れ、ろで始まるタイトルの映画

レイクビュー・テラス 危険な隣人

天下のサミュエル・L・ジャクソンが主演なのに、劇場未公開とはこれいかに。
…うん、観終わってみると、確かに地味と言えば地味な映画だし、ストーリーもほぼ意外性は無く、なるようになって予想通り、という内容ではあるんだが。
それでも集中して観たし、面白かった。

まあとにかく、S・L・ジャクソンがヤバいヤバい!
いつでもあの人はヤバいんだけど、それにしても本当に凄い大熱演で、終盤まで妙に説得力があるのがまた何とも怖い。
可愛い子供達もいるのにねー(泣)。
ある意味、過去や思想に凝り固まってしまった不幸、とも言えるのか。

あのおデブは本当に可哀想過ぎた。

サミュエルのような名も実もある人気名優でも、このような定型通りの凡作に出るのだな、と妙な感心をしてしまったが、変凡な脚本でも主演がここまで怪演だと、それはもう普通じゃなくなる、というのも良く分かった。
まあとにかく、顔が怖い。
存在感があり過ぎて、そして堂々と風格があるから(しかも警官)、最初からチクチクと嫌な奴なんだけど何だかこちら(隣人夫婦)が悪いような気がして来る。だんだんそうじゃないって分かって来るけど。
話の運びは全くもって見慣れたそういう映画だし、ラストもああやっぱり、で、狂気の原因なんかも出ては来るけどたいしたインパクトは無い。
でも、サミュエルのインパクトが凄過ぎてだな…。
全く退屈はしなかった。

少し話はズレるが、黒人差別の話。
差別の壁を越えるカップルは当然のように差別の被害に遭うが、白人男性+黒人女性のカップルと、黒人男性+白人女性のカップルでは、圧倒的に後者の扱いが酷いと。
要は「我々の取り分だったはずの貴重な"メス"を横取りしやがって」という事か。
当然差別の実行者は圧倒的に白人男性だ。

この映画のケースは、前者、つまり白人の夫と黒人の妻、という夫婦なのだが、ちょっと事情が違って見えて、夫(白人)は貧しく妻の実家(黒人)が羽振りが良くて、夫は義父から虐げられている、というスタート。
加えて引っ越した先の隣人が、イカレた逆差別主義者の黒人警官。
人種差別事情も変わって来たと取るべきか、長い差別の歴史の中で虐げられた側の恨みは深いという事か。
さらに旧来の差別が緩和されれば、収入、学歴等、差別して来た側がされる側に転落するケースもありうる。
更にアメリカでは法律で被差別階級を優遇する措置も取られているそうで。
しないのが一番いいのは当然なんだけどねぇ、なかなかそうはいかないだろう事は、長い歴史が証明しているしね…。
てな事を見終わって、ちょっと考えてみるのも一興かと。

レイジング・ドッグス

フランスとカナダ合同制作で70年代イタリア映画のリメイクと。
うーん、なるほど。
色々アラはあると言うか分からない部分も多いけど、面白かった。
誤解を恐れずに言えば、適度な血生臭さ理不尽展開がいい感じ。

ちょっとクライム物には辟易気味なのだが、最初の強盗逃走シーンからけっこう引き込まれ、退屈する事なくラストまで観続ける事ができた。
しかしあのリーダーさんはなぜあんなにかっこいい???
撃たれて助からないと悟ったにしても一人残って防戦とは。何者?
てっきりタダの強盗ではなくて何か志のある集団かと思ってしまった。
あの"虎の穴"みたいな回想も謎だし。でもおかげで本当に退屈しなかったけど。
色々見落としているのか、私の理解力が追いつかないのか。
そしてリーダー亡き後の三人強盗団のオロオロっぷりが妙にリアルで面白い。
『レイジング・ドッグス』って狂犬達って意味らしいけど、狂犬と言うよりバカ犬達だった(笑)。

あのお祭り?の、人の良い田舎のおばさんは気の毒だったな。
余計なおせっかいをするから…とハラハラしたけど、老人介護は心を病ませるからね、眠ったきりでも子供とか、若い人に風を入れて欲しかったのかな?とか思うと本当に気の毒だ。

あの発火筒は何だったんだ…前から用意してたってこと???
暗かったり動きが激しくて状況が分からなくなる事も何度もあった。
病気の子のパパは倒れた警官の銃を探して未遂だったけど、その後普通に銃を撃ってたし。

我ながら酷いなーと思うし新婚旅行先でこんな目に合う人質女性は本当に気の毒なのだが、病気の子のパパが撃たれた彼女に留めを差した時は「キター!」と心踊ってしまった。
あ、盛り上がりという意味でね。
だってちょっとウザいよね彼女。勝手な事ばかりする割には子供連れて逃げたり頭悪すぎだし。(言う事聞かずに子供も危険にさらしたからパパ怒ったのかと一瞬思った)
って言うか子供なぜ連れて行く!?
置いてくでしょどう考えてもお荷物だし彼女が逃げたからと言って子供の扱いが変わるはずもない。
しかしあんなに散々怖い思いやらウザいセクハラやらに耐えた結果があれとは本当にお気の毒。
面白かったのは彼女が「やったらいいじゃない、ナイフで脅して皆の前で犯したら!?」みたいにキレたら「え?あ、えぇ?」みたいに本気で驚いてたよね。
あの状況であんなに嫌な顔され続けて面と向かって「変態」と罵られても、強引に口説けばそのうちなびくと思ってたらしい。
性犯罪が無くならないワケだわ。そして刑罰が軽いワケだ。

病パパは登場シーンから不穏だったし、途中も妙に落ち着き払っててタダモノじゃないなと期待してたので、結末は納得。
どちらかと言えば凄腕の退役軍人とかかなと期待したんだけど。
教訓としては、悪い事するなら覚悟が肝心、みたいな事かな?
強盗団は皆、不安定で凄味に欠けていたものね…。
指名手配で顔もTVで流されているのに、ハゲせめて帽子は被れとかさ(笑)。

でも流石に子供が無事保護されるといいな、とは思ったので、その姿は見せて欲しかったかな。
誘拐犯は大金を手にして身代金受け渡しのリスクを冒す必要は無いし、じゃあこのまま解放するか、という思考回路だったらここで生き残ってない気がする。
だったら眠ったまま…というのがせめてもの情けなんだけど、ラストシーンで少女は目を覚ましてしまってたし。
異様な余韻が残ってしまうラストカットでした。

レインマン 

公開は1988年。
「自閉症」と言うと、何かのショックで口をきかなくなった人、なんて認識が横行していた時代に、これだけの物を作った事自体に、まず敬意を表したい。
名優ダスティン・ホフマンの、なり切り演技は完璧で、今更語るまでもなく、ただもうサスガ、ご立派と称えたい。
音楽もいい。あの曲を聴くと自然と、ホフマンのチョコチョコ歩きが目に浮かんでしまうし、逆にあの絵を目にしたら、あの曲が聞こえて来る。そして最初にこの映画を観た時の感動が、体感的によみがえる。
ロード・ムービーというのもいい。
広い広い砂漠の一本道。笑っちゃう程仰々しいアメ車(こういう車、実は大好き)。煮詰まる物語に風通しの良い景色。

この映画のトム・クルーズ、けっこう好き。
適度なチンピラぶりがとてもいい。
笑うとサワヤカなのに怒った顔とかはチンケで、なんだかリアル。しかも良く怒る。無理もないが(笑)。
くだらな〜いアイドル路線を突っ走るかと思いきや、ちゃんとこういういい役もこなす。そんなに派手な容姿でもないので、こういう世界にもシックリとハマッてしまう。
この映画が自閉症のルポだけに終わらないのは、トム演じるチャーリーの視点を通しているから。怒りと利己的動機から発見そして愛情へと移る、彼の普通っぽさは貢献度が高い。

イライラするよねぇ、ぶっちゃけ。こんな奴と二人きりでは。
「オ・オー」と聞くたびにブチ切れそうになるな、きっと。
ましてやこの時代、殆どの人がこの症状の知識が無かったのだから、チャーリーには本当、同情するわ。
それ以前に、父親とソリが合わず、家を飛び出してもうまくいかず、父が死んでも遺産もくれない…と、踏んだり蹴ったりの人生。孤独で、不安な人生(とは言え、イカす車に乗って可愛くて性格もいい恋人もいるんだけどね)。
父が死んでもなお秘密にしようとした兄の存在を知る事で、チャーリーは見失っていた父の顔をも知る事になる。
自分を(他の誰をもだが)石ころか虫でも見るような顔をしている兄にも、思いやる心や傷付く気持ちがあった事にも気付く。
レイモンドの独特の「言語」を学び、わずかだが通じ合う心。おそるおそる触れ合う身体。冗談で笑い合う二人。
チャーリーの力ではどうしようもなく、兄との別れを余儀無くされるラストシーンは切ないが、彼の孤独は癒されている事だろう。

人と人とが分かり合う事は、実はとても難しい。
だから、たまに心が触れ合う実感を得ると、そこに感動が生まれる。
レイモンドは「特別」な人だけれど、その特別は質の問題ではなくて程度の問題でしかないのかも知れない。
てな事をシンミリ考えるも良し、単純に変人との旅やカジノを楽しむも良し。
深刻な問題を真面目に扱っているが、堅苦しくも無く楽しめる、いい映画だ。

レオン

フランス時代から、注目していたリュック・ベッソン。
『レオン』は話題になったエンタテインメント映画で、アクションも愛も泣かせもあり、美少女あり、楽しく観させていただいた。
楽しく、と言うのは正確ではないかも知れない。基本的に悲劇だし、甘い雰囲気があるだけに、八方塞がりの先行きが見えて来るに従って、見続けるのが辛いような気分に陥った記憶がある。

ベッソン映画ではお馴染みのジャン・レノ、頭の悪い(だってそうじゃんー)凄腕の殺し屋。一家惨殺の生き残り少女が、多分これがデビューだったナタリー・ポートマン。ちっとも強そうじゃないけど側に絶対いて欲しくないキレまくりの悪役が、ゲイリー・オールドマン、白人なのに撫で肩。
少女は殺し屋の元に逃げ込んで、孤独な二人に愛が芽生える。
殺し屋は少女の行く末を思い離れようとするが、少女は「私も殺し屋になる」と、健気にも(?)殺し屋修行を始める…。
と、こういうシチュエーションで、だよ?
アンハッピーで終わらせちゃって、いいのー!?
いや、泣きましたよ、私。
まんまとやられちゃいましたとも、その時は。
でもねえ。「あー、もう、無理そうー」と、いう所から、どうひっくり返して救い出してくれるか、そっちの方が腕の見せ所だと、ハッピーエンド大好きな私としては、思う訳ですよ。

相変わらず、景色が素晴らしく美しい。ゴミゴミした街なんだろうに、なんか全体に湿気があって、アメリカ映画なのにヨーロッパみたい。
撃ち合いのシーンも、盛大で迫力あったし。
ナタリー・ポートマンも美しくて、賢そうで、妖艶ですらあった。「やったー、アイドル誕生!」と色めき立ったのに、その後の映画ではただのドンくさいかわいこちゃんだ。撮り方が凄かったのか、その年頃だけ輝いていたのか。両方かな。
音楽も美しかった。道具立ても、雰囲気も、上質なのよ。
そんなこんなで、その場は乗せられちゃったんだなあ、と言うのが、何年か経った今思う私の感想だ。

最終的に、少女は救われて、まあアンハッピーではないんだよ、と、何やら前向きな臭いをさせて美しい場面で終わるんだが、植木を土に植えたからって、なんだっていうのさー!?と、泣きながら思ったものさ。
触ると手が切れそうな映画を撮っていたリュック・ベッソン。「いつから普通になったんだろう?」と、思っていた、『フィフス・エレメント』?『TAXY』?
今なら思い当たる。『レオン』から、すでに始まっていたのよ。
泣いたけどなあ。

レギオン

あらら〜?
面白そうだと思ったんだけどな。
なんか羽の生えた人が出て来るだけの、普通のゾンビ映画だった(笑)。

ヒロイン?聖母である未婚の母は美人だったが、どういう流れで身ごもったかとか、なぜ子供が世界を救うのかとか、全然分からなかった。
って言うか本当に、タダのゾンビ映画なんですけど………。
ゾンビ映画としては、婆さんに始まり(この婆さんが正体現す辺りは面白かった)いたいけな子供にまであんな…と、特に前半、なかなか良かったと思うんだけど。
でも神の意志だの天使の反逆だのと言うにはあまりにスケールが小さい、小さすぎる。
だって戦い方も殆ど人間サイズで銃で撃ち合ったり殴る蹴る。天使同士もタダのマッチョの肉弾戦でな。だからと言ってCGでビームとか出されても興醒めだけど。

多分見えてないだけで(ラジオとかが聴けなくなってるというだけの理由付けで)世界中がああいう状況なのだと言いたいんだろうけど、砂漠の田舎町のドライブインしか出て来ないし。
…思えばヒチコックの『鳥』も、そんなに広い範囲を見せていたワケではないのだけれど。あの広がり感は何だろう???
こんな事なら神だの世界の終わりだのを持ち出さず、小さいパニック物でやった方がヘンな期待をされないで良かったんじゃなかろうか。
ゾンビ(じゃないけど)の活躍はいいアイディアがいっぱいあったし。
実は私はダイナーの息子にミカエルが「君こそが私を神に背かせた」と言うシーン、ちょっと涙ぐんでしまった。ドン臭い、情けないと人には言われる彼の、無償の愛を評価しての言葉。
でも本当に彼、その後もあまり活躍しなかったよな…。

とは言え、ミカエルはかっこよかった。
と、思ってクレジットを見たら…へ?ポール・ベタニー!?
うそぉ。私ファンなのに気付かなかった(爆笑)!!!
なんかいつも神経質そうな印象だったじゃない?今回ミョーにマッチョじゃね?軍人じゃね?
いやぁビックリした。
そしてますます、ベタニーさんが好きになった。ついでにデニス・クエイドも。
映画の出来は残念だったけどな。

レジェンド・オブ・ゾロ

「家族が一番大切」って言うヒーローって、かっこいいかぁ?
マスク・オブ・ゾロ』の続編という事で、前作でめでたくハッピーエンドになったゾロとエレナのその後の物語なんで、仕方ないっちゃーそうなんだが。
バンデラスは歳食って、ゾロ役にはちょっとお腹がキツそうだけど(笑)相変わらず、と言うよりますますセクシーなんだけど。
でも私、「家族が一番」と言う男にアピールを感じないのよ。
近頃のアメリカ映画がつまらない一因だと思う。
(あ、『スパイキッズ』はいいの、子供が主役だから。)

緊張感の無いお約束とは言え、アクションシーンはバラエティ豊富で楽しい。
男も女も牧師も子供も馬も犬までも、戦う戦う。
妻役キャサリン・ゼタ・ジョーンズも、相変わらず美人だけど、前作に比べすっかり貫禄を付けて「肝っ玉母さん」状態、広い背中が頼もしい。格闘場面の顔が、手加減無しでマジ怖い(好きだ、こういう女優…)。
息子(10歳くらい?)の曲芸みたいなアクションとか、どうやったの!?って場面は山盛り沢山。
悪役の伯爵役の俳優が、ちょいクリストファー・リーヴ似で泣けたわ。
これがまた、惚れた弱味とは言え、けっこう間抜けで人がいいんだわ。
まあ、勧善懲悪の観点からすれば、仕方ないんだけどね、ちょっと可哀想になっちゃった。

マスク物の常とは言え、どー見てもバンデラスなのに誰も正体に気付かない、まではいいとして、父が息子を抱きしめても気付かれないのって、まずくないか!?
家庭崩壊してまっせ、パパ。

レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い 12/3

おお、なかなかの豪華キャストなんだけど。
それより何より、若きブラピの破壊力たるや!!!
1994年公開だから30歳くらいか。
しかも役名が"トリスタン"と来たもんだ。

真面目で優等生の兄と、自由を愛する奔放な、ある種破滅的な弟。
よくある設定だが、確か『リバー・ランズ・スルー・イット』でもブラピはこういう弟役をやっていて、やはりとてもハマッていた。
実際お兄ちゃん(エイダン・クイン)もけっこうな二枚目なのだが、あんな弟がいたら気が気じゃ無く不安でたまらんだろうね。
兄弟には更に弟がいて、その末息子の連れて来た婚約者に兄2人が心惹かれ、末弟は戦死、婚約者は予想通り奔放なトリスタンに心惹かれ…そりゃそうだ。 

恋愛模様は(当然過ぎて)ともかく、第一次大戦当時の田舎の風景、先住民の影響を強く受けた生活、衣装風俗、どれもが丁寧に美しく描かれる。
ブラピは田舎の景色が似合うね。
都会的なタキシード姿も素敵だけれど、太陽の光が本当に似合う。
陽に透ける長い金髪をなびかせて乗馬とか!
そうかと思えば今度は船乗りですか!これまたお似合い。
その彼が、先住民の思想の影響を受けて育ち、最愛の弟の死に直面して野生化・凶悪化。
健康的で自然が似合うブラピは、なぜこうも"死"がまた似合うのだろう?

ついついブラピの勢いに負けてしまうが(笑)父親役のアンソニー・ホプキンスも、とても良い。
父親の位置に彼がいるといないでは、映画の風格が段違いだと思う。
時代と運命に翻弄され、愛し合いすれ違った父と息子達。
いくつになっても、夫になっても父になっても変わらない、トリスタンの荒ぶる魂。
美しい自然と先住民族のミステリアスな思想に、壮大な音楽が被さって、何ともスケール感のある大河ドラマに仕上がっている。

って言うかブラピかっこいい

レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード 4/15

いやぁ〜濃い濃い!
前作『デスペラード』に比べると散漫な印象だが。
相変わらずバンデラスのアクションはオレサマ全開のかっこよさだし、キャラクターが増えた分いちいち濃く暑苦しくイカスわぁ!
でもご免、ジョニデが邪魔

CIAいらない、というのもあるし、そうでなくても生っ白くて場に合わず、キャラクターもあまりに漫画で芝居もやりすぎでわざとらしい。盲目になっての活躍もバカバカし過ぎ。
ジョニデのファンには申し訳ないが、バンデラス、デフォー、ミッキー・ローク、怖い顔のおじさん(ダニー・トレホ)に、濃い〜オトコマエの将軍も。
このセクシーおじさん軍団の前では、ジョニデなんてケツの青いガキである、当社比。
FBIの引退捜査官や、大統領までもチャーミング。
そしてテルマ・ハエックの美しさ!!本当にセクシーでゴージャス。
エヴァ・メンデスも最高にHotな女だと思うのだが、しなやかなハエックの前では綺麗なオカマみたい(笑)。
フジコちゃんっぷりは良かったのに、男にフジコちゃん殺させちゃダメでしょ。

チワワを抱いたロークが思いの外良くて(ちょっと似てるよね)見直した。
せっかくのデフォーも、もっと活躍して欲しかったけど、この濃い〜メンツでは致し方ない、のかな?
だから尚更、ジョニデが邪魔。
少年とのやり取りは、面白くないワケではないのだが。

ストーリーは、正直あまり複雑にしない方が良いタイプの映画だと思う。
ドンデン返しとか、意外な敵とか、そういうんじゃなくて、濃い〜おじさん達が単純にぶつかり合ってくれたらそれでいいんだけど。
アクションシーンはとにかくカッコ付け過ぎてて、「うっそー」「死ぬだろ」の連続だが、それでいい。
火薬の量と人のブッ飛び数は半端無いけど、そんな事よりおじさん達の顔とキャラと存在感の濃さが尋常じゃない。
強いて言うなら、脇が濃くなり過ぎて、せっかくの激濃バンデラスが薄まってしまったのが、ちょっと残念かな。
あと無駄なジョニデな。

レジェンド 狂気の美学 

1960年代、ロンドンの裏社会で暗躍した双子のギャング、クレイ兄弟の愛と破滅の物語。
60年代のファッションやリッチな層の生活ぶりは楽しめたけど、内容はほぼ同じ事の繰り返しで退屈してしまった。
ヒロイン・フランシスのモノローグがト書き風に差し込まれるのが映画の勢いを止めちゃってる感じで、解説が無いと理解できないような複雑な話でもないのに…とイラッとしながら観ていたら、まさかのヒロイン途中退場!でズコーッと滑った。

平たい顔のヒロインだなーと見ていたら、ああエミリー・ブラウニング。
『エンジェル・ウォーズ』も『レモニー・スニケット』も良かったけど、この役はとにかくウザいだけ
主人公のギャング兄弟を一人二役で演じるのはトム・ハーディ。
なかなか2枚目なんだけど、この人他に何か演ってたっけ?って言う程私には印象に残ってない人。
ロンとレジー、タイプの違う(と言っても根底は同じ、クズのヤクザなんだけど)二人を演じて、きっとファンなら楽しくて堪らないだろう、そういう意味ではアイドル映画と考えると納得が行くかな。
正直、それくらいの薄い芝居にしか見えず。
でも脚本は結局、レジーの方もクズ野郎として描いてしまってるので、アイドルファンにも怒られそう(笑)。

冒頭にフランシスは「私のレジーはロンとは全然違う素敵な人」みたいな事を言うが、果たしてどうだったんでしょ。
確かに物語はずっと、レジーの足を引っ張るロン、という構図で繰り返されるんだが、結果的にそんな(正しく病気の)ロンを野に放ち、権力を持たせ、庇い続けて拗らせたのはレジーだ。
フランシスにしてもギャングはイヤイヤと言いながら自立できず薬に溺れ、兄弟の母親はギャングの息子をボクちゃん扱いで嫁をイビリ出すし、弟への怒りを手下にぶつけて惨殺する兄だしで、この一家は共依存のデパート状態。
ホッコリしたりワクワクするシーンが全く無く、真面目に観てたらこちらが病みそうだ。

最初、イカレ具合はロン>レジー>フランシスと見えたが、結果はレジー>フランシス>ロンだった気がして、そこは少し面白かった。

レスラー

スゲー!
ミッキー、スゲーよっ!!!
あんた最高!

正直、あまり好きになれない俳優だった、ミッキー・ローク。
エンゼル・ハート』も『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』も大好きな映画だけど、むしろ主演のミッキーは、うさん臭さとキモさの勝利、という感じだった。
それが久々に『シン・シティ』で見て、「おや?」と気になっていたんだが(あ、『デスペラード2』もあったか、あれも良かった。)今回のはすごい。
仮に私が俳優としての彼を知らなくて、「この人は昔、美男レスラーで一世風靡した人なんだよ」とか言われたら信じちゃいそう。
いや相変わらずキモいしウザいんだけどさ。
でも何と言うか、ホンモノっぽさがハンパない。そして悲しい。

おちぶれた老レスラー、貧困と冷たい世間、それでも彼を崇拝する少数派のオタク青年達、終わろうとしているショービジネス(プロレスの事ね)に文字通り身体を張ってしがみ付く老いた同志達。場末で年老いてゆくストリッパー。この映画にはサエなくて悲しい人がいっぱいだ。でもみんなどこか優しくて、暖かい。
例えば私があと10歳若かったら、こうまで共感しなかったと思う。いや数年前でもまだ、ピンと来なかったかも。出会いにはタイミングというモノがあって、それは多分たまたまとか偶然ではなく、来るべき時にやって来るのだと思う。

プロレスに関しては、私は殆ど興味が無い(それはスポーツ観戦全般なんだけど…いやプロレスはスポーツではないとこの映画は明確に告げているけれど)が、何と言うか、作り手の愛が伝わって来るようで切なかった。
"やらせ"を責める向きもあろうし、「違う!」という主張もあると思う。けど、それをも含めて、見せる事に身体を張ってボロボロに老いてゆく人々に、単純に私は感動してしまう。
でも流血描写はイタ過ぎて、ちょっと引いてしまったけど。まあ責めるまい(笑)。

それも含めて、「こう生きるべき」と「こうしか生きられない」の間には、とてつもない開きがあって(いや人によるのかもしれないけど)、それは切ないけれど今の私には実感を伴う痛みだし甘さでもある。
"ラム"は本当〜に、ダメダメな奴なんだけどさ。
プロレスを離れるとまるでダメ、というんでもなく、意外とパート先でも普通に働いてるし(本人が耐えられないというダメさ)、近所の子供達の人気物だし(実の娘には憎まれるというダメさ)、時にはお姉ちゃんを引っかけてヨロシクやっちゃうし(それで大事な約束をすっぽかすダメさ)。その辺りの捻ったダメさ加減がリアルで胸に迫った。
そうよ私だって何もできないダメ人間なワケじゃないのよ、だけどなんかダメにしちゃうのよ、みたいな。あ、脱線した(笑)。

思うように進まなくても、他人様に尊敬されなくても、できる範囲で人は生きるしかない。
そこで精一杯やりとげられれば、輝く事ができれば。
そうは思っても、やはり寂しい、悲しい。
泣けてしまうけれど、そういうモンだと思う。
ああ、いくら書いても足りない。

レッスン! 

思えば『フォー・ルームス』でタンゴを踊りまくるアントニオ・バンデラス様を見た日から、こんな映画を待っていた、かも。

原題は『Take the lead』なかなか素敵なタイトルだと思うのだけれど、邦題は『レッスン!』と色気が足りませんな。

Hip hopしか知らないNY貧困層の公立高校の生徒達に、天然ボケとも言える紳士ぶりのダンス教師が社交ダンスを教えます。
一言で言うと、「セクシーな金八先生」イヤかも…(笑)。
ダンス好きに言わせると、バンデラスの踊りはうまくないんだそうだけど、色気に目が眩んだせいか私的には全然OK!そりゃあ、中盤一緒にタンゴを踊るカティア・ヴァーシラスちゃんには遠く及ばない、というのは素人目にも分かったけどさ、そりゃ相手が悪すぎますわ。この人ホンマモンのトップダンサーだもん。でもってすごい美人!きゃ〜。

バンデラス演じるピエール・デュレイン氏は、実在の人物。
実話に遠慮があったのか、ストーリーはやや平板な印象もあったものの、生徒達の切ない情況や、様々なダンス・シーン、雑踏や社交ダンス会場の様子等、見所は多数。
デュレイン氏の口からは、生きる勇気を与えてくれる素敵な言葉がいっぱい飛び出します。
彼の視線の先々で、いちいち微妙に女性がとろとろしてるのも可笑しいやら頷けるやら(笑)。

惜しむらくは、ラストのワルツが案外盛り上がらず、場末のチークダンスみたいになっちゃった事。あの娘は顔で選ばれたのかな?確かに可愛かったけど、大事な所なのに、もったいなかった。
それでもまあ、「勝つ事が全てじゃないよ」という悪くない集結で、若手に場を譲って散歩に出ちゃうピエール先生もまた素敵(まだ目が眩んでいる…)。
じっさい、『デスペラード』のワイルドさからは考えられない紳士ぶり。コート姿が特にステキ。

うーん、やっぱりバンデラス様、一生付いて行きます♡

レッド・サイレン

何となく見掛けない顔ぶれ(仏映画だからかな)で地味なんだけど、意外に面白く観てしまった。

"レッド・サイレン"であるアリスは美少女だが、愛くるしいと言うよりはスッキリした大人顔だし、女刑事アニータも美人というにはアクが強いけど、魅力的な顔。
ハゲのスナイパーは…(笑)いやいや、この人も見るうちに、なかなか魅力的に見えて来たよ、凄い。
でも何と言っても印象的なのは、アリスのお母ちゃん!
どうも私、悪女とか女マフィアとか、ツボみたいで。このママ(フランシス・バーバー)は見た目、本当にカッコ良かった。

色々と詰めが甘くて残念な部分はあったんだが。
アリスはなぜアニータを訪ねて来たんだっけ?とか、アニータもヒューゴーも最初からアリスに肩入れし過ぎでちっとも疑わないとか、パパはよく今まで見付からなかったな、とか。
ヒューゴーは戦中に誤って8歳の少年を殺してしまって、多分その贖罪の部分があるんでしょうが。だったらアリスは少年にするか、8歳にしないとなぁ。でも少女にしたかったんでしょうね。
ママがあれだけ押し出しの強い容姿にもかかわらず、タダの変質者だったのは残念。人格破堤しちゃってるもんね。
そうそう、「オマエには撃てないさ」ドン!「え〜?」っていうの、二回やるのはよろしくないと思うんだけど、狙ったのかな?ちょっと笑ってしまった。
ママの始末はもう少し、工夫して欲しかったし、母親殺しはちょっと…と、抵抗もあった。
あとパパママ歳食い過ぎてない?とか、"レッド・サイレン"という単語をもう少し有効に使って欲しかったとか。
ラストも余韻があっていいのだが、問題のペンダントがそんなに印象深くなかったのは残念。

と、ツッコミ所はあれど、意外に生々しい残酷描写や銃撃戦、それぞれのキャラクター、妙に美しい景色の数々と、地味ながらなかなか印象的な映画でした。

レッド・ドラゴン 


羊たちの沈黙』は、文句無しの傑作だった。
続編である『ハンニバル』は、その傑作の燃えカスみたいな出来だった。
3作目の『レッド・ドラゴン』は、そんな訳で、「もういいよお〜」と、内心思いつつ、でもやっぱり気になって(原作も面白かったし)いささか引き気味で観始めたのだけど。
どーしてなかなか、面白かった。
『羊たち…』の、ち密さには及ばないけれど、なかなか香り高い良い映画ではありませんか。

今回は、天才的変態のレクター博士が事実上ワキにまわり、連続一家惨殺事件の犯人である「噛み付き魔」こと「D」の人生に迫っている。
そして、レクターを捕らえたものの、精神的打撃が大きくて引退した捜査官の人生がからむ。
レクター博士は、相変わらず気味の悪い笑みを浮かべて人肉を客にふるまったりしているが、あくまでも味付け程度の役回り。
私の当初の「もういいよ〜」の大部分は、アンソニー・ホプキンスのレクターの変態ぶりに対してだったから、これはありがたかったんだが、熱狂的レクター支持者には、物足りないかも知れません、だんぜん『羊たち…』の彼の方がキテるもん。

先に原作を読んでしまっていたので、自分の中でイメージがあったんだけど、ちょっと違った。と言うか、訂正が入った感じかな。
「醜貌恐怖」というのは心の病気で、多くはむしろ美男美女の部類だと本で読んだ事がある。
小説を読んで、もの凄いものを想像していた私は、色男の「D」に面喰らってしまった。
でも物語が進むうちに、ああそうなんだと納得していく。ナルシズムの双児の兄弟のようなところがあるのね。
エドワード・ノートンの元捜査官は(あまり好みじゃなくて残念)、まあそれなりに、正義漢一本槍でない危うい部分が出ていてよかったかも。
そして「D」の盲目の恋人は、まさしくイメージピッタリ!エミリー・ワトソンとやら初めて観る女優で、他の役はどうなのか、興味しんしんだけど、取りあえず今回は知らない顔だったのも幸いして、すごい存在感、説得力。

殺人の手口とかはまたまたエグイけど、悲しい物語だったりもするのよね。
混乱する「D」の気持ち、分かるような気がして来るから恐ろしい。
そして、人の痛みが分かるという事が、攻撃所も見えてしまう事になるというオチの悲しさ。
あ、なんか悲しくなって来ちゃった…。

レッドブル

大好きシュワルツェネッガー主演映画、当時はほぼ全てをロードショウで観た。
一番つまらなかったのは『ゴリラ』だと思うけど、しばらくぶりに観て、この『レッドブル』はブービー争いモンだと気付いた(笑)。
って言うかもはやウォルター・ヒルって面白かったんだか何だか。

当時はまだ冷戦の余韻が色濃く残って(正確にはソ連崩壊前)いて、確か「赤の広場にハリウッド初上陸!」みたいな騒ぎだった。
確かに、モスクワの景色はエキゾチックで、毛皮のコサック帽のシュワちゃんは熊さんぽくてキュートだったし、野暮ったい背広姿も新鮮だった。加えて英語圏の人達にとっては、オーストリア人の下手な英語も許される役だった事でしょう。
そんなこんな、当時の気分を抜きにして観ると、うーん、残念だ。

冒頭のサウナでの格闘シーンは、もう有無を言わせずシュワちゃんだからアレだよ(笑)。凄いよシュワちゃん!
このまま突っ走ってくれたら良かったのに、アメリカに来てからはなんかタルイ応酬の繰り返し。
相棒役のジェームズ・ベルーシは巧い役者なんだと思うけど、この役に関しては小器用な印象しかなくて残念。朴念仁のイワン(シュワ)と対照的なキャラであり、共産圏vs.資本主義の擬人化でもあると思うんだけど、ただ軽薄で薄情に見えてしまって。ジーナ・ガーションも大好きなエロ系美女で、その後色々な映画で楽しませてくれるんだが、この時はまだ色が薄くて地味な印象だった。
…まあ、イワン君が男はガンガン殺すくせに綺麗な女の子には「君はバカだー」とか言って逃がしちゃうあたりの説得力があるくらいには魅力的でしたが(笑)。
あとあれだ、冷戦終結が見えて来て、「悪はソ連にお任せ!」とは行かなくなってきたハリウッドに、取って代わる悪役がいない、というのもね。冒険活劇の魅力の多くは悪役に依ると思うんだが、この悪役は影が薄くて凶悪さも中途半端。見た目もサエないし。
後はまあ、私自身の見る目が、ドンパチにあまり感応しなくなってるのかも、というのもあるかな。
アクション映画としては普通、うん、普通

それでも、先に言ったように冒頭のサウナとか、時計を交換する時のシュワちゃんのキラキラした目だとか、楽しみ所がチラホラあって、まあいいか、という。
あの時期はまだ、赤の広場で軍服姿のシュワルツェネッガーが行進する、という図だけでも胸熱、だったのよ。
隔世の感があるなぁ。

レディ・イン・ザ・ウォーター

なんか行き当たりばったりで子供に聞かせる寝物語みたいな内容、と思ったら、ビンゴ!だったみたい。
クレジットの後に、娘達へお話しするからどーこーというメッセージが出た。
…そう言えば、かのスティーヴン・キングも、自分の息子のためにヘンテコなファンタジー小説を書いていたっけ。
パパに甘えて嬉しい寝ぼけた子供と、汗水垂らして稼いだお金で観に来てる観客を一緒にしないでいただきたい。

プロットは悪くないと思うのよ。雰囲気もいい。
でも、本当にそれだけ
なんか、天辺で掛け違えたボタンがそのままズレ込んで最後まで行っちゃった感じで、しかも着てみたら服自体がダサいデザインで仕立てもザツ、みたいな。
生地の手触りは良かったんだけどなあ、と言ったところで、そんな服気に入る人はいないでしょ、普通。

シャマラン監督と言えば、名作『シックス・センス』が忘れ難く、しかし考えてみれば、その後期待に添った試しが無い(笑)。
中でも今回、特筆すべきユルさかも。
“仕事"と呼べるんかい、こんなモン人前に出して。と、言いたくなる行き当たりばったりの出来で、お金も手間も掛けてないのがありありと見える。
やたら濃い〜顔したインド系青年が、おいしい役をやってると思ったらシャラマンさん本人だったし(爆)、もう公私混同はなはだし

でも、それでも嫌いじゃないの、この手触り。
また観ちゃうんだろうなぁ(タメ息)。

レミーのおいしいレストラン 

ネズミのおいしいレストラン

じゃ、なくてー。

お待ちかねのPixarの新作。
まあ、CGに関しては、今さら何を見せられても驚かないので……、でも、やっぱり凄い。
ネズミです。思った以上にネズミ。走り方とかリアルで。
リアルとマンガの間を、見事に走り抜けてる。
でもって、舞台はパリ。
あまりに鮮明な背景画に、思いもよらずパリ観光気分。お得♪
さらにさらに、扱うのはレストラン、フランス料理。
もうもう、お料理がいちいち美味しそうで、キレイで、いい匂いが漂って来そう。……生殺し(笑)。

ストーリーは、さすがのPixarらしく、いっぱい笑ってハラハラして、ちょっぴり泣けて。
惜しむらくは、私の頭の片隅で「なにネズ公に泣かされてんだ、ワタシ」って気持ちが最後まで消えなかった事、かな。
やっぱネズミがシェフって、無理でしょう。

そして、圧倒的な画面の完成度を一歩離れて冷静に考えてみると、ストーリー的にもちょっと詰めが甘いと言うか、語り切った感が薄い。(あくまでPixar作品にしては、というレベルの話だけれど)
ネズミのキャラクターはいいと思うの、でも、相棒と言うか人間の主人公のはずのリングイニが、魅力的とは言い難いんだもの。
気弱でナサケナイ男の子が主役でもいいけれど、結局最後まで成長しないってのはいかがなモノかと。
美人で有能な彼女はなぜか戻って来るけど、他の従業員は怒って出て行ってそれっきり?え?ネズミと仲良くやるからそれでいいやって?
へん
Pixarは大好きなので批判したくはないけど、近頃のアメリカ映画ってオタク仕様に片寄り過ぎだよ。プンプン。

肩肘張らず自分らしく生きるのが幸せ、という主張は分からないではないけれど、女の私としては、ダメな男がダメなまま他人(じゃなく他ネズミ)にもたれかかって幸せ、なんて結末じゃ、全然楽しくないです。
そうそう、原題にもなってる『ラタトゥイユ』が効果を発揮したのも、なぜリングイニがひらめいたのか分からなかったし、やっぱりちょっと消化不良(Pixarにしては)。
内容的には、葛藤するネズミ、不器用な恋、心の原風景、と、色々材料を揃えているんだけど、やっぱり詰めが甘い。

とは言え、画面の美しさ、動作や表情の豊かさ(特にネズミ)、スピード感、質感、とにかくスゴイの一言だし、欠点はあっても見てる間は殆ど感じさせない勢いと楽しい雰囲気がある映画。

でもやっぱり、ネズミの作った料理は食べたくないな。

*PixrのCGアニメ作品『トイ・ストーリーズ1、2』『Mr.インクレディブル』『ファインディング・ニモ』『モンスターズ インク』

レ・ミゼラブル(1998)

リーアム・ニーソンとジェフリー・ラッシュのガチ勝負、といった印象。
絵的にも芝居も派手ではないけど、確かな品質、豊富な品揃え。

長大で壮大な原作に比べると、あまりにコンパクトに収まりすぎの嫌いはあるものの、ジャン・バルジャンとジャベールの物語ととらえれば良い出来だと思う。
反対に、本来の群像劇的要素は薄く、それを期待して観た人は(大半はそうだと思うが…笑)物足りない思いをするかも。
特にコゼットとの関係、マリウスの政治的主張が薄くて、"革命"そのものの存在感もどこ吹く風に見えるのが残念だった。
それでも、原作は横に置いといて、じっくり見るに価する名演技と人生模様、美術の美しさはナカナカだ。
いつもの事ながら、リーアム・ニーソンの哀愁漂う表情がね、何とも言えず。
対するジェフリー・ラッシュ、粘着質でエキセントリックなジャベールも、この人が演じると実在感があると言うか…まさしく怪演
ラストのアレも、このジャベールだと納得しそうな。
そしてまさかのハッピーエンディングな『ああ無情』!?えー。なにサワヤカに笑って

この映画、本当にバルジャンvs.ジャベールに絞り込んであって、コゼットとの関わりもごく薄味だし、革命周辺は駆け足で、本来一番いいトコかっさらってくエポニーヌもいない。マリウスも色を添える程度。
原作やミュージカルの壮大な歴史絵巻感を期待すると肩すかしを食らうが、二人の男の愛憎物語として観れば、充分に見応えがあったし、あのラストもアリだと思う。
個人的には盗人に追銭する牧師のシーンがハイライト。

ところでコゼット役、クレア・デインズだったんだ。『ターミネーター3』では何でこんなオバサン女優使うんだと思ったもんだが、綺麗だったな。『ロミオ&ジュリエット』でも下品なジュリエットとドン引きしたけど、その二年後ですか。

話題のミュージカル版は、どうにも食指が動かないんだけど、まあそのうち観てみましょうか。

レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語 

ジュード・ロウ、そこ!?(笑)

まず三兄弟の子供達がとても可愛い。これは大事。
発明家の姉、読書家の弟、噛みつき屋の妹(笑)。それぞれ役に立つし、それなりに賢く健気でいい。
キャストも豪華だし、なんと言っても絵が綺麗。設定も面白そう。
でも正直、何とも食い足りないと言うか、盛り上がらない内容だった…。

まず主演?主演だよね、ジム・キャリー。
この人割と一本調子と言うか、長丁場になるとダレてしまうのよ。
アメリカ製のコメディには、よく"口八丁のマシンガントーク"が登場するけど、殆ど面白いと思った事が無い。原語が聞き取れないと無理なんでしょうが。
悪役とはいえ、メインキャストというのは、なにかしらチャーミングでないと作品を楽しむのは厳しいんだが、(広い意味で)可愛くないんだよねー、オラフ伯爵。ただただウザい。
変装して大人達の目を誤魔化してるはずなのに、どう見ても同じ芝居だし。
ストーリーも、最後までそんなに盛り上がる事も無く唐突に「彼らは幸せ」で終わってしまって、説得力の無さを美しい画面と凝ったエンディングで補ったいや誤魔化した、ような。

盛り上がらないストーリーにはもったいない程、絵が綺麗。
それぞれの家が本当に素敵(蛇屋敷も!)。線路や湖等、どこか不吉を漂わせる景色もとても美しい。
家具調度や衣装にもすごく心惹かれた。姉妹お揃いのブルーのコートもヴァイオレットのゴスっぽい喪服も可愛いし似合ってた。
火事の前の屋敷のエントランスから、全焼後の様子に変わるシーンも素晴らしかった。
断崖に建つジョセフィーヌおばさんの家が崩れ落ちるシーンも、ハラハラというより見惚れてしまった。
凝りに凝ったエンドクレジットも、本編より見応えあったくらい。一見の価値アリ。

メリル・ストリープは良かった。この人はコメディでこそ光る女優だと思う。ウザいけど可愛げがあって、現実にいそうなんだけど、このまま絵本の中にいても自然そう。
マヌケだけど人の好いミスター・ポーも、心優しい変人のモンティおじさんも、良かった。蛇達も大活躍。
なのに全体像は間延びして、けっこう凄い殺人事件とか起きてるのに、なんだかいっこうに盛り上がらないのは不思議な程だ。
まずジム・キャリーに時間取りすぎ。ああもアカラサマに悪役メイクなんだから、登場後の説明は不要だと思う。デカダンな芝居仲間も、出しようでは面白そうなのに、つまらないのは何故だろう…ジム・オンステージでテンポが緩くなっちゃうのがマズイのかな。
目の仇にする気は無いんだけどさ…『マスク』も『フィリップ、きみを愛してる! 』も好きだもん。
最後の結婚式では、ヴァイオレット(花嫁姿も可愛かった!)が諦めてしまったのが残念。イヤでしょ普通に。クラウス君が頑張ってくれたけど、やはり姉ちゃんも何か企んでるに違いないと思って見てたのに残念。

原作は長い物語らしいので、キッチリした結末にできずオラフが行方不明で終わってしまうのは仕方無かったのかもしれないが、一本の映画としては本当に物足りない幕引きだった。
「きょうだいは幸せ」という締めに、あまり説得力が無いのも満足度の低い要因。
まあ、三人仲良く団結してる、というだけでも、意外と幸福な子達なのかもしれないが。

恋愛小説家  

ジャック・ニコルソンて、スゴイ顔だよね。
正直、彼が主演のラブストーリーって…どーなの!?と、あまり気は進まなかったんだけど。
恋愛モノで主役(特に異性)が好みじゃないのって、キツイでしょ、どんないい内容でも、思い入れしにくい。
だから、あまりノレないかなー、とは思ったんだけど。
意外にも、とても楽しめた。この映画がラブストーリー一本立てではなかったからだろう。

ニコルソン演じる主人公メルビンは、偏屈で毒舌な神経症の小説家。
この「恋愛小説家」という職業が、そんなに生かされた脚本でもなかったんだけど、彼の性格の悪さ(と言うか屈折ぶり)を分かり易く見せるという点では有効でした。
そんな「ヤな奴」が、中年の子持ちウェイトレスに恋をする。
神経症だから、並大抵の執着ぶりではなく、まさに「君がいなきゃダメなんだ」状態、なんだけど、なにしろイヤな奴なので最初は相手にされない。
この、イヤな奴ぶりが、ものすごく面白い。
サスガ!へんな顔でもスターなのがうなずける。

これだけではまあまあの映画なんだけど、メルビンの隣にはゲイの画家が住んでいて(当然と言うか仲は悪い、だってメルビンがとても失礼だから)、そいつが小さな犬を飼っている。
私は犬は大きいのが好きで、小型の室内犬ってイマイチなんだけど、こいつは、もう、なんと言うか、カワイイ
ものすごく表情豊かで、誰よりも(そう、ニコルソンよりも!)芸達者。助演女優賞(メスらしい)は彼女に決まり!なんであった。
メルビンはイヤな奴なので、最初は犬にも辛く当たるが、なりゆきで預かる事になるや、アッという間にメロメロになってしまって、犬もまた彼によく懐く。この様子が実に微笑ましい。
犬を愛する事で、人からも優しい眼差しを注がれたりしては、やっぱりいつもの毒舌をまき散らしたり。
アップダウンを繰り返すうちに、不器用で病気だけど、悪い奴じゃないのかも、なんて思えて来てしまう。
そしてそういう発見は、とっても心をあったかくしてくれるんだよね。

物語りは、メルビンとウェイトレスのキャロル(ヘレン・ハント、地味な顔。こちらも恋愛モノの主役にはギリギリのところか?)の恋、犬との愛、ゲイの画家の挫折と再生、キャロルの病弱な子供、メルビンと画家そしてキャロルの友情と、いろんな要素が混じり合って、無理無く進んでスッキリ終わる。
派手な場面は無いけれど、エピソード一つ一つに説得力があって、生き生きしたキャラクター、きちんと錬られた脚本は、観ていてとても心地良い。

そして一番の説得力は、犬がカワイイって事なんだけど。 犬を愛する人々も、ね。

ローズ・イン・タイドランド

大好きテリー・ギリアム監督。
比較的小振りな『ブラザース・グリム』をやったばかりなので、しばらく見られないものと思っていたら、『グリム』の合間に好き勝手やってたようです(笑)。
劇場で見た予告編は、ギリアムワールド大全開!で、期待値上がる上がる。

本当は劇場に行きたかったが、諸事情あって人様のお宅でDVD鑑賞。
いやぁ。覚悟はしてたが居心地の悪い映画で、かなりきまり悪い思いをしたわ。押しかけて付き合わせてしまって、ごめんなさい。
こんな方向に世間にケンカ売ってどーする。頼むよ、ギリアム監督。と言っても何をどう頼んでいいのか分からないんだけど。
やってる事は児童虐待だし、グロいし不謹慎だし大人みんなクズだし、もうどうしようもない状況なんだが、少女の目を通すその世界観は清冽でイノセント、美しい。

主演の少女がもう、素晴らしい。
撮影当時10歳だったというジョデル・フェルランドは、可愛いと言うより、もはや美人。演出なのか演技力なのか、はたまた"地"なのか、えらい色っぽいし。
おそらく望みうる最高の主演女優だったろう。複雑な境遇のため、妙に子供っぽい部分と大人びた部分が混在する、孤独な少女を、完璧な美しさと危うさ、そして太々しさすらも備えて、何の無理も危な気も感じさせず演じ切っている。
そして相変わらずの、画面が斜めったりひっくり返ったり(今回飛翔するキャラは出ないものの)、地に足が付かないカメラワークは、いともたやすくいつもの悪夢に導いてくれる。
ワイエスの絵画を彷彿とさせる、金色の草原。だだっ広い閉鎖空間を、伝説の妖怪のごとく駆け抜ける列車。ポツンと取り残された、白いペンキの廃屋。
頭だけのバービー人形との会話もシュールだが、"バケーション"に出掛けたまま帰らないパパに対する扱いも相当にシュールだ。この子の頭の中はどうなっているのか…ああなっているんだけど(笑)。

人によっては退屈だったり、気分が悪くなったり、というのもいつもの事。
私は何でか、むしろいつも元気をもらってしまう、人前では多少気まずい思いはするけれど。何と言うか、吐き出し切って悪いモノが残らない、という感じかな?
珍しく原作付きだが、そもそも原作者がギリアムありきで書いたと聞いて納得の内容。実は原作小説も読んでギリアムリスペクトは良く分かったけれど、映画化によって掛かったバイアスはよりギリアム的で楽しいものだった。

ちなみに原題でもある"タイドランド(Tideland)"とは"砂州"の事、だとか。"境界"の意味もあるらしい。
その名の通り、危うい(物理的にも、精神的にも)境界線上に一人放り出された少女の行動と心情を描く本作は、その描写は見事なものの、物語性は軽いかもしれない。
『ブラジル』よりはイマジネーションが薄く、『フィッシャーキング』程はドラマ性が無い、という事で、ギリアムの中で超オススメには入らないが、嫌いでなければ一見の価値はアリ。

…しかしジェフ・ブリッジス、哀れ…(笑)。

ロード・オブ・ザ・リング1.2.3

言わずと知れた、アカデミー賞総ナメの超大作。
なんだけどさあ。
んー、普通。

時々、自分はある種の感受性が、ストンと抜け落ちているのかな、と思う時があって、商売(マンガ描き)的には損かも、なんて不安になる。
スゴイのは分かるのよ、物凄く手間もお金もかかってるし、壮大な内容だし、異形の物が闊歩する楽しい世界だし………………、でもさ。
合わない物は、仕方が無いわね。

あれだけの長い旅を共にして(と、いう気分にもならなかったが)、旅の終わりになんの感慨も無い。別れ難い人もいない。
かろうじて、魔法使いのガンダルフじーさんと、朴訥な忠義者のサムがチャーミングだったけど。
あと、さすがと言うか、ゴラム、すごいんですけどね、動きとか、表情。
実際に俳優が演技したのを撮影してCGにした…って、かつてディズニーがアニメーションでやった手口。マンガチックな絵のアニメだと、キメ細かいけどムダな動きも多いかな、という印象だったけど、CGだとそういう印象は無かったな。
なにしろ、いちいちホビットはCGな訳だし(私的には「本物」出演の『ウィロー』のがイイ…って気もするが)、巨大ゾウやら翼龍やら、タコの化け物やら、楽しい(はずの)物はいっぱい登場する。
一応オトコマエ系も各種取り揃えてあるし。
でもねえ、ワクワクしないの、私。
なんか薄味。
心に残る美しい絵とか、何度も見返したい楽しいシーンとか、本当に無くて、ただなるようになっていく。
あ、レゴラスがスケボーに乗ってゾウを倒すシーン、ちょっとおもしろかったかな。

と、言う訳で、私的には努力賞しかあげられない超大作なのでした。

追記:キング・コング』も全くダメでした。どうもピーター・ジャクソン監督とは相性悪いみたい。キライ〜!

ローマの休日

みんながだーい好きなオードリー・ヘプバーン。
確かにどの映画もオシャレで綺麗だけど、傑作と呼べるのはこの一本だと、私は思う。反論はあると思うけど、私は思う。

甘く切ない、なんてお決まりの言い方があるけれど、まさに甘くて切ない物語だ。そして、とても美しい。
王女様がコッソリ抜け出して恋に落ちる、という設定もナイスなら、この映画がハリウッドデビューのヘプバーンも、後の洗練ぶりは無いものの、可愛らしく上品で、天真爛漫な王女役にピッタリだ。恋の相手が新聞記者というのも泣かせるし、ローマの街は美しく、楽しくて、きっと誰もが憧れる。(実際21世紀を迎えた今この時でさえ、スペイン広場前のジェラート屋は大繁盛で、大量の女性達がアン王女ごっこをやっているに違いない。)真実の口のシーンも、いったいどれだけの観光客が真似した事か。あのオードリーは、本当に可愛かったなあ。ショートカットに白いブラウス姿のウエストの細さは、ほとんど衝撃だった。
こうして振り返ると、本当に見どころ満載の大サービス企画だと、改めて思わされる。

まあ、それやこれや踏まえた上で。
この映画の価値は、ストイシズムだ、と思う。
最初にTVで観た時は、私はまだ幼くて、恋する二人がただ別れて行くのが不満だった。
少し大人に近付いてこの映画に再会した時、そうではないのだと分かった。
王女は記者会見で、「ローマが最高」と、キッパリ宣言する。
こんなアイラブユーもあったんだ。
オードリーのキラキラした大きな瞳が、感動に拍車を掛ける。
すんなりと伸びた細い背筋の、なんと美しい事か。

男女が惹かれ合うと簡単にベッドに行ってしまう御時世では、こんな美しい恋はあり得ない。したがって、甘さも切なさも、無い。
みんな、少しは我慢しなさい!!

ところで、私が一番お気に入りのシーンは、王女が家出前、スカートの下でコッソリ靴を脱いでいて、転がす所です。

ローマの休日(byココアちゃん)

オードリー・ヘップパーンが髪の毛を切ったシーン、中学生(くらいだったか)の時見た私はあのショートヘアがあまりに!!あまりにひどい!!と思ったでした。
アン王女泣き出すかと思ったくらい。あの前髪、ださい、ださすぎる...。今見ても...う〜ん、美人だからかろうじて 見られるけどさあ。まあ、映画があんまりステキだったからそのうちどうでもよくなったんでした。
私が一番好きなシーンは船上パーティーでアン王女が追手のど頭にギターで一撃するところかな。
あれだけ美しいオードリーは自分の顔がらくだに似てる、って悩んでいたんですと。いやはや...世界一美しいらくだ。
そんならくだに私もなりたい。なんちゃって。

ロスト・イン・トランスレーション

うっわー、ムカツクッ!!!
なんざんしょ、この不快感。

かつて取材で行った男性ストリップのステージで、白人ダンサーの首根っこにすがりつくボディコン追っかけ姉ちゃんを見た時の屈辱感(笑)。
こんなモンが世界中にバラまかれて、しかも結構な賞までもらってる(監督はラズベリー女優・笑)なんて、国辱!と言いたくなる。
言っておくが私は断じて国粋主義者ではないし、ハンサムな白人男性は大好きだ。(威張る事でもないか。)

「日本」という国に対する扱いだけではない。
ストーリーは空虚で、すっかり退屈してしまったし、ビル・マーレイはくたびれたオヤジ以外の何者でもなく、唯一可愛い顔の主演女優は冒頭シーンが(意味も無く)ケツのアップという悲惨さ。

各国では日本語の部分は字幕ナシで上映されたという。
それを見て、観客は大受けだったと。
なんじゃあそりゃあ。
昔読んだ遠藤周作の小説を思い出した。
ヨーロッパに留学した黒人が、故国の踊りを見せろと言われて歌い踊るのを見て白人達が大笑いする、というシーン。(そう、今皆が大好きな、あのリズムの原形だ!)
ラストシーンは、日本語どころか英語すらも誰にも聞き取れない。(あれはきっと「君の名前は事務所に通しておくから」とかなんとか言ってたに違い無い。)
こんなん見せられて「オッシャレー」とか言われても、なあ。
しかも日本でも、わりと好評だったと言う話。にわかには信じられなかったが、すぐに思い当たった。
この映画に出て来るような日本人が、きっと本当にたくさんいるのだ、残念ながら。

こんな無礼千万な映画を撮った監督は、「親日家」を名乗ってはばからないのだそうだ。
きっとパパも、ベトナム大好きだったんでしょうよ。 

ロスト・バケーション  12/3

全く期待してなかったせいか、かなり楽しめたしハラハラさせられた。
いわゆるB級サメパニック物かなと思ったら、かなり緻密な作り込んだ印象。
そして海が、素晴らしく綺麗。
主演のブレイク・ライヴリーもクールな美形で、露出の多い衣装での大活躍もイヤラシさが全く感じられず、良かった。
まあ内容的にも、エロとか入る余裕が無い危機の連続だったワケですが。
海が好きなだけに、このリアリティは怖い!
海で怖いのはサメだけではなく、サンゴやクラゲは場合によってはもっと危険だったりする、そういう所も外さない。

でも正直、冒頭はちょっと退屈してしまった。
退屈、と言うよりノレなかった、が正確かな?
若い美女が1人で言葉も通じない外国で、え?ヒッチハイクだったの?名前も知らないビーチを探して?何それ???
そして、運良く(本当だよ)気のいい地元のおっちゃんの車に乗せてもらえたお陰で、目当てのビーチに辿り着くと、今度は1人で海に乗り出してサーフィンを始める。
こんな、誰もいない海で、湘南を見慣れてる身からすると恐ろしい高波で!
ちょっと無謀過ぎて応援できないぞ、このお姉ちゃん…と、引いてしまったんだが。
その間に、家族との関係や医学部で挫けそうな事、母親は亡くなっててこのビーチは母の思い出の地である事、等の要素が挟み込まれる。
そう、彼女医大生なのよ、頭いいのよ!

パニックの幕開けがクジラの死骸、というのがすでにイケている。この不吉感からのサメ登場は、思わず唸らされた。
その直前にイルカの群れに驚かされるのもいい。
サメにやられた脚を自分で縫いながら「部分麻酔で大丈夫ですよー」と自己暗示にかける(全然かかってないけど笑)シーンは強烈。続く傷を縛るためにウェットスーツを脱いでしまってビキニ一枚になるのも痛々しい。
カモメの"スティーヴン・シーガル"君も、いい仕事してました(笑)。
ほぼ大半の場面をライヴリーさんの一人芝居で見せるため、ちょっとしたお賑やかしと言うか癒し要因かと思いきや、痛めた翼の海鳥はヒロインの人生を立ち直らせる象徴になっていて、これまた唸らされた。

ジャウマ・コレット=セラ監督。
聞き覚えが無かったけど、『フライト・ゲーム』『アンノウン』そして『エスター』!
監督有能!
なるほど納得である。

冒頭は材料を投げ込むための必要事項で、その全てを綺麗に拾い集めて見せる手腕は鮮やか。
サメとの攻防もアイディアが出し惜しみ無く打ち込まれ「医学部あったまいいー!」と手に汗握った。
動物パニック物にありがちな「どんだけお腹空いてるの?」という点も、一応食欲だけでないヒトへの恨みがありそうな。サメとかクマとか、自然界には時々こういう虐殺好きな個体が出るんだよね。
ただ仕留め方だけが、ちょっと分かりにくくて、後から解説を読んでしまった。
浅瀬だと思ったら(原題は『THE SHALLOWS』すなわち『浅瀬』)意外と深い場所だったのかな。
肝心のソコだけがちょっと惜しかったんだが、パニックものであるだけでなく、1人の若い女性が人生を取り戻す話と思えば、まあいいか。
でも私なら、あの後また海に入れるかどうか、分からないな…。

ロスト・ボディ

ネタバレしたくないな。観てない人は読まないで!

何の予備知識も無く期待も薄く見始めたが、これは面白かった!
残念ながら、途中から娘の方は怪しいと見当が付いてしまったが、父親までは全くのノーマークだった。
ちょっと種明かしに後出し感はあるものの、ドラマとして破堤がないので不満は残らず。

スペイン映画でしたか。
知ってる顔がいないのもポイント高かったかも。
そのくせ妻役も恋人役もけっこうな美女で、そういう意味でも見応えがあった。
特に性悪セレブ妻マイカは最高。憎たらしくも弱みナシ、「彼女でなきゃ許されない」女。
結婚式の純白のドレス姿も、優雅な自宅での泡風呂シーンも、何とも香り高くゴージャスで、憎たらしい。
愛人の方も、ちょいニコール・キッドマン似の正統派美人で、主人公が惑うのも無理はない…と、言うか、何と言うか(笑)。

サスペンスとしても、妻の死体が消えた!なぜか疑われる夫。という冒頭から、こまめに回想を挟みつつ、夫が殺したはずの性悪の妻は生きている?という疑惑へ。
ちょいホラー風味も添えつつ、むしろ夫に同情したくなるのも秀逸だ。
回想シーンの妻が本当に食えない女で、「この女ならやりかねない」と思わせるのに成功している。
が、話はそうは転がらず、最後の最後まで引っ張るのも好ましい。

真面目に考えると、犯人側からすればあまりにまわりくどく不確実性の高い方法で、「ないない」と思ってしまうのだが、ドラマとして観ると良くできていて、「お話のためのお話」としてOKだと思う。
…母の仇とアレやコレや、とか、父親がソレを容認するか、とか、色々思うワケですが。
「殺しても飽き足らない」となると、される側としてはダメージ大きいし、なんならあのまま逮捕されちゃっても、それはそれでダメージ大だったと思うんだけど。
一歩間違えたら、最近観て怒っちゃった『グランド・イリュージョン』やら、あーまたかと脱力した『パーフェクト・ストレンジャー』みたいになるところを、シッカリ回避して取って付けた印象にならないのは流石。
全体の空気感と細やかな描写(これはオチバレと紙一重で難しいところだが)、それにやはり、役者に固定イメージが無かった事は大きいかもしれない。

なんにせよ飽きずに楽しめたし、ヤラレた後に不快感が残らない、上質のサスペンス映画だったと思う。

入って来る数が少ないのもあると思うけど、スペイン映画はだいたい面白い気がする。
『ミツバチのささやき』は無論傑作だし、『トーク・トゥ・ハー』他のアルモドバル監督作品、『オープン・ユア・アイズ』『ウェルカム!ヘヴン』『パンズ・ラビリンス』…と、数え上げればキリがない。
欧米での日本のアニメ人気はラテン圏で火が点いたと言うし、感受性が近いところもあるのかも。
人物も米英等に比べて黒髪が多いし小柄で親しみやすいと言うか感情移入しやすいのか。
でも決定的に、情熱の表現力が段違いなんだけどね。

ロッカーズ ROCKERS

ごめんなさい、当方無知で、"ロッカーズ"に関する知識が全く無かった。
なんか実話の失敗例みたいな映画…と、思ったら、本当に実話、しかも監督である陣内さんの体験談だとか。
やだ、人も死んでるし、けなしにくくなっちゃうじゃん。
でもご免、やっぱり私、全然楽しめなかった

いえ、全くと言うのは語弊があるな。
玉鉄とキョンキョンは凄かった(笑)。
それを差し引いても、陣内さん役が中村俊介とか図々しくないですか???美形ですよ中村俊介。それも、まれに見るレベルの。
そして、そうするともしかして、作中の楽曲は、実在の"ロッカーズ"の曲?
またまたご免、「何故こんなダサい曲を?」と、真剣に頭をひねっていました。
「♪やりたいだけ〜」とかに、本当に当時の女の子達は熱狂したのか????
…まあ、いろんな女の子がいるから、ねぇ。

あと、数少ないファンの女の子が眼鏡掛けててブスっぽいからと冷たくして、その子が眼鏡外したら美人で…みたいな展開ね、胸糞悪いったら。何がって
1.ファンなのにブスだから冷たい 
2.眼鏡外したら美人とか、掛けてても美人は分かるわい! 
3.冷たくした娘が美人だったと知ってあわわ… 
4.ブスを拾って美人だったんで溜飲下げる
ってコレ全部。

本当、なんか、ごめんなさい。

ロッキー

シルベスタ・スタローンは好きじゃない。
顔も声もイヤだし(筋肉質の男は好きだけど)、それでも何本か映画を観て、何度もイヤ〜な思いをさせられた。
容姿だけではない、存在をアピールするもの自体が、多分嫌いなのだ、と思う。

で、『ロッキー』だけど、この場合最初の『ロッキー』に限ると、唯一の例外であり、その後私が何度もイヤな目に合っても、スタローンの映画を切り捨てられなかった原因でもある、いいんだか迷惑なんだか分からない存在だ。

ストーリーは、とってもマッスグなスポ根物語。
金も無く、コネも無く、ただ若さと情熱だけをたのみに、無茶な挑戦をする主人公。コトがボクシングなだけに、下手をすれば命取りだ。
彼を愛して支えるヒロイン。一心同体のトレーナー。遥か高みに輝くライバル。道具立ては上々。仕上げを御覧じろ。

まず主人公。スタローンの出世作だから、私も初めて見る俳優だった。
アホそう。品が無い。いいカラダはしているが、そりゃあチャンピオンのアポロと並べば見劣りするもはなはだしい。
そしてヒロイン。よほど予算が無かったのかなーと、本気で思ってしまったような美しくない女優だった。名前は知ってるけど可哀想だから書かない。
そんな二人が、公衆の面前、血みどろの汗まみれで互いの名を叫び、抱き合うラストシーン。
困った事に、いや、だからこそ、なのか、大感動だったのだ、本当に。

あの頃、ロッキーの真似をして、シャドウボクシングをしながら走ったり、生卵を飲んだりした少年は多かったはず。
かく言う私も恥ずかしながら、ジョギングを始めてしまいました(赤面)。
『ロッキー』という映画には、そして一人黙々とトレーニングを積み重ねるロッキーの姿には、確かにそういう力があった。

仕事でホサれた時、失恋した時、人間関係がこじれた時。
ひとしきり落ち込んで、立ち上がる時、頭の後ろから、『ロッキー』のテーマ曲が流れて来る。
それだけではないけれど、ただそれだけでも、この映画は本当に、凄い。

ロック・オブ・エイジズ

夜行バスの座席で突然ヒロインが歌い出した時は、「なんてお行儀の悪い娘だ!」とハラハラしたが、続いて運転手、そして乗客全員が歌い始めて、あ、その手の映画だったのね、と胸を撫で下ろした(笑)。

えーと…ロック、なんだけど。
なんだろう。確かにロックだし、それなりにノリの良い曲も出て来るし、ヒロインは美人で歌も上手いんだけど。
なんかあんまロックじゃない…気がして。
つい先日観た『パイレーツ・ロック』が、あまりにもロケンロールですっかり揺さぶられ過ぎたせいなのか。こちらは全然、揺さぶられなかった
ストーリーも含め、歌パートの表現も予定調和的で、それはそれでエンタメの一つのあり方だとは思うけど、ロックかと言うとどうなのか。

トム・クルーズはこういう少しイカレた役が良く似合うんだけど、残念ながらステージ場面では他と見劣りがしてしまった。歌も下手じゃないんだけどな。
アレック・ボールドウィンとキャサリン・ゼタ・ジョーンズが素晴らしい。
PTA代表みたいな市長夫人のキャサゼタさんは、歌って踊って大活躍!長い脚が良く上がること。
シカゴ』で実力は証明済みだが、この役の方が生き生きしてていいな。そして本当に美人で、ラストの軍服?までも凄く似合っていた。
すっかり中年太りのボールドウィンのライヴハウス店長は、中で1番ロック野郎っぽくサマになっていた。
そしてまさかの告白タイム(笑)。お相手の彼も良かったし、あの歌は楽しかった…あまりストーリーにカラんで来ないのは残念だけど、ゲイムーブメントとロックは切っても切れないからかな?
せこいマネージャーのジアマッティも良かったし、ストリッパーの黒人女性の歌も素晴らしかった…と、思ったら、このメアリー・J. ブライジさん、「ヒップホップの女王」ですって。納得。

主演の若い二人は、歌は上手だし見た目もソコソコなんだけど、うん。全然ロックじゃない、存在感が。
なんか優等生的と言うか、良い意味での乱暴さが足りないと言うか。
ヒロインのジュリアン・ハフはカントリーミュージシャンですって。だからあまりロックっぽくないのかしら。歌も存在感も。
ストリッパーになっても脱がないばかりかロクにポールダンスもやって見せないのはイタダケなかったな。
役柄的にも、特に魅力を感じなかったし、音楽に対する愛とか情熱を見せ付けるシーンも無く、本当にどうでもいい田舎娘と田舎野郎の恋愛話でしかなかった。

ロビンとマリアン

みんなが大好きなオードリー・ヘプバーンだけど、今回は全く魅力ナシだったなぁ。
尼さんとはいえ、あの髪型は酷すぎるが、それ以前に老け込み方がね。

伝説の英雄ロビン・フッドと、その恋人マリアンの、「その後」の物語。
そもそもそんな物に需要があるのか?と思ったけど、観てやっぱりナシだと思った。
ショーン・コネリーは相変わらず、こういったコスプレが良く似合ってとてもセクシーなんだけど。
オードリーはほぼ引退状態だったそうで、なるほど納得。痩せた女性は老けて見えるよね…。

この映画のマリアンは痩せて老けててカマトトで、ちっとも好きになれないんだけど、馬車が水に落ちるシーンだけはちょっと可愛かった。
そう言えばヘプバーンの最高傑作(と私は思う)『ローマの休日』では、酔っ払いの頭でギターをカチ割るユーモラスなシーンが印象的だった。
お上品で(時に過剰に)清潔感のあるヘプバーンだからこそ、こういうヤンチャなシーンがチャーミングに映るのかも。

正直、主役がロビン・フットである必然性もあまり感じられず、有名作に乗っかった二次創作?みたいな印象。
弓さえ使わないロビン・フット。とっくに義賊でもなくなったロビン・フット。自由のために闘ったレジスタンスから、十字軍に参加して侵略の限りを尽くしたロビン・フット。
そして、過去の女の話を聞こうとするマリアンもマリアンだが、「皆君に似ていた」と答えるロビンも、色々と失礼な話よね。
ちょっと本当にこの二人、好きになれない。

基本ハッピーエンド好きだし、ベタベタのメロドラマが苦手。
だからもう、ラストシーンは本当にカンベン!だったな。
昔の話だから、今のように医療技術が進んでいたはずもなく、ロビンの傷はもはや助からないレベルだったのでしょう。でしょうが、意識もあって会話もできる相手を、じゃあ早く殺しちゃえ、ついでに私も死んじゃうか、ってアナタ…乱暴にも程がある。
やっぱりアレか、愛犬を安楽死させるのが当然な人達だからなのか…???

ロビン・フッド

いやぁ〜。
久々にたぎる映画を見て大満足!
リドリー・スコット監督に、ラッセル・クロウ、ケイト・ブランシェット、そしてウィリアム・ハートと、私好み過ぎるラインナップ。
でも、期待に違わずどころか応えて余りある満足度だった。
実は某スパの休憩室のビデオサービスで見たんだけど、劇場に行かなかったのを本当に後悔したわ。

リドリー・スコットとラッセル・クロウと言えば、名作『グラディエーター』を思い出すけど、今回のはだいぶ趣きが違う。
映像美は相変わらず重厚で、森の緑は瑞々しく中世の薄暗い建物内も雰囲気タップリ、土や草の香りが漂って来そうな臨場感。そしてまた城壁は燃える(笑)。
けど内容は、軽めと言うか明るめで、ユーモラスなやり取りも多く、『グラディエイター』と比べてしまうと物足りない向きも多い、かも。
私はコメディ好きなんで、楽しかったです。クロウvs.ブランシェットの「大人のツンデレ合戦」は、微笑ましくも色っぽくて見応えがあったし。ブランシェット演ずるマリアンがカワイイのなんの。
そして相変わらず、時代物らしい大仰さと重厚さは見ててとても心地良い。なんでしょうか、このリドリー的重厚感。いったいドコが違うんだろう?

所謂ロビン・フッドの義賊的英雄イメージを期待すると違うんだけど、戦闘シーンは当然のごとく迫力満点だし、ロクスリー卿には胸潰れる思いだし、獅子心王もジョン王もタック神父もいい味出してたし。どんどん顔がズタボロになってく悪役とか(笑)。
なんと2時間20分の長丁場、全然飽きる事無く見てしまった。
…最後、マリアンの甲冑姿はかっこよかったけど、うーん。ヒロインに戦闘参加させなくてもいいのでは?その前の藁小屋のシーンとかでもう充分だと思うんだけど、そうもいかないのかなぁ。
元々武術の達人設定とかならいいけど、ちょっと無理矢理と言うか唐突で安っぽい印象だったな。

それにしても、ラッセル・クロウはなぜかっこいいんだろう???
ジャガイモみたいな顔だよね…体つきだって、マッチョと言うよりズングリ気味だし。
でも、彼が動いて、喋って、闘ってるのを見てると、本当に映画のたびに、毎回惚れてしまいますがな。本当に!
声がいいよね、すごく。あとなんだろう、あの銀幕から漂う…フェロモン!?
悔しい程毎回、やられっぱなしなんですけど、私。

ロビン・フッドの戦い(2009年)

えーと何を見ていたんだっけ?と、途中迷子になった(笑)
なぜだかドラゴンの化身の美少女が登場、『狼男アメリカン』を思い出すような変身シーンまで。

ジュリアン・サンズが悪役で登場。
かつての美青年は期待を裏切らず美しいおっさんに成長していた。
ロビン・フッドはそこそこ可愛いが、マリアン姫はおばさんで残念。性格も可愛気が無くて残念だ。(ラッセル版のケイト・ブランシェットの愛らしさたるや!)
ドラゴンの娘の方が良かったな。そして可哀想だった。
ドン臭いジョン王子は、なんだか良かった。

ドラゴンの心臓とか、異界の森とか、散々聞いたようなファンタジー設定がとりあえず盛り込まれてはいるものの、あまり功を奏していたとは思えず不完全燃焼感が残る。
他のキャラクターがつまらないせいもあって、ドラゴン娘と悪徳州長官(サンズ)をフューチャーした物語が観たかったな。ってそれロビンフッドいらないじゃん(笑)。
正直本当にいらなかったんだけど、ロビン&マリアン。特にマリアン。

あと、全く、全くエロ目的ではなくて、ドラゴン娘の人間型時は、もう少し身体を見せてほしかった。
全裸設定なのはギリギリ分かるんだけど肩が見えるだけって、あまりにみすぼらしいと思うのよ。
長い髪に隠された後ろ姿とかでもいいからさ、綺麗に撮って見せてほしかった。

ファンタジックな映像はソコソコ耽美で悪くなかったので、本当にロビン・フッド抜きでファンタジー映画に徹した方が良かったと思ってしまう。

ロボッツ

常日頃、「ロボット萌え」を標榜している私ですが……。
コレはアカンやつや。

天下の20世紀フォックスが、何を考えて作ったストーリー、何を目指してデザインしたキャラクター、何を理由に集まった超豪華俳優陣????
CG技術についてはうといので、やたら滑らかなマペットアニメかと感心した…あまりのダサさ、古臭さに、よもや21世紀の作とは思わなかった。
映像が野暮ったいので、どっか小国の名も無いチームが賞でも取ったのかと思いきや、それにしては内容がカラッポな所は今時ハリウッド。
そもそもこの、ありきたりなプロットを、どうしてロボット社会でやろうとしたのか?と考えて、そうかアメリカは医療保険制度が壊れてるらしい、と思い当たった。それは深刻だし対岸の火事では済まないかもだけどさ。

外国製のアニメーションは、馴染みにくい絵柄も多いのだが、ロボット達の顔が、本当に気持ち悪い
せっかくのロボット世界なのに、殆どがほぼ人間型なのも、つまらないし。
違うのは犬とあのティーポットのチビくらいだけど、やはりちーとも可愛くない。
加えて、主人公始め赤い友達も性格的にも全然魅力を感じなくて、ありふれたストーリー展開に思い入れできない登場人物では、楽しく見られるハズがない。

巨大ウォータースライダーみたいな都市のデザインと、会社の美人さんが足の裏からシャキーン!とローラースケートを出したところだけ、ちょっとワクワクした。
後はもう、お決まりの"親友"の、マシンガントークに物真似、マザコンの悪役と鬼母、かつてのヒーローの負け犬ぶり……いえ、いいのよ、面白ければ。
しつこいトーク(ロビン・ウィリアムズの声らしい…ああ…)も巨尻ネタも、ポットのチョロチョロも、全然笑えない。「雨に歌えば」も、寒い寒い。

主人公の四角い辛気臭い顔が、最初からSMAP草○君に見えてイヤ〜な気がしたんだが、日本語版吹き替えキャストを見たら本当に彼が声を当てていて笑った。
幸い私が見たのは字幕版だった。やれやれ、ひとつ怒らずに済んだ(笑)。
いえね、スマスマけっこう見てたのよ昔は。

ロマンシング・アドベンチャー/キング・ソロモンの秘宝

シャロン・ストーンが初々しい
それは想定内だったが、え?リチャード・チェンバレン?いくつだよ、と思ったら、この時50歳くらいか。
思ったよりは若かったけど、ちゃんとアクション映画のヒーロー然としてて感心した。

しかし内容は…うーん。
アクション満載、お笑いも挟んで、美男美女の恋模様。なんだけど、何だか単調な印象で、途中で飽きてしまった。
まあ、途中フルーツと一緒に鍋物にされかけたり(この絵面は好き)、ダイナマイトを「あったぞー!」ドッカン!とか、ナチがダイヤ飲まされた後で下剤自慢したり、色々アイディアは盛ってあったんだが。
でも、時代もあるでしょうが、正直"土人"の扱いや人を簡単に殺す所は楽しめない。飛行機乗りのおじさんとか、笑えないって。巫女のおばさんも。 

まず脇役に魅力が無い。悪役もだが。この手の娯楽作には付き物の陽気な相棒と言うか、そういう枠もいないよね。
ウザいと思う時もあるけど、やはり娯楽作に三枚目は必要
そしてチェンバレンもストーンも、タダの美男美女ではなく、ちょいと陰りがある所が魅力なのにな。
シャロンさんはまだ駆け出しで、海のものとも山のものとも…という所だったんでしょうが。文句無く美しいけど、顔立ちはクールビューティーというよりは可愛らしいし、見事な金髪碧眼(白人圏では子供っぽいと見られるらしい)だし、若い頃に個性を発揮できなかったのも理解はできる。
実際キャピキャピの若き彼女は十分に可愛らしかったし。残るモノは無いけれど。
そういう点で、3年後の『トータル・リコール』の悪女役は素晴らしい配役だったと思う。
当時も「こんな綺麗な人がいたんだ!」と驚いたが、すでにヒロイン、しかもけっこう大作で続編まで出てる映画でと知ってまた驚いたものだった。

しかしまあ、金髪をくるくる巻き毛にして短パン履いて馳け廻るシャロンさんは本当に可愛らしく綺麗。
それだけでも一見の価値はある…かな。
いやいや、単純にアクションを楽しみたいとか、ライオン可愛いとか、そういうのでもいいかも。

ロミオ&ジュリエット 4/15

ロミオよりもティボルト(ジョン・レグイザモ)に心奪われました(笑)。
冒頭の銃撃シーンは無駄にかっこいいし(黒スーツの下のキリストTシャツはドルチェ&ガッパーナだそう!)仮装パーティの赤い角はソーキュート♪

無駄と言えば、画面がいちいち無駄にゴージャスで美しい(もちろん本当は無駄じゃない)。
街のシンボルとなる巨大キリスト像も、キャピュレット家のクリスマスか?なイルミネーションも、不良どもが乗り回すピカピカの車も、みんなカッコいいんだけどね。
マーキューシオの存在感もナカナカ。お坊っちゃまには全く見えないけどな。
事ほど左様に、シェイクスピアの時代ならアリかもしれないが。 現代と思ったら、えーあんなに元気に叫んでたら助けられたよね…すぐ救急車呼べよと。
殺人の罰則が街から追放とかも、あの環境では無いわーと感じるしね。
神父の提唱する仮死作戦も、現代においてなぜそんなまわりくどい手段を選ぶのか滑稽だし。
全編通して、古典の名作をそのまま現代に移行した歪みが際立って見えてしまって残念な出来に。
原作の名セリフを生かしたい気持ちは分かるし、かっこいい現代版画面を撮りたい気持ちも分かるのだけれども。
まあファンタジーと割り切って見られれば楽しめるのかもね…。 

しかしバカだよねーどいつもこいつも。
スペシャルはロミオだけど。
原作では14~5歳の設定で、中二病と思えば納得の思考回路なんだけど、ジュリエットも。
子供の頃にこの物語を知って「ジュリエットも一緒に街を出れば良かったのに?」と言ったら、母が「お姫様だからねぇ」と答えた。それも、時代物ならではの解釈で、現代版でやられるとタダのバカ
それも、いかにも儚げな深窓の令嬢ならまだしも、元気一杯クレア・デインズではねぇ。
うん、ロミオもジュリエットも品が無いのよ。そこらの不良にしか見えないのは致命的。
教会内の画面とか、凄く綺麗なんだけどねぇ。やってる事が胸糞コント

一説によれば原作が発表された当初は「こんなバカがいたりして〜」という喜劇扱いだったと言う。
この映画のアレンジで見ると、そういうアホぶりが浮き彫りになって、どうにも気の毒だが他人事なのよ。
生命を弄んではいけないね、というのが、せめてもの教訓か。

繰り返すがティボルトの冒頭の銃撃戦だけでも観る価値はあった。

ロング エンゲージメント

おフランス映画への苦手意識も薄らいだ今日この頃。
と、思って、楽しかった『アメリ』の監督と主演女優というんで観てみましたが。
う〜、冒頭かなりキツイ、放り出しそうになった。
でも、その苦行を乗り越えたらどんどん引き込まれて、結局最初をシッカリ押さえておかないとダメだったと気付いてもう一度観たわ。
そういう意味で、無駄が無くきちんと造られた映画。
でも、観客への要求水準が高いのよ(これだからおフランスは…)。

しかし塹壕のシーンは強烈だった。
サスガは『エイリアン4』の監督だわ。
純愛映画であり、サスペンス映画でもあるんだけど、そこいらの反戦映画よりよっぽど「戦争」についてクリアなイメージがあって、私は心から「戦争ってイヤだなぁ」って思った。

長く苦しい冒頭の人物配置説明が終わると、『アメリ』的自己満足ワールドがしばし展開。オドレイ・トトゥの顔は、やっぱりちょっと狂気スレスレで怖い。
でも、この緊張感がいいのかも。
若い二人の恋物語に、だんだん引き込まれて行った。
相手役の男の子が本当に若く瑞々しくて、トトゥさんどーなの?という気はしたけど(笑)、灯台を舞台に妄想を展開する少女時代には笑ったし共感し、そしてそういう魂をトトゥの丸過ぎる瞳の中に見る気がして、やはり適役だなと納得したりして。
でもってそのヒロインの魂が、皆が死んだと言う恋人を探し続ける執念になるのだわね。

中盤突然、ジョディー・フォスターが登場、なんの説明も無しに(当たり前だ)フランス語を操るのにたまげた。
しかしサスガの貫禄、出番は少ないけど鮮烈な印象。
このあたりから物語はサスペンス色を強くして来て、だんだん前傾姿勢になる自分(笑)。
結末はだいたい見えるし、終わってしまえばちょっとした仕掛けでしかないんだが、とてもミステリアスに格調高く荷ほどきをして見せてくれて、充分に楽しめた。
出だしの入りにくさを差し引いても、観る価値はあった、と思う。

でも、これから観る人がいたら、そしてその人が白人オヤジの顔の見分けとフランス風の名前の区別に絶対の自信があるのでなければ、メモ帖片手に観る事をオススメするな。

ロング・キス・グッドナイト

CG台頭以前の、私にとっては古き良き時代最後辺りのアクションムービー。
何がいいって、ジーナ・デイビスが本当に強そうに見えるのがいい!デカいしゴツいし、動きは機敏、表情も迫力。個人的には二の腕がとっても好み(笑)。銃器類に負けない重量感と精悍さはシガニー・ウィーバーより強そう、かも。
記憶がムラに甦って来る辺りの豹変する様は見応えがあり、「キタ来た〜!!!」とワクワクする。

クレイグ・ビアーコの仇役も良い。って言うか色男!
やはり画面に華は欲しい、特に今回、主演女優は華より実を取った感があって、いやソコがいいんだけどね。
華と言えば娘役の子も綺麗な子だったな。意外に活躍するし。でも絶対死んでるよねアレ(笑)。

ストーリーは、『ボーン・アイデンティティ』女性版、って所なんだけど、全く予備知識ナシで見た初回は正直、ポカ〜ン…としてしまった。
なにしろジーナさんが強い強い(笑)。

欲を言うならば、本来美人なジーナさんがもうちょっと、ちょっとだけ美人な瞬間があったらな。最後までオバサンで…むしろ、『グロリア』のように徹底的にオバサンだったらそれも良し、なんだけど。あ、『ジャッキー・ブラウン』は不可ね。
あとは好演だったサミュエル・L・ジャクソンが、普通の人にしては勇敢過ぎてカッコ良すぎた事くらいかな?でも、大好きだけど、あの彼。
娘もだけど、ビアーコもジャクソンも、「生きてたんかいっ!」からの活躍ぶりが凄い。タンクトップ一枚で雪山駆けずり回るジーナも凄い。どんだけ丈夫なんだ君たち。

最後まで夫が蚊帳の外だったのも良かった。
"チャーリー"部分を見てしまったら夫婦生活続けられないよ、怖くて。
真面目な話、21世紀に入ってからの「家族サイコー!」路線がどうにも馴染めないので、これ位の匙加減が好み。モチロン家族は最高だし、この映画では素直にソレに頷けるんだけどさ。
ジーナが"サマンサ"と"チャーリー"の間を行きつ戻りつして、だんだんと二人の間が狭くなって行くあの過程が、とても面白かった。
過去がどうあれ娘は可愛いくて当然だし、殺伐とした中に身を置いて、ますます平穏な生活が愛おしく思えた事でしょう…。
戻れて、本当に良かった。本当に。

ロングキスグッドナイト/byココアちゃん 

いいですねえ、ジーナ・デイビス。「プリティ・リーグ」と「テルマ&ルイーズ」で
お馴染みですね。
何と言っても、私はジーナ・デイビスを見るたび杉本さんを思い出してましたよ!!!
顔が似てる〜、もちろん美人、と言っておりますー。
・・・はともかくとして、この女優さん、いつも主役だね。実力派なのかな。全然地味じゃないけどいわゆる美人女優さんじゃないよね。
身体がデカイからアクションが映える、のでこの作品はツボ!!ですね。

しかしラストのアクションは少々しつこい・・・何回死んだんだ、って感じ。
凄かったのは、水車みたいのにくくりつけられて大ピンチ!のシーンの生還!ですね。
おお〜コワー!!そこらのチンケなアクション男優なんかイチコロです。
相棒の黒人俳優がサミュエル・G・ジャクソンだとは最近まで知らなかった。
別に知らなくても差し支えはない。
冒頭の包丁さばきとか、徐々にスパイだった過去を取り戻す展開、アイススケートで凍った湖を滑走する
シーン、爆発とともに窓ガラスに激突、生還するシーン、エトセトラ・・・いったい何回生還するんだ!?

でも娘とのエピソートはテーマでもあるのですが、どうも最後まで違和感はぬぐえませんでした。
やっぱり非情の女スパイは「ママ」であっちゃいけないだろう・・・。

 

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<管理人からお返事>
え〜ジーナ・デイビスですかぁ?(笑)いや光栄なんですけど。怖いかも(笑)。

水車のシーンは凄かったね。私も思わず後ずさった、ジーナさんの迫力顔!
スリップ一枚でずぶ濡れになっても、セクシーより逞しさが印象的。やっぱ怖い。