るよね、骸骨になって宝の山に埋もれている船長、帽子付き。
常々最近のCG乱用に批判的な私も、こういうのは大歓迎。
「月の光の下で正体をあらわす」呪われた海賊達。船長が船室から月の輝く甲板に出て来る、来るぞ、くるぞ〜、と待ってると、月光に当たった部分からデロデロッと崩れていく…分かっちゃいたけどキャー!なんて楽しいんでしょ。
格闘シーンも凝っていて、色々楽しませてくれる。ウィルとスパロウの一騎討ちは上下動が激しくて道具使いもサービス満点、海軍とゾンビの大量戦闘シーンも、毎度ディズニー映画らしく呆れる程の根気良さだ。
ユーモアも上々。マヌケな海賊コンビの「木の義眼はトゲが刺さって痛いんだ」「こすっちゃダメだよ」とか。
ディズニーっていつも、こまっしゃくれた動物が道化役で出て来て、話の流れを止めるのでイライラする(お子様サービスなの?)けど、今回のサルは良かったなあ、最後の最後まで大活躍。なんでサルまで呪われるのかは謎だけど、まあいいか。
そしてやっぱり、ジョニー・デップ!ヒューヒュー!
怪しい奴とは思っていたが、ここまでやってくれるとは。
「無人島に置き去りにされて精神に異常をきたした」「ああー…(それでね)」という会話が、まさにピッタリ、いつもはちょっと鼻につくクサイ演技ぶりも、こんな役でこのメイクでは全然OKだ。
(それにしてもあの、目の下のクマみたいなアイライン?は、誰が考えたんだろう、スゴスギル…)
ゾンビになった自分を見て「こりゃ面白いや」と笑う、まさに命知らずなバカヤロー。どっかぶっ壊れててくれないと、「海賊で悪行の限りを尽くしたけどいい奴」という矛盾は克服できないもんね。
ヒーロー役の山咲トオルちゃん、いやオーランド・ブルームも、ヒロインのキーラ・ナイトレイ(この人知らなかった、きれい!)も、コスプレ映画の主演にふさわしくロマンチックな美男美女でありながら、映画の勢いに乗り遅れない元気の良さで、とっても気持ち良かった。
毎日3時間トレーニングしてるトオルちゃんはともかく、総督のお嬢様がどうしてあんなに強いのか?なんて事は、考えないようにして、と。
私個人的にちょっと残念だったのは、悪役の海賊の船長がちょっとお上品すぎた事。
なぜあんな格調高い俳優を使ったんだろう?デップのチンピラぶりに対抗するには、もう少しマンガっぽい作りの方が面白いと思うんだけど、。
やっぱりお子様も観るディズニー映画だから、全体的な品性にこだわったのかしら?
そう、やっぱりお子様向けの感は否めない、っつーか、それがこの映画の価値なのだろうから、仕方が無い。
登場人物は善玉悪玉ひっくるめて素直でウラが無く、ドロドロした感情なんて誰も気にしない。
だから戦闘シーンも気楽に楽しめるし、安心してお子様も連れて行けるんだけど、オトナ的には確かにちょっと、もの足りない点も無きにしもあらず。
まあ、人の心理を鋭くえぐった海賊映画が楽しいかと言ったら、そんなのはまず楽しめないと思うしね、そういう事は、他の場所で見ればいいのかも。
追記:デップの役、キース・リチャードがイメージモデルなんだそーだ。
キースって、あんなんだっけ!?
追記:悪役の船長のキャプテン・バルボッサは、その後すっかりオチャメキャラに転身(笑)。元々存在感はバツグンだし、今では彼以外に考えられないくらい、大ファンです。 |
パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト
相変わらずスパロウ船長がバカです。いやむしろ拍車掛かってます。
ドラマというよりは絶叫系満載の遊園地と思えば楽しめたかな。
…しかし巨大タコとの死闘場面に、ほんのりイカ焼きの香りをイメージしてしまうのは、日本人だけ…?(私だけ?)
なんだかんだ言っても、大好き。
ちなみに、見る影も無いけどタコ船長の素顔?は、『ラブ・アクチュアリー』のロケンローラー、ビル・ナイおじさま。大好き。
正直、島での現地人とのやり取りとかドリフのコントみたいだし、緊張感の無い3人チャンバラはエンエンと続くしで、途中眠くなっちゃったんですが。
でもサスガと言うか、タコ(イカ?)がザザーッとせり上がって来た時は、あ、私ってば映画見てたんだっけ、と目が覚めた。
ワンシーンでも、こういう映画らしいカットがあると、なんか許せる、と言うか、嬉しくなってしまう。
でもねー、あんなに長々引っ張って、一話完結しないのは予想通りで仕方ないにしても、終わってみると全然話進んでないし。
なんですか、「どうせ人入るでしょ、この企画」みたいな姿勢がちょいムカつきますが。
それでも『3』は迷わず見に行くのは、別に結末を知りたいんでもジャックの身が心配なのでもなくて、ジョニデが面白いのと、このダラダラした世界がけっこう気に入ってしまってるから、なんだろうなぁ。 |
パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト(by京都の金)
感想を一言で簡潔にまとめると・・・「2は1を超えないってのはホントだな」ですな。
いや、面白くなかったワケではないんだけど〜。
ジャック・スパロウって、あんな性格悪かったっけ?てぇのと、何でそこまでお笑いに走るのかな〜てぇのと、そんなラスト有?最後の最後は大笑いしたけど〜で、ございました。
う〜む、いや3は観に行くけどさ。 |
パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト(byお姐)
金さんと言ってたこと、全部納得でしたわ。。。。
B級っぽい怪獣場面は嫌いじゃないけど、全体的にキャラの面白さを引き立てるより、ただドタバタしてるだけだったので、スパロウ船長に前作ほどの魅力がなかったし、ちょっと眠くなってしまった……。
ま、この映画って、とくに文句つけたくなるような類じゃないので、「がっかり〜〜」てことはないけどね。
もちろん『3』も見ますとも!
でも、私、今回、一番「おおっ!」と興奮したのは、ラストのほうの「つづく」的場面の2つ。(ひとつは、船長危うしのかっこいい構図。もうひとつは、まさに「つづく」の「ええっ!」って場面。クレジットのあとは、予想はしてたけど笑ったわ、やっぱり)
できれば、「3」の予告編を手短に面白く入れてくれれば、もっと興奮したかも。昔の映画館で連続活劇を見てるみたいな雰囲気で(昔の映画にも、次作の予告編はないんだけどね)。 |
パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド 11/29
『2』よりは好きだな、っつーか、「スパロウ危うし!」で続きたい気持ちは分かるけど、やっぱり『2』は間延び過ぎ、その分『3』でお片付けが大忙しになっちゃって(笑)。
めったやたらと登場人物が多く、その殆どが活躍してない。せっかくかっこいいチョウ・ユンファも、中途半端な扱いで、エリザベスとのカラミも駆け足っぽくて解り辛く、残念だった。
なんか、せっかくの海賊映画だというのに、うっかりファンタジー要素を絡めてしまったがために"ローカルルール"ばかりが膨らみ過ぎてしまって、もう正直面倒臭い。どーでもええやん、と感じてしまう。
本質的には、このシリーズは「小難しい事は抜きにしてキャラと冒険を楽しもう!」で良いと思うのよ。いやそうあるべきだった、ディズニーランドのアトラクションらしく。もっと言うなら一話で完結で充分だった。それを無理に続けるなら、せめて出自部分は大切にキープすべき。
そういう意味で、突然貴族の姫君が海賊の女王になっちゃうとか、強引な急展開は、許そう。でもそれならそれで、細かい設定をグダグダ説明するような頭良さそうな展開はやめて、イージーな世界観を貫いて欲しかった。
でもまあ、私ゃご贔屓のバルボッサ船長が出ずっぱりの大活躍で、楽しかった〜♪
本当に、こんなに彼のファンになってしまうとは。正直、ジャックの10倍好きだ(笑)。
あとは、女神はいいからタコ(イカ?)出して欲しかったな。巨大ヌードとかワケ解らん。
お金かかってるし、面白い絵はいっぱいあるのに、相変わらずボンヤリした展開で…、でももはや、そこも楽しめる、という馴れ合い状態ではあるんだが、私。
とは言え、もうこのシリーズはいいよ、と言うのが正直な感想だ。次はもう、見る気がしない。
結末にはちょっとビックリ!
おそらくフライング・ダッチマン号が絡んで来るとは予想したが、私はジャックが行くかと思っていた(興行的に欲を出した=ジャックで続編、が優先されたのだろうけど)。本来、ヒーローはウィル、ヒロインはエリザベスで、ジャックは狂言回しなのだから。
でもそのおかげで、思わぬ悲恋物語を見てしまう結果に。ついでにジャックは、けっこうエリザベスに本気だったのね?という所も垣間見る事になったりして、それはそれで結果オーライではあった。
それになんだか、お父さんと船を操るウィルは楽しそうだったし(笑)。強くてしぶといエリザベスは、10年を何回も待つくらいの事は平気でやり遂げそうだし。
一応の最終話と言う事で、スワンパパやノリントン(なんだよ、いい奴じゃんっ!)の結末は悲しかったけど、まあ映画的な色を添えたと言えるかも。
でも、もはやお約束となったエンドロールの後のアレは、私的には興醒めでした。いいじゃん、あんなの出さなくて。
と言うか、エリザベスの事だから、ウィルが10年振りに戻るたびに身に覚えのある子も無い子も増えていて、中にはジャックにソックリなのも一人…なんて所までやってくれたら面白かったんだけどね(笑)。 |
博士の異常な愛情/または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか
『時計じかけのオレンジ』が面白かったんで、さらにキューブリック、行ってみました。
うん?モノクロ、苦手。(一般に言われるのと逆に、目が疲れるの、何が画面にあるのか判別するのに時間がかかる。)
しまった…とは思ったが、意外とそれは気にならずに観る事ができた、最後の爆発のシーンなんか、むしろとても美しく見えたし。
うーん、でも途中、ちょっと退屈してしまった。
なんと言うか、どちらかと言えば演劇みたい、なのかな。
なんとなく閉塞感があって、だから最後のキノコ雲+音楽の開放感が最高なんだけど。
分類だとコメディに分けられるらしい、ブラックのね。
あまり笑えなかったな、いやブラックだからと言うんじゃなく、ツボに入らなかった。
博士が大統領を「総統」と呼んだり、右手を高く掲げては降ろそうと頑張ったり、あれってどうなんでしょ。キューブリック様と言えども青臭い時はあったって事?
おかしさがイマイチ、分からない…。
ただ、大統領、英国軍人、博士が一人三役、というのには恐れ入りましたが。
なんか、こういう所も演劇っぽいかも。いや、コントかな?
考えれば、キノコ雲+音楽は『2001年宇宙の旅』を、核弾頭にまたがるカウボーイは『フルメタルジャケット』を、博士のキレっぷりは『時計仕掛けのオレンジ』や『シャイニング』を、彷彿とさせなくもない、けれど。
博士の「立てた!」には、大笑いしたんだけど。
これ一本では、「キューブリック天才!」とは、私は気付かなかったと思うな。 |
バタフライ エフェクト
蝶が羽ばたくと、地球の裏側で嵐が起こる。
と、いうのがこのタイトルの意味だとか。
主人公のエヴァンは、過去にさかのぼる特殊能力を持つ青年。
「やり直せるならもう一度あの場面に戻って…」などと、過去の失敗を思い起こして、訂正したいと願った経験のある人は多いだろう。
私なんかしょっ中だ。ドジで未練な性格だからさ。
でも、一つを変えれば他の色んな事柄にズレが生じる。
このテーマは私的大名作『オーロラの彼方へ』を思い起こさせるが、こちら『バタフライ〜』はずっとダークで陰鬱な印象だ。
エヴァンが過去へさかのぼるたび、盛大に鼻血を吹いて苦しむ様は、その行為の不吉さを象徴しているようだ。絶対に無理があるぞ、と。
初恋の美少女のため、それからだんだん自分のしでかした事の後始末のために、エヴァンは何度も時空を超える。戻って来ると、世界は一変している。
5通りの人生を、主要キャラクターがそれぞれに演じ分けていて面白い。
エヴァン本人もだが、初恋の人ケイリー、その兄トミー、そして友人のレニー。
ヒロインのエイミー・スマートという女優。なかなか微妙な容姿のせいか、それとも演技力なのか、変身ぶりが鮮やかで、キャンパスの花からヤク中の売春婦まで、何を演ってもピタリとハマッてる。状況のいい時は本当に輝くばかりに美しく、堕ちれば目をそむけたくなる卑しさがにじみ出る。
比較的ワキではあるが、レニー役のエルデン・ヘンソンという兄ちゃんも凄い。短い撮影期間に体重を9kg増減させたとかで(身体に悪いよアンタ…)大デブからちょいポッチャリまで、いずれもデブキャラながら、これまた凄い別人ぶりだ。
変身モノ大好きな私としては、それだけでも充分楽しいが、人物の印象の違いが鮮明である程、「過去を訂正する」事の功罪が際立って見える。
事の起こりからして児童ヘの性的虐待だったり、途中かなり見るのが辛い展開もあって、全体の雰囲気は暗い。何でもないようなシーンでも、なんだかソワソワと不吉な空気が漂って、訳も分からず恐い。
この雰囲気の一貫性、脅かし方の巧さも含めて、しっかり構成された展開はドラマティックで引き込まれる。
私はこういう、しつこいタイプの話造りが大好き。
ラストはそれなりにキレイにまとめてあり、切ないけれど納得のいくストーリーになってはいる。街中での美しいシーンが取って付けたようでないのは、意外と言えば意外。
陰惨な設定にもかかわらず、主人公エヴァンが我欲に走る事無く善意の人を貫いた事が、この意外な後味の良さの理由だろうか。
愛は無償こそ美しい。 |
| 八月の鯨
公開当時、独りでミニシアターへ行って観て来た。
情緒的な美しい画面、海辺に建つ白い家にひっそりと暮らす老婆…と、映画の設定に心惹かれて、「八月の鯨計画」なぞと言って廻ったものだった。(なんの事は無い、年を取ってリタイアしたら、美しい海辺にこじんまりした家を買い、近所付き合いもろくにしないで、でもなんとなくこぎれいに静かに暮らしたい、という話。夕日を見ながらテラスで夕食とかね。)
しかし実際問題としては、それを実行するにはかなりの経済力が必要な上、当初は思いもよらなかったが、年を取るにつけ寂しがりやになっていく己を鑑みるに、この計画の実現は難しそうだ。
で、そんな海辺の家に暮らす老姉妹の生活に、近所のおばさんやら、怪しいハンサム老人やらが「軽く」からむ日常生活。
美しくはあるが、たいした山も谷も無く、きわめて上品にクレジットがせり上がって…と、思った時。
明るくなったミニシアターの客席のあちらこちらで、女の子達が泣いている!かなりの数、かなりのテンションで、彼女達はハンカチ握りしめて、本格的「泣きモード」に入っている。
ものの捕らえ方というのは、つくづく個人差があるのだ、と思った。
とは言っても、泣かない私が感動しなかった訳ではない、むろん。
だって「八月の鯨計画」も立てたし、ミニシアター特有の、小さくて高いパンフだって買った。何年も経ってからだけど、自分の作品のモチーフにも使わせてもらったし。
『ホームスイートホーム』という、当時としては渾身の力作だったのよ。ストーリーはじぇんじぇーん違うけど、でも、そうなの! |
バックドラフト
もうねぇ。取りあえず、カート・ラッセル、かっこいい!
こんな事ばかり言いたかぁないけど、本当〜にオトコマエなのよ、この役。
『オーロラの彼方へ』のデニス・クエイドも素敵だったけど、アメリカ映画の消防士って本当にかっこいい。マッチョ好きのアメリカ人が英雄視するのが良く分かる。
でもってこの映画を観ていると、この消防士という職業が、どんなに勇気と力と判断力を必要とするか、なんて事をしみじみと考えさせられてしまう。
そうでなくても制服に弱いのに、もう完全、ノックダウンですわ。
そしてラッセルをもしのぐ迫力と美しさで私を魅了したのは、炎。
まるで意志ある生き物のように、のたうち、隠れ、吹き出す、変幻自在の優雅な怪物。
繰り返される火災シーンは、根源的な恐怖と興奮を呼び覚まし、かき立てる。
こういう体感的な吸引力は、実は映画に一番大切な要素かも知れない、と思う。
物語のベースは兄弟愛、だと思うんだけど。
甘い二枚目だけど情け無いウィリアム・ボールドウィンの弟と、岩オコシみたいなんだけど強くて頼れるラッセル兄ちゃんのコンビは、全然似てないけどなかなかいい感じ。
デ・ニーロも出番はそんなに多くないが、あらあら、素敵じゃないの。
ドナルド・サザーランド(有名!)もスコット・グレン(怪しい!)もレベッカ・デモーネイ(可愛い!)も登場、豪華。
なのに、ね。
脚本が、良くない。お話が、つまらないの。もったいない!
舞台装置もキャラクターもいいのだから、素直に消防士の成長物語でいいじゃない。ハードな仕事をこなして、辛い事を乗り越えて、仲間との絆を深めて。
私としては、サスペンス要素は蛇足。議員の黒い霧も、仲間の暴走も不要。父の死があるのだから、兄はもう、いいじゃん。
制服姿の葬儀は、確かに絵的にはいいけれど、真っ直ぐに兄弟の和解物語にしてくれた方がずっと感動できたと思う。
ましてや、消防車の上で×××…なんて、もっての他、引きまくったわ。
「偶然」とか「意外性」に頼り過ぎだし、このへんでサービス…みたいな、いらぬ計算が見えてしまって、材料が良いのだからシンプルに素材の味を生かしてよ!と言いたくなる。
過酷な仕事なのは分かったから。父→兄弟→兄の息子、という流れを見せる事で、連綿と続く物を見せたかったのは分からなくはないんだが。そういう意味では、謳(うた)ってる映画だな、とも思うけど。
ハッピーエンドが良かったよお。
でも、それを差し引いても余りある程、炎は圧巻だし、ラッセル兄ちゃんは素敵なんで、大好きな映画なんだけどね。 |
パッション
これはなあー。
いただけないわ、ハッキリ言って。
ヨーロッパの教会なんか行くと総天然色リアリズム等身大の血まみれキリスト像があったりして、元々そういうモンだとは思っていたんですが。
こうまでして見せなきゃ分からんのかい、っつーか、これ見てなんか分かった気になるんかい、っつーか。
うんざりです。
残酷描写もいいさ。血でも内蔵でも、せいぜい飛ばしてよ。
面白ければ、私は評価するさ。
開始15分で捕まって、後の110分エンエンと痛めつけられるキリスト。
(ちなみに上映時間は127分、残りの2分は復活ね・笑)
良く言えばスタンダードなのかなあ。
何も新しい発見が無かった。
脅迫して人を従わせる態度が気に食わないわ。
メル・ギブソン監督、『ブレイブハート』のラストの絶叫が快感で、クセになっちゃったのかしら。
マグダラのマリア役のモニカ・ベルッチの、異様な程の美しさまでが鼻についてしまいました。
あ、あった、新鮮なところ。
あのでかい赤ん坊は、恐かったわ。 |
バッド・エデュケーション
いや〜。きっついわぁ、これ。
ホモがどーこー言う気は無いが、こうまでアカラサマな醜態を見せつけられるとなぁ。しかも全然救いが無いし。いい奴一人も出て来ないじゃんっ?
『トーク・トゥ・ハー』は良かったけど、このアルモドバル監督*は一筋縄ではいかない、という印象は持っていた。かなりヘンな嗜好の人だな、とも。
今回はそれが全開。でも、開いて深みが見えるかと思いきや、むしろストーリー的には情緒もヘッタクレも無くなってしまった気がするな。
とっくにカミングアウトしている監督の「自伝的映画」という触れ込みだけど、まさかねぇー、だって殺人事件だし!エライコッチャ。
でもさすが、と言うか、絵はやっぱり美しくて、ガエル・ガルシア・ベルナルの女装姿もビックリする程キレイ。歌も、趣があって素敵だった。
最初「君にあの役は無理」と言われるだけあって、男姿と女装との落差、と言うか変わりっぷりはスゴイ(どっちも綺麗なんで落差ではないな)。けど濡れた白ブリーフ姿は………カンベン…………(泣)。
家の中やプール、教会等、しっとりとした美しい舞台装置に見入ってしまう。優しくかぶる音楽も、相変わらずいいセンス。
現実・回想・劇中劇を重ね合わせて展開する構成は、混乱しそうになるもののストーリーへの興味をそそり、独特の雰囲気を盛り上げる。
でもなぁ。酷すぎるでしょ、やってる事。
泣かれてもなあー………(脱力)。
子供への性的虐待、脅迫に、身分詐称、セクハラ、麻薬売買、売春行為、殺人。
考えてみれば、男を殺すのも、女を殺すのも、圧倒的に男。その男と男の組み合わせだから、ホモの痴情のもつれって、本当に凄まじいのかもな。
嫌いじゃないんだけど、ちょっとダイレクト過ぎて、引いてしまいました、残念。
*アルモドバル監督『抱擁のかけら』 |
| パリ、テキサス
ヴェンダースにナタキンとあって、張り切って観に行った。
派手さは無いけど、そして何も解決しないんだけど、後味の良さが不思議な映画だ。
いわゆるロード・ムービーなんだろうな、いい加減な父親と、ほったらかしにされていた息子(小学校低学年くらいか?)が再会し、逃げた母親を訪ねて旅に出る。
ファミリーという物に何となく不信感のある私は、これくらいの親子関係が入り易い。
多分、ダメな父親は、責任の無いところでたまに会うと面白い奴だったりする可能性が高い、気がする。
そして見つけた母親は、何やら風俗系の仕事をしている。
マジックミラーの向こうとこちら、声だけで、客が元亭主と分かって、キラリと振り返るナスターシャ・キンスキー。
はっきり言って、見せ場といったらここくらい。
修羅場も抱擁も無く、父は息子を妻に託してまた旅に出る…って、オイオーイ!というラストなのだ。
うっかり美しく生まれてしまったために、男の勝手な妄執のおかげで人生かき回される女。キンスキーは『テス』でも『マリアの恋人』でも、そしてここでも繰り返し演じている。
単なるはかな気な美女ではなく、クセの強い、意志も気性も強そうな彼女が、なぜ?…いや、だからこそ摩擦が起きるのだわ。
ヴェンダースの詩情あふれる画面、丁寧なディティール描写は、「なんじゃあこりゃあー」なストーリーも美しく歌い上げてしまう。
でもあのオヤジ、これからどーするつもりなんだろう。 |
パルプフィクション(by 踊るタイサねこ)
映画って漫画に近いっちゅうか、漫画原作多かったりするよね。 ハリウッド映画なんて特に。で、思い出したのが、有名な日本おたくクエンティンィン・タランティーノ。
パルプフィクションはかなり好きだ。ブルース・ウィルスは6センスよりもずっと良い演技だと思うし、ジョン・トラボルタなぞスランプ(当時)脱出の熱演だ。同じくタランティーノの無茶苦茶(?)映画フロムダスク・ティルドーンも大好き。馬鹿馬鹿しさ100%強盗の馬鹿兄弟VSバンパイヤ軍団の映画で私の好きなハーベイ・カイテルは出てるし、当時まだそんなに有名じゃなかったジョージ・クルーニがカッコイイの。あ、長くなっちゃった! |
パルプ フィクション
デンデケデンデン…と、景気のいい音楽に乗って、踊りまくるジョン・トラボルタとユマ・サーマン。
センスの良いコマーシャルフィルムに、まず心奪われた。
宣伝に惹かれて観ると、期待外れもままある事だけど、今回はアタリ。楽しかったー。
軽快なテンポ、凝った構成、イカシた音楽に、個性的なキャスト。
でも、この映画の一番の魅力は「ミもフタも無い唐突さ」だ。
すごいオーラと存在感で登場したユマ・サーマンは、あっという間に退場しちゃうし、ギャングの闘争とはいえものすごくサクサク人を殺すし、主役のトラボルタまでがあんなありさま。
(このへんちょっと、たけし映画を思い出させる、こっちのが先だけど)
自ら「パルプフィクション」(三文小説)を名乗るだけあって、チープで薄っぺらな人物描写が、「案外現実はこんなモンかも」っていう気にさせられるから不思議。
それもこれもひっくるめて、なんしろクールの一言、軽い目眩とかなりの疲労を伴うけど、この疲れ方は私には心地良い。
豪華キャスト、なんて言われてるようだけど、トラボルタはこれ以前、長い事パッとしなかったし、ユマ・サーマンだってそんなメジャーじゃなかった。ブルース・ウィリスは、もちろん『ダイハード』で超有名になった後だけど、「で、なにもの?」って感じがまだあった頃。
で、トラボルタは完璧なチンピラぶりと、やっぱこれでしょ!のダンスシーンで、サーマンは短時間ながら妖艶で退廃的な美しさで、そしてウィリスは「ダイハード」が単なる儲け役じゃ無かった事を証明して、それぞれの立ち位置を固めた、気がする。あ、サミュエル・ジャクソンも、今じゃこれでもかの超売れっ子だけど。
大好きな『トゥルーロマンス』の脚本も書いたタランティーノ監督、かなり注目して楽しみにしてたんだけど、『ジャッキーブラウン』は(私的には)サイテーだったので、ちょっとビミョーかな。(顔はキライなので映画に出るのはやめて。)
この『パルプ…』と『ジャッキー…』の距離って、実はそんなに遠くなくて、つまり元々かなりピンポイントを狙ってる感じだから、はずれるとゼロなのかも、って気がするんだけど。
久々に新作が出るらしくて、ユマ・サーマンとルーシー・リューの戦いだって、ちょっと楽しみ。 |
バロン
大好きテリー・ギリアム監督の、"失敗作"として有名な、この映画。
公開当時も楽しく見たが、改めて見てみても、失敗したのは興行であって、作品ではないと確信できる。
ニギヤカでカラフルで、わやくちゃなギリアムワールド。今回は特に、徹頭徹尾『現実世界』にこだわらず、好き勝手やってる印象。お金があるんだか無いんだか(笑)懲りまくりかと思えば思い切り良くカチワリにしたり、しかし89年公開とは驚きの特撮映像の洪水。
ストーリーは起承転結を楽しむタイプのものではなく、その方面を期待すると裏切られる。そんな事には開始と同時に気付くはずだから、浮き世は忘れてこのカオス世界に身を投げてしまおう。楽しいよ♪
ほら吹き男爵が、すごくチャーミング。見ようによっては(と言うかどう見ても)この人、博打好き、女好きのタダのダメ爺さんなんだけど、貴族らしい品の良さとオットリ尊大な態度を見ていると、なんだかニコニコしてしまう。ストレスが無いんだろう、キラキラした目が少年のよう。それに勇気だけは人一倍あるんだよ、この爺さん。
でも、この映画の事実上の主役は、芝居小屋の少女・サリーちゃん。歳に似合わぬクールな美貌に、いい具合に歯が抜け替わってる最中で、そのバランスが無茶苦茶可愛い。利発でおしゃまな表情も、目が離せない大熱演。
子役がユマ・サーマンに似てるなと思ったら、そのユマ・サーマンが、もう大人だったのにビックリ!
ホタテ貝からヌードで現れるヴィーナスの登場シーンは、ギリアムらしいバカバカしさと美しさが同居したハイライトだ。私としては、女神はもっと豊満な方が好みだけど、それでもこのサーマンは本当〜に美しく、キャストの男性陣と一緒に口をアングリ開けて見てしまう(笑)。
月のシーンのロビン・ウイリアムズのグダグダは、ちょっと下品でしつこいが、やはりギリアムらしいシュールさが魅力。頭と身体の関係等、深読みすれば色々ありそうな、でも何も無いのかも(笑)。子供に配慮して「くすぐってるんだ」という男爵が可愛い、と思ったら、本当にくすぐっていたりして。
個人的には、月を脱出する時のペーパームーンと、その周囲を回る星座表みたいな宇宙のデザインもすごく好き。ロープのくだりも、この世界ならと説得されかけて裏切られる、爆笑。
それから、やはり特筆すべきは、"死神"の造形。うをおぉ〜、かっこいいっ!!!大好きだ。繰り返し登場するたびに、ゾクゾクしてしまう、素敵。
家来達も全然有能そうに見えないんだけど、それぞれに活躍して楽しい。
皆が歳を取ってしまって、「もう無理なのよ…」と幼いサリーが諭すシーンは、悲しくて泣けてしまった(この映画で泣くか、私…)。
物語は大冒険だけど、ハラハラドキドキは殆ど無い。あまりにも何でもアリの世界だから、気を揉むだけ無駄だもの。男爵が剣を振るってトルコ兵の首を跳ねても、残虐さは皆無、牧歌的だ。
男爵の葬式は、どう挽回するのかとハラハラしたけど、やっぱり何でもアリの肩すかし。でも、芝居小屋と冒険談のキャストが重複していたりして、一応の配慮がある、らしい。
傑作『未来世紀ブラジル』は悪夢を体現したが、こちらは楽しい夢を追求し、徹底して肯定している。それはそれで、ギリアムさんの闘いなんだろうな、とは思うけれど、スクリーンの上はあくまでも楽しくお気楽だ。
気持ちに余裕の無い時は、あまりのホラ吹きぶりに見続けるのが苦痛に思えるかもしれない。
ポッカリ時間が空いた時、ゆったりした気分で、好きなお菓子でも食べながら、グダグダ見たい。手元に置いて、何度も適当に流して見たい映画だ。
あ、出番は少ないけど、犬がとっても可愛いです。 |
ハンニバル
なんと言っても、傑作『羊たちの沈黙』の続編、である。
どうしたって期待してしまう。レクター博士とクラリス捜査官の、その後の物語なのだから。
しかし期待通りとは言い難い。ああ、やっぱり。
言いたかないけど、やはりクラリス役をジョディー・フォスターが降りてしまったのが、本当に残念だ。
新米で危うげだった『羊たち〜』のクラリスは、本作ではすっかり大人の女性、優秀な捜査官に成長している、という設定だが、ジュリアン・ムーアでは落ち着き過ぎでつまらない。あらためて、ジョディの存在感て凄いなぁ。
ストーリーも、エグいシーンはちゃんとある(過剰な程)ものの、異様な不健全さが全編を覆い尽くしていた前作とは比べようも無く「普通」な印象だ。
肝心要のレクター博士の描き方も、あれでは間抜けな色ボケじじい(爆)である。ちょっと悲しい。
*リドリー・スコットは好きな監督だが、しごくマトモで、健全なタイプなんで(そこがいいんだけど)、こういう素材は無理があるんじゃないだろうか。
相変わらず風景や家屋、家具調度は素晴らしく綺麗だし、画面に奥行きがあり、ムーアもちゃんと美人に撮っているんだが。その奥行きの先に、「何が潜んでるか知れたもんじゃないぞ」という胡散臭さが、全然無いの。
不条理とか、ヘンタイとか、どうすんだよこれワヤクチャだよ〜という不安定さが、きっと苦手なんだと思う。レクター博士という理屈の通らない存在とは、相性が悪そう。
決して出来は悪くない(むしろ2度目が意外と面白かったくらい)映画だけれど、傑作の続編としては物足りない、残念。
*参照 『エイリアン』『キングダム オブ ヘブン』『グラディエーター』
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Hero(英雄)
えーと、しょぼくない?
タイトルといい、大掛かりな宣伝、前評判から、もうちょっとスケールの大きなものを想像していたので、本当にガッカリ&退屈してしまった。
評判を取った「原色使いの画面」は、まあ所々綺麗な絵はあって楽しめたけど。
(私はイチョウのシーンが好き、撮影中口に入って大変だったらしいけど。あ、目だったっけ?)
でも結局ワンアイディアですぐ飽きちゃったし、前々から薄々思っていたけどやっぱりジェット・リーはダイコンのイモ野郎だしさ。
あんなに吊られてばっかじゃ、せっかくの少林寺が泣くって。
ワイヤーアクションは、好きずきでしょうけど、あまりにもリアリティが無さ過ぎて、私は楽しめないな。こいつら仙人!?って、それはお国ガラなのかもしれないが(笑)。
なにしろストーリーが、全然好みじゃないの。
さんざっぱら現実味の無いホラ話を聞かされた挙げ句、あれだものー。
宣伝の仕方にも問題はあるんだろうが、あの空一面に矢が飛ぶシーン。
あれを見せ場にするなら、「どうやってかわすの!?」って思うじゃない、どんなに荒唐無稽でも、取り敢えず答えを求める。それが、えーと…‥うぶー。
「大儀のために己を捧げる」っていうの?
おじさん達は好きなんだろうなあ。
それでなんか、深い物を語り合ったみたいな、「所詮女には解らない」とかさ。
マギー・チャン(綺麗でしたね)いや「飛雪」は正しいよ。
動物界ではオスの大半は「捨て駒」だからなあ。女の遺伝子には、そういうの組み込まれていないんでしょうね。
なーんて、不満のあまり「竹内久美子」してしまいましたー。 |
美女ありき
「絶世の美女って誰?」と問われたら、私ならまず一番に、ヴィヴィアン・リーを思い浮かべるだろう。
とにかく美しい。
長いことタイトルしか知らなかったが、こんな内容だったとは。
ネルソン提督、怒ってないかな?(笑)
どうやらこのレディ・ハミルトンというのは実在の人物(絶世の美女)らしいけど、言ってしまえばダブル不倫物語。
なんか美しく美しく言い訳がましく作ってあって、それがかえっていじましく感じられてしまう。おいたわしやネルソン提督。
前半、踊りの名手という設定のエマは全然踊って見せないし(ヴィヴィアン・リーは踊りは苦手?)、盛大なパーティは会話で説明だし、場面は殆ど屋敷の中で舞台芝居を見ているような気分になって来たところで、突然海戦シーンに突入、これが意外に長々と続く、といった具合に、バランスの悪い印象。
ただただヴィヴィアン・リーと、ネルソン役のローレンス・オリヴィエの、美男美女っぷりに感動する映画。
(アネーク・エーメとジェラール・フィリップの『モンパルナスの灯』を思い出した。)
でも、二人が言い交わすシーンはちょっと面白かったな。ヴィヴィアン・リーの百面相にオリヴィエの唐突な告白。こんなのがキマるのも、美男美女なればこそ。
原題は『Lady Hamilton』とシンプルだが、この邦題はまさしく言い得て妙!
『美女ありき』これ以上でもこれ以下でもない、すごいタイトルだわ。
ところで、この撮影の直後に美男美女は結婚したんだそうで、そういう意味では『Mr.&Mrs. スミス』みたいな位置か。
そういうの、あまり出来の良い映画は無さそうな気がするな…。 |
ビック
う〜ん、こんな楽しい映画、なかなかないよ。大好き。
このトム・ハンクスは、本当にスゴイと思う。
今や名優の名を欲しいままのトム・ハンクスも、この頃はまだ、ほんの駆け出し。
『スプラッシュ』の時は、「こんなイモニイちゃんにダリル・ハンナが惚れるかぁ?」
なーんて思って、ちょっと引いちゃった私だったけど、相変わらずイモニイのトム・ハンクスに、バリキャリ美人のスーザン(エリザベス・パーキ ンスっていうんだ、他で見ないな、美人なのに)が恋しちゃう気持ちは、とっても良く分かる、気がする。
身体は30歳(推定)、心はウブで無邪気な13歳の少年、ジョッシュ。演じるハンクスは、ほんとに自然で魅力的。そしてちょっぴり、ブキミ。そりゃそうだ、態度仕種が中学生で、見た目はオッサンなんだもの。
面白いのは、ジョッシュにかかわる大人達が、ものすごく子供っぽい面を見せる事。
社長とのピアノ連弾(大好きなシーンだ)、下心マンマンで彼の部屋に来たスーザンとのトランポリン、ライバル社員とのスカッシュ。みんなどこかで、頑張ってオトナやってるんだ。大人のアナタなら、自分を振り返ってニガ笑いがもれるはず。
そして勝手な深読みや誤解の果て、「彼は大人よ」の名セリフ。
…でも、笑いながらフト思う、オトナって、なに?
出世して、恋もして、ジョッシュはだんだん、よくいる大人みたいになって来る。
親友をないがしろにして、「大事な仕事なんだ」なんてね。
「大きくなりたい」という子供の夢は、いつか必ず叶う、思ったようではないにしろ。「子供の頃に帰りたい」という大人の望みは、絶対に聞き届けられる事が無い。
これ以外どうしようもないラストシーンは、やっぱり切なくて胸に迫る。
でも、ついて行けないスーザンの気持ち、とても良く分かる。
しつこいようだがトム・ハンクス、本当に少年の目、少年の口元、少年の走り方!
私の中ではこの『ビック』がトム・ハンクスのナンバー1、次が『プリティ・リーグ』、と思ったら、同じ監督の作でした。 |
ビッグ・フィッシュ
ちょっと遅ればせばがら、観てみました。
おお。
今まで観たティム・バートン作品で、最高かも。私的に。
だいたいティム・バートンって、いつの間にあんなちゃんとした人になったんだっけ?なんか色物系と言うか極マニアックな人だったと思ったんだけど。いかにも元いぢめられっ子が力無い恨み言を並べてるみたいな映画撮ってたじゃない?
いつの間に。えー話やんか。
画面こそキテレツ感が残るものの、フツーに感動できる「いい話」になってる。
ビックリです。
主演のユアン・マクレガーも、『普通じゃない』だの『ムーラン・ルージュ』だのと印象の悪い映画を観てたので(『スター・ウォーズ』はかっこいいけど)、あまり気が進まなかったんだけど、すごくいい。今までごめんなさい。
とは言えバートン監督のこだわりは続いていて、またしても「父と息子の軋轢と葛藤」がテーマ。でも、息子の視線だけに偏らず、バランスの良いオトナっぽい世界観になっている。大人であるからこそ、あの父親には価値があるのだから。
父親の語るホラ話は、どれもシュールでユーモラスで、伸び伸びした映像美が存分に楽しめる。
優しい巨人、結合性双生児の美女、森の魔女。サーカスに狼男、そして運命の女神である、最愛の妻。
黄色い水仙のシーンは、本当に忘れられない美しい夢のよう。
父親の語る回想シーンと、息子の生きる現在のシーンの各役者が、とても良く似ている事もポイントが高い。
妻役のジェシカ・ラングは、76年版『キング・コング』の美女だった人。美しいお婆さんになった。年老いた夫婦の純愛は、胸と目頭を熱くした。
現実に、こんな風に分かり合い、認め合って最後の別れができる事は少ないかも知れない。そうできなかった後悔をも含めて、美しい映像と音楽、優しい台詞の数々が、浄化してくれるような気がした。 |
羊たちの沈黙
う〜〜〜〜〜んんん。
すごい。
変態ここに極まれり。
なんとも、よくぞここまで、気持ちの悪い人物やら事柄やらを集めて来たもんだ。
しかも、その集合体は、どこかクールで品が良い、多分映画の完成度の高さの為せる技だろう。
物語は、連続猟奇殺人事件の捜査のためにFBI研修生の若い娘クラリスが獄中の猟奇殺人犯レクターにアドバイスを乞う、という設定で、最初の猟奇殺人、「ふくよかな女性ばかりを狙って皮を剥ぐ」というだけでもスゴイのに、獄中のレクター博士の異常ぶりに、すっかり影が薄くなってしまう。
とは言え、恐いもんは恐い訳で、単身乗り込むクラリスの度胸はアッパレ。あんなイカしたカットバックは初めて観たし、小道具で怖がらせる手口もgood。ホント、ハラハラしたあー。
「サナギが被害者の口に突っ込まれている」という事態もブキミなんだけど、そのサナギを調べる奴がまた、物凄いブキミで、しかもさり気にクラリスをナンパしてたりする。ホント、気が抜けない。
クラリス役のジョディ・フォスターは、これまでにも色々いい役をこなしていたけれど、いかにも頭良さげなクールすぎる美貌は、正直「イマイチ」な印象だった。人間ぽくないんだもん。
でも今回の、犯人に怯え、レクターを恐れ、指導員クロフォードを慕うクラリスは、すごく存在感があった。「FBI養成所の優等生」という役所も彼女の堅さにピッタリで、小柄でケツのデカい(失礼!)クラリスが恐さをこらえて必死につっぱる様子はリアルで好感が持てる。
アンソニー・ホプキンスのレクター博士に関しては、もちろんこの映画の人気に貢献しているのは分っているけれど、私的にはちと不満。
もう少し見目麗しい方が好み、っつーか、アンタのアップはもういいよ、みたいな。
ブキミさは良く出ていたけど、うーん、私の好みからすると、ちょっとアブナさがロコツすぎて。
とは言え、レクター無しにこの映画は成り立たない。クラリスとのガラス越しのやり取りも終止緊張を強いられたし、脱走の手口は本当に「おおっ!」と感嘆させられた。形はどうあれ、図抜けて頭のいい人を見るのは、それだけで快感だ。そしてラストシーン、これは絶対、「また会いたいよーな、恐いよーな」。余韻を残して幕は降りる、カンペキ。
こんなスゴイ奴が、どうして捕まったんだろう?と、いう疑問の答えは、『レッド・ドラゴン』にあるけれど、残念ながらレクター博士の恐さはこちらが上。独房で修行を積んだのかしら。
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| ひまわり
古い映画である。
直球ド真ん中の、メロドラマだ。
誰も悪くないのに、皆が悲しい思いをしてしまう、運命の皮肉。
子供の頃(つまり大昔だ)、ソフィア・ローレンがスクーターのCMに出演していた。「世界の美女」とのアナウンスを背負って。
まだ洋画に馴染みも無く、幼く無知だった私は、「ゴリラの国では美人かも」なぞとフトドキな事を思っていた。子供には、難しいよね、あれは。
大人になって、名画座で「ひまわり」を観て、己が愚かさに打ちのめされた。
美しい人だったんであった。
冒頭、映画の雰囲気は明るく健康的だ。
ローレンとマルチェロ・マストロヤンニがイタリアの街(どこだ?)で恋をして、結婚する。なんと言うか、っ物凄くストレートでおおらかな恋人達、殆ど気がふれている。
後にイタリアに行ったり、色々情報が入って来るようになって、どうやらあちらではわりと普通らしいと分かったけれど、当時は呆然としたものだ。見慣れたアメリカ映画のだらしの無い恋愛とは違う、筋金入りのクレイジーラブ(でも英語なのが悲しい…)なのだ。
そして、ローレンも、マストロヤンニも、とても素敵。
声も身体も大きくて、表情にキレがあって。
ローレンのナイスバディは、健康美そのもの。恐いと思った顔も、大人になって見てみれば、香り立つ趣深さだ。
物語は急転直下、悲しい方向へと走り出す。
冒頭の明るさに脳をやられているので、この不幸はひときわ身にしみる。
明るいローレンも眩しく魅力的だが、暗い彼女の迫力はまた凄い。
マストロヤンニのロシア妻、確か「戦争と平和」の女優さん、可愛らしくて、清らかで。泣かせるんだ、これがまた。
そして、何と言ってもハイライト、列車のシーン。
本当に、ドスンと胸を付かれた気がした。
驚きの後を、涙が追い掛けて来る。
予備知識無しに観に行って、本当に良かった。
高田の馬場の狭い名画座で、その日は満席だった。私は立ち見の、それも2列目。手すりにも掴まれやしない。
列車のシーンの後、人がひしめき合う立ち見席で、泣くのが恥ずかしくて必死で耐えようとしていた時。
前に立っている大江千里みたいなオシャレなお兄さん(当時はオシャレだったのよ)が、黒縁の眼鏡をそっとはずすのが、涙でかすんだ視界の端に見えてしまった。
あー、そうだよ、いいんだよ、泣いちゃって。
だって本当に泣けるんだもん。
…それにしても、イタリアには3回行ったけど、マストロヤンニみたいなスマートな紳士にはお目にかからなかったなあ。
渋谷の街でミフネを探すようなものなのかしら。 |