す、せ、そで始まるタイトルの映画

スイミング・プール

久しぶりに、解説の欲しい映画を観た。
ここで終わってくれるなよー、と祈っていたらフッツリと終わってしまった(泣)。
頼むよ、置いてかないでくれー

なにしろ主演女優がシャーロット・ランプリングである。
冒頭、地下鉄のシーンでは、「さすがの妖怪も老けたな」とまんまと思ってしまったが、あれは演出なのだと終盤思い知らされる。
天下のランプリング様が、小娘に嫉妬する中年女の役で終わるはずがないわな。
ところで、その「小娘」リュディヴィーヌ・サニエ(あ!『ピーターパン』のティンカー・ベルだ)の方も、ナカナカに凄い。
やたらに露出するヌードや水着姿の美しい事。
顔はちょっと地味だが、イタリアの宗教絵画に出て来そう。
奔放でお行儀が悪くエキセントリックな若い女。お決まりの孤独感。
最初は女二人の確執を描くかと思いきや、次第に女達は異様な馴れ合いを見せるようになる。
あるよね、女同士って、そういうとこ(笑)。

思わせぶりな会話と画面が水のように流れるうち、事態は急展開、観ているこちらはうろたえ、慌てさせられるが、多分考え過ぎはいけない。
南フランスの夏の、溢れる日射し、煌めく水面、したたる緑、輝く風。
その中に息づく、金色の髪とブロンズの肌。すらりとした脚、驚異的な胸。
そういった美しい世界に、素直に漂えば良かったのだ、最初から。

…でも彼女達に、ぜひともこれだけは言っておきたい。
二人ともすこぶる付きのいい女なんだから、男は選べよ、もう少し。
まったく…。

水曜日のエミリア

予備知識無しで観たが、シナリオが緊張感があって、すぐに引き込まれた。
それにしても、重たい話。
ナタリー・ポートマンは、実はあまり好きな女優じゃないんだが、今回はなかなか良かった。
この人怒った顔が一番綺麗かも。
継息子を睨む所とか、すごく良かった。

その継息子ウィル君がね、熱演で。
8歳ってどんなだっけ?小二?どの程度子供なんだろう。
多分苦労もしてるし、年齢よりもマセてる設定なんだろうな。賢い子だし。
離婚だの不倫だの、子供は本当にかわいそう。
特にこの大人たちは、子供の前で泣くわ喚くわ罵り合うわ…良く正気を保ったよ、少年。

前妻役のリサ・クドローも名演だった。
それにしてもヤな女、こんな女が医者やってていいの?ってくらいヒステリックで直情的で…と、思って見ていたけど、最後はちゃんと医者らしい顔も見せて、本当に見応えがあった。
夫は…うんまあ、子供がいるのに不倫して離婚して、子連れ再婚する男だからな。こんなモンでしょう。
コイツまで怒鳴り出した時はどうしようかと思った(笑)けど、初めから期待はしてませんでしたよ、はい。
でも、ああいう境遇(父の浮気で家庭崩壊)の娘が妻子持ちと不倫に陥るというのは良くある話、と言うか、むしろそういうものなんだと思う。実際不倫する女は、父親を早くに亡くしたとか、父が家庭を顧みないとか、そんなケースがとても多いもの。
「父と彼は全然違う」と言い張るけれど、そうじゃないのは本当は薄々分かってるんじゃないのかな?
人ってされて来たようにしかできない生き物なんだと思う。
相当頑張らないとそこから抜け出せない。

そういう微妙な状況で生まれた赤ん坊が急死してしまった。
なんつー過酷な話を考えるのか…。
継子に「赤ん坊は生まれて8日までは人間じゃない」とか、「不用品だからベビーベッドを売り飛ばそう」なんて言わせるとか、残酷だけど切れ味鋭くて、ググッと引き込まれた。

アレルギーやスケートやお受験や、子育てって大変ね、というのも、女同士がぶつかるポイントとしても、うまく描けてたと思う。
しかし乳製品アレルギーって可哀想だなぁ。私は豆乳が苦手なので、見ていて悲しくなった。
ウィルは本当に、色んな可哀想をいっぱい背負って、あの幼さでシニカルに斜に構える事で自分を守っているのだろう。
継母と手を繋ぐシーンとか、キュンキュンしたわ。
ラスト近くでの仏教の輪廻転生の話は、一筋の光
私が日本人で仏教に馴染みが深いせいもあるかもしれないが、「ちゃんと目を開いて見逃さないように」というウィルは、誰よりも大人っぽく信頼できる人に見えた。

この翌年にポートマンは『ブラック・スワン』でアカデミー賞に輝くワケだが、私としてはこちらの方がずっと魅力的な女優に見えた(作風が地味なのは否めないが)。
彼女自身の製作総指揮だそうで、意外と自分を分かってる聡明な人なのかもしれない。

スゥイングガールズ 

大好きな傑作青春映画『ウォーターボーイズ』の姉妹編、という事で、わりと楽しみにして観まして、まあまあ期待を外さなかった、明るく楽しい勢いのある、青春キラキラ映画でした。やっぱり若いっていいなあ。

「女子高生がラッパ吹いて、面白いか?」と思ったが、ちゃんと面白かった。
女子高生達は、ズーズー弁のせいもあって初々しく、素朴な元気に溢れている。時に暴走、時に失速、コロコロ転げ回る仔犬みたいでカワイイ。
白石美帆の女教師も、適度にかっ飛んでていい感じ。ズーズー弁もキマッてる。
紅一点いや黒一点の男子生徒も、あまりイケメンとかを持って来なかったとこが好印象。恋愛の比重が重過ぎないところも好きだ。 
広々した田園風景に、響き渡る気持ちのいいジャズの調べ。耳に優しい方言と、泣いたり笑ったり、ドジったりで忙しく見飽きない、仔犬のような少女達。
目にも耳にも心地良く、楽しい材料が揃えてあってありがたい。

でも、傑作『ウォーター〜』と比べるのはナンだけど、似過ぎているのも事実。
申し訳無いが、竹中直人はもういいや。いつも同じだし。
全く個人的には、やっぱり「セーラー服姿の女子高生がラッパを吹く」よりも「水泳パンツ姿の男子高生がプールで踊りまくる」方が好きだし(笑)。
真面目な話、出演の少女達は楽器演奏の特訓をして撮影に臨んだそうだが、映像だと演奏が吹き替えかどうかの区別が付きにくく(わりとちゃんとしてるな、くらいは分かるけれど)、ハダカでシンクロというインパクトには到底及ばない。
それでも、うら若い娘がホッペを膨らましてラッパを吹き鳴らし、みるみる上達して行く様にはカタルシスがあったし、テンポの良い展開も心地良く分かりやすく、肩肘張らないユーモラスなやり取りに笑いながら、「ジャズ最高!」って気分にまで持って行ってくれる、充分に楽しい映画だった。

 ところで。
最後の大会出場での、主人公の態度、あれは無いよねぇ。
いくらドジでも、いくら女子高生でも、言い出せないって……。
映画は「結果オーライ」で楽しく終わっているけれど、あそこまでして盛り上げなくちゃならないの?と、逆に引いてしまった。
気持ちのいい映画だっただけに、それってとても残念。

スーパーサイズ・ミー

「1日3食、毎日マクドナルドのメニューだけを30日間食べ続ける」という、命知らずな実験?企画に、監督自身が挑戦するドキュメンタリー。
アホや、この人

と、思いつつ、単なるバラエティー感覚で観てみたが、意外と趣旨は真面目で、かなり集中して観てしまった。
日本も、もしかしたら似たり寄ったりなのかも知れないが、アメリカという国の食生活事情は、本当にヤバそうだ、という事が、ヒシヒシと伝わって来る。
実際、過酷な実験を行いつつ、あちこちで食事情を取材して回るスパーロック監督に付き合っていると、「マクドナルド商品を毎食一ヶ月」が、それ程極端なメニューではない、という現状が見えて来る。さすが、デブ大国・アメリカ。
 
店頭でのマクドナルドファンへのインタビュー。一月どころか、殆どずっとマクドナルドとか、マックでなくてもバーガー&ポテト&コーラの食事、とか。「他に何があるの?」とでも言いたげだ。
意外にも、「ビッグマック中毒」の男性が、太っていなかった。彼はビックマックだけが大好きで、サイドオーダーは殆どしない、と言うから、諸悪の根源はポテトか!?バケツのようなコーラやシェイクか。まあ、どれを取っても身体に悪そうなのは一目瞭然なんだが、「愛好者」達の言葉を聞いていると、マックだけがどうこうではなくて、他の選択肢も似たり寄ったりなのだ、という事が良く分かる。

一方で、監督の恋人(物凄く可愛い…仕込みじゃないのか!?)は、菜食主義者のシェフ
「実験」を始める前夜、彼女は山のように野菜だらけの「ご馳走」を作って、無謀な冒険に飛び込む恋人にサービスする。
「ほ〜らほら、美味しそうでしょ〜?」と、使った野菜の名を並べ立てながら、彼の前に積み上げるが、ごめん、私でも全然、ソソられない、その料理。
正直、スパーロック君がこんな無謀な挑戦を思い付いたのも、彼女の料理に辟易したから?なんて、深読みしてしまったわ(笑)。
両極端があって、どちらもイタダケない。
ましてや低所得層に、コストも手間もかかる菜食主義は無理。
そもそも基礎的な知識すら、殆ど与えられていない様子なのだ。

一番ショッキングだったのは、中学校の学食でのルポだ。
セルフサービス形式の学食で、生徒達は好きな物を勝手に取って食べる事ができる。まずい給食を強要された私の世代には、夢のようなシステムなんだが。
並んでいる食品はと言うと、チョコバー、アイスクリーム、スナック菓子、ドーナッツ………おいおい。それって、食事?という物がズラリ。
学食の職員は「生徒の自主性に任せているけど、皆ちゃんとセレクトできてる」と胸張って喋っていやがる(怒)が、生徒達は「お菓子だけ食べてランチは終わり」と言う子が何人も出て来る。ガキなんぞに好き勝手やらせたら、こうなるに決まってるだろーが!大人が良い選択肢を与えてやらんでどーする!?
一方で、これではイカン、と気付いた地域もあって、同じシステムで手作りのスローフード中心のメニューに切り替えたところ、生徒の暴力事件が激減した、という結果が、ハッキリと出ている。
しかもコストは変わらない。当たり前だ、出来合いの菓子やジャンクフードは高価なんだからっ。

さて、もはやどうでもいいが「マックメニューで一ヶ月」の結果。
体脂肪やらコレステロール値やら、もろもろの悪そうな物が体内に激増し、見た目も見る見る出腹のタルタルになって、体重も最大11kg増。ウツに倦怠感に性的不能。最終的には肝臓・腎臓ボロボロ。
精神的にも肉体的にも限界を超えても、スパーロック監督がこのトライを完遂したのは、知識も選択肢も与えられない人々を思ったから。
マクドナルド側は関連を否定したそうだが、実際に公開後「スーパーサイズ」メニューは廃止された、というから、アッパレだ。

もちろん、マクドナルドだけが悪者なのではないのは、百も承知。どんな料理だって3食1月食べ続けたら病気になるよ。
でも、ヤバい食生活の象徴としては、確かに悪くない配役だ。
そして、命知らずのアタックをやり遂げたスパーロック君は、それなりにオトコマエでただのアホではなかった。
でも、まさかとは思うけど、良い子は真似をしないでね。マジで。

スーパーマンリターンズ

劇場で観た最初の感想は、「よくまあ、あんな子見付けて来たもんだなぁ〜」。
無論、主演のブランドン・ラウス君のこと。
前シリーズの故クリストファー・リーブが、そもそも原作イメージにピッタリだったんだけど、その彼にまたソックリでしかも若くて清潔感溢れる、そしてちょっと野暮ったい、彼。言うまでもなく古典的なハンサムボーイで、長身の筋肉質。お約束の顎も控え目に割れて、容貌的に比の打ち所が無い!完璧。
本人も自覚していたのか単にオタクだったのか、学生時代ハロウィンでスーパーマンの仮装をした写真まで残ってる、可愛い(笑)。

で、せっかくそんな、完璧な容姿のスーパーマンを起用し、これまた殆ど完璧と思えるCGを駆使しての、20余年ぶりの"スーパーマン"だというのに…なのに………。
一つには、時代の気分に合わない、というのがあるかもしれない。作品がと言うよりも、"スーパーマン"という企画、設定自体が、もはやそらぞらしいと言うか。
むしろ映画の内容は、ミョーにスーパーマンが悩んだりボコられたりと、今風になってしまって、かえって本来の持ち味を損ねる結果になっているとも言えるし、そこら辺の塩梅が微妙に残念だった気がする。
ぶっちゃけ私は、悩めるスーパーマンとか、スーパーマンのホームドラマとか、見たくない。

悪役も、せっかくお馴染みレックス・ルーサーを持って来たのに、前作のジーン・ハックマンのイカレッぷりに遠く及ばず。ケヴィン・スペイシーは大好きな素敵な俳優だが、持ち味の哀愁が裏目に出た感じで、なんだか覇気が無く、普通の悪人の印象。陰謀自体も破天荒ではなく、割と筋が通ってしまっていて笑えない、いや愉しめない。
ついでに愛人も、なんだろう。ヘンに知性的なセクシーでないタイプで、フェミニズム団体に気でも遣っているのか?ここは普通にモンロータイプでええやん。と女の私が不満に思う。
恋愛要素が強すぎるのも不満の一つだが、その肝腎のお相手であるロイス・レインがまた、つまらない。私的には"元祖じゃじゃ馬"ってイメージだったのに、ミョーに落ち着いてしまって、しかも中途半端に美人で女っぽい。こんなのロイス・レインじゃないやい〜!
(旧作のロイスはガサツで色気の無いやせっぽちの不美人で、映画のヒロインとしてどうなの?と当時は思ったものだったが、今振り返るととてもチャーミング。そんな女を好きなスーパーマンも好印象だ。)

それでも感動した部分は、ロイスの新恋人のリチャードが、必死で戦おうとするシーンだったりする。
どうにも普通の人間の彼が、力及ばぬながら勇気を振り絞って頑張る姿を見ると、つい本気で応援したくなる自分がいる。そして万能の力を備えたスーパーマンも愛に変わりは無いのにと、ふと気付いて、その孤独に胸を打たれるという。
スーパーマンだって戦うのは怖いし、多分神経も通ってるから痛い事もあるはず。なのに"強い"と分かって見てるこちらは、スーパーマンの100分の1の結果しか出せなくても、普通のリチャードを褒め称えたくなってしまう。
いや彼、最初はせこい当て馬と思ったのに、良かったよ、いい男だった。
ところでロイスは子供の事を何と説明しているのか…あんないい奴だましてたなら許すまじ。どうもこのロイスは好かん。

いえね、けっこう楽しんだんだけど、あのテーマ曲はワクワクするし、とにかくCGは凄くてもう、どこがなんやらワケ分からんし、しつこいようだが主演はハンサムだし。
そうそう、ラウス君のクラーク・ケント姿がまた、とても似合っていただけに、ケント部分が少なかったのも残念だった。私メガネ萌えだわ。つくづく実感。
だいたい高校生の『スパイダーマン』ならまだしも、いい大人で社会人のヒーローが、グダグダと何年も前の恋愛引きずるとか、完全無欠のストーカーと化すとか(笑)。やめて。
作る気満々だった続編が頓挫したのも、ちょっと納得の展開であったわ。私としてはラウス版スーパーマン、もっと見たかったけど。
続編ではなく、リメイクにすれば良かった、とも思う。あの主演を迎え、格段に進歩した撮影技術をもってすれば、それで充分楽しめたはず。そして時代設定も、やはり現代はそぐわない。60年代あたりでやって欲しかった。
やはり"ヒーロー不在の時代"なんだろうか…。

スカイライン-征服-

ヒーローはココリコ田中風味でイマイチだったが、おヒゲのおっさん(デヴィッド・ザヤス)が思いの外素敵で見とれてしまった。退場も一応花道用意してもらってたし、良かった良かった♪

冒頭から濃厚に漂うB級臭にナメ切って見ていたが、センスはともかくナカナカの力作ではあった。
謎の円盤、天変地異、謎の光線、凶暴でキモいエイリアン、迎え撃つ戦闘機…と、思い付くモノは一通り用意しましたよ、みたいな(笑)

そしてまさかのラストシーン、に、続くエンドロールの、「オレこんなんなっちゃった、カッケー!」みたいな(笑)(笑)(笑)
何というか、ある種のオタク心を端的に表して突っ走ってるような。
うん、嫌いじゃないんです、こういうの。

人がビューンと飛んでったり、けっこう頑張ってたし。
残念だったのは、開始からUFO来襲までの"日常描写"が極めて退屈だった事。
…まあ、オタク目線で見れば怪獣も宇宙人も出てこない世界に何の面白味があろうか、という事だと思うんだけど、一応ここでヒーロー&ヒロインに、多少なりとも思い入れを持っておきたいワケさ、古いタイプの映画ファンとしては。
それが、旅行に来たのに終始仏頂面のヒロイン、恋人が妊娠したと知って「クソッ」としか言わないヒーロー、バカ丸出しのハリウッドセレブ?の面々。もう興味無いならいっそ、全部吹っ飛ばしてしまっていいよ。

でもなんか、面白かったよ、特に後半。うん。
冗談ヌキで、永井豪とかをちょっと思い出しちゃった。あ、実写版『デビルマン』の事は忘れたよ。

スクール ・オブ ・ロック

いや〜。
あんな醜悪な顔を見ながら、ロバート美形プラント様の美声を聴くハメになろうとは。
しかし、美醜はともかく、ノリが良くって楽しめました。

なにしろ私をすっかり怒らせた『キング・コング』の映画監督役をやった、ジャック・ブラック(怪演…ブ男)が主演、と知ってて観たんで、怖い物見たさもあったけど、そんなに期待はしてなかった。
で、予想通りブラック演じるデューイは、根拠の無い自信とロックへの愛だけが財産のロクデナシ男。ああ、暑苦しい
でも、なかなかイイ声をしてたりする。おやおや?

物語は単純で、その落ちこぼれ男が小学校(!)に教師として潜り込み、生徒達を集めてバンドを組んでコンテストに出場する、というもの。
ありがちなストーリーで、ちょっとうまく行き過ぎだが(なぜ今まで彼が不遇だったのか、分からない程の行動力と有能ぶりだ…)、子供達は生き生きと可愛いし、気の優しいルームメイトのネッドや、頑張り過ぎで破堤寸前の女校長(可愛いぞ…)、本来なら絶対接点が無かったであろう同僚の教師達、と、魅力的な人間関係が飽きさせない。
そして流れるのは、もちろんロック!

私は特別ロックファンだった記憶はないが、これだけ豪華版で聴かされ続けると、やっぱり自然と血が騒ぐ。若い(幼い)頃聞き流していた音は、細胞に組み込まれているのかも知れない。なにしろ、楽しかった。
そしてこれも、特に子供好きではないけれど、アガリ症の子、家庭の事情の複雑な子、音楽センスに恵まれなかった子…と、どの子も一生懸命で、健気に頑張る姿を見せられると、やっぱり応援したくなる。そしてデューイが、(口から出任せで)見事に皆をフォローして使い分けていく様子に、気が付けば拍手を送っている。
デューイと対照的に、平凡で堅実な生活を求めていたルームメイトのネッド。ずっと弱気で彼女の言いなりだったけど、最後の選択は、本当に嬉しくって共感できた。

いかにも楽観的でお気楽な、都合の良い展開だが、それもまた良し。
人生楽しくやったモン勝ち、と、心から思える、いい映画だ。

スコーピオン・キング

今やハリウッドNo.1セクシー俳優のドウェイン・ジョンソンが、まだ『ザ・ロック』を名乗っていた頃、いわば俳優業ではスタート地点の作。
(と、とっくに引退したとばかり思っていたら、なんと2019年にプロレス復活してるらしいです。どこまで凄いんだこの人…)
今の渋さを増した彼もいいけど、2002年当時の若く精悍なロック様は本当に本当に眼福、美しい、そして可愛い!

ハムナプトラ』のスピンオフ、なんだけど、内容的に繋がりは殆ど無い。
確かに『ハムナプトラ2』に登場する怪物『スコーピオンキング』は、安いCGながら印象的なロックの風貌を表現してはいたが、本作の主人公『マサイアス』が、あんな姿になって囚われの身で凍結される理由は出てこないし、どうにも両者が繋がらない。
多分、スコーピオンキングの絵面があまりにもカッコ良かったので、なんか作りたく(見たく)なっちゃったんだろう、うん。

ストーリーは極めてシンプルかつ王道。
不遇から身を立てる逞しいヒーロー、残虐な統治者、ミステリアスな美女、気のいい小物の相棒。
ここで魔法使いか賢者が登場するのがパターンだが、今回は"美女"がその役割を兼任している。
予言を下す敵の子飼いの巫女。
東洋的なエキゾチックな美貌に、ほぼ裸に布巻いただけの衣装姿は、ロック様の褐色の肉体美と合わせて一服の絵のようだ。
このケリー・フーという美女。イギリス、中国、ハワイの血を引くそうな。『X-MEN2』では日本人役?
日本人的には、この手のセクシー感は日本人にはいないと思うけどな(笑)。

私もすっかりだまされた、巫女の能力の件。
ちょっと王が気の毒で笑ってしまった。そういうの気にしない(笑)マサイアスも笑える。
そしてこういうシタタカな女は好きだ。
一目で自分を救う男と悟っていながらあのツンデレぶりだし。

見所は何と言っても、若きロックのヒーローっぷり。
どう見ても強そうな上ソコソコ知性も感じさせる面差しは、若いだけにシャープで素晴らしい。身体もシャープで素晴らしい。
女の群れに突っ込んで取り囲まれるのがやたらと絵になる、そこでただオロオロと脱がされる姿も可愛い。
コナン・ザ・グレート』(あまり評判はよろしくなかった映画のようだが私は大好き)のシュワちゃん以来の、素でファンタジーヒーローができる俳優だと思う。
しかし、最強の巫女が付いていながら、なぜ彼は呪われるのか…???

スコーピオン・キング2 12/3

…えーと。
ロック様はぁ!?

以上。

って感じで、全く期待外れだったワケですが。
うんまあ、つまりあの若造が、成長してロック様になるんだね…。
予備知識無しに見てしまったし、前作『スコーピオン・キング』を見終わって「この勇者がこの巫女を手に入れて、もう鬼に金棒どころじゃないのに、何故あんな悍ましい姿に身を窶し永遠の呪いを受けるに至るのか!?」と、その先を知りたくなっていただけに、この『2』というタイトルは罪作りだったわ。

まあ、普通に冒険活劇ファンタジーではあるんだが。
何と言うか、何ともチープで、主人公マサイアスもショボくてエリート兵士に見えない(ましてや長じてロック様には断じてならん)し、どーでもいい男勝りのヒロインも全然強そうじゃない上に地味な容姿。極め付けは黄泉の国の女王(=女神)が、うん。ご近所のオバちゃんみたい(笑)。
妖術使いの父の仇、ミノタウロスとの戦い、黄泉の国への冒険と、面白くなりそうな要素はいっぱいだったのに。
終盤で、ヒロインが無茶をして兵士になろうとしたのは好きな男(主人公)目当てだったと知って、心底ウンザリしちゃった。
強いて、本当に頑張ってイイ所を探すなら、シタタカなギリシャ人の詩人はちょっと良かったかな。パターンではあるけど。

なんだかこのシリーズ、延々と続くようですが。
もう見ないだろうな…と思ってたら、『4』のキャストにビックリ!
マイケル・ビーンにルトガー・ハウアー、ウィル・ケンプ。
これを見るのか、見るだろうな、私。

スコット・ピルグリムvs.邪悪な元カレ軍団

うわぁ〜もう、ご免なさい
開始15分で耐えられず二倍速。それでも辛くて音も聴けない3倍速にして終了間近に二倍速に戻した。
こんな事は『愛のむきだし』以来だわ。
本来何も書く資格は無いかもしれないが。

オタク男子の童貞妄想が暴走、という風にしか見えなかったのだがどうでしょう。
とにかく主演の男の子が不細工でキモくて、視聴意欲はのっけからダダ下がり
そのくせ女子は顔の可愛い子を集めてて不快感倍増
原作はゲームかと思ったらマンガだそうで。
もう脳味噌の造りが根本的に違う気がしてます。

良かったところは、女の子(中国人女子高生、髪色へんな憧れの人、元彼の隣のブロンド)の顔が可愛かった事と、タイトルの乗りが好きな事くらいか。
あ、主人公と同居してるゲイの彼は良かった。存在感のみで活躍しないけど。
せめてあれくらいの見た目の子が主人公ならまだ観る気も起きたのに。
はあ。

スターシップ・トゥルーパーズ

ポール・ヴァーホーヴェン(泣)!

確かにヴァーホーヴェン監督は、グロ描写も露骨だし、エロもお構い無しだし、下品過ぎてラズベリー賞も受賞しちゃってる、個性が強いと言うか問題の多い監督ではあるが。
グロでもエロでも下品でも、そこを乗り越えて来る豪腕な才能がたまらなく好きなのだが。
今回はちょっと…無理だった。

いや〜凄い。凄まじい戦争賛美
どこかでひっくり返るのかと思っていた私は、やはり平和ボケの島国国民なのでしょう。
対戦相手は虫。
さすが、非武装の一般人を空襲で大量虐殺し、戦勝後は難癖付けて敵国兵士を処刑しまくったお国柄か。
(ヴァーホーヴェンは確かオランダ出身だった気がするが…)
虫だから、黒いから、黄色くて目が細いから(笑)そう思えばどんな残虐な殺戮も楽しめるんでしょうか、ある種の人達は。
ってくらい、生々しくえげつない。
いやこれ、相手方が人間だったらとても見てられないわ、という気持ちと、巨大な虫が延々と潰されるの見るの気持ち悪い、という気持ちがせめぎ合ってしまうんですが、どっちにしても嫌って事よね。
しかもなにあの、ラスボスのデザインが、どう見ても女性器!
やだもうやだー!

女の子が可愛いと思ったら『ワイルドシングス』のお嬢様か。美人よね。

続編が2本も出てるので好評だったのでしょうが、私はもう観なくていいや…次から監督は違う人みたいだから、こうまで生々しくエグくはないかもしれないが。
しかし原作ハインラインとは知らなんだ。イメージと違うぞ。

スタンド・バイ・ミー

女の大半は、「少年」にかなりの幻想を抱いている。
男性が少女に抱くそれとは違う、もっと自分に引き寄せた、憧れとも郷愁とも言える感覚。
あの頃、実際身近にいる「少年」達は、決してそんなにありがたいモンじゃなかった。
でも、少なくとも我々よりずっと楽しそうで、身軽そうで、未来が明るそうな気がした。
男なんて不自由なもの、と気付くのは、ずっとオトナになってから。
知ってしまえばなおさらに、ひとときの輝きは愛おしい。

で、『スタンド バイ ミー』。
スティーブン・キングが自らの少年時代を回想して書いたという物語りが原作だ。
田舎町でそれぞれに苦労や悩みを抱える少年四人組が、「列車事故で死んだ少年の死体を探しに」線路際を旅する物語。
ひと昔前の、閉鎖的だがのんびりしたアメリカの田舎町の様子や、トム・ソ−ヤーを思わせる少年達と森や川の景色。木の上の隠れ家に、キャンプファイヤーに、数々のオールディズの名曲。
主人公達が皆、辛い状況に苦しんでいるのもかかわらず、いつまでもここにいたいような懐かしさがある風景。(ましてや、我々の幼少期とは全く違う景色にもかかわらず!)
大きな話ではないが、この空気感はずっと心に残る、貴重な映画だ。

陸橋のシーンは最高。ヒルのシーンも、犬のシーンも、早朝のシカも大好き。
苦しい環境にいても、はしゃがずにはいられない幼さ。
「死体を見つける」事自体に、たいした意味がある訳ではないが、成長期の魂は、ちょっとしたキッカケも見逃しはしない。
旅の始めと終わりでは、4人は別の少年になっている。
その瑞々しさが眩しく羨ましいのは、私が歳を取ってしまったせいか。
 
キング自身の幼少期とおぼしきゴ−ディ役が、とびきりの美少年なのはご愛嬌として、やっぱり注目を集めたのはクリス役のリバー・フェニックスだろう。
ちょっと不良っぽくて影があって、煙草を吸う姿があの歳でサマになっていた。
でも、顔立ちはまだ幼くて「ダンゴに目鼻」。はしゃぐ姿は無邪気で子犬みたいだし、辛い思い出を語るシーンでは顔中真っ赤にした泣き顔が真に迫ってタマラナイ。

原作がキングの体験談だからなのかどうか、クリスのあまりにも悲しいその後が語られて幕が降り、人生は切ないな、なり、何だったんだ今まで、なり、観客は色々考えざるを得ない。
私としては、作品として、あのエピソードをどう受け止めていいものか、良く分からずにいるんだが。
実際にリバー自身が若くして死んでしまい、終わってみればこの作品が一番だったかな、と思うにつけ、ほろ苦い切なさは募るのであった。

スタンド・バイ・ミー どらえもん

ちょっと、このタイトル(笑)。

ドラえもんのTVシリーズは以前、けっこう好きで何となく毎週見ていたんだが、声優が全取っ替えになってからどうも見る気がしなくなり、何となく離れてしまっている。
映画版も、初期の物は本当に出来が良く、見ては泣いてしまったものだが、もうそういうモノではなくなってしまったようだ。

なんとドラえもんの3Dアニメでありました。
話の内容は、もうすでに見聞きしている原作のネタで新味は無いし、ドラえもんとのお別れも結末が分かっていたので、残念ながらさしたる感動は無し。
と、言うか、なぜこの内容を?と思ったんだが。

3Dアニメというのは、出来の良いモノしか通常目にしないのだな、と、改めて思った。
だってpixar作品くらいしか観ないもん、あとはハリウッドの話題作とか。いわば最高レベル。
で、そうでもないモノを見ると、視界が歪んで見える。キャラクターの顔が振り返った時なんかにグニャリと歪んでしまったり、激しい動きで手脚が伸び縮みして見えたり。
昔『イカ天』の素人バンドの演奏を見て、「TVに出てる人達って上手いんだなぁ」と実感したのを思い出した。
それくらい、素人臭いCGでした。

しかしシズカちゃんが別人のように萌え萌えしてるのには笑った。
不二子F先生の描く女の子は、正直ちっとも可愛くないんだが、そこは原作の造形を無視しても魅力的にしたかったんでしょうね。気持ちは分かる。
3Dで瞳のウルウルとかがリアルで、なかなかに気持ち悪かったいや色っぽかった(笑)。

ストーリーは今更ながら、やっぱり読者対象の中心は男子だという事なんでしょうね。
シズカちゃんがのび太と結ばれるなんて、人身御供としか思えない。
男子の夢は代弁しても、女子の夢は叩き潰す物語だわ、この点に関しては。
『ドラえもん』自体は、今でも好きなんだけどね、夢いっぱいで、ノホホンとしてて。

ステップフォード・ワイフ

70年代の映画のリメイクだという事だからなのか、うーん。
なんとなくアンバランスな印象があった。ラストも無理矢理っぽかったしな。
科学的要素(と言うのか)が、いくらコメディとはいえあまりにもいいかげんで、家並みや室内装飾、それにワイフ達の美しさがとても丁寧に奥行き深く撮られている分、もったいないと言うか。
「カリスマ主婦」が脱税で投獄される御時世だからこそ、も少し真面目に取り組んで欲しかったな。

金髪ロングのイメージが強いニコール・キッドマンが、ブルネットのショートカットで登場、意外に似合ってキュートな印象。
まあ結局は、最後に金髪で登場するための落差設定なんだけど。
でも正直言って、どうしてキャリア女性は黒い服にこだわるんだろう。
私は男性でもないし、頭カラッポな主婦を好みもしない、っつーかキライだけど、あの50年代風のファッションは大好き。
働くのに特に動きにくいとかって事も無いと思うんだけど、カラフルな方が気持ちもアガるし。キャリアと呼ばれる仕事の大半は肉体労働じゃないんだしさ。

他にもベッド・ミドラー、グレン・クローズ、クリストファー・ウォーケンと芸達者を揃え(ここは魔女の城か!?って顔ぶれだが)、ニギヤカで楽しいイカレた世界が展開される。
前半、つまり「改造」前のミドラーのキャラクターは最高!痛快だ。
ゲイの建築家も笑えたが、あの方向に「改造」されるとは…ゲイの気持ちは分からないから仕方無いか。
ストーリーは他愛無く、バカバカしいものの、ラストで現代風?アレンジのドンデン返しが、かなり無理矢理という印象で、単純に終わらせていいじゃない、と思ってしまった。
だってあの主犯の動機と手口は、どう考えてもズレてるし、もし私なら、絶対に先に男をなんとかするもの。
いくら「くだらない」コメディでも、こういう理屈が通らないのはキライ。
とても丁寧に手をかけた映画なのに、残念だ。

ところで、ステップフォードの妻の一人、サラを演じた女優が素晴らしく美人で(ちょっと叶恭子さん似?)目が釘付けになったが、彼女は有名な歌手・フェイス・ヒルでした。
無知な私はどこぞのスーパーモデルでも連れて来たのかと思ったわ。

ストリート・オブ・ファイヤー

ロックンロールの寓話、というサブタイトルがついているそうだ。
な〜るほど。
陳腐でありきたりなストーリー、類型的で薄っぺらなキャラクター、現実感の無い舞台設定。
圧倒的迫力のロックンロールだけが、語るべき唯一の主役として君臨している映画。

公開当時、映画好きの友人達がこぞって絶賛していたのが印象的だった。
まあ、上記の意味でならいいんだけどね、話のつまらない映画は、私はあまり好きじゃないのよね。

ニヒルなヒーローは甘いハンサムだけどアホそうでトロそうなマイケル・パレ。どう見ても運動神経ニブそう(って事はリズム感も悪いはず)なダイアン・レインがロッククイーンとは笑止。
悪役のウィレム・デフォーと、ヒーローの相棒になるエイミー・マディガンが、面白いといえばそうだけど。
そのデフォーも、最期のタイマンで絶対ウェイト的に不利な武器を選んでわざわざ負けてるし。 相棒だって、なんで相棒になるんだっけ?
この相棒役、脚本段階では男性だったのを、女優マディガンがウォルター・ヒルを説得した、という話だった。確かに新鮮だったけど。

やっぱりデフォーを語ってしまおう。
この映画で私は初めて彼を見た。
ギャング団のボスなのにミョーに色白で華奢で、ロッククイーンをコンサート会場からかっさらう狼藉は働くくせに、捕まえて縛った後はお願いしてるだけ。ケダモノッぽい顔なのに、なんか哀愁漂っちゃったりして。
ギャグマンガの中に劇画のキャラクターが特別出演、みたいな。
この後私は『プラトーン』でデフォーの大ファンになるんだけど、この時点で、忘れられない個性的な彼ではありました。

くどいようだが、ロックンロールは最高だったよ、ダイアン・レインが口パクで歌う『今夜はAngel』は、未だにイントロで血が騒ぐ。
…でも本当は、この映画じゃなくてTVの『ヤヌスの鏡』のイメージだったりして。あのドラマは面白かったなあ。

ストレンジャー・コール

眉毛!眉毛!
ちょっとちょっと。

ヒロインの眉毛が気になって、映画に集中できないレベル(笑)。
眉毛が凄いんだけど、美人でナイスバディな主演女優、「最も美しい顔」でNo.1に輝いたんだそうな。
確かに物凄く美しい造形だと思う。うん、眉毛凄いけど。
けど、ぶっちゃけ、あまりに整った顔立ちって、B級ホラーのヒロインとしてどうなんでしょう?あくまでB級限定ね。
例えば『サマータイム』のヒロインの娘とか、『不法侵入』のマデリン・ストーとか、美人だしスタイルも良くて、彼女らを見るだけで映画観てソンは無いって気にさせてくれるんだけど、この娘はなんか違う。
眉毛?

内容は、実は87分という短さを感じさせない(笑)冗長さ。
上映時間の大半をイタズラ電話に費やし、最後に登場する"殺人鬼"も影が薄くて何だかなぁ…という。
かろうじて金髪のお友達が被害に遭ったが、それすらもあまり盛り上がらず、なんだか気の毒。

豪邸は素敵だった。
あの中庭のようなスペース、カナリアを放し飼いしてるくらいだから屋内なんでしょうが。とても貧乏人には思い付かない発想だわ。
でもせっかくの錦鯉の池も、スプリングクラーの設備も、あまり有効に生かせたとは思えず、ヒロインの眉毛と共に残念。

ストロベリーナイト

TVシリーズの方は途中脱落してしまったし、原作シリーズも一つ二つ読んだかな、という程度だが、西島秀俊は大好きなので短ければいいかな、と観てみた。
悪くなかったです。

"姫"は、正直イメージと違い、可愛らしすぎる嫌いはあるけれど、竹内結子さんは迫力あった。
私は大沢たかおの顔が嫌いで(すいません)大評判を取った某タイムスリップドラマも30分で挫折したんだが、今回は大丈夫だった(笑)。肝臓悪そうでな。

「俺が殺してやる」と、憎からず思ってる男に言われて、その男が実際に相手を連れて来れば実行するであろう男であったら、後先構わず欲情もしようというもの。
そこは何となく分かる気がして、無茶も職務怠慢も責める気になれない。
雨に濡れた子犬のような菊田は気の毒だったが…可愛かったから良し(笑)。
「敵方と恋に堕ちる」は盛り上がり必須だし、ましてや姫川には過去がある。ぶっちゃけ病んでいる。
同じ臭いがするからだ、という牧田の台詞は説得力があった。

そういう意味では、牧田と柳井も"同じ臭い"に惹かれた者同士。
そこんとこはいいのだが、事件の真相は「はららぁ〜…」ではあった。
金子賢、もはやホモ役者(笑)こんなんばっかやがな。まあ、いいけど。
TVシリーズは脱落したものの、「姫川班」だかのメンバーが殆ど活躍しなかったのは残念。
他にも良い役者が揃っているのに顔出し程度で、とても勿体ない。ちょっと恋愛?にシフトし過ぎだな。
武田鉄矢も田中哲司も遠藤憲一も、もっと見たかった。生瀬勝久に至っては、わざわざ何しに来たんだと(笑)。三浦友和はチョイ出でも素敵だったけど。

大筋よりも、公衆の面前で派手に暴行障害を繰り広げる牧田を長々と見物した上連れ去られる姫川とか、道の真ん中で刺された牧田を普通に抱きかかえて泣き叫ぶ姫川とか…歌舞伎の愁嘆場ですか、『セカチュー』ですか、って。
その辺りの適当さがイヤでしたね。"敏腕女刑事"への愛が無いよね。

そしてラストシーン、なぜ菊田は姫川の言葉を遮ったのか???
こういうシーン、よくあるんだけど、だいたいモヤモヤしてしまう、私。
姫川は何を言いかけたの?菊田は本当に彼女の真意を分かっていたの?なぜ二人共、あんなにも清々しい表情なの???
ドラマを全部見ていれば理解できたんだろうか、あまり見る気にはなれないけれど。

追記:ここまで書いて一旦閉じて、急に思い出した。
私、原作読んでるわ、コレ。
あまりに印象が違うものだから全然結び付かず、ボンヤリと「姫川ってよく犯人に恋するのね…」とまで思っていた(笑)。
車中の濡れ場は未遂だったよね。なんの配慮?と不服だった。あそこはやって良し。
つまりアレだ、牧田のイメージがね。どうしても自分と同性の主人公の恋愛対象となると、好みのタイプを当てはめて読んでしまうんだな。
肝臓悪そうでな…。

スナイパー/狙撃

ドルフ・ラングレン、かっこいいんだけどねぇ。
彫刻のような完璧な肉体美に、金髪碧眼(グリーンかな?)の美貌。ちょいゴツいけど綺麗なお顔だと思うのよ。
なんとなくドン臭いと言うか野暮ったいようなところも好きなんだけど。
面白い映画が、殆ど無い……(泣)。

邦題マズイでしょ『スナイパー』の次にわざわざ『狙撃』まで付けちゃって、この人確かに職業はスナイパーだけど、劇中(人は)狙撃しませんからっ!!!
えー。
そもそもね、ドルフの肉体美と狙撃とは何の関係も無く宝の持ち腐れ(スタローンの爆弾屋同様)どころか、潜んだり待ったり逃げたり隠れたりするにはむしろ邪魔。筋肉が場所を取りすぎる

それを言うなら"スポッター"のお姉さんも、とても美人さんなんだけど、しつこい変態に目を付けられたりして美貌が邪魔にしかなってない。無駄の多い二人
しかも、スナイパーは引き金を引けず、スポッターは仕事をしないスナイパーを始末できない、と。
働けや君たち

えーとね、回想シーンを重ねるのは得策ではない、と習わなかったかな?
こんな薄い内容の映画で、なぜ分かりにくい構成を使うのか。
そして数々の死線を突破して来たプロの二人が、一人の変態警備員にボコボコにやられちゃってるんですけど…って言うか狙撃に来て弱そうなおっさんにレイプされそうってのが延々続くのはどうなの…しかもその現場でスナイパーとスポッターがSEX始めちゃうし…(汗)。
だいたい一度目の狙撃失敗で二人ともなぜクビにならなかったの?撃たなきゃ殺されるはずでは???
かなりの数を返り討ちにしていたように見えたんだけど。

まあ変態警備員が便器をぶら下げて逃げ出すシーンは面白かったが。
まさかこのままレイプ魔をやっつけて終わりじゃないだろな、とソワソワしていたら、ありがたい事にちょっとしたサプライズはあった。
そこからの銃撃戦、ヒーロー被弾、エレベーター落下に爆発炎上、と、派手なアクションが続くのだが、あまり気分が上がっていないのでイマイチのめり込ず。

全てが終わり、女は現場を去る…え、終わり?結局狙撃一度もしてないじゃん?
と、思ったら、最後にかろうじて、狙撃してくれましたよ(人じゃないけど)。
水道管プシューからの口パクの応酬は、絵的にとても綺麗で良かった。
…でも、別に一緒に行ってもいいと思うんだけど、あの二人。
なんか全てに食い足りない映画だったけど、ドルフさんの肉体美だけはご馳走様でした。
彼が一番美しかった時期かもしれない。

スパイキッズ1.2.3 

好きなのよねー、このシリーズ。
って言うと、友達に「エエ〜ッ!?」って言われる(事が多い)。
分かるけどさ。
楽しいと思うんだけどなあ。バカバカしいっちゃそうだけど。
とてもバランスの良い、目的のハッキリした、センスのいい映画だと、私は思うんだけど。

そもそもね、私、「子供から大人まで楽しめる」と銘打った映画で、楽しめた経験が、無いの。
んなワケないじゃーん。アレは正しくは、「子供に喜んで欲しいと大人が思うような映画」でしょ。
その点「スパイキッズ」って、徹底して子供向けで、オトナの顔色なんて伺ってない。(じゃあバンデラスの起用はなんなんだ!?と言われると何も言い返せない、私自身それに釣られて観たんだから)
でもだからと言って、子供は大喜びするけど大人が眉をひそめるような下品さも無い、むしろすごーくピースピースな雰囲気で、終わってしまえばみーんなトモダチ、ってとこも好き。(そこら辺がダメな人には「くだらない」に写るのかも。)
シリ−ズ物って、だいたい尻すぼみになって行くものだけど、1、2、3とどんどん吹っ切れて行く(元々大傑作ではなかったせい?)感じがまたいいし、全編通じてのイメージが変わらないのもいい。

主役の姉弟「キッズ」は、子供の可愛らしさを期待して観る人には御不満かな?「子供なんてこんなモン」程度の私はお気に入りなんだけど。
ジュニのダサさがいい。カルメンのミもフタもない性格も大好き。
悪役、というか対抗馬になる男の子がいつも美少年なのも、とっても私好みだ(悪役が美形は鉄則)。
残念ながら、ママだけがちょっと印象が薄くて、全然顔が覚えられないんだけど、性格もイマイチはじけてないし。一人くらいはマトモな方がいいのかな?
あとはもう、無意味にセクシーなパパ、恐い顔のおじさん、エネルギッシュで味わい深いじーさんばーさん。
そして毎回、登場しては馴れ合ってしまう悪役達は、他愛の無い悪い夢みたい。

メカや小道具も、ファッションも、悪役達が創る異世界も、一貫してカラフルでキュート、さすがはラテン系。音楽も含めてのノリノリぶりが心地良い。
『1』のバーチャル空間は、ダリやマグリットの絵のようで、「おっ」と思った。サーカスの道化のような悪役も哀愁があって、印象的(でも役名忘れた)。 
『2』の島の生物、ああいうの大好き!ピンクのブタが空飛んだり、キングギドラ(違うか)が人に懐いたりするのを観るだけでも楽しいのに、ミニチュアまで登場!パターンではあるけど博士の壊れっぷりも可愛くて、楽しめた。
『3』は、残念ながらビデオで観たので、呼び物の3Dが体験できませんでした(メガネ付きはDVDのみ)。だから画面的にはちょっと、楽しさが伝わらなかった。この映画にピッタリのいい企画だとは思うんだけど、残念。
でも、スタローンの悪役は意外とイケてたな。ひとりぼっちで寂しいので、人格を分裂させてバ−チャル化して話し相手にしてる(君の気持ち、分かるよ…)んだけど、「暴力的な私」「平和的な私」「知的な私」。「知的なスタローン」ありえねー(笑)。

カルメン姉ちゃんが、もうだいぶ育ってしまって、そろそろ「キッズ」はキツイかなー、って感じなので、やっぱりこれで「ゲームオーバー」かしら。
この徹底した世界観は、サヨナラするのが寂しいけどなあ。

スパイダー パニック!

女優さん、美人でかっこいいんだけど、あまり見ない顔…と思ったら『ヒッチャーU』でしたか…。
しかしビックリ、スカーレット・ヨハンソンがこのテの映画に!しかも、若いと言うよりまだ幼い。なのに全然変わらない(笑)。

そして肝心の蜘蛛軍団だが、ヨハンソンの幼さを考えると(2002年公開だった。そんなに昔じゃなかったか…)かなり頑張ってるんじゃなかろうか。
元々CGには興味が無い方なので、特にこういう気楽に観るタイプの映画では、精巧なモノは期待しない。
あまりリアルだと身体痒くなりそうだしな。

ただ、せっかく色んな種類がいて、しかも蜘蛛オタクの少年がいるというのに、各種の弱点を突いたりとかも無く形や習性の違いを見せる場面も少なくて(地面からバンバン出て来てダチョウや人を引き摺り込むトタテグモのシーンは面白かったが)十把一絡げに扱われてるのが残念。
ここら辺は『アントマン』を見習っていただきたい、公開はずっと後だけど。
なぜタランチュラとハエトリグモが共同戦線みたいにして攻撃して来るのか。
どうせならナゲナワグモとか巨大化して入れて欲しかったけど、ジョシュアさんの好みじゃないか…残念。

過剰な残虐シーンが無い(のに飽きさせない)のは好感が持てるのだが、ちょっと笑わせようとし過ぎで付いて行けなかったのは残念。
だって状況が怖いんだもん。
人が死ぬの見て笑えないって。

お気楽映画と知りつつも二つ、野暮な疑問点を。
あの悪徳町長が普通に助かって保険金の期待までするところで終了はモヤッとする。
諸悪の根源だし、しかもヒロインの娘の彼氏(こちらはうまく行きそうな気配)の父親だし。
もう一つ、こちらが深刻なのだが、オバちゃん助けたクリス、「もう生存者はいなかった!」って、繭全部確認してないよね???
アンタが焼いちゃったからもう生存者がいないのは事実だけれども。
これはちょっと、看過できないぞ。
と、思ったらなーんだ、エメリッヒが製作総指揮。
さすがブレない、人の心が無い(でも嫌いじゃない)。

スパイダーマン 

アメコミ物の映画って、だいたいあんまり好きになれない。『バットマン』も『X−Men』も、なんのこっちゃ、って感じの私なんだけど、これは中では楽しめた、かな。
スーパーマンを筆頭に、日本人の美意識からするといかがなものか?なファッションが多いアメコミヒ−ロ−達の中、スパイダーマンの赤いコスチュームは、なかなかそそるものがあるよね(って私だけ!?)。ま、街を歩くのはお勧めできないけどさ。

ストーリーも、主人公、つまりスパイダーマンになるピーター君が若くてシャイで、けっこう青春映画しちゃってる。切ない恋、残酷な彼女、成長に挫折。
両親に早く死なれて叔父叔母に育てられ、その叔父も殺されて、やっとできた親友の父親に憧れていたのに、その親友の父が………ぷぷぷ。やっぱりおかしい、アメコミって。
怪人ウィレム・デフォー、本来なら上品な紳士が、まさか!?ってのが狙いのはずの役なんだけど、変身前と変身後が同じ顔(笑)。あれ絶対、友達が見たらバレバレだって、「あれっデフォー、なに空飛んでんの」って言われちゃうよ。すごい嬉しそうに演じてて良かったけど。

映画館で観たので、蜘蛛の糸で摩天楼を飛び回るシーンは迫力がありました。
劇場でないと、伝わりにくいかも知れないけど、生身で空飛ぶキモチイイ夢(一説にはエッチな夢だとか…)が好きな人なら、きっと楽しめるはず。
マジで夢に見ちゃった、私、単純。すごいキモチ良かった。
けっこう笑いの要素も多くて、楽しく見る事ができました。
最初、自分で作る スパイダーマンの衣装が、ものすごく情けなくて笑った。見ながらキャットウーマンを思い出してたんだけど、最近観た『ゼブラーマン』も最初自作衣装だったし、正義の味方ってマメなんだね。

あんまり言いたくないんだけど、やっぱヒロインのメリージェーンが、アレってのは、どうも、ねえ。
なんか雨に打たれて乳首透けてましたけど。あんな無意味な乳首を、私は生まれて初めて見たよ…(脱力)。
ヒーローものに付き物のゴージャスなグラマー美人の登場は、主人公の若さからしても無理っぽい?かも知れないけど、それにしてもただの一人も美人が出ない潔い映画だ。………と、思ったら、いました、一人、叔母さん。上品で可憐だった。ハスッパなメリージェーンと並べたら、君は野に咲く花のよう。

 

追記:新シリーズ公開に合わせて、3本連続でTV放映してくれたので続けて観られた。
…うわぁ、面白いわコレ!改めて感動。
秀逸な青春映画の『1』、タコ男が意外にカッコ良かった『』、敵味方大混戦で豪華な『3』と、それぞれ良い上に、続けて観るとまた面白さが見えて来る。
ヒロインM.Jをさんざこき下ろして来たけれど、こうして見ると、彼女の気持ちも分からないでもない。と言うか、ちゃんと事情と気持ちを作ってある。
顔の凶悪さだらしないおっぱいのせいで、悪く見すぎていたわ、ごめんねM.J(謝る態度じゃないぞ…笑)
そしてやはり、最新版と比べても、飛翔部分の爽快感は素晴らしい!
しかし『3』の調子に乗ったピーターは見れば見るほど見苦しく、なびく女が信じられない…ライミ監督、所詮オタクは女心に疎すぎるのか。
見所満載の中でも"砂男"のデザインは本当〜に秀逸で、CG万歳!と快哉を叫びたくなった。

スパイダーマン2

やっぱり面白い。
何だろう、アメコミ系なのになぁ。
話面白いし。
M.Jは相変わらずで、でもなんか都会でもチヤホヤされるようになっちゃってて納得がイカンのだが、それを差し引いても、楽しめた。

タコ怪人のビジュアルも良かったし。
なんか小デブのオヤジなのが泣かせる。
タコって、我々日本人にとってはひょうきんな固定イメージがあるけど、欧米人にとっては悪魔だからな。
最初の暴れ出すシーンとか、結構恐くて見ごたえがあった。
『1』もそうだったけど、社会的地位も高く、人格も卑しからぬ紳士が悪に食い潰されてしまうのよね。

それと、全然予備知識がなかったので、スパイダーマンの顔出しにはビックリ!してしまった。
電車の乗客達とのカラミは、良かったなあ。
私の好きなおばさんも大活躍(笑)。
前回からお気に入りのハリー君も、相変わらずチャーミング。でもあの展開だと、次は…彼が!?
うわぁん、残酷だ!
って、すっかり楽しみにしてるじゃん、自分。

スパイダーマン3 

う〜ん、長い。そして、『1』『2』共に、ちょいダサ青年ピーター君の悩める青春映画としてナカナカ好きだったのですが、今回あまりにそっち方向へ行き過ぎてしまって、グダグダでした。爽快感が、無いの。
元々イモ兄ちゃんとイモ姉ちゃんの恋愛だし。
ちょっと可愛いハリー君は、哀れ過ぎるし。
中盤のピーター君は目を覆いたくなるかっこ悪さ。
出て来る人間は男も女もバカばかり
でも、さすがに終盤はそれなりに盛り上げて、「人間愚かだからこそ、成長のチャンスもあるんだよなぁ」なんて殊勝な事を考えてしまいました(笑)。いや、真面目なテーマなんですよね。

って言うか、シリーズ中唯一のイケメンキャラを……、あーあ。落胆。
でも、一歩間違えば失笑モノの韓流的展開(愛→憎しみ→記憶喪失!)も、ハリー君の無邪気な笑顔を見てると胸が痛んで、それなりに感情移入できてしまったんだけど。元々優等生のお坊ちゃま君だものね。人は良いのよね。
ウィレム・デフォーのハリーパパも大好きだったんで、ぜひ親子復活をお願いしたいところなんだけどな。

でもって相変わらずMJ、異様にモテ過ぎ。
容姿もさる事ながら、性格もどこら辺がいいんだかサッパリ分からないんだけど…ただの尻軽バカ女にしか見えないんですが。
それでも、というには説得力の無い容貌なんだよなぁ、あの娘。

CGはもう、ほぼ完璧なのだから、後は映像センスが好みかどうか。
嫌いじゃないけど、動きすぎで疲れるし印象が薄くなりますね。
でも、『砂男』は迫力あったし、『ヴェノム』のデザインもかっこよかった。詰め込み過ぎの感じは否めないけど、善悪入り乱れての大混戦は素直にサービスと受け止めて楽しめた、私は。
砂男役のおじさんも、青い目が悲し気で印象的。怖さや憎さよりも哀れを強く感じてしまう悪役なので、ラストはちょっと良かったな、と。後の事は知らんが(笑)。

そして相変わらず、メイおばさんだけは正気を保っていてくれて、一服の清涼剤。
本当に、見るたび、メイおばさんはこのシリーズの輝ける良心だ、と思う。
でも正直、罪と復讐に関する彼女の考え方は、(あの上品な口から出るとますます)感動的で美しいけれど、私自身がそのように考えられるかと問われたら、無理かもしれない。
でも、世の中にはああいった心清く善良な人がいると、少し信じたい気はする。ちょっと泣いちゃいました。



素晴らしき哉、人生! 4/15

えーと………
これ別に、天使が奇跡を起こさなくても、普通に橋の上で声掛けて家に連れ帰りさえすれば済んだ話だったのでは。

ジェームズ・スチュワートが、終始イライラガミガミしていて鬱陶しかった。やっぱりこの人苦手みたい、特に声。)
若い頃に苛立つ気持ちは分かるけど、社長の長男に生まれた時点でかなり恵まれてるんだよね、この人。
商売的には街に貢献したかもしれないが、こんな男イヤだわ(笑)。
特に最後の「悲劇」は、あんな状態の叔父さんにお金の出し入れを出来る立場に置いておくのが悪い。
責められて叔父さん、かわいそうだった。叔父さんが死んじゃうかと思ったよ。

"クリスマスの奇跡"のハートウォーミングストーリーは多くて、だいたいイイ気持ちで見終わるんだけど。
いわゆる"古典の名作"として名高い作品だし、そういうモノにハズレは本当に少ないんだけど。
これは…私的には、大好きとは言い難い。
なにしろ長い、終盤の奇跡までの、面白くも無い"市井の人"ジョージの人災が長過ぎる。
2時間10分の上映時間よりも、ずっと長く感じてしまった。
ラストのカタルシスのための"タメ"と分かっていても、それにしても冗長で退屈過ぎた。
それを振り払って浄化する程のラストシーンでも無かったしな…。

今となってはありきたりに見えるけど、ドジで頼りない天使というのは新鮮だったのだろうか。
あの爺さん(ヘンリー・トラヴァース)は可愛くって良かったけど、出番遅過ぎ、少な過ぎ。
悪役のポッター役、ライオネル・バリモアは、憎たらしくて最高。
あと、薬局のお父さんが、なんか好き。
毒殺事件に発展しなくて、本当〜に良かった。
ありがとうジェームズ・スチュワート。好きじゃないけど

スピーシーズ/種の起源 12/3

男って、女に食われるとか、好きよねー。
何か女性には理解できないロマンでもあるのだろうか?
私はどんな美男にも食われるのは嫌

レノックスかっこいい!
マイケル・マドセンは通常そんなでもないんだけど、なんでかな。ニヒルな感じがとっても粋に見える。
そして、あらこの霊能者、フォレスト・ウィテカーだったんだ。若っ!
そしてこちらの人類学者は、『スパイダーマン』のタコ男っ!!!

そして"侵略者"の女性"シル"が、むっっっちゃ美人でスタイル抜群!
スーパーモデルなんだっけ?ナターシャ・ヘンストリッジ。
モデル起用だと演技が心配だけど、この役はセリフも無いし最適だね。
(でも彼女、その後もちゃんと女優やってて『ゴースト・オブ・マーズ』のヒロインも!あれ素敵だったなー)
こんな超絶美人がポンポン脱いでくれて、ゲロゲロしいメイクして背中から棘生やしたり、オッサンじゃなくても感謝の気持ちで一杯になるわ。
ついでに、"変態"前の女の子も、とても可愛い。

ほぼ予備知識無しで見たので、あの可愛らしい少女がどうなってしまうのか、ハラハラドキドキしながら見た。
自分が何者か知らず、怯えた表情なのが印象的。
電車内での"羽化"シーンは、なかなかにグロい!でもってちょいエロい。
でも優しい車掌さんが(泣)普通逃げるよね?逃げてー!って思ったわ。
その後もまあ、人が死ぬ死ぬ
姿は美女だが心はエイリアン、全く罪の意識も無く人間を殺し、物凄い身体能力で追跡を逃れ、種(スピーシーズ)の保存のために交尾の相手を求める…あ、やっぱり男性向けエロ寄り映画だ。

エイリアンと言っても、何故だか科学者が人間のDNAと結合させたか何かでこんなスーパーモデルな姿になってしまったのだが。
怪物寄りの時点でのデザインは、かのギーガー、『エイリアン』のデザインをした人。
そのギーガー渾身の怪物というだけあって、グロテスクな中にも美しさとエロスが覗く、印象的な画面になっている。
美女のヌードと共に、この映画の(多分唯一の)見所だと思う。

少女シルが研究所から脱走、電車で羽化、辺りまではかなり面白かったし怖くもあったのだが、その後の展開はイマイチ弱かった。
変装したり、身代わりを殺したり、シルの知能がかなり高いのは分かる。車の運転までしちゃうし、短期間に英語も覚える。
ちょっとご都合っぽい(笑)。
そして研究所からの追跡をまんまとかわし、何人かの交尾候補者を惨殺した挙句、人もあろうに追跡メンバーの1人をターゲットに!その辺全く配慮が無いと言うか、ご都合と言うか(笑)。
狙われた真面目そうな人類学者のタコ男は、美女に真正面から迫られて抗う術もない。
で、めでたく妊娠したシルは交尾相手も惨殺…ちょっと、この人は可哀想だったなー。
他の下心満載の男性達には、あまり同情心も湧かず笑って見ていられた(酷い…)んだけど。

結末もまあ、ありきたりで、ちょっと違うのは短期間にシルの産んだ息子が少年に育ってる事くらいか。
あの子も生まれたばかりで気の毒だが、育って交尾相手を求められたら母以上の大惨事になりそうだから仕方ない。
そしてラストシーンも、この手のホラー(そう、結局ホラーなのよ)の常道として、全て終わったはずなのに…という。
この後ドンドン続く事を、制作側は狙っていたのか、どうなのか。
まあ、この映画はB級なりにキチンと役割(絶世の美女が、避妊もせずにとにかくヤリたくて堪らないの、という基本とても下品な興味狙い)を果たしてはいるのだが。
続く『2』以降の、(全部見てはいないけど)おざなり具合と言ったらもう。
でもまあ、逆に考えれば、内容がどうでも「美女の裸」「エロ」「ホラー」を揃えておけば、そこそこ客は呼べる、という事ね。
シルの瞳がキラキラして、本当に宝石のようだった。

スペースバンパイア

全裸の美女男の精気吸いまくる(笑)。
安いB級丸出し映画かと思いきや、意外と頑張って真面目に作ってる感じの良作である。
しかしマチルダ・メイちゃんの裸体と美貌が目に楽しいのは否定できない。

逆に男性勢が、ほぼ魅力ゼロなのが何とも残念。
バンパイア以外殆ど女性が活躍しない(被害者が1名だけ…今なら無理矢理でも女科学者とか出て来そうなものだけど)のに、これはきつい。
せめてバンパイアに魅入られたカールセン大佐だけでも、もうちょっと色男にしてほしかった。
もちろん選択基準はバンパイア的何かっであって、人類的美意識は関係無かったんでしょうが、観る側にとっての説得力としても、観る側にとっての楽しさの点でも、あまりに地味だった。
他の男性キャラクターにしても、容姿だけでなく皆個性と言うか魅力が薄く、単なる役割分担になってしまってる。
もうちょっと濃いキャラ出してよ−、というね。
女バンパイアのオマケのような男バンパイア二人も、活躍の点でも本当にオマケ以外の何者でもなくて、うーん、残念。薬師如来に日光月光菩薩みたいな構図は楽しかったけど。

マチルダさん、公開当時見た時は「美人だな〜」と感心したが、今見ると微妙にファニーで、そこがまたとても良い。
なんとも絶妙な崩れ具合、どこまでもお見事なボディ、総合すればやはり美女以外の何者でもない、という。素晴らしい匙加減。

ツカミは最高だと思ったんだけど、ストーリーはサービス精神が旺盛過ぎてワヤクチャな印象。いえ、嫌いじゃないんだけど。
後半はゾンビ物になっちゃって、なんじゃーこりゃーなコチラの気分にお構いなしに造り込んだ特殊メイクに市街炎上。大聖堂も美しかったがコウモリ男まで出現。さらに全裸男女を貫く謎の光から宇宙船?へと吸い込まれ…と、くだらない展開を妙に真面目に撮ってて当惑する。
当惑はするけれど、嫌いじゃないです、このサービス精神。
結果かなり見応えのある映画になっているし、ツッコミ所も不満もあれど退屈もせず楽しかった。
そして最後に残るのは、やはりマチルダ・メイの裸身…徹底して、それなのも凄い。

でもさ、本当に、我ながらしつこいとは思うんだけど。
やっぱりCGは映画をつまらなくしたよね。
コレとか『物体X』なんかを観ると、改めて思うのよ、SFX好っきやねん。

スペシャリスト

シャロン・ストーンのフジコちゃんっぷりがね(笑)。
やはりこの人は悪女テイストがサマになる。
途中本心はどっち?という場面がチラリとあって、そういうのが本当に生き生きして魅力的なんだけど、なにせ相手役がスタローン
そう複雑なストーリーになるワケもなく、俺様スタローン様が女に騙されてホゾを噛むはずもなく。
そういう点で、全然ワクワクハラハラできなかったのが残念だ。
もちろんシャロンさんには何の落ち度も無い

憎まれ役のジェームズ・ウッズも良かった。
ダンディな伊達男なんだけど小物感バリバリで。
他のマフィア達の存在感が薄かったのを補って余りある、見てて楽しい悪役だった。
"スペシャリスト"のウンチク話もなかなか興味深く尤もらしくて良かったし、手を換え品を換えの爆弾シーンも見応えがあった。マイアミの景色も美しい。猫ちゃんも可愛い。
…でもやっぱり、スタローン映画だから

ずっと電話のみでやり取りしていた二人が出会って、当然のようにベッドインするシーンは、恥ずかしながら素で驚いてしまった(笑)。
なんで驚いたのかと考えてみたら、多分私がスタローンに全く性的魅力を感じないからだろう。
だからますます、彼女は本当は騙すために近付いて…と、そちらの方がシックリ来てしまう。
そしてその後、長々と続く二人のシャワーシーン…鍛えてますねーお二人さん。という感想しか無い。
クライマックスのシガーケースの爆弾も、「どうすんだろ!?」と思ったら急いでポイッって!
ポイッて!(笑)。
ラストの家族写真はとても良かった。

例えば同じ脚本でも、主演男優が別の人であれば、もっと全然面白い映画になってたと思うんだけど。
そもそも爆弾の専門家なんて、スタローンの筋肉の無駄遣いじゃん。
絵もなかなか綺麗だったのにもったいない…と、思ったら、『アナコンダ』の監督でしたか!
しかしこの時期のシャロン・ストーンは本当に美しいしのでよしとしよう。

すべては君に逢えたから

けっこうな豪華キャストで、滅多に進んで邦画は見ないんだけど、たまたまTVでやってたので見てみたので、怒る事も無いんだけどね。
怒りと呆れのどっちの比重が重いか、ってくらい、まあつまらない、そして陳腐!
豪華キャストもそのはずで、6話からなるオムニバス形式だから。
で、東京駅を巡る、クリスマス周辺の物語……って、あら。
私の大好きな『ラブ・アクチュアリー』じゃあーりませんか?
ハネ上がるハードル、まっっったくそれに応えない映画、ことに脚本。
あまりにやっすい台詞の数々に、途中で脚本家を確認してしまいましたよ…けっこう有名なドラマ書いてる人でビックリ。
もう台詞ややり取りが、臭くて臭くて

6つもあるのに、心惹かれるシチュエーションが、一つとして無い。
ep1.
高梨臨ちゃん、顔が違う!?声質の良くない声で、かろうじて見分ける。
玉木宏は何故彼女に惹かれるのか?
DVDのオチも、もう、あ"〜〜〜陳腐!!うんめ〜〜〜いっ!ってか。はあ。
ep2.
ウェディングショーのセンスの嫌らしさな。
エ〜あんなゾンザイに扱われて、続いちゃうんだー。
噂の東出昌大の、噂に違わぬ棒演技だけが、わずかに笑えた。
ep3.
だんだん腹立って来た。
ep5.
病気で死ぬとかも、なにもクリスマス映画でやらんでも…。
どうにも泣かせて帰さねば、という使命感でもあるのか。
時任三郎は素敵だけどな。
ep6.
家庭持って幸せに死んで、同じ気持ちってなんですねん

あ、ep4が抜けてる。印象薄い。
全体にどーでもいいシーンとはいえ、これ見よがしにカブって来るヴォーカルのうるささ
これくらいの空虚さが、イベント時のデートムービーには最適、という事なんだろうか…そんなバカな。

後で調べたら、東京駅100周年の企画だったらしい。
確かに"駅"って、人のドラマが交錯する場所だし(と、ラブ・アクチュアリーの空港ではしみじみ思った)東京駅はその中でも特殊な意味合いのある、それにデザインも独特な良いロケーションでもある。
それでこの出来ですか…豪華キャストに有名脚本家で。監督は『釣りバカ日誌』か。苦手分野だったのかな。
何と言うか、比べてしまって、日本の映画のお粗末ぶりに絶望しそうになったのだが。
後から見たラブ・アクチュアリー的な映画(『ニューイヤーズ・イブ』『バレンタインデー』『フォー・ウェディング』)も、だいたい面白くなかった。
オムニバス形式って昔からあって、嫌いじゃないんだけど(自分でも描いたし)、一つのエピソードを掘り下げるスペースが無い分、意図が露骨と言うか臭くなりがち、というのはあるかもしれない。
つくづく、ラブ・アクチュアリーって奇跡の一本だったのかな。

スポーン 

全然予備知識ナシ、期待もナシで観た。
変身後のデザインは、なかなか良いと思う。フィギュアが売れたというのも頷ける。
マントの出し方がかっこいい。変身前のデロデロはいただけないが、ある意味面白いとは思う。
そう言えばこういう、「変身前は人前に出られない特殊な容姿」って珍しいかも。
そもそも"生前"が黒人、という心意気を買いたい。

デビルマン』的世界観(ごめん、映画じゃなく漫画原作ね)で広がって行くかと思いきや、登場時タダの道化と思った"クラウン"とのバトルが中心で拍子抜け。
敵役として、アレはイカンでしょ。不細工なだけで観る気を削がれる上に、下ネタ連発の言動の下品極まりなさには本当にドン引き
悪魔の手先がオゲレツなのはシェイクスピアの昔から定番だとはいえ、不快感が過ぎて見続けるのが苦痛のレベルだ。
設定やデザインは、丁寧に作れば深いところへ行けそうなのに、もったいない。
音楽や演出も意外にスマートで、CG技術はともかく、絵コンテ段階でのイメージは美しかろうと思う。
ダークな世界観、人物設定の湿っぽさ等、アメコミものには珍しく、原作を読んでみたくなったのだが、映画の出来的には擁護できないな。

シリーズ物を狙って、最初はこの程度、という作りだったのだろうか。
続編は無いようなので、失敗だったんでしょうね。ちょっと残念。

スリーデイズ

面白くなかったワケではないのだが…なんと言うかハッピーエンディングにモヤモヤ感が残ってしまう、なんだか納得がいかない映画だった。

これ妻がやっちゃってたら面白いな、とか、逃走途中で見付かってリーアム・ニーソンのアドバイス通り降参した後で無実が証明されたりして、とか。
色々捻った展開を期待しながら見てたんだけど、普通でした。
妻が無実の罪で捕まったから脱走させて息子共々国外逃亡しました。
と、本当にこれだけの話で、目を見張るようなアイディアも無ければ心に残るセリフも無い、なるようになって行く、しかし現実的かと言うと無茶が多すぎる、そんな印象。

まず夫のラッセル・クロウに葛藤が無いのがつまらない。
荒事には全く無縁の平凡な教師が、「愛妻冤罪だから脱走!」という思考にまずビックリ。いえ、行ってもいいんだけど紆余曲折とか無いんだよね。
妻の無実も全くブレずに信じ続けてるし、犯罪の玄人相手に競り勝って殺しちゃってもあまり気に留めた様子も無く、「悪い奴らだからいいか」みたいな。
妻も2度も自殺未遂。特に2度目は酷いわ。夫の努力も愛情も踏みにじって、中途半端なのけぞりポーズ。死ぬならバーンと飛び降りちゃえって。
冒頭、食事の席で女性と口論するシーンは、彼女がキレやすい性格だと示すためかと思ったのに、その後そんなに生かされず無駄な時間になってしまったし。
警察無能過ぎで、ボタンの件なんて調べるでしょ普通…。

妻役のエリザベス・バンクスはキツ目の美人で、少し疑惑を挟み込んでも似合いそうな女優なだけに残念。
留置所でのスッピン風メイクも良く似合ってた。
美人と言えばお誕生会のお母さんがえらく美人すぎて、後から活躍してくれるか、何かしらのキイになるかと、これまた見当違いな期待をしてしまった。
思い返すと彼女が動物園前の妻を見かけるシーンとか、とても思わせぶりだったもの。
多分随所にそういう、思わせぶりなカットがあって、私は漠然と期待して深読みしてしまうんだっと思う(そして裏切られ続ける…)。フラストレーションだわ〜。
ポール・ハギス監督と知らずに観たが、知ってたらもっと色々期待してしまったので知らなくて良かったと思った。

お気に入りのラッセル・クロウも、今回あまり魅力を感じなかった。
太ろうが老けようがチョイ役だろうが、いつでもセクシーダイナマイトなはずの彼が(当社比)。
平凡な父親、普通の教師、というのは理解はできるけれど、ちょっとガッカリ。
無口なお父さんが魅力的だったな。最後に地図を見てニンマリ、は最高のシーン。

何の予備知識も無く観たが、フランス映画のリメイクだそうで。
おお。
フランスなら分かる!きっと納得して観たと思う、私。
って言うか奴ら(フランス人)ならやる、きっと(笑)。
オリジナルが観たくてたまらなくなった。

300(スリーハンドレット)

ストーリーは単純明快、ペルシャと戦争。あとはもう、闘う、戦う、殺す、チョン切る、そして腹筋!腹筋!腹筋!

黒パンツに赤マントの腹筋軍団300人が、とにかく殺しまくる、映画。
なんだけど、これと言って誰がどうという性格描写とかも無く、皆一様に勇敢で好戦的で屈強なばかりのスパルタ兵達が、倒れるたびに悲鳴を上げそうに思い入れして観てしまった。
 
原作がアメコミだという事で、凝りに凝ったCG画面は、あちこち原作の構図をそのまま使っていたりして、映画としてはちょっと珍しい絵なんかもチラホラ(必ずしも映画の絵として成功していなかったりするが)。
セピア色がかった下地に所々着彩したような、ちょっとウソッぽい画面のせいか、およそ我々の現実感を逸脱した腹筋のせいか、血みどろシーンもあまり痛くなくて、むしろ美的でさえあった。
キレイなおネーちゃんがラリッて憑依するシーンとか(おい…)はCGならではのキレイな絵で楽しい。
反面、こちらと距離が空いてしまった感もあって、時々セピアやCGが邪魔に感じられたりも。
とはいえ、ここまでこだわりまくって作ってもらうと、とにかく嬉しい。

スパルタ戦士達のマッチョぶりもスゴイが、ペルシャ軍のヤバさも物凄い。強いんだかなんなんだか良く分からないけど、とりあえず見た目は怖い(笑)のがゾロゾロ。そしてスパルタ王のビジュアル!!金粉ショーですか!?しかもなに、で、でかいぞ、この人。距離感わかんない。ああ、マンガっぽい!
しかしそれなりに、ちゃんと一環した美意識が楽しく心地良い。
そしてスパルタ王が、とっても憎たらしく傲慢なもんで、ラストの槍のシーンは本当、「ああぁあ〜〜〜〜〜…………(ガックリ)」てなモンで力が入って抜けた。歴史を見れば結果は分かっているんだけど、でも。
あと、唯一独身者で参戦した彼が倒れる所も、力いっぱい手に汗握った!

筋肉は好きだがマッチョな脳みそはキライ。
この映画の戦士達は身も心もマッチョ一辺倒だし、王妃は女の浅知恵丸出しだし、マッチョじゃない男はみんな腹黒だしで、とにかくマッチョ賛歌なんだけど。
それに正直、主演のジェラード・バトラーは好みじゃないし印象薄いと思うんだけど。
この徹底した作り込みぶりと、大量の腹筋と、戦士達の死に様の前には、もういいや、日常生活の価値観なんか持ち込むのもアホくさい。
とにかく私は手に汗握ったし、スパルタ軍を応援してしまった。

てなワケでとりあえず、

スパルタニア〜〜〜〜〜〜ン!!!

スリープウォーカーズ

ヒロインが美人
猫ちゃん大活躍

と、いう以外見所は無い(笑)。
なんかなー、最初は萩尾望都的な甘くもの悲しく耽美な世界が展開するのかと思ったら…なんとも身も蓋も無いゲロゲロホラーだった。
…そして原作、かと思ったら脚本担当のスティーヴン・キング!?ちゃっかり顔出ししちゃってるし(笑)。

吸血鬼の変形バージョンなんだろうけど、設定がショボい。むしろ意味不明。
猫のハーフと言いつつ猫が天敵とか。変身後の姿は猫と言うよりマントヒヒだし。食料は"処女の精気"ただ一つ、ですっかり飢えてる母親に餌をなかなか持ち帰れない息子…って言うか処女って街中であの子一人ってワケでもなかろうに、なにやってんだか(笑)。
そうそうあの息子、変身後もだけど変身前も美しくない、吸血鬼はセクシーでなくてはね。
セクシーと言えばこの吸血鬼、母子で近親相姦なんだが…その設定もドラマに生かせたワケでもなく。
もしや息子が"食料"であるヒロインに本気になってしまって母が嫉妬と食欲に悶えるとか、そういう展開かと思ったのにそうでもなく。
いよいよ"お食事"という場面もヘンテコなCGで笑ってしまったし。女子高生に反撃されて泣いて逃げちゃうし。
終盤はもうワヤクチャで、ナニがしたいんだかサッパリ分からない。
猫ちゃんお巡りさんだけをひたすら応援したかったわ。

キングの名で観てみようと思ってる人がもしいたら、やめときなさい、と言ってあげたい(笑)。

S.W.A.T 

あららー?なんだか、TVドラマみたい
アクションは凄いし、S.W.A.Tメンバーさん達はそれぞれ個性的なはずなんだけど、なんだかのめり込めない、軽いというか、浅いというか、要するに退屈してしまった。

主演はお気に入りのコリン・ファレルだし、紅一点の隊員ミシェル・ロドリゲスは美人でかっこいいし、前半けっこう期待したんだけどね。
麻薬王が捕まるあたりから面白くなるはずが、失速。「一億ドルだー!」で、おお、やっと始まるのか、長かったーと思ったけど、結局普通にドンパチが続くんで、刺激に慣れてしまったかも。
最初の相棒が、これで退場じゃないだろうな、と思ってはいたが、再登場までが長すぎて「ああ、いたっけ、こんな奴」って気分になっちゃってたし。裏切り者が出ても、そいつに思い入れができてないからショックが弱いし。マフィア相手に「人殺した」って驚かれてもなぁー。
サミュエル・L・ジャクソンが頑張ったのはいいとして、それが本筋とどう繋がって行くのか、という所があまり見えないし。
って言うかジャクソン隊長、人選大失敗してるし(爆)クビでしょ!?

「メンバー集める話」にしては各キャラが印象薄いし、「俺を逃がした奴に一億ドルやるぞ!」の話にしては、その後の展開に工夫が見られない。誰も信用できない…とか、コイツと思えばまたアイツ、みたいな緊迫感も無かったし。
どっちつかずで散漫な印象だったな。

セキュリティ 12/10

え、モミアゲ、生きてたんかいっ!?

バンデラス目当てで見て、彼は変わらず素敵だった。
ヒゲモジャだけどな…別にヒゲは無くても良かったんだけど。
元軍人(それも大尉)設定で、かなり暴力的なアクションシーンも多く、比較的小柄でそんなにムキムキでもなくて、シュワちゃんやヴァン・ダムみたいな無敵感は無いものの、なかなかサマになってる。
いわゆる白人系の、どんなに鍛えてもどこか間抜けなユルさが残る体型と違い、ラテンの人って隙の無い付き方するから好きよ。もう立派な中年だけど、プリプリ♪

ストーリーは、結構頑張ってはいたけどありきたり感はぬぐえない。
失業中の元軍人がやっとありついた警備員の仕事で、最初の夜に追われる少女を匿ったらマフィアの証人だった!
連絡網を断たれ命を狙われる、少女と5人の警備員たち。
土地柄的に(治安最悪)そこそこ荒事慣れした警備員達と、要塞のように厳重警備のショッピングモール、わずか11歳ながら賢く勇敢な少女。
面白くなりそうだし、そこそこ楽しくは観たんだけど、随所が甘くていちいち食い足りないのが残念。
殆どの画面が暗い中でのアクションシーンで、分かりにくく疲れてしまったのも残念だった。

勇者5人+1人(守られるべき"姫"も戦闘員にカウントされる)というのは良い人数と思ったが、せっかくだからもう少し4人の警備員をフューチャーしてほしかったな(私が群像劇好きだからなんだけど)。
警備員の紅一点・ルビーは思わせぶりな登場シーンで期待させ、期待通りの凄腕かと思いきや得意技の弓の殺傷力の低さに唖然(笑)、そしてわりとアッサリ退場。…え、あれ!?と、拍子抜け。
綺麗な顔の若い東洋人もサクッと整理され、人数合わせ要員?みたいだったし、最初ビビり倒して最後に少し頑張ったメイソン君も、こういうキャラは盛り上がるのにーと歯痒かった。
でも、意外な程に盛り上げてくれたのが、モミアゲが印象的な警備リーダーのヴァンス!
チャラい感じでメンバーを紹介した頃には「コイツ調子こいて足引っ張る系か?」と疑ったし、ルビーの寝顔にニヤニヤしてる時はセクハラ案件かと身構えたが、なんか、ご免
これがまあ、八面六臂の大活躍!多分主役のエディ(バンデラス)より人殺してる(笑)。
そしてルビーへの想いは、まさかの純愛…なのに、ここもサラッと流してしまって、もったいない!
アクションに徹したいのと、あくまで主役はバンデラスなのでこうなったんだと思うけど、アクション映画にこそ愛と涙は必需品なのに。あと色気もね、良質な(そこはバンちゃんで全てクリア)。
正直、カンフーの達人なんぞに時間割くならもっとドラマ方向に行って欲しかった(ベトナムのキックボクサーですって、長々と使いたい気持ちは分かる)。

バンデラスが好きで観てたんだけど、そんな訳で途中からすっかりモミアゲヴァンスに思い入れしちゃってね。
あのまま華々しく散ったと落胆していたら、最後運ばれてニコニコしてやんの!なんだよぉ〜!
嬉しかったなぁ。
いっそヴァンスの物語でもいいくらい。新入りの軍人上がりのオッサンに引っ張られて戦って、好きな女の子を失って、自分を囮にして、九死に一生を得る。
そもそもエディ(=バン)君は、なぜ家族と離れて住んでいたのか?特に仕事が見つけやすい土地でも無さそうだし。
そして、冒頭の職探しで「精神に問題アリ」と提示されて、本人の態度からも思い当たる所がある描写だったのに、そこについての掘り下げも無し。
娘と同世代のジェイミーに触れたおかげでか、妻子の元へ帰るのだが、この待ってた妻子が異様に美人でちょっと笑ってしまった。なんという贅沢。

その割にメインのジェイミーは、そう美少女でもないんだよね。
その方が彼女の強さや賢さが見えやすいからなのか。
でも正直言って、絵面が地味
結果的に役には立ったけど、助けを求めて皆を巻き込んだのに指示を無視してウロウロしたり、ちょっと嫌な子だったな。
テディベアのくだりは、分かっちゃいたけど綺麗にキメましたね。
悪役のリーダー役のベン・キングズレーも、マフィアにしては上品過ぎるが冷徹な感じは良かったし、なにしろ風格があって怖かっこいい。
それだけに、あまり見せ場が無かったのは残念だったんだけど。
最後なんかうん、今その盾にしてる小娘が、本来アナタが狙ってた獲物ですよ、と忠告してあげたくなったけど、まあ長々と話し合うよね…取り合えす撃とうよ、って。

2017年公開って事は、バンデラスは57歳
まだまだ、まだまだイケてます!
こんな軽い映画に出るのがちょっと、意外な気がしたんだけど、ご活躍が嬉しいです。

ゼブラーマン 

いやあ、元気良かった!
なにせ「Vシネの帝王」で100本記念だし、今を時めくクドカンだし、鈴木京香様の谷間だし、っつーコトで、ニギヤカでテンポ良く、押さえるとこはキチンと押さえて、楽しい映画でありました。

シュールでキッチュ(最近聞かないね、この言葉)な世界観。ビミョーにズレたままどんどん積み重なっていく大量の会話。なんだか可愛いクリーチャー(って言うのか?)。膨大な量のギャグの数々。
ギリギリまで笑いを引っぱってくれたのが、私には救いだった。
それと、ゼブラーマン、ネーミングはダサダサだけど、完成型はかっこいいよね。衣装もだけど、「白黒つけるぜ!」ってキメ文句も(ゼブラだからお笑い半分なんだけど)イカシてる。
アメコミ物のヒーローなんかダメダメじゃん、それともアメリカ人は、ああいいうのがかっこいいのか(そうかも…)?

主演の哀川翔は、なるほど世間で言われるように、いーヤツなのかもしれない、と素直に思える程、このサエない教師役、ハマッていた。ナサケナイけどひたむきで、ついつい応援したくなる。
笑いの要素も高得点。
ゼブラーマンの「はじめてのお出かけ」には、本当に大笑いしてしまった。飛行訓練のズタボロぶりもイカス。座ってるだけで笑えた、あの姿。
車椅子の浅野少年との掛け合いも、泣かせ&笑わせる。「浅野さんって、呼んでもいいですか」には本当、笑いながらもグッときちゃった。
私的にはかっこいいよりキモイが先立つ渡部篤郎(ごめん、だって…)も、もはやキモさが「芸」なんだなと再認識。笑わせていただきました。
浅野少年役の子役も、生意気だけど健気な演技で良かった。子供に厳しい私もこの子はOK、他の役できるの?ってくらいハマッてたので、後の事は知りませんが(笑)。
そして、麗しの鈴木京香様!ビックリした。ゼブラナースは必見だけど、それ以外の母親役の顔も良かった。頑張ってつっぱってる登場シーンが好き。

さて。
私は邦画を殆ど観なくなって、もう何年にもなる。とは言っても少しは観てはいるんだけど、パーセンテージは恐ろしく低い。
日本人の男が好みでないから、ではない(ちょっとはあるかも…)。
なんつーか、甘ったるさがイヤなのよね。理屈じゃないよ、心だよ、みたいな。あるいは愛が大切とかさ。
「望めばかなう!」って言われても、私は最後までゼブラーマンがどうして飛べたのか分からなかった。
もちろん飛んで欲しいし、飛ばなきゃ話にならないさ。でも説得してよ、もうちょっと。

結局こうやって、口当たりのいい甘い事言ってくるくるっとまとめちゃうんだなあ、と言うのが、観終わっての私の感想。
せっかく楽しい元気ないい映画なのに、本当に残念だ。
 

ゼブラーマン by京都の金 

:ゼブラーマン最高!すっげーくだらなくて無茶苦茶で笑えて感動できてすごかった。
あんまりみんなが言うのと弟の「珍しい邦画のエンターテーメントだよ」の一言にヒマだし千円だしと軽いノリで行ったらどえらい映画だったわ。何で主演100本記念がゼブラーマンよと思ってたら大納得。5日までです、まだ間に合いますよー。
はっきり言って私にはラストサムライよりゼブラーマンのが上ですわ。この数年に見た映画のナンバー1は“オーシャンズ11”だったけど超えた!

:私が思う映画に欲しいお約束がみんな入ってました!来週出かける用事があるので2回目見ちゃおうかと思ってます、かなりの確率で行っちゃいそうです。

:鈴木京香って事務所の方針か何か知らないけど“谷間禁止”だったらしいです、去年まで。あのゼブラナースの衣装はすごかったですよね(^^)渡部篤郎もいきなり冒頭で「チ××かゆい」だもの・・・ああいう非日常は大好き!母が渡部篤郎の大ファンなので「こんな事言ってるぞ」と教えたら篤郎が言うなら良いそうです。

:かゆみの原因は“インキン”だそうです(^^)今日2度目を見に行ってパンフレットを買ったら書いてありました。ゼブラナースの衣装有名な高級ボンテージショップの注文品で本皮だそうです。あ〜3回目行きたーい!DVD絶対買う!!

ゼブラーマン -ゼブラシティの逆襲-

あーあ。見ちゃった。
分かっていたのよ、こういう気分になる事は。

仲里依紗ってなに?誰かの娘とか?そういう話も聞かないけど、どうしていい役もらえるのか分からない。
と、まあいきなりこんな事を言ってしまうのも、この仲さんに興味の無い客には全く見る所無い内容だから。
だいたい安易な続編には懐疑的な私だけど、今回ほど悲しい出来も珍しいんじゃないだろうか。
元々前作が、力一杯B級テイストで、くだらないのが取り柄みたいな映画(大好きだよ…)だったのに、手間暇とお金をいっぱい掛けて、ミョーな理屈を捏ね出したら台無しでしょ。

個人的に“浅野さん”が成長して登場してくれたのは、ちょっと嬉しかったんだけど。
せっかくの前作のキッチュな世界観が、タダの安っぽいSF世界になってしまってるし。
笑える部分が殆ど無いのはどうした事か?
哀川兄貴はきっと、本当にいい人なんだよね。つい「続編?出るよ〜」って言っちゃったんだな……。

三池監督は元々ムラがあると言うか、楽しめる時とそうでない時の幅が大きいんだけど、クドカンでつまらないってのは、私的にはむしろ新鮮かも……「脚本家変わったのかな?」と、思ってしまったわ。三池的適当さとクドカンの面倒臭さ、双方の下品さと、悪い所ばかりが出てしまった感じ。
仲里依紗 のファン、または露出度高い女の子なら誰でも嬉しい人以外にはオススメできない残念作。

セブン

難しいんだよね、この映画。
私の頭も悪いんだろうけど、全貌が見渡せたと思えたのは多分、視聴4回目か5回目くらい。
初見時から、何となく怖いし暗いし危うい、魅力的な映画ではあると思ったけれど、分かりにくいし把握しにくい。
画面はずっと暗いし、街中は雨が降り続き(『ブレードランナー』か『ブラックレイン』か…)、唯一晴れて見通しの良いクライマックスシーンは、殆どが逆光で撮られていて、人物の表情がクッキリと見える事は本当に少ない。
残虐な連続殺人事件を扱うのに、被害の様子がハッキリ映らないのも、残酷さに配慮してと言うよりは「その方が怖い」のを狙っての事だろうと思う。
フィンチャーさん、割と苦手(嫌いじゃないのよ)なんだわ。中ではコレは、分かり易い方ではあると思うけど。

「七つの大罪」というのは、キリスト教圏ではかなりメジャーな知識なんでしょうか。それになぞらえた犯罪を「神の代理」として実行するという、滅茶苦茶キャッチーなプロットである。
私は何となく、聞いた事あるなー程度だったが、七つの内訳をちゃんと把握して見ていれば、初見からとまどいは少なかったかも。その点は自分の無知が残念だった。

望んで犯罪都市に赴任して来たばかりで鼻息荒い若いミルズと、止むことない犯罪に嫌気が差して職を辞する決意を固めている、年老いたサマセット。
対照的な二人の刑事の初対面から、思えば本当にわずかな期間の物語だ。
ブラピは雨の都会より晴天の田舎が似合う(『リバー・ランズ・スルー・イット』)と思うけど、だんだんヨレヨレになっていく様は、それなりにセクシーではあった。
そして安定のモーガン・フリーマン。
若く激し易い相棒をたびたび諫めるが、事件に引きずられるように去り時を逃して行く。ずっとクールだった彼が、最後に一瞬沸騰してしまって、それが致命的な引き金になる、というのも面白かった。
ミルズの妻のグウィネス・パルトロウも、初々しく可愛らしく、儚い風情がとても良い。あの夫よりも会ったばかりのサマセットに大事な相談をしてしまう気持ちも、なんだか分かる気がした。
そしてケヴィン・スペイシーの、アカラサマに頭良さそうなのに絶対に壊れてる感、素晴らしい。

先に触れたように、画面の細部が見えづらいのは狙っての事だろうし、そのせいでサスペンス感はグッと増幅する上、残酷描写への嫌悪感も許せる範囲に留まる人が多いと思う。
結末を知らずに見ると、やや冗長に思える護送車内での会話も、それと分かってしまえば恐ろしくスリリングで緊迫感に満ちている。
全てが終わった後に、自分の発言を思い返すミルズを思うと、胸が痛む。
そして風に揺れる段ボール箱の蓋、広大な砂漠で声が届くか届かないかの距離感、さらに歯痒い、ヘリからの俯瞰図。
考えてみればずっと、私は歯痒い思いをさせられ続けている。

後味は最悪だし、ハッピーエンド好きの私としては、好き嫌いで言ったら好みとは言い難い内容なんだが。
ミルズやその妻は本当に気の毒だし、サマセットも絶望感を上塗りされた形だし、全くミもフタもなく悲劇なんだが、喪失感はあっても不思議と悲しみや怒りは無くて、意外に不快感が残らない。
隅々まで気を使った演出や緻密な脚本、それなりに貫かれた美意識を鑑みると、仇や疎かには扱えない映画だと思う。

ところで乳首を切り落としそうに(笑)なりながら、ミルズは何を言いかけたのか?
まだ分からない事が色々残っていそうなところも、なかなかに魅力的だ。
それと残念な事に、最後のブラピの芝居はちょっと、いただけないと思うの。なんだか笑ってしまう、あの悲しみの演技。けっこう大根なんだろうか?そうだとしても充分に価値はある俳優だけど。
そして、サマセット役は最初アル・パチーノにオファーが行ったのだそうで、断ってくれて本当に良かった台無しにする名人だからさ、あの御大。(『ディアボロス』『リクルート』)。場を

7セカンズ

ウェズリー・スナイプス大運動会」ですって!(笑)
そのセンスは評価するが。

ん〜いかんせん、スナイプスが二の線、というのがまず、受け付けない、ご免なさい。
クライム アクション、特に強盗系は次々新作が出て後を絶たないところを見ると、何やら大衆の心を掴む魅力があるのでしょう。
でもなぁ…。

どこかで前にも書いたけど、アクション映画のヒーローが好みじゃないのって、恋愛映画よりもキツイ。
要は「かぁっっっこいいっっ!!!」って、なれないワケですから。
スナイプス、あれ、かっこいいの???
あ、まあ、色んな映画で主演しているのだから、何かしら魅力はあるのでしょうが。
(某広告によれば「スタイリッシュかつ知的」だそうだが)
私には理解不能です………と、言う私は、最初からこの映画の客じゃないのかな。
だってディスクのパッケージ見ただけで笑っちゃうじゃん。そもそも強そうですらないし。
それでも、男の好みを凌駕する出来の良い映画なんていくらでもあるし、それにちゃんと応えてくれれば"素敵な俳優"になっていくモノなのだが。

ずっとつまらなかったんだけど、今回ナニが最低って、(ネタバレですよー)美人刑事とハピーエンド、そのために排除せねばならない彼女は悪者に。
なんという御都合主義

ナマズみたいな顔してからに。

ゼロ・グラビティ 

いや〜ビックリした!
幕開けから登場人物は宇宙服でヘルメット着用。
そのうち艦内に戻るんだと思いきや、事故が起こって飛ばされて、男女二人して延々と宇宙空間シーンが続き、当然二人は宇宙服姿のまま。
やっと女性の方がステーションに辿り着いてヘルメットを外し、あらサンドラ・ブロックだったんだ!と、なったのは映画開始40分後
そう、何も予備知識を入れず、なんか聞いたようなタイトルだなーとボーッと観始めてしまったので、40分間ずーっと誰が宇宙服着てるか分からずに観ていた(笑)。
しかもしかも、もう一人の男性の方がジョージ・クルーニーの素敵なお顔を晒すのは、上映時間90分の映画の開始1時間以上経ってから!しかも幻覚シーン!
…いえ、宇宙服のヘルメットは顔の前部分は透明で、一応中は見えるようにはなっているんだけど。
はい、全く気付きませんでした、お二人に。
って言うか、物凄い贅沢なキャストだよねー、顔も体型もほぼ見えないもの。

とはいえサンドラさんの方は、宇宙服の下はほぼ下着、と言うかフィットネスウェアみたいな薄着で、二度ばかり「綺麗な身体だな〜」と見惚れてしまった。
ソユーズに辿り着いて無重力の中深呼吸するシーンと、海から上がって立ち上がるシーン。
このプロポーションで50歳とは恐れ入るわ。

顔が見えなくても、体型が分からなくても、何だかクルーニーは色男だった
お調子者の洒脱な会話、頼れる冷静さと優しさ。
相手を救うだめに自らの命綱を外す、というシーンは映画では良く見るが、もう助からないのに彼女が助けに出そうな(出られる位置に着いた)タイミングで交信は途切れる。
これでは後も追えないじゃないか……(涙)追ったら共倒れは目に見えているけど。
引き際がスマートなのは色男の絶対条件とはいえ。
助けて欲しかったなぁ。

とはいえ、ライアンが助かっただけでも相当に御都合が重なってしまっているので、流石に二人揃って生還は無理だったんでしょう。
そもそもマットが傍にいたんじゃハラハラしない(笑)。
あの一人ぼっちの孤独感、絶望感(最初に宇宙に放り出された時と、宇宙艇が動かせないと悟った時の二回)は、この映画のキモだと思うし。

タイトルの『ゼロ・グラビティ』は、「無重力」。
でも原題は『Gravity』で、「重力」なんだよね。
これはなかなか面白い。まあ意味合いとしては同じ事なんだけど。
最後まで観て、個人的には『重力』であってほしかった気がする。
海から砂浜に辿り着いたライアンが、立ち上がる時にフラつくのは、もちろん疲れてるからじゃなくて、自分に掛かる重力を実感したから。
宇宙から帰還した宇宙飛行士は、しばらく地上の重力に違和感を覚えると聞いた。
それは彼女にとって、自分の生命の重さでもある。

しかし、ロシアがやらかして中国のステーションに救われるとかね、胸糞悪いわー。
それに、中華ステーションにたどり着くまでもかなりの無茶設定ではあったものの、乗り込んでからの描写は酷過ぎた。
操作パネルも音声警告も中国語で分からない、ど・れ・に・し・よ・う・か・な?
コントですか
それでまんまと切り離しに成功、何故かサッサと起動が合うタイミングで、シミュレーションでは毎回墜落していた腕で操作経験も無い機でナビも無しに見事地球へ帰還成功!
しかも着水したのが(海の上というだけでもラッキーだが)陸が見えてて自力で泳いで砂浜に着ける位置とはね!
流石に切り離し成功した辺りからは「まさかこの上殺さんだろう」とは思ったが、揺れるは火は吹くわ、消火のために海水を入れたら沈没するわ、海中で宇宙服脱ぎ捨てるわの大騒ぎ。
いやいや、結局ギリギリまでハラハラさせられてしまって、何だか悔しい(笑)。

登場人物はほぼ二人きり、前半は顔もろくすっぽ見えず、アクションと言ってもモコモコの宇宙服では大立ち回りもできず。
地味と言えば地味な企画なんだが、全く退屈せず(宇宙服の中身がスターだと気付かなくても!)本当に前のめりで観た。
CGはすっかり見慣れてしまっていても、宇宙空間、特に大量の残骸が散るシーンは美しかった。
しかもヒューストンの交信相手の声が、エド・ハリスだったとは!
なんと言う贅沢
劇場では3D上映だったそうで、これは本当に3Dで大画面で見たかった。
爆発シーンは2Dでも美しかったが。
宇宙遊泳気分が味わえただろうなー。

戦場にかける橋

80年代以前の"古典の名作"を、意外と観てなかったりするので、TV放送で観てみました。
カットとかも多いかもしれないし、TVで判断しちゃいけないかもだけど。
ん〜。

かの有名な口笛の曲は、軽快で名曲だと思う。
でも、この映画の内容に合ってるかと言うと微妙…全然軽快じゃないもん。
敵役が日本軍という事で、ちょっと警戒して観始めたが、まあ当時としては破格の良い扱いだったんじゃないだろうか。
無知で頑迷だが、それなりの美意識や秩序は持っている、という、"サムライ"に対するリスペクトは取りあえず感じられた。多少誤解はあろうとも。
むしろ白人サイドの方が、バカが多い感じで(笑)面白い。

辛い捕虜生活に、橋を造る事でやり甲斐を見出す、というのは分からないではないし、全力で掛けた橋を壊されるのを見るのはしのびない、というのは分からなくはないが…あのラストはちょっと、ポカーン…ではあった。
戦争はかくも人を壊してしまうもの、という話???
そもそもジュネーブ協定だかなんだか知らないが、「上官には労働をさせない」というのがもう、いかにも白人的でイヤらしいよね。捕虜になってまでエバるんかい、働けや

センター・オブ・ジ・アース

残念ながら3Dでは観られなかったので、そこは申し訳無い。
センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島』を先に見てしまって、ある意味なかなか面白かったので、こちらも見てみたんだけど…ブレンダン・スレイダーかぁー。
設定も展開も絶対私好みのハズの『ハムナプトラ』がイマイチ楽しめなかったのは、絶対にヒーローとヒロイン(の役者)が好みじゃなかったせいだ。
ついでに言うと、それでも楽しめたのは悪役の江角マキコさん(違)とザ・ロック様のおかげだ。
『2』ではロック様が大活躍だったのに、うーん、ブレンダンかぁ。

と、いきなりテンションだだ下がりで見始めたが、代わりと言っては何だけどヒロインがとても美人。
キャラクターとしても基本のツンデレで可愛いし、山岳ガイドという設定も冒険参加に無理が無くて良い。
でも、せっかくの少年が影が薄いのは本当に残念…と言うか、ダメじゃん、この映画。

それでも冒頭の、子供に合わせようとしてスベる叔父さんと、クールな上から目線の少年のやり取りは面白かった。兄であり父である人の存在を通じて、二人が打ち解ける様子も自然で微笑ましい。
SFがそんなに好きでもない私は、地底に空間があってもう一つの世界がある、という設定からして入り込めないのだが、それでも青い鳥とか、綺麗な場面が色々あってボンヤリ見るには楽しかった。
溶岩の描写も美しく迫力があった。

やはり失敗は(と決め付けてしまうが)話の中心が叔父さんとガイド嬢の恋愛になってしまって、せっかくの少年が蚊帳の外、な印象なところ。
もっと思い切り子供向けにしたら、いっそ清々しかった。
そういう意味でも『2』の方が好みだな。
少年が少し育って、自身の恋愛に持って行けたのも有利だったとは思うけど、お祖父ちゃんや彼女のパパも良いキャラだったし。
いや、決定的に、ブレンダンとザ・ロックの差、ではあるんだが…そうかあのママがその後ロック様と再婚するのだな。でかした!

センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島 

胸板ダンス(笑)
これだけでも見る価値アリ(かな?笑)
しかしザ・ロックことドウェイン・ジョンソン、歌うまい!
格闘系の人(相撲取り含む)って異様に歌ウマイ人が多い気がするけど、やはり胸板の成せる技でしょうか???

なんで名前変えちゃったのかなぁ。
『ハムナプトラ』でも圧倒的存在感だったけど、この映画に関してはもう、ロック様の存在が全てを救っているような…いえ、他も決して悪くない、悪くはないんだけどね。
ハッキリと子供向けなので、荒唐無稽な展開や甘過ぎる危機回避、トンデモな科学解釈なんかも大目に見ようと思うんだが、大人としては気になって冷めてしまう。その部分をロックの"脳筋キャラ"(いや胸筋キャラか)が上手に埋め合わせてくれる感じ。

子供向けとはいえ、私は基本、こういう冒険物が好きだ。不思議な動物が登場したりするのも大好き。
正直言うと、あまりにリアルな悪人が出て来るようなのより、子供向けっぽくても適度にユルい方が好きかも。そういう意味でも見やすかった。
でも、『2』が付くくらいだから続編なのだろうし、内容を見ると全然センター・オブ・ジ・アースじゃないんだけど、じゃあ前作を見たいかと言うと…ロック様が出てるんなら観るかな、という程度(笑)。
主役のショーン君が、多分前作でも大活躍したヒーローだと思うんだけど、あまりに色が無さ過ぎて平凡に過ぎる。キャラ付け的にも見た目的にも、普通。
ヒロインの女の子も可愛いけど普通。
その普通過ぎて弱い主役ポジ二人を補って余りある、ザ・ロック演じる義父に、これまた強烈に魅力的なマイケル・ケインの科学者!ヒロインのパパも良かった。
脇役好きなので、私は充分に楽しめたけれど、一般的にはどうなんでしょうね。

それでも、ジャングル、火山、潜水艦と、楽しい要素を満載し、飛んでる野生の蜂を乗りこなすなんて無茶な展開も強引に進めて、さしたる被害も無く日常生活に戻って来られる。
そんな平和な甘さが、けっこう好きだったりする。
南の島の景色の美しさ、不思議動物達の可愛らしさ、火山の迫力等見るだけでも楽しいし、コレはコレでアリかな、と思う。
主人公が小学生くらいの少年だったらもっと見やすかったのかも、とは思った。

ソウ-SAW-

ショッキングな冒頭シーン。
目覚めるとトイレで鎖に繋がれている。
向こう側には見知らぬ男、二人の間に自殺死体。
なに?なに!?と思う間に、エグくてコワ〜イ物語が展開していく。

残酷描写が苦手な人は、きっと拒絶反応起こしちゃうだろうな。
でも私は、かなり、と言うか、ものすご〜く、楽しめました。
いや残虐シーンじゃなくってさ、なんと言うか、何が何でも脅かしてやるぞ、っていう徹底したサービス精神と、パズルゲーム的に(そう言えば犯人の名は‘ジグソウ’だったな。)ネチネチ組んで一つづつ開いて見せる構成のち密さが、ものすごーく、私好み
ラスト笑ったもん、マジ、もう笑うしかない
なにかフェアプレーなスポーツゲームを見たような爽快感。(でも私スポーツ観戦はキライだけど…)

主役の一人、アダムをやった俳優が、原作(監督と共同)と脚本も書いている。
そう言えば、学生の自主製作映画のような匂いが無くもない、ただし完成度が物凄く高いんだが。
若い勢いとか、集中力が、画面から伝わって来るみたい。
良い意味で手作り風と言うのかな。
惜し気もなく詰め込まれたアイディアの中には、「そううまくいくかな?」という物も無いではないが、心意気が嬉しいじゃないの、こんなにてんこ盛りにしてくれて。
汚いトイレが主要場面で、人物は拘束されて動けない、という不利な設定ながら、回想や刑事、医者の家族の様子を織り交ぜて、画面も見応えがある。
犯人ジグソウを刑事達が追い詰めるシーン等は、絵的にもかなり上出来で、恐ろしくも美的。
予算はそんなに多くないと思うけど、発想の面白さとそれを引っ張る演出のしつこさで、見応えは充分だ。
(この若々しさに何となく『フォーン・ブース』を思い出した。)

キャラクターも、それぞれ個性的で、説得力があり、それぞれ何だか怪しくてよろしい。
誰もが思わせぶりで、怪しくないのってゴ−ドン医師の娘くらいじゃないかな(笑)。
細かい罠が所狭しと張り巡らされていて、タイトルの‘SOW’にしてからが「ノコギリ」と「見る」の二重の意味が乗っけられている。
救いのないラストシーンの後味の悪さよりも、膨大な数の仕掛けとその始末をキチンと見せてもらった満足感が大きくて、「いや〜、いいゲームでしたー」と、隣の人と肩でも叩き合いたい気分。
…とは言うものの、観た晩は戸締まりを確認してしまいました。
だってコワイんだもん。
 
追記:この映画のキャッチコピーは「『CUBE』meets『セブン』」。
こういう宣伝ってどうなんでしょうか。
『CUBE』より『セブン』より面白いのに。
無名の悲しさと言えばそれまでだが、ブラピも出てないしな。
 

ソウ2-SAW2- 
 
異様に完成度の高かった前作『SAW』の続編という事で、あまり期待はしないぞと自分をなだめつつ、でもやっぱり楽しみだった本作。
う〜〜〜〜〜〜ん。
頑張ったね。

やはり予想通り、前作程の緊張感や構成の緻密さは無いものの、充分ハラハラさせられたし、アイタタタな場面に目を覆ったし(これはちょっと多過ぎかも)、それなりに、ラストはアッと言わされた。フェアプレー精神?は健在で、こういう律儀さが、私は好きだ。
前作以上に『CUBE』に似てしまったのが残念なような、開き直ったかな?ここらへんも微妙だが、ストーリー性ではこちらの方がちゃんとしてる。まあ後出しだから(笑)。

ラスト近くで前作のファンへのサービス(だよね、あの場所に戻るのは…)もあり、前作で私が気になって仕方なかった、唯一の生還者アマンダちゃんのその後もちゃんと見せてくれて、本当に真面目にしつこくアイディアを練った様子が伺える。
もはやSAWワールドは確率されてる感ありで、『3』ももうじき公開と言うのも頷ける。この調子でフレディやジェイソンみたいになって、ついには宇宙に進出しちゃうんだろうか。ま、それも良し(観ないけど…)。

人数が増えたのと、監禁場所が広くなった分、前作の閉塞感は無く、その分散漫な印象になってしまったのは残念。
監禁されるメンバーがガラが悪くて、比較的たやすく傷付け合ってしまうのも、ちょっと好みじゃなかったな。葛藤渦巻く前作と、つい比較してしまって残念。
そして前作で、低予算ながら数々見られたセンスのいい美しい画面も、今回は印象的な部分が無くて、これまた残念。
とはいえ、手に汗握る脱出劇、犯人とのスリリングな対話、そしてドンデン返しと、揃えるべき所はきちんと揃えて見せてくれた事に、素直に感謝したい。
それから、かなりのエグイ残酷描写も、不道徳とも言えるストーリー運びも、あまり気にならず楽しめてしまう自分の悪食ぶりにも、ちょっと感謝、かも。

底抜け大学教授 12/3

ジェリー・ルイスって、名前は聞いた覚えがあるんだが。
何物!?
本作では監督、脚本の上、主役の対照的な二人(実は同一人物)を演じている。
…まあ、コメディアン、でいいのかな。
独特の喋りや身体の動きが印象的で良いのだが、いかんせん二枚目役やってても、そんなでもない(笑)。
周囲はウットリしてるのに、お約束と分かっていてもどうにも乗り遅れてしまった。

現代は 『The Nutty Professor』…どこかで聞いた、と思えば、近年エディ・マーフィーでリメイクして(しかも続編まである!)て、ジェリーさんはその製作総指揮をやっていた。
更にこの物語が『ジキルとハイド』を原案にしてると知って、ちょっと納得。
だからあんなにイヤな奴になっちゃうのね。

主人公のケルプ教授は、ひ弱で変わり者で、研究も失敗ばかり。お世辞にもセクシーとは言えないタイプ。
脳筋の男子学生に舐められて、逞しくなる薬の実験をするが、その結果現れた人格"バディ・ラブ"は粗野で傲慢で自信過剰な、最低の性格の男だった。
…と、私は思ったんだが、何故か学生達の溜まり場では大人気、登場すれば女の子が群がる(正気のウェイトレスもいるにはいたが)。
教授に優しかった美人学生ステラも、バディの強引さに反発しながらも無視できず振り回される。
いや、コメディだし、時代(1963年)もあるかも知れないが、イヤだわ〜こんな男!例え見た目がブラピでもジュード・ロウでもイヤだ。
これも明らかに時代だが、ずっと煙草を手放さないのも凄くイヤ。臭いよコイツ

ヒロイン・ステラ役のステラ・スティーヴンスは、モンロータイプの可愛らしくてセクシーな女の子。
こんな美人さんが、あまり見ないと思ったら『ポセイドンアドベンチャー』で元娼婦の奥様を演ってた。
このステラちゃん(役)がまたね、お馬鹿と言うかご都合と言うか、なんであんな男に惹かれるかね?
好意的に解釈すれば、薬で変身・人格破壊された状態でも、ケルプ教授の本質を感じ取っていた、と言えるだろうか。

短時間で効果の切れる薬、好きな女性は変身後の自分に恋してて、薬の持続時間はどんどん短くなり、身体に負担も明らか…と、誰が見ても破滅目前、というところで、教授は突然リタイア宣言
それもプロムの舞台上、学生達や上司の博士の面前で。
もちろんコメディだし、教授の徹底的破滅が見たかったワケではないのでいいんだが、告白に至る葛藤とか、覚悟を決めるタイミングとか、色々と雑で残念だった。
ステラが教授に好意的だったのは最初から見えていたものの、アホのバディにのぼせてた割に、こちらも葛藤も決意のタイミングも見せずにいきなり教授にプロポーズ。
まあ、なるようになった、と大半の観客は思うだろうから、それはもういいか。

そもそも『ジキルとハイド』は好きなテーマだし、もうちょっとでかなり面白くなりそうな流れだったので(まあまあ面白かったけど)少し残念感が残る。
博士を丸め込む辺りでちょっと、クドくてウンザリしてしまったが、博士は可愛かった。
60年代特有の、エグ味のあるファッション、バディのド派手なスーツや、ステラの服と同色の髪リボンなんかは楽しかった。キュウカンチョウも可愛かったし、最後の両親のドタバタも、正しくコメディでいいと思う。
サエない教授も傲慢バカのバディも、いささか無理した役作りではあったが、実はジェリー・ルイスという人はなかなか魅力的なんだろうな、とも思った。
リメイクの総指揮をするくらいだから、彼にとってはお気に入りの作だったのでしょう。
でもリメイク版は、エディ・マーフィが苦手だから見ないだろうな。

そして父になる

そして父に………なったのか????
赤ん坊取り違え事件自体も「今時そんな…」で、かなり無理矢理な理由付けがされているけど(その点も未消化に終わるし。あんな看護師野放しにして許されるのか???)このフクヤマさんの演じる男、極端で、(いないとは言いませんが)こんな男に今時共感が集まるのか?と、不思議な気持ちで観た。
これ、見目麗しいフクヤマでなかったら、とても見ていられなかったわ。
しかも最後まで観ても、成長したのか…?なにも解決していない、ような。
まあそういう薄ボンヤリした結末がリアルなのかもしれないが。

リリーさんの方は子供にも容易く懐かれ、酸いも甘いも噛み分けた生命力の強そうな魅力的な父親だが、時々見せるゲスな発言や目の冷たさが、何ともリアル。
母親二人はとても良かった。父よりずっと深刻なハズだが、女は現実的で前向きで、即物的だけど愛情深い。違うタイプのソレを、二人で分けて見せてくれて面白い。
途中妙に共感したり親密になるのも、女同士だと頷ける、あるある。
男同士はどうしても、肘張り合うと言うかマウンティングしたがる、そういう所も良く出ていて面白かった。

言うまでもなく、一番気の毒なのは子供達。
特に福山演じる野々宮の、育てた息子への対応は…涙が出た。
なんという罪な事を
でも平凡な人間が、日常からちょっと逸脱した事件に遭遇した場合、こういった心得違いはままあるもの。だって非常時に慣れていないんだもん。
でも子供、可哀想だったなぁ。
なぜこんな酷い事になったかと言うと、普段からちゃんと息子に接していないので、相手の知性や理解力を見誤っているからだ。プライドとかね。
そういう点では、まあ野々宮は"父親"らしい、とも言えるかも。ちょっと表現が極端ではあるが。

こういうデリケイトな問題は、ヘンにキッチリ結論じみたモノを提示するよりも、見終わってそれぞれに色々考える余地を残した方がスマートだし意義もあるのかも、とは思った。
派手な演出や大袈裟なエピソードに頼らず、淡々と進めてくれたのはとても良心的だし日本的だと思う。
子供達の未来を、ひたすら祈りたい。

卒業白書

若かりしトム・クルーズのキュートっぷりが見所の、青春アイドル映画。
…かと思って見ていたら、あららら????
と、頭の上にハテナマークがポヨポヨ浮かんでしまった。
原題は『Risky Business』なるほどね、と言うか、何で!?と言うか。

タップス』のトム君がとても印象的だったので、この映画の予告を劇場で見た時は「あ、この子主役で来たか」と嬉しかったし、白ブリーフにエアギターで踊るショットは可愛かった。
でも観に行かなかったのは、ごめん、今頃観てみて、正解だったと思った。
他愛の無い思春期モヤモヤ〜童貞卒業話で、全然良かったと思うんだ。
お金を儲けるのは悪い事ではないけれど、親の留守中に売春婦集めて友人をカモるって、それビジネスですか!?と、ドン引き
家具調度品盗られても、あまり同情できないし、それすらお金で解決して(親のスネかじりの高校生が!)誤魔化そうとか、もうね……はあ。
地下鉄で○○とかも意味不明(ひょっとして彼の国では定番なのか?まさかね)だし。

ヒロインの売春婦が綺麗な子で、誰かと思えばレベッカ・デモーネイだった。
トム君と共に、見てくれは凄い可愛い。二人ともピッチピチ☆
でも本当に見所はそれくらいで、全然盛り上がらないし、クライマックスと言ったら家具を買い戻すところくらい?
あと、音楽がけっこう良い。

…で、なんだろうこの映画、「結局金さ!」とか、そう思っていいのかな???

その女諜報員 アレックス

モーガン・フリーマン働くなぁ。
って言うかまず邦題、盛大なネタバレ(しかも身分詐称)してますけど大丈夫!?

ヒロインの"アレックス"のオルガ・キュリレンコがとても綺麗でチャーミングなので、その点では文句ナシ。
悪役のジェームズ・ピュアフォイも、慇懃無礼で冷酷非道が良く似合って素敵だった。
でもそれ以外は…うーん。

冒頭からけっこうすっ飛ばした暴力描写で、マスクが取れたら予想を遥かに上回る美女が赤毛をファサーッと振り乱して登場!
と、期待は高まったんだけど、ここまでは。
何だろう、色々盛り込みすぎなのか?話のピントがボケでると言うか。
強盗で不倫してて元凄腕諜報員で…で、6年隠れたから生活取り戻す???
何が言いたいんだキミは…。
この手の映画って、ストーリーは単純な方が絶対にいいのに。
「この手」とは、アクション、美女、クライム。特に主演がとびきりの美女なら、面倒な設定で気を散らさんでいただきたいところ。
バイオレンス描写はところどころ印象的だったし、派手な爆発も銃撃も拷問シーンもけっこう充実していたのに、それを繋ぐストーリー、人物表現が残念過ぎる。

繰り返すが主演女優のオルガ・キュリレンコさんはとびっきりの美人さんで、可愛い上にセクシーでスタイルも良く、表情にキレがあって本当に素晴らしいのよ。
名前からするとロシア系かな?
ちょっとフランス女優のような風格すら感じる。ガチで何度も見惚れたわ。
この映画の公開が5年前で、続編作る気満々のラストだったけど話は聞かず(でしょうね)。
大事にしてください、お願い。

あ、『オブリビオン』でヒロインやってますね。

ソラリス

オリジナル版は、かのタルコフスキー作品だからか、とっても難解な傑作との評判だが、実はまだ未見。
ちょっと迷ったが、やはりオリジナル版を先に観ておくべきだったかな…観てないのに勝手な憶測だが、どうも作品を見る前に下手な解説を読んでしまったような、そんな気がする。

まあ本作にしても、難解というか薄ぼんやりと分からぬまま終わってしまうワケですが。
面白いかと言えばそうでもなく、せっかくの「死んだ人が目の前に現れる」という切なさも、あまり伝わって来なかった。
白いし、背景も殆ど無いし、淡々と静かで、特に前半は眠くなります。

妻は美人で瞳がとても印象的。
だが、顔がコワイ
これ怖い方がいいのかな?ひたすら可愛い儚げな女性の方が効果的なような。
夫のジョージ・クルーニーと夫婦して顔が濃い濃い。胸焼けした。
クルーニーは好きだよ。

あの少年は何だったのかな?
っていうか何もかも何なのか?だけど。
奥さんは打ち上げちゃうし、どーよ!(笑)。

でもまあ、魂は救われた、という話かな。
私だって死んだ人にまた会いたいと思う事はある。死んだ猫にも。
「閉じ込められてもいない、ずっと二人でいられる所」があったんだから。

これを観た上で、オリジナル版はぜひ観てみたいという思いを新たにした。

ソルト

うーん。
こうまで複雑な話にする必要性があったのか。
って言うかまだ良く分かってない気もするのだが、見返す気力も無ければ魅力もナシ、という。
頑張ってるのは分かるんだけど…アンジー大好きさんにはたまらないのかなぁ。

ちょっと老けて恰幅良くなってたけど、リーヴ・シュレイバー出てますね。『ニューヨークの恋人』で、コイツは食わせ物、と思ったけど、なかなかでしたねやはり。
でも、それくらいかなぁ…。
若い頃のように遊園地のジェットコースターに魅力を感じなくなった今となっては、こうしたアクション映画もそろそろ身体に合わなくなって来てるのかも。

東か西か、左か右か。
アンジョリ演じる"ソルト"の正体は謎に包まれていて、彼女の真意がどこにあるのか分からないままに、ひたすら激しいアクションが展開される。
うまく演じれば面白い役柄のはずだけど、アンジョリさんの表情には迷いとか脆さがカケラも感じられなくて、何だか良く分からない。
なんだろう、もしかして彼女は揺れ動いていたのか、翻弄されていたのか?ドコで宗旨替えしたのか?
どうやら潜入先で結婚した夫を本気で愛していたようなんだが、アンジーの意志強固そうなアンドロイドみたいな顔(と身体)を見ているとそういうのがピンと来ない。
だって大統領暗殺だの国家転覆だの、だよ?
夫の存在感が小さい扱い過ぎた感もあるが、「そんな事で?」と感じるくらい、愛のために祖国やらイデオロギーを捨てる姿が似合わないのよ。
まあ、根底には「アメリカ最高!逆らう奴等は皆極悪に決まってる!」ってのがあっての内容なのでしょうが。

そういう意味で、話が大きくなり過ぎたがために身動き取れなくなった感も無きにしも非ずなんだけど。大統領暗殺成功してロシアに凱旋、なんて展開にするハズないもの。
ちょっと『ロング・キス・グッドナイト』を思い出したりしたが、比べてしまうとジーナ・デイビスのホンモノっぽさは私の中で圧勝だった。
アンジョリさん、嫌いではないんだけど、なんか嘘っぽいと言うか、アニメっぽいと言うか、養殖物っぽいんだよな…そして決定的に、品が無い

冒頭の下着姿での拷問シーンは良かったな。
あの姿で絵になる肉体って素晴らしい。拷問的には全裸の方が効果大だと思うけど、そうもいかない事情もありましょう(笑)。
アクションはとにかく派手だし、アンジーのコスプレサービスも満載で、そしてどこに転んでも「彼女は悪くない」という印象をキープする辺り、出来の良いアイドル映画と言えなくもない、とは思うが。
そこまで彼女に魅力を感じない私個人としては、掛かったお金と豪華配役陣の割には、どうにも食い足りないもったいない映画だった。

追記:当初の企画ではトム・クルーズが主演という話だったとか。
まあトムよりはアンジーの方が楽しいかな。コスプレ的にも楽しいし、トムでは散々こういうの見てるから。

ソロモンの偽証 

これ前後編だったんだ。
まあ完全に話は繋がっているし、一本にカウントしてまとめて書きます。

生徒たちの瞳が(物理的に)美しく、目を奪われた。
若いってそれだけで汚れなく綺麗。
でも内容はといえば、汚れだらけで心がパサパサになった。

原作未読。
宮部みゆきは読んでる間は飽きさせないのだが、だいたい読後感が不快なものが多く、あまり好きとは言えない。今回も多分、原作からこんな感じなのではないかと思いながら見た。
なんと言うか、中学生が話の中心だとしても、あまりに子供っぽい、幼稚な部分が目に付いて入り込めない。
大人だからと言ってちゃんと大人でない人が大半なのは知ってはいるが、それにしてもこの教師たちの幼稚さ、情けなさはなんざんしょ。
そうでもなければいじめ自殺なんて起こり得ない、という事か。
いじめシーンも、あまりにも直截でドン引いてしまった。
あれもう警察の出番だと思うんですが本当にあんな白昼堂々見晴らし抜群のところで延々やってて騒ぎにならないモンなんでしょうか???

まあそんなこんな、入り込めないままに"裁判"が始まり、またまた教師たちのトロさが露呈、もうちょっとで定年だから辞めちゃってもいいやとかそんな先生大丈夫か(松重さんは大好きだけど笑)
そもそも子供だけで裁判とかね…もうどうにもこうにもむず痒くて、このセンス。

子供たちはいわゆる子役出身ではなく殆どが新人らしく、スレてない感じが功を奏していたと思う。
特に主演の女の子は清楚で過剰にならない可愛らしさが好印象、演技も文句無くとても良かった。
大人勢もなかなかの豪華キャストで、それなりに皆頑張っているのだが、特に担任教師役の黒木華のウザさは凄いものがあった。
個々の演技はそれぞれ良かったのだが、ミステリー以前に内容の根幹(子供裁判)がそもそも受け付けなくて、大人たちが子供のレベルに合わせて茶番に付き合ったという感がぬぐえぬまま幕引きを迎えてしまった。
まあミステリーも「あーあ…」な感じ(まさに茶番)だったし、いじめの描写や先に書いた担任教師や音楽家の母親等のウザさが尋常でなく不快だったので、そこでも視聴意欲を削がれてしまったのだが。
それと、物語は回想形式で、成人後のヒロインが語る形になっているが、その必然性が分からなかったな。
予告編はめちゃくちゃ面白そうだったのに。