・ひで始まるタイトルの映画

バーティカル・ターゲット

美人揃えて来たなー、という印象だけの、ありきたりなアクション映画。
と、思ったらTVムービーだったようで。

主演のダリル・ハンナはゴツいけど、相変わらず美人。
この人のミニスカート姿を『ブレードランナー』で初めて見た時は、「こんなんデッサン狂いじゃん!」と思った程、脚が長くてマッスグで衝撃だったっけ。
歳は重ねても(18年経っている)パンツスーツが恐ろしく似合うスタイルの良さで、それに私、この人のちょいとケダモノじみたゴツい顔付きが大好きなのよ。目の保養ではあった。

ブロンドの悪女・オナ・グルーアーさんも本当に美人。ヒールはこうでなくっちゃ。
行く先々で注目を集めるのも納得の存在感だが、ああ目立っては犯罪には不向きかなと。
新米護衛官も美人で頑張ってたし。
男性陣は全く影が薄く、殆ど印象に残らなかった。
一応大統領暗殺を阻止する、という、重大任務なワケですが…。

ドンパチも頑張ってるし裏切りとかもあって悪くはないのだが、終わってしまえば美人ばかりが印象に残った。
ダリル・ハンナ、もっといい役もらっても良かったのにな…美貌とスタイルがもったいない。

バーティカル・リミット 

ごめん!テレビで観ちゃった。
このテの映画は、劇場で観ないと公正な評価なできないよね、とか言いながら、やっぱり書いちゃうけどさ。

その辺割り引いて見ても、この雪山のコワサは凄い!
恐過ぎて映画館に行く気がしなかったんだけど。
自然って、やっぱり恐い、雪山登山にだけは手を出すまい(うっかりハマりそうで恐い…)。
それにしても、よくもまあ、次から次へと雪山の驚異を並べたもんだわ、中にはちょっと、ムリヤリっぽいエピソードもあるんだけど、実際にはもっともっとムリヤリなアクシデントもあるのかも、って気もする。
なにがムリヤリって、ニトログリセリン、急な事なので使うのは仕方無いとは言え、大量に保管している軍関係者が扱いについて何も知らない、ってヘンじゃないの?アジアの国だからバカだと思ってるのかしらん。
まあ、それは置いといて、見晴らしの良い真っ白な雪山で、相手の姿がバッチリ見えながら意思疎通ができない、あのもどかしさは独特で、新鮮。

主役は明らかに雪山なので、まあ許される、と言うか、充分楽しめたしハラハラしたんだけど、物語りはちょいと食い足りない。
父の死をめぐる兄妹の葛藤は、なんか生き残ったからいいやー、みたいな終わり方で、解決したんかい?だし、これも良くある事だけど、主役の兄は美人と結ばれて良かったね、だけどどうして二人はくっついたんだっけ?みたいなね。
そして、結果論ではあるけれど、3人助けに6人で行って、帰って来たのは3人きり、ひどい言い方だけど役立たずの小娘一人救うために(我ながらひどい…)有能な登山家を4人も殺して、ハッピーエンド気分には、私はなれないわ。
雪山の恐さを強調したいのは分るけど、あんなに殺さなくっても、他にやり方はあったのでは?
なんて、パニック映画の見方としては邪道なのかな。

ハート・オブ・ウーマン    

一歩間違ったらくだらない設定、と思ったら思った以上にくだらない展開でガックリ。
この設定のせいもあってか、肝心要のメル・ギブソンも脂ぎってて気持ち悪く、時々スタローンに見えた。
大好きなヘレン・ハントも、このお粗末な脚本では実力を見せ付けるチャンスも無く、そしてやはり容姿はイマイチ、という印象ばかりが強い。
正直「噂のやり手女史」を綺麗な足元から舐め上げて、彼女の顔が出た時はガッカリだったもんなぁ。
あ、でも、恋の予感に浮かれた彼女が独り言を延々言って一人で恥じらうシーンは可愛かった。

カフェの女の子に対する扱いが酷過ぎる。
「もう傷付きたくない」という心の声を聞いていながら、そこに付け込んであとは忘れ去る。
彼女にとっては傷の上塗りだと思うんですけど。
せっかくのベット・ミドラーも出しっ放しで忘れちゃうし(あの出演時間が限度だったのでしょうが)自殺願望のメガネっ娘に対しても救済の仕方が無責任で自己満足にしか見えない。「君は見所がある」って、何を根拠に???

コメディとしても笑える場面は少ないし、恋愛ドラマは設定がそもそも反則技なので御都合主義、主演二人の容姿もイマイチで、人への扱いの雑さが目に付いて楽しめなかった。
作り方次第で面白い話になってもいい設定なのに、ダメでした。

悪い意味での「ふざけた映画」。

バード・オン・ワイヤー 

ゴールディ・ホーンは1945年生まれ。本作公開は1990年、って事は…45歳か。すげー。
ハリウッドに妖怪は数あれど、この人の年齢不詳っぷりは群を抜いている。
と、言うか、年齢云々以前に、カワイイ。本作でも普通に、ナイスバディのかわい子ちゃんだ。
ちなみにメル・ギブソンは1956年生まれ。恋人役に何ら違和感無し、どころか、なかなか微笑ましい可愛いカップルだったりした。すげー。

スター二人を配したにしては、映画自体は地味な印象。
アクションシーンも多く「女優さんて大変だなぁ」と思わせるものの、何となく、なるようになって行くストーリーが、食い足りない、と言うか。
どちらかと言えば"硬派な二枚目"のイメージが強いギブソンが、ナヨナヨした美容師に扮したり、美人獣医からお尻に注射を打たれたりするのはちょっと笑えた。
けど"別人"に成り代わって各地を転々として暮らす、という魅力的な設定にしては、キャラクターの変化に乏しく楽しみ切れない印象。設定のせいと言うより、メル君の演技力のせいかも知れないが…まあ、人には得手不得手があるからさ。
それに、せっかくのデヴィッド・キャラダイン、影薄っ!なんだかもったいない。

得手不得手と言えばゴールディは大得意のラブコメだが、そういう意味でもソコソコだった。
せっかく弁護士などという(彼女のあの容姿で)美味しい設定なのに、殆ど生かされてないし、
ギブソンとの列びは絵になってお似合いだけど、内容がギブソン寄りにアクション多目になってるせいか、お得意のおトボケキャラっぷりも弱めな印象で、この二人をコンビにしたのって薄め合ってるかも…と、ちょっと思った。
どっちつかずな分印象は薄いが、軽くて見易い、という見方もあって、見ている間は充分楽しめたんだけど。
アクションは本当に色々頑張っていて、高い所を走り回り、ガラスを突き破り水に飛び込み、動物園の檻に入り、と、工夫もいっぱいされている。ワニやらトラやら出て来て楽しかった。
アクションをしながらも、昔の恋人同志の二人が痴話喧嘩を繰り返したり、ゴールディがカンジンな所で失敗したりと、笑えるし可愛いゴールディもいっぱい見られたんだが。
終わってしまうと、やっぱりあまり印象に残らない。
Mギブソン&Gホーンという看板に、期待しすぎたせいかも。

一番印象的だったのが、脱出劇中にバスローヴがめくれて見えるゴールディの見事なヒップライン
という、ちょっと失礼な感想で終わってしまった。

ハード・トゥ・キル 

そう言えばセガール主演の映画ってちゃんと観た事なかったな、と思って観てみましたが。
まあ概ね、予想通り。
やはりこの人のベストアクトは『エグゼクティブ・デジション』だな(笑)。

色々とドラマティックなあらすじだし、もちろんアクションは頑張っているんだけど(セガールはハリウッドで一番実際に強そうな俳優だと思う)なんだろうこの、ありきたり感。
復讐劇を装いながら早々に亡き妻の後釜ができちゃうとか(あまりにお手軽…)親友やっぱり死んだじゃんアンタのせいで!(しかも殆ど顧みられない)とか、きっとそういう所なんだろうな。
存在自体がマンガから飛び出したみたいなシュワちゃんとか、とにかくオレサマ全開で押し切るスタローンとかに比べて、セガールは強さも含めてリアリティが感じられる分、くだらない展開が本当にくだらなく見えてしまう、と言うか。
逆にそこら辺をキチンと詰めてくれたら、普通に面白い映画にも出られそうな気がするが(そこで『エグゼク〜』ですよ)。

繰り返しになるが、ああいう"親友"ってやっぱり死んじゃうんだよねぇ。いい人なのに。ほっときゃいいのにガキなんて。いやそれじゃ親友じゃないか(笑)。
セガールに関わったのが運の尽き…と、まあパターンなんだけど、 それなら王道らしく大切にやって欲しいのよね。だって親友じゃん?
ぶっちゃけ、昏睡してる7年間に勝手に育った息子なんかより、親友じゃん。その息子育ててくれた人じゃん。
その辺りが何ともやっつけ感で。
でも一番はやっぱり、看護婦さんとデキちゃうとこだな。だって何か惹かれ会う要素あった?寝てるセガールのシーツめくって見た以外で(笑)。
やっぱり私は、ココのお客ではないんだな、と納得して、パタンと扉を閉じた次第。

けど嫌いじゃないよ、セガール。

ハート・ロッカー 

正直あまり食指の動く題材ではなかったが、なんだか賞を取ったとかで話題になっていたし、目新しいモノが見られるかも、と思ってDVDを借りてみた。
結果的に、そうでもなかった。いやつまらなくはなかったんだけど。

冒頭は目を引かれた。
イラク戦の爆弾処理班の話とは聞いていたので、重装備で『仕事』に向かいながら冗談を交わすシーンで、始まる始まると見ていたらいきなりドッカーン!グチャ!-end-…じゃ、なくて(笑)。
あのヘルメットの中が赤くなる瞬間は、ちょいと戦慄したな。

で、印象的なプロローグに続いてヒーロー登場。
残念ながら、私はこの主人公に、あまり感情移入できなかった。だって最初から飛ばしすぎ。目がイッちゃってるし。
行きつ戻りつしてる人を見るのは面白いが、完全に出来上がっちゃってるとつまらない。だって接点が見付からないもの。
最初にドカンとショッキング映像(特にその唐突さ)を見せられているし、終始ピリピリした戦場の空気は伝わって来た、気がするが…ちょっと疲れた。
色んな爆弾の手口とか、子供を使ってとか、単純に興味深く見た。
でも、誰が敵だか分からない不安なんてベトナムで学べよ、だし、礼儀正しいイラクのインテリおじさんにショックを受けたとか(最初何だか分からなかったよ)いつになったら白人以外を猿じゃないと気付くんだよ、だし。
やっぱり思い入れはできないなぁ。
砂漠でグダグダと撃ち合いするシーンは、面白かった。

ラストは色々解釈が分かれているようだけど、私から見ると解釈のしようも無い程普通。
あんなキチ○イが平和な生活に戻れるワケないじゃん。
って言うか、そうでなくても彼の戻った"平和な家庭生活"ってヤツが、逃げ出したい人がいるのが分かる気がするし。

ただ、戦争映画を見て良く思う事があって。
人には二種類ある、人を殺した人と、殺してない人。
そしてそれは、巻き戻しは不可能なんだな、と。
それを感じられるという事は、けっこういい戦争映画なんじゃないだろうか。

追記:参照『フルメタルジャケット

パーフェクト・カップル

カリスマ性とは何だろう。
ビル・クリントン元米大統領は、田舎臭いしどう見ても軽薄なお調子者だが、人懐こい笑顔が大衆を惹き付けるであろう事はTV越しでも伝わって来た。
大騒ぎになった女性ガラミのスキャンダルも、報道や暴露の仕方のえげつなさに驚きはしたが、内容自体はありそうな事と納得もした。
清廉潔白である事、特に一人の女性に忠実である事と、人としての魅力とは、実はあまり関係が無いようだ。そこで興味深いのはその"妻"の存在

ジョン・トラボルタ、エマ・トンプソンに、キャシー・ベイツ!
私的に映画がほぼ確実に面白くなる役者が三人も揃ってる時点で、見過ごすワケにはいかない。
正直、クリントン夫妻の内情なんか興味も無かったが、やはり期待に違わず、興味深く面白く、時に感動的に、全く飽きさせない濃い内容の映画だった。
トラボルタはいつもの蛇のような目を抑え気味にして、人好きのする"スタントン"議員を熱演。トンプソンも、時として夫以上に衆目を集めた"カリスマファアーストレディ"の、TVには映らない苦悩や混乱をも含めて手堅く演じている。
が、やはりここはキャシー・ベイツの一人勝ち、だろうか。
ダンプカーのようにパワフルな行動力に溢れ、皮肉屋で毒舌で太々しいが、心は純粋で清廉な、リビー。己の有能さと理想の間で引き裂かれてしまった、ガラスの心。
彼女が夫妻の元を去る決意を固めた辺りから、もう先は読めてしまって涙が溢れた。

そして、大いに凹みはするけれど、打撃の数々を強引に前向き材料にすり替えてしまう、スタントンの神経の太さ。どこか壊れてるくらいでないと、政治家なんてやってられないのかも。
妻の方はかなりマトモに描かれているが、実際はもっとシタタカだったんだろうな、という気はする。いやシタタカになって行かざるを得なかったのかもしれないが。
映画は、黒人青年の目を通じて大統領選が追われる。彼がスタントンに心酔し、消耗する様がキメ細かくリアルで引き込まれる。
ここを黒人にしたのはアメリカらしいバランス調整だろうか?もっと黒人問題に突っ込んで来るかと思ったら、そこはライトなまま終わったが、黒人の恋人とスタントン支持を巡って決裂し、白人スタッフと寝る彼は、何かの象徴だろうか。

握手で始まり握手で終わる演出も秀逸。
人を傷付ける事も多い男ではあるが、傍にいたらワクワクできるのも確かだろう。
「世界を変えるのよ!」なんて、真顔で言える人生は、きっとそんなに多くはない。
大統領を持ち上げるでも貶めるでもない立ち位置で、アメリカという国の政治やマスコミのある種凄まじさも垣間見られ、充実した140分間だった。
タイトルの"パーフェクト"はちょっと、皮肉に過ぎるのだけれど。

パーフェクト・ストーム 

これ、なあ………………

見る前に結末聞いてしまってたの、見始めてから思い出すという悲劇(笑)
ネタバレ聞いても大丈夫な映画も多いんだけど、コレはアカンかったわ。(と、言うワケで見てない人は回れ右推奨!)

結末を除けば、映画として良く出来ていると思うのよ。
船出前から乗組員皆を好きになってる。掴みはOK!なところが凄い。
この手のパニック物で、これはとても重要な事。どーでもいい奴等がどうなろうと、どーでもいいですから、実際(『2012』『タイタニック』)。
海に出てからも皆が本当に人間らしくて生き生きしてて、ああ死ぬとこ見たくないな、と思ったわ。
それがまあ、九死に一生を得た末に…ううう。

ジョージ・クルーニーはいつだって男前だが、都会的なキザな役よりこういった男臭い役の時が好き。コレと『シリアナ』の彼が好きだな。
他の乗組員達も、それぞれに個性があって、それぞれに海の男で、本当に皆助かって欲しかったよ…分かってたけど、ラストの葬儀は涙出ちゃったよ。残されたダイアン・レインと太ったおばさんも、凄く良かった。

結末は盛大にネタバレしちゃってた事を抜きに見ても、とても不満な展開だったんだけど、後から調べたら、実話という触れ込みだったとか。
実話ったって…あの非常時に克明な記録を付けてたとも思えないし、あっても霧散してそうだし…生き証人がいない以上、盛り上がる部分は全部「実話」じゃなくて「想像」でしょうよ…『オープンウォーター』程度なら笑って済ませるけど、そういう規模じゃないでしょ、この映画。

何だか周辺が色々と残念で残念なんだけど、でも面白かった、海の男、好き。

パーフェクト・ワールド

公開当時劇場で観て、何とも言えない不完全燃焼感を味わったにもかかわらず、殆ど内容を覚えていないという、不思議な映画だった。
20年経って再び観る機会があって、最初のクレジットで深く納得してしまった、イーストウッド監督だったんだ!
やはり苦手、この監督。そう思って観ると全て腑に落ちる内容であった。

ケヴィン・コスナーは言うまでもなくハンサムだし、頑張っているんだが…ミスキャストですよね?
この"ブッチ"という脱走犯の複雑な陰影が、コスナーさんの端正さでは見えにくい。どう見たって売春宿育ちの少年院上がりには見えないし、普段の態度と急にキレる時のスイッチが、理屈では分かるけど胸に迫らないの。

この手のシチュエーション、大好きなんだよね。足りない部分を求め合う、不完全な二人。
なのに本当に心に残らなかったのは、ケヴィンに不足感が感じられなかったせいでもあり、それ以上にイーストウッド監督の世界観が、私には受け付けられないんだと思う。
苦手な映画監督の二大巨頭が、F・コッポラとC・イーストウッドなんだけど、共通項は「なんかありがたそうなんだけど見終わるとそーでもない」というところ。
コッポラさんは分かり易く、実は単なるミーハーのスタイリストで、CMでも撮ってやがれと毒づいて終了なんだけど、イーストウッドさんは構成力がほぼ完璧なだけに罪深い。
でもってその良く出来た構成で人に逃げ場を無くさせておいて、賛同できないテーマを押し付けるのよ。
そこで反論しようとしてもムダ、だって世界は最初から歪んでる。
ミリオンダラー・ベイビー』を観て、もうとってもイヤ〜な気持ちになったんだけど、その萌芽はずっと前からあったという事。(『パーフェクト〜』は1993年、『ミリオン〜』は2004年)

と、抽象的な話は置いといて、具体的に作中では当のイーストウッド演じるガーネット捜査官に殺意を覚えたわ。(ところでレッド・ガーネットってのは何かのシャレでしょうかね?)
ラストシーンで何故、取り囲む警官隊に銃が無い事を知らせなかったか。スナイパーが狙っているのを知っていたのに。無能にも程がある!
戻ってスナイパーを殴り、プロファイラーの女もスナイパーを蹴り上げるけど、アレは溜飲を下げる場面???スナイパーは確かに感じ悪い男だったけど、指示に従っただけだし、その指示を出したFBIは銃を持ってると思い込んでいたし、その誤解を解かず犯人に身動きを許したのはガーネットじゃん。そして「パーフェクトにはいかないわ」って…カンゼンどころか一番カンジンなとこに大穴開けた本人に対して!
コレを造る側から言うと、「やっぱ犯人死んだ方が盛り上がるし〜」「FBIとか国の手先なんて悪く描いときゃいいよ」とか、そんな不純な声が聞こえそう。
普通に逮捕では何故いけないのか。どうしても殺したいなら、もう少し考えてよ。さらにどうしてもああやって殺したいのなら、ガーネット捜査官はもっと前から無能ぶりを披露する(豪華捜査用キャンピングカーの辺りがそのつもりか?アレも意味不明だったわ)か、後からもっと責められるか。監督自らかっこつけてんじゃないよって。
陽の当たる草原に風が渡る景色がとても美しくて、それだけに残念だ。

ところで、人質〜道連れになる少年の家庭はエ○バの証人の信者。遊園地もハロウィンもクリスマスも御法度で、8歳の少年はそれを不満に感じている。
知り合いがハマッてたなぁと思い出した。子供は二人、母親は輸血も拒否すると明言した。
いいじゃんそれくらい大目に見ても。その点だけは、賛同しますよ、イーストウッド監督。でも失礼な話だよね。

バーレスク

リスティーナ・アギレラという人を全く知らず、この映画についても知らなくて「あ、シェールが出てる」程度の認識で観始めたので、歌の巧さにまずビビッた。
下半身に響く低音、フワッと抜ける高音。すごいです。
シェールの歌も、曲数は少なかったけどさすがの貫禄。こちらは手堅く耳に心地よい。

でもミュージカル映画にありがちだけど、これは本当に、ストーリーがつまらない
ありきたりなのは許すとしても、各所に説得力がなさ過ぎる。
カウンター内でメイクしてるだけでゲイと思い込んで出会って間もないジャックの家に転がり込むアリ。
婚約者がいるのに若い美人と狭いアパートで同居を始め、家賃欲しさに引き止めた上、電話で喧嘩したくらいで婚約者と別れたと決め付けて速攻アリを口説いちゃうジャック。
って言うかそもそも婚約者設定必要だったのか?どうしてもラブコメ要素が無いと映画を作れない病気か何か?
借金まみれという割に店はずっと流行ってる風だし、オーナーのテスは余裕しゃくしゃくのゴージャスぶり。
振られるのは仕方ないが、そこまで失礼な言い方される?という可哀想なマーカス。
相手が金持ちでイケメンだと何言ってもいいみたいな。
利用しようと近付いたのはお互い様なのにね。
ゲイのショーンが救いだったかな。スマートで冷静、テスとの関係もいい感じ。

ダンスシーンですが。
正直レベルは高いのかどうか良く分からない、あまり技術を見せるような場面も無かったような。
特に主演のアギレラさんは意外と小柄で、時々すごいおばさんっぽく見えたりして、あまり見栄えが良いとは言えないと思う。金髪も量が多過ぎて暑苦しく見えた。
いえ彼女はね、あの声でもう充分、それは劇中で歌を聞いたテスの態度でも表現される通り、ダンサーとしてはギリギリ及第点、シンガーとしてはカリスマ、という事なのでしょうが。
それでも、煌びやかな衣装や舞台装置、下着姿同然の綺麗なお姉さん達が集団で踊るステージは楽しく色っぽく、見応えは充分にあった。
(欲を言えば一人、飛び抜けたダンサーが見たかった気もするけど)

ストーリーがあまりにもおざなりなので、これなら『コヨーテ・アグリー』とかラズベリー受賞の『ショーガール』の方がずっと面白いし見応えもあるんだけど。
アギレラさんの歌が最高だからいいけど、ね。

ハイジ 

おー、山羊、可愛い!
わー、仔猫、可愛い!
えー、ハイジ、……あんまり

幼少期に挿絵付きの原作本を読んで印象深く、長じては和製アニメでダンゴに目鼻のハイジ像を植え付けられ。
あまりにスタンダードな内容を、淡々となぞったようなこの映画、子供向け映画としては良心的造りかも。

『ハイジ』の魅力は、天真爛漫なヒロインの少女は無論の事だが、それをも含めてアルプスの大自然や、そこでの素朴な生活、大道具小道具、は、とても大きい。一転しての都会でのお金持ちのお屋敷生活でのゴージャス感とのギャップも見所。
丁寧に撮ってあるのは分かるのだが、お山の景色に感動は少なかった。ちょっと残念。
そしてキャラクター。ハイジ…意外と大人顔の子で、まあ白人系としては普通、あんな感じなのかなと。
それよりクララが残念だった。やはり薄幸のお嬢様はとびきりの美少女であってほしいところ。
ペーターも、最初から暗くて屈折していて、これでは車椅子くらい落とすわと(笑)意外性が無くなってしまった。
でも一番の不満は、嫌味なロッテンマイヤーさんが完全にお笑い対象にされてる(しかも笑えない)ところかな。
仮にもあんなお屋敷を取り仕切るのを任されてる人が、あまりにおバカで引いてしまう。食べ方も汚な過ぎる。子供向けだから仕方無いのかな。あれでは任せてるパパまでバカに見える。
世界一有名なコメディアンの娘だそうで、言われてみれば顔がソックリ!そこだけ笑えたわ。

原作のストーリーはだいたい頭に入ってしまっているせいか、全体にサラリとした印象だった。
原作ではかなりショッキングだった"夢遊病"のくだりも、何だか良く分からないうちに済んでしまったし、ハイジの"白いパン"に対するこだわりも、何となく流してしまった印象で残念。
なによりクララが立つのが終盤ギリギリまで気配も見せず、「クララ立たないの?」とヤキモキしていたら、立ったと思ったら次の瞬間にはボール遊びに興じているという(笑)。暗いペーターの嫉妬する様子も分かりづらかった。
アニメのように「立った立った」とハイジがうるさくないのは良かったが。

それでも、偏屈なお爺さんの胸に飛び込むハイジとか、仔猫をお屋敷に連れ込んで食卓で大騒ぎの件とか、白いパンを溜め込んでるのを見付かるところとか、楽しくホッコリ見させてもらった。
最初は「うん?」と思ったハイジの容貌も、すぐに可愛く見えて来た。クララは最期までアレだったけど…うん。
お爺さんと、クララのお婆さんが、とても好演。ハンサムな召使いのセバスチャンも教会の牧師さんも良かった。
幼い頃に読んだ本は、自分の中でドンドン勝手にイメージが膨れ上がってしまって、新たに映像化されたモノはなかなか手放しで楽しめないのかもしれない。

陪審員

デミかぁ…(期待薄)と、思って観始めたけど、冒頭から意外に引き込まれた。
出来が良いというよりは、次から次へと攻撃されるジェットコースター状態で、程々の残虐さ、ヒロインの弱い立場、突っ込む暇を与えない早い展開。
結果、"ティーチャー"があまりにサイコ過ぎるのと、その他マフィアが間抜けなのとで、段々盛り下がって行って、最後はもう裁判関係なくなっちゃったのが残念ではあった。
あと最近『硝子の塔』を観たばかりで「え、ちょっとボールドウィン何人いるの?」と軽く混乱した(笑)4人兄弟ですって!中じゃアレックが一番男前かな?

ロン毛の息子君がなかなかイイ味(これと言った理由も無く…普通あのポジションにはもっと普通に可愛い子を使いそうなのに)出してて良い意味で気になっていたんだが、なんとジョゼフ・ゴードン・レヴィットでしたかっ!!!
いやちょっと、本当に驚いたわ。でも言われてみると変わってないわ顔(笑)。
可愛いし健気だし聡明そうで、彼の存在感がとても良かった。

陪審員制度、日本でもなにやらやり出してるようだけど、考えると怖いよね。
一通り見終わってからまた見てみたら、陪審員任命前の質疑応答で、もうマフィア(エディ含む)に目を付けられてる。
美人だし、頭の回転の速さ、それにシングルマザーというところ(=息子は決定的なアキレス腱になる)が見込まれてしまったんでしょう。
いかに必死とはいえ、あの状態からちゃんと無罪に持って行っちゃうとは、マフィアも人を見る目あるなぁ。
誤算と言うか蛇足だったのは、"ティーチャー"がサイコ過ぎてアニーさんに変な執着をしてしまったところか。
でも、この映画のデミさんは本当に美人さん。ちょっと顔が怖すぎる所もあったけど。
『ゴースト』のショートヘアーが印象的だったけど、この人首が太いので、ロングの方が美人に見える気がする。『幸福の条件』も綺麗だった。

こういう内容の映画にしては、意外と絵が綺麗。
母子が住む納屋を改造したみたいな一軒家とか(こういう家住みたい…冬は寒そうだけど)緑の森や海(車突っ込んじゃうけど)、グァテマラのエキゾチックなお祭り(トドメ刺しちゃうけど)等々。
殺伐とした内容に反して癒される絵面で楽しめた。

美人女医さん(この顔好き、アン・ヘッシュ)が本当に可哀想で、下手な正義感は身を滅ぼすよと言われてるようで辛かった。
あんなんだったら息子殺せよと(いや見たくないし殺しちゃったらアニーさんは捨て身で暴露するだろうけど)しかもあのやり方は酷すぎる…まあキ○ガイはそもそも理不尽なモノで言っても仕方ないですが。
酔っ払いのおっさんを車ごと、もショッキングだったし、マフィアとはいえ唯一人間味を見せていた"エディ"は見逃してほしかった。息子と同じくらいの娘がいると言っていたよね…(泣)。
途中経過がとても怖かったので盛り上がったんだけど、まあヒロインも息子も死なないというのはお約束みたいな物で、そういう意味では子供を使うのって逆効果な面もあり、それにしても人がいっぱい死に過ぎると主役が助かっても両手を挙げて喜ぶ気分じゃなくなってしまう。
サイコティーチャーじゃないけれど、アニーが反抗心を起こさなければ、少なくとも女医さんは巻き込まれずに済んだよね…。
僻地で暮らすヒッピーみたいなお友達に、被害が及ばなくて本当に良かった。

ハイド・アンド・シーク/暗闇のかくれんぼ

名優ロバート・デ・ニーロと天才子役ダコタ・ファニングがガップリ四つの父娘対決。ってだけで充分ホラー&サスペンス(笑)。
でも、それだけでした。残念。

って言うかデ・ニーロって元々怪しい人だし。
この手のサイコスリラーって、もう散々見てるし蓋を開けて見ればナンて事ないものだ、というのは分かっちゃいる、いるけれど。でも面白かったりするんだけどね…うまく作ってくれたなら。
だって見せ方が下手過ぎる。
序盤は面白そうだったんだけどなぁ。かくれんぼの呼び声とか、ママの死のくだりとか、潰れたお人形とか。
途中でウッスラ予想は付いても、色々デコレーションで揺さぶってくれたら楽しめるものを、ミスリードは全然機能してないし、種明かしのシーンも凡庸で地味。
そして何より、ネタが割れてからが長すぎる。(これは取りあえず映画を終わらせるために仕方無いのか、私の興味の方向が偏っているせいなのか、この手の映画で良く感じる事なんだけど。)
"かくれんぼ"のモチーフを生かしたかったのは分かるけど、決め台詞に使うには間が抜けてると言うか。アメリカのかくれんぼってどんな感じか知らないので、その辺りの印象は違うのかもしれないけれど。
そして終盤のデ・ニーロの芝居がクサい(笑)。時々本当にこの人は巧いのか?と思うわ。いや嫌いじゃないけどさ。
ダコタちゃんは髪の色が濃くて、ちょっといつもと印象が違うけど、相変わらずの成り切りっぷり。
ここまで来ると"子役"って、存在自体がちょっとしたホラーだよね…。

ハイド・アンド・シーク/暗闇のかくれんぼ (byココアちゃん)

タイトルがいいなぁ、好きなジャンル・・・と思って借りてみて、
ああ、やっぱりね、ってすぐネタばれてた。
女の子はダコタ・ファニングでしたか。
たしか妹だか姉だかいるよね。二人とも言われるほど美少女かな?
ただの外人、に見えますが。
しかしデ・ニーロ、ってよく働くよね。毎年2,3本公開されてるよね。
彼ほどの実力・キャリアでも常に露出してないと忘れられちゃうんだってさ。
肝心の映画は・・レンタルなんでまあこんなものかな、でした。

パイレーツ ・オブ ・カリビアン/呪われた海賊たち

出た出た、久しぶり、大好きな海賊映画。
コスプレ好き、帆船好き、西洋式のチャンバラも大好き! な私にとって、こういうお気楽な海賊モノは、願ったりかなったりのお楽しみ企画だ。
しかもディズニーランドの『カリブの海賊』がベース。むろん、大好きなアトラクションの一つだ。
おまけに主演(?)の海賊役がクセモノ役者のジョニー・デップ♡。

で、行って来ました、劇場へ。
うーん、期待通りの楽しさ、にぎやかさ。
期待を超えて驚く事も無かったけど、こちらの思いが大きかったせいでしょう。
予想外だったのはゾンビ物だった事。でも考えてみれば、ディズニーランドの『カリブの海賊』にも出て来るよね、骸骨になって宝の山に埋もれている船長、帽子付き。
常々最近のCG乱用に批判的な私も、こういうのは大歓迎。
「月の光の下で正体をあらわす」呪われた海賊達。船長が船室から月の輝く甲板に出て来る、来るぞ、くるぞ〜、と待ってると、月光に当たった部分からデロデロッと崩れていく…分かっちゃいたけどキャー!なんて楽しいんでしょ。
格闘シーンも凝っていて、色々楽しませてくれる。ウィルとスパロウの一騎討ちは上下動が激しくて道具使いもサービス満点、海軍とゾンビの大量戦闘シーンも、毎度ディズニー映画らしく呆れる程の根気良さだ。
ユーモアも上々。マヌケな海賊コンビの「木の義眼はトゲが刺さって痛いんだ」「こすっちゃダメだよ」とか。
ディズニーっていつも、こまっしゃくれた動物が道化役で出て来て、話の流れを止めるのでイライラする(お子様サービスなの?)けど、今回のサルは良かったなあ、最後の最後まで大活躍。なんでサルまで呪われるのかは謎だけど、まあいいか。

そしてやっぱり、ジョニー・デップ!ヒューヒュー!
怪しい奴とは思っていたが、ここまでやってくれるとは。
「無人島に置き去りにされて精神に異常をきたした」「ああー…(それでね)」という会話が、まさにピッタリ、いつもはちょっと鼻につくクサイ演技ぶりも、こんな役でこのメイクでは全然OKだ。
(それにしてもあの、目の下のクマみたいなアイライン?は、誰が考えたんだろう、スゴスギル…)
ゾンビになった自分を見て「こりゃ面白いや」と笑う、まさに命知らずなバカヤロー。どっかぶっ壊れててくれないと、「海賊で悪行の限りを尽くしたけどいい奴」という矛盾は克服できないもんね。
ヒーロー役の山咲トオルちゃん、いやオーランド・ブルームも、ヒロインのキーラ・ナイトレイ(この人知らなかった、きれい!)も、コスプレ映画の主演にふさわしくロマンチックな美男美女でありながら、映画の勢いに乗り遅れない元気の良さで、とっても気持ち良かった。
毎日3時間トレーニングしてるトオルちゃんはともかく、総督のお嬢様がどうしてあんなに強いのか?なんて事は、考えないようにして、と。

私個人的にちょっと残念だったのは、悪役の海賊の船長がちょっとお上品すぎた事。
なぜあんな格調高い俳優を使ったんだろう?デップのチンピラぶりに対抗するには、もう少しマンガっぽい作りの方が面白いと思うんだけど、。
やっぱりお子様も観るディズニー映画だから、全体的な品性にこだわったのかしら?

そう、やっぱりお子様向けの感は否めない、っつーか、それがこの映画の価値なのだろうから、仕方が無い。
登場人物は善玉悪玉ひっくるめて素直でウラが無く、ドロドロした感情なんて誰も気にしない。
だから戦闘シーンも気楽に楽しめるし、安心してお子様も連れて行けるんだけど、オトナ的には確かにちょっと、もの足りない点も無きにしもあらず。
まあ、人の心理を鋭くえぐった海賊映画が楽しいかと言ったら、そんなのはまず楽しめないと思うしね、そういう事は、他の場所で見ればいいのかも。

追記:デップの役、キース・リチャードがイメージモデルなんだそーだ。
キースって、あんなんだっけ!?

追記:悪役の船長のキャプテン・バルボッサは、その後すっかりオチャメキャラに転身(笑)。元々存在感はバツグンだし、今では彼以外に考えられないくらい、大ファンです。

パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト 

相変わらずスパロウ船長がバカです。いやむしろ拍車掛かってます。
ドラマというよりは絶叫系満載の遊園地と思えば楽しめたかな。
…しかし巨大タコとの死闘場面に、ほんのりイカ焼きの香りをイメージしてしまうのは、日本人だけ…?(私だけ?)
なんだかんだ言っても、大好き。
ちなみに、見る影も無いけどタコ船長の素顔?は、『ラブ・アクチュアリー』のロケンローラー、ビル・ナイおじさま。大好き。
 
正直、島での現地人とのやり取りとかドリフのコントみたいだし、緊張感の無い3人チャンバラはエンエンと続くしで、途中眠くなっちゃったんですが。
でもサスガと言うか、タコ(イカ?)がザザーッとせり上がって来た時は、あ、私ってば映画見てたんだっけ、と目が覚めた。
ワンシーンでも、こういう映画らしいカットがあると、なんか許せる、と言うか、嬉しくなってしまう。
でもねー、あんなに長々引っ張って、一話完結しないのは予想通りで仕方ないにしても、終わってみると全然話進んでないし。
なんですか、「どうせ人入るでしょ、この企画」みたいな姿勢がちょいムカつきますが。
それでも『3』は迷わず見に行くのは、別に結末を知りたいんでもジャックの身が心配なのでもなくて、ジョニデが面白いのと、このダラダラした世界がけっこう気に入ってしまってるから、なんだろうなぁ。

パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト(by京都の金) 

感想を一言で簡潔にまとめると・・・「2は1を超えないってのはホントだな」ですな。

いや、面白くなかったワケではないんだけど〜。

ジャック・スパロウって、あんな性格悪かったっけ?てぇのと、何でそこまでお笑いに走るのかな〜てぇのと、そんなラスト有?最後の最後は大笑いしたけど〜で、ございました。

う〜む、いや3は観に行くけどさ。

パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト(byお姐) 

金さんと言ってたこと、全部納得でしたわ。。。。
B級っぽい怪獣場面は嫌いじゃないけど、全体的にキャラの面白さを引き立てるより、ただドタバタしてるだけだったので、スパロウ船長に前作ほどの魅力がなかったし、ちょっと眠くなってしまった……。
ま、この映画って、とくに文句つけたくなるような類じゃないので、「がっかり〜〜」てことはないけどね。
もちろん『3』も見ますとも!

でも、私、今回、一番「おおっ!」と興奮したのは、ラストのほうの「つづく」的場面の2つ。(ひとつは、船長危うしのかっこいい構図。もうひとつは、まさに「つづく」の「ええっ!」って場面。クレジットのあとは、予想はしてたけど笑ったわ、やっぱり)
できれば、「3」の予告編を手短に面白く入れてくれれば、もっと興奮したかも。昔の映画館で連続活劇を見てるみたいな雰囲気で(昔の映画にも、次作の予告編はないんだけどね)。

パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド

2』よりは好きだな、っつーか、「スパロウ危うし!」で続きたい気持ちは分かるけど、やっぱり『2』は間延び過ぎ、その分『3』でお片付けが大忙しになっちゃって(笑)。
めったやたらと登場人物が多く、その殆どが活躍してない。せっかくかっこいいチョウ・ユンファも、中途半端な扱いで、エリザベスとのカラミも駆け足っぽくて解り辛く、残念だった。
なんか、せっかくの海賊映画だというのに、うっかりファンタジー要素を絡めてしまったがために"ローカルルール"ばかりが膨らみ過ぎてしまって、もう正直面倒臭い。どーでもええやん、と感じてしまう。
本質的には、このシリーズは「小難しい事は抜きにしてキャラと冒険を楽しもう!」で良いと思うのよ。いやそうあるべきだった、ディズニーランドのアトラクションらしく。もっと言うなら一話で完結で充分だった。それを無理に続けるなら、せめて出自部分は大切にキープすべき。
そういう意味で、突然貴族の姫君が海賊の女王になっちゃうとか、強引な急展開は、許そう。でもそれならそれで、細かい設定をグダグダ説明するような頭良さそうな展開はやめて、イージーな世界観を貫いて欲しかった。

でもまあ、私ゃご贔屓のバルボッサ船長が出ずっぱりの大活躍で、楽しかった〜♪
本当に、こんなに彼のファンになってしまうとは。正直、ジャックの10倍好きだ(笑)。
あとは、女神はいいからタコ(イカ?)出して欲しかったな。巨大ヌードとかワケ解らん。
お金かかってるし、面白い絵はいっぱいあるのに、相変わらずボンヤリした展開で…、でももはや、そこも楽しめる、という馴れ合い状態ではあるんだが、私。
とは言え、もうこのシリーズはいいよ、と言うのが正直な感想だ。次はもう、見る気がしない。

結末にはちょっとビックリ!
おそらくフライング・ダッチマン号が絡んで来るとは予想したが、私はジャックが行くかと思っていた(興行的に欲を出した=ジャックで続編、が優先されたのだろうけど)。本来、ヒーローはウィル、ヒロインはエリザベスで、ジャックは狂言回しなのだから。
でもそのおかげで、思わぬ悲恋物語を見てしまう結果に。ついでにジャックは、けっこうエリザベスに本気だったのね?という所も垣間見る事になったりして、それはそれで結果オーライではあった。
それになんだか、お父さんと船を操るウィルは楽しそうだったし(笑)。強くてしぶといエリザベスは、10年を何回も待つくらいの事は平気でやり遂げそうだし。
一応の最終話と言う事で、スワンパパやノリントン(なんだよ、いい奴じゃんっ!)の結末は悲しかったけど、まあ映画的な色を添えたと言えるかも。

でも、もはやお約束となったエンドロールの後のアレは、私的には興醒めでした。いいじゃん、あんなの出さなくて。
と言うか、エリザベスの事だから、ウィルが10年振りに戻るたびに身に覚えのある子も無い子も増えていて、中にはジャックにソックリなのも一人…なんて所までやってくれたら面白かったんだけどね(笑)。

パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉

もういいよ、このシリーズ。
と、思いながらも、TV放送は録画して見てしまうという。

中盤まで盛り上がらず、眠くなってしまった。
元々わりとマッタリしたテンポで緊張感は薄いんだけど、なんだかジャック、クスリ抜けちゃったの?みたいな、ミョーにマトモなスパロー船長。
色々事情説明は必要でしょうが、海に出るまでが長かった!黒ヒゲが登場して船の秘密が露見してからは、そこそこ調子が出て来たけれど。
やっぱり海、ギャグ、不思議。だよね、このシリーズは。

新シリーズという事で、メンバーは大幅入れ替え、を覚悟していたけど、私の大好きなキャプテン・バルボッサは続投どころかほぼ出ずっぱりの大活躍!そしてますますかっこいい!嬉しいじゃないの。
さり気に味のあるギブス君も登場。この人は経歴といい、性格といい、使い勝手がいいし、ある種絵になるし、いいよね。こちらも嬉しい。
ちゃんとブラック・パール号とサルも引きずってるのも嬉しかった。

対する新キャストで、やはり白眉はペネロペ・クルス様でしょうね。この女優さん大好きだし、美しさでも演技でも全く不満は無いんだけど…新鮮味も、無かったかな。
『ルパン』のフジコちゃんみたいな嘘つきキャラは可愛くて面白いし、女海賊姿もスペイン風エキゾチック衣装も似合ってた。"お父様"好き過ぎで良く分からない人だったけど。
前作のエリザベス役のキーラ・ライトレイが、殆ど前知識無しで見始めたのに対して、ペネロペさんは大女優過ぎて(特に私の好きな映画に多出し過ぎてる)キャラクターよりもペネロペで見てしまった、私の個人的感想かも。
黒ヒゲが魅力無いのは致命的。普通に伝説の黒ヒゲをなぞっただけで、出番も多くはないが印象が薄い。そして、可愛くない。悪役とい言えど、コレは大きい。
このシリーズ、海賊を扱っているとはいえ、随所に「さすがディズニー!」と思わせる、お子様向けと言うかノンビリしたムードがあって、悪役もマヌケだったりお茶目だったりで、どこか安心して見られたんだけど、今回の黒ヒゲは愛嬌も無く、本気で冷酷で残忍、最後までその一枚岩で面白くなかった。
それからストーリー上のヒーローであるべき宣教師、話がジャックとアンジェリカに寄ってしまったせいで、印象が薄くて可哀想。黒ヒゲ=残忍、宣教師=真面目、という域を出ないのはつまらない。

そして、人魚。
最初に登場する人魚は素晴らしくて、本当に伝説の人魚を見るようだったし、ボート上と海中からのショットは迫力があり美的だった。その他大勢も、それなりの容姿を取り揃えてサスガだった。
…でも、あれ?メインの捕まった人魚"シレーナ"は…、うん。純情そうでいいのかも。できたら最初の娘が捕まって欲しかったけど(笑)。
先にも触れたが、ジャック達がメインになり過ぎて、人魚の恋物語がおざなりな印象。
人気物なのは分かるけど、ジャックはあくまでトリックスターであってほしい派なんだよね。あんな美女と本気?恋愛モードとか、うーん…。
ノベライズでは「ジャックの口臭はロバの肛門の臭い」なんて書かれてるんだから(笑)。

続編もヤル気満々な終わり方だったので、またTV放送を待つ事になりそうだな。

ハウルの動く城

えーと。
キムタク、意外と(思ったよりは)良かった。
中盤まではキムタク臭抑えめで。
でも終盤、物語が盛り上がって激しい芝居になったら、やっぱりいつものキムタクになってしまった。残念。

倍賞千恵子さんはとても良かった。こういう人をホンモノの清純派と言うのではなかろうか?婆さんも少女もとても自然。そして深みがある、いい声、いい芝居。
魔女の美輪様はいかにもで安心して観られたし、神木君の少年は流石の巧みさ。そしてまさかの原田大二郎を起用というだけで、少しジブリが好きになった(笑)。
そう、今回、(イヤな思いをする事が多いジブリの声優陣なのに)声がなかなか良かった。

"動く城"の造形や、ハウルの部屋の装飾、素晴らしい。
玄関ドアの横にあるダイヤルで次元が変わる設定も、楽しい。
魔女が階段で萎れていく様も、アニメならではの(現代では実写でもCGでやっちゃうかもしれないが)見応えあるシーンだった。
草原や花畑、古風な街の景色も、心が洗われるように美しい。

で、ストーリーだが。
やっぱり苦手だわ、宮崎監督。正直意味が分からない
まず少女が婆さんになった時の反応の薄さはナニ?いくら地味目な女の子だったとしても、あまりにも現実味が無い。
そしてなんなんだあのバカ男は???髪型キマらないから死んじゃいたい〜って………ゲンナリ。
そんなバカ男がまるで素敵な殿方かのような扱いはどうしたワケなのか。顔?顔なの???
少なくともソフィーのような落ち着いた(過ぎて不気味なんだけど)聡明な女性が心惹かれる相手ではないと思うんだけど。いやそういう女性に限って、だめんずウォーカー!?

ナニが言いたいのか分からないし、登場人物の誰の心情も理解し難いんだが、その分宮崎作品の中では見やすくて不快感が少なかった、というのが、宮崎嫌いの私の正直な感想だ。
この人は本当に、人生や愛を語るべきでなく、ひたすらにメカマニア、戦闘オタクなのだと思う。

バウンティー・ハンター

ジェニファー・アニストンが、元気いっぱい、魅力的。
ジェラルド・バトラーは…、うーん。コメディシーンがちょっと、痛々しく感じてしまった。

まあ、一言で言ってしまうと「くだらないラブコメ」かなぁ。
離婚した元妻と元夫がドタバタの果てに復縁、というラブコメストーリーに、一応事件がからんで、妻は記者、夫は賞金稼ぎという、一応ミステリー物設定をくっ付けて。
でも謎と言えば、友人の警官が疑われた事くらいかな?

黒いドレスで自転車を漕ぐアニストンはチャーミングだったし、「賞金稼ぎの元夫の標的は元妻」というプロットは面白そうで、冒頭の車のトランクのシーン辺りは期待したんだが。
元妻の母親の謎の存在感とか、可哀想なバーテンのジミーは面白かった。
…でも、コメディとしては何かこう、スッキリと笑えないと言うか、ジェラルド・バトラーが笑いに不似合いなのも含めて、なんかスベり方が痛々しい部分が多くて。
ギャグシーンだけでなく、カジノでダイスに息を吹きかけるとか、思い出のペンションでダサい服を着せられるとかが、どうもどっかで見たようで楽しめなかった。

"賞金稼ぎ"と"お尋ね者"というキャッチーな設定に無理があり過ぎて、消化し切れなかった印象。
第一あんな程度の容疑で賞金が出るのか?と、根本部分がくだらないので、全体の印象がくだらなくなってしまうのよ。
くだらなくてもいいんだけどさ。
二人のツンデレな言い争いとか、最後の連行して獄チューとか、部分部分では面白そうなんだけど、あまり乗れなかったのは、そういうディテールの甘さとキャラクター(特に夫)の魅力の無さのせいだと思う。

バウンド

ジーナ・ガーション、好っきやねん。
と、思って観たら、お相手役のジェニファー・ティリーも、とても良かった。

冒頭、エレベーターで出会う美女二人の緊迫感。目で追う後ろ姿の完璧な脚線美。
引いてしまう程アカラサマなレズシーンや拷問シーンも、スタイリッシュで美的。
さすがは後の『マトリックス』監督、ってマトリックスはあんま好きじゃないけど。

二段構えの「俺を撃てないだろ?」ガーン!は秀逸。
白いペンキも印象的だった。
してやられたのも知らず、憧れのヴァイオレットと紳士的に別れるミッキーは可愛かった。

いつも思うんだけど、ヤクザなんかにかかわるモンじゃないなぁと。
前半で思い切り残虐さを見せつけられているのに、素人の女二人がプロを出し抜こうなんて、ナゼ考えるんだ!?怖いじゃん。と、気の小さい私は思ってしまうんだが。
正直、二人が金を盗まなくてはならない理由は無いんだけど、コーキーは刑務所(女の裏切りで捕まってる)、ヴァイオレットは情婦生活で過ごした5年間、という共通の"時間"が説得力になっていて、見ていて何となく乗せられてしまう。
ヴァイオレットは相当にシタタカで胆の座った女だから、コーキーはまた裏切られるんじゃないかとハラハラした。いや本当にヤバい方に転がったら、どうなってたか分からないよね。
素人で女という不利な条件の二人だから、計算違いも危機一髪も、真に迫ってハラハラできたし、やってる事は火事場泥棒なんだけど、ウッカリ応援してしまう。

ジェニファーは終始露出度の高いドレス姿で女っぽさをアピール。怯えた顔も一転してほくそ笑む顔も、見事なファム・ファクタールぶり。
対するジーナは男っぽい服装を通しているが、いいのよコレがまた。タンクトップの肩のラインとか肩胛骨とか、たまりませんよ。そしてエロい顔してとっても純情なのが愛おしい。

マフィア達が皆マヌケ過ぎるとか(特にシーザーの小物感…)この後逃げ切れるのかとか、拷問するなら壁の厚い場所でやれよとか、色々突っ込み所はあるものの、スッキリできるハッピーエンドなのも嬉しい。
同性愛にどうにも抵抗がある人でなければ、フェミ目線で見れば楽しめると思う。

博士の異常な愛情/または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか  

時計じかけのオレンジ』が面白かったんで、さらにキューブリック、行ってみました。
うん?モノクロ、苦手。(一般に言われるのと逆に、目が疲れるの、何が画面にあるのか判別するのに時間がかかる。)
しまった…とは思ったが、意外とそれは気にならずに観る事ができた、最後の爆発のシーンなんか、むしろとても美しく見えたし。
うーん、でも途中、ちょっと退屈してしまった。
なんと言うか、どちらかと言えば演劇みたい、なのかな。
なんとなく閉塞感があって、だから最後のキノコ雲+音楽の開放感が最高なんだけど。

分類だとコメディに分けられるらしい、ブラックのね。
あまり笑えなかったな、いやブラックだからと言うんじゃなく、ツボに入らなかった。
博士が大統領を「総統」と呼んだり、右手を高く掲げては降ろそうと頑張ったり、あれってどうなんでしょ。キューブリック様と言えども青臭い時はあったって事?
おかしさがイマイチ、分からない…。
ただ、大統領、英国軍人、博士が一人三役、というのには恐れ入りましたが。
なんか、こういう所も演劇っぽいかも。いや、コントかな?

考えれば、キノコ雲+音楽は『2001年宇宙の旅』を、核弾頭にまたがるカウボーイは『フルメタルジャケット』を、博士のキレっぷりは『時計仕掛けのオレンジ』や『シャイニング』を、彷彿とさせなくもない、けれど。
博士の「立てた!」には、大笑いしたんだけど。
これ一本では、「キューブリック天才!」とは、私は気付かなかったと思うな。

バケモノの子

あ…あの豚坊主、リリーさんだったんだ。
昔ラジオを大変楽しみにしていた好きな人だし、役者としてなかなかいい味出してると思うんだけど、うん、下手くそ。
アニメの声優って本当に特殊技能なんだな、と思う反面、知性ある大人が口にしにくいセリフのオンパレードだったよね、とも思う。

結論から言ってしまうと私、細田守という人が多分嫌い
それなりに評判を取ったモノは一応目を通したい方なのだが、『サマーウォーズ』『時をかける少女』『おおかみこどもの雨と雪』と見て来て、この人の作はもう、私は見ても粗探しに終始するばかりだと思う。
もうやめよう。

冒頭、母に死なれて親戚に引き取られるのを拒否して逃げる9歳の少年。なんで!?
いつかその特殊事情が明かされるかと思ったら全然無かった。
その行動だけでも当惑なのに、この少年がビジュアルもちーとも可愛くないし何やら全く共感できないエラソーな事を喚き散らすしで、しかもその喚く顔が本当に憎たらしいのよ。
こりゃダメだ、と開始10分で諦めたわ。
対する"バケモノ"熊鉄は、役所広司のイケボも相まって(この声は良かった)まあ、なんとか分からなくはない。
でも魅力的という程でもない。顔も不細工だし、あまりにも粗暴すぎて、しかもやはりその理由も全く明かされず。
二人競い合うように成長していく、というコンセプトは普通に良いのだが、結果二人ともたいして成長してない(笑)。

それにしてもなんでブタ?
一応二枚目枠の猪王山もブタ鼻じゃねぇ。イノシシなんでしょうけどブタだよね。
"宗師様"のウサギのビジュアルだけがちょっと好き。津川雅彦さんの声も、ここまで漫画演技だとかえって良かった。

ストーリーも概ね予想が付いてしまう。
最後はやっぱりスペクタクル出さないと盛り上がらないとばかりに予想通りのキャラが予想通りの理屈をこねて暴れるし。うんざり。
あと女の子がね、事情も何も知らなくてあの行動?なぜその上から目線のセリフ???
いつもそうなんだけど、女の子の存在がとっても"ご都合主義"で見てらんない。
そしてこの子の「みんな苦しくてどうにかなりそう」みたいな言葉も、ごめん共感できないわ。

拒食症みたいに関節の尖ったデッサンも嫌いなら、ヒラメ顔を歪めて喚く動きも嫌い。
でもそんな事では説明つかない、この気持ち悪さはなんだろう…。

バタフライ・エフェクト

蝶が羽ばたくと、地球の裏側で嵐が起こる。
と、いうのがこのタイトルの意味だとか。

主人公のエヴァンは、過去にさかのぼる特殊能力を持つ青年。
「やり直せるならもう一度あの場面に戻って…」などと、過去の失敗を思い起こして、訂正したいと願った経験のある人は多いだろう。
私なんかしょっ中だ。ドジで未練な性格だからさ。
でも、一つを変えれば他の色んな事柄にズレが生じる。
このテーマは私的大名作『オーロラの彼方へ』を思い起こさせるが、こちら『バタフライ〜』はずっとダークで陰鬱な印象だ。
エヴァンが過去へさかのぼるたび、盛大に鼻血を吹いて苦しむ様は、その行為の不吉さを象徴しているようだ。絶対に無理があるぞ、と。

初恋の美少女のため、それからだんだん自分のしでかした事の後始末のために、エヴァンは何度も時空を超える。戻って来ると、世界は一変している。
5通りの人生を、主要キャラクターがそれぞれに演じ分けていて面白い。
エヴァン本人もだが、初恋の人ケイリー、その兄トミー、そして友人のレニー。
ヒロインのエイミー・スマートという女優。なかなか微妙な容姿のせいか、それとも演技力なのか、変身ぶりが鮮やかで、キャンパスの花からヤク中の売春婦まで、何を演ってもピタリとハマッてる。状況のいい時は本当に輝くばかりに美しく、堕ちれば目をそむけたくなる卑しさがにじみ出る。
比較的ワキではあるが、レニー役のエルデン・ヘンソンという兄ちゃんも凄い。短い撮影期間に体重を9kg増減させたとかで(身体に悪いよアンタ…)大デブからちょいポッチャリまで、いずれもデブキャラながら、これまた凄い別人ぶりだ。
変身モノ大好きな私としては、それだけでも充分楽しいが、人物の印象の違いが鮮明である程、「過去を訂正する」事の功罪が際立って見える。

事の起こりからして児童ヘの性的虐待だったり、途中かなり見るのが辛い展開もあって、全体の雰囲気は暗い。何でもないようなシーンでも、なんだかソワソワと不吉な空気が漂って、訳も分からず恐い。
この雰囲気の一貫性、脅かし方の巧さも含めて、しっかり構成された展開はドラマティックで引き込まれる。
私はこういう、しつこいタイプの話造りが大好き。

ラストはそれなりにキレイにまとめてあり、切ないけれど納得のいくストーリーになってはいる。街中での美しいシーンが取って付けたようでないのは、意外と言えば意外。
陰惨な設定にもかかわらず、主人公エヴァンが我欲に走る事無く善意の人を貫いた事が、この意外な後味の良さの理由だろうか。
愛は無償こそ美しい。

八月の鯨

公開当時、独りでミニシアターへ行って観て来た。
情緒的な美しい画面、海辺に建つ白い家にひっそりと暮らす老婆…と、映画の設定に心惹かれて、「八月の鯨計画」なぞと言って廻ったものだった。(なんの事は無い、年を取ってリタイアしたら、美しい海辺にこじんまりした家を買い、近所付き合いもろくにしないで、でもなんとなくこぎれいに静かに暮らしたい、という話。夕日を見ながらテラスで夕食とかね。)
しかし実際問題としては、それを実行するにはかなりの経済力が必要な上、当初は思いもよらなかったが、年を取るにつけ寂しがりやになっていく己を鑑みるに、この計画の実現は難しそうだ。

で、そんな海辺の家に暮らす老姉妹の生活に、近所のおばさんやら、怪しいハンサム老人やらが「軽く」からむ日常生活。
美しくはあるが、たいした山も谷も無く、きわめて上品にクレジットがせり上がって…と、思った時。
明るくなったミニシアターの客席のあちらこちらで、女の子達が泣いている!かなりの数、かなりのテンションで、彼女達はハンカチ握りしめて、本格的「泣きモード」に入っている。
ものの捕らえ方というのは、つくづく個人差があるのだ、と思った。

とは言っても、泣かない私が感動しなかった訳ではない、むろん。
だって「八月の鯨計画」も立てたし、ミニシアター特有の、小さくて高いパンフだって買った。何年も経ってからだけど、自分の作品のモチーフにも使わせてもらったし。
ホームスイートホーム』という、当時としては渾身の力作だったのよ。ストーリーはじぇんじぇーん違うけど、でも、そうなの!

バックドラフト 

もうねぇ。取りあえず、カート・ラッセル、かっこいい!
こんな事ばかり言いたかぁないけど、本当〜にオトコマエなのよ、この役。

オーロラの彼方へ』のデニス・クエイドも素敵だったけど、アメリカ映画の消防士って本当にかっこいい。マッチョ好きのアメリカ人が英雄視するのが良く分かる。
でもってこの映画を観ていると、この消防士という職業が、どんなに勇気と力と判断力を必要とするか、なんて事をしみじみと考えさせられてしまう。
そうでなくても制服に弱いのに、もう完全、ノックダウンですわ。

そしてラッセルをもしのぐ迫力と美しさで私を魅了したのは、炎。
まるで意志ある生き物のように、のたうち、隠れ、吹き出す、変幻自在の優雅な怪物。
繰り返される火災シーンは、根源的な恐怖と興奮を呼び覚まし、かき立てる。
こういう体感的な吸引力は、実は映画に一番大切な要素かも知れない、と思う。

物語のベースは兄弟愛、だと思うんだけど。
甘い二枚目だけど情け無いウィリアム・ボールドウィンの弟と、岩オコシみたいなんだけど強くて頼れるラッセル兄ちゃんのコンビは、全然似てないけどなかなかいい感じ。
デ・ニーロも出番はそんなに多くないが、あらあら、素敵じゃないの。
ドナルド・サザーランド(有名!)もスコット・グレン(怪しい!)もレベッカ・デモーネイ(可愛い!)も登場、豪華。

なのに、ね。
脚本が、良くない。お話が、つまらないの。もったいない!
舞台装置もキャラクターもいいのだから、素直に消防士の成長物語でいいじゃない。ハードな仕事をこなして、辛い事を乗り越えて、仲間との絆を深めて。
私としては、サスペンス要素は蛇足。議員の黒い霧も、仲間の暴走も不要。父の死があるのだから、兄はもう、いいじゃん。
制服姿の葬儀は、確かに絵的にはいいけれど、真っ直ぐに兄弟の和解物語にしてくれた方がずっと感動できたと思う。
ましてや、消防車の上で×××…なんて、もっての他、引きまくったわ。
「偶然」とか「意外性」に頼り過ぎだし、このへんでサービス…みたいな、いらぬ計算が見えてしまって、材料が良いのだからシンプルに素材の味を生かしてよ!と言いたくなる。
過酷な仕事なのは分かったから。父→兄弟→兄の息子、という流れを見せる事で、連綿と続く物を見せたかったのは分からなくはないんだが。そういう意味では、謳(うた)ってる映画だな、とも思うけど。
ハッピーエンドが良かったよお。

でも、それを差し引いても余りある程、炎は圧巻だし、ラッセル兄ちゃんは素敵なんで、大好きな映画なんだけどね。

初恋のきた道

世界で一番可愛いストーカー。

いやはや、チャン・ツィイーの可愛い事!
この映画の彼女は、私の知る全映画女優史上でも屈指の愛らしさだ。
正直、その後のやら踊り子やら侍女やらは、どうにも安っぽくて受け付けなかったんだが。
この映画のツィイーさんは、それはそれは素晴らしい。そして怖い

まさに、やってる事はストーカー。それも、何が何でも自分の作った弁当を意中の男に食べさせようという、何だか分かるんだけど微妙にキモい乙女心。
この時代で、田舎で、恋愛というモノ自体がかなりアウェイだったのかも知れないが、殆どやり取りも無いうちからの熱烈っぷりが凄い。
そして、今だったら何て事なく(可愛いから)成就してしまいそうな彼女の思いが、村中巻き込んでの大騒ぎになっちゃうと(笑)。
それでも一片の迷いも見せない、筋金入りだ。

重要なキーである食べ物が、とにかく物凄く美味しそう
素朴な田舎料理なんだと思うんだけど、湯気の立ち方や質感が絶妙で、それをツィイーの可愛らしい手がほこほこと作り上げる様は、何とも幸福感に満ちて心躍るモノがある。
これはまんまと餌付けされるわと(笑)。

お目当ての“先生”の、まあそんなでもないんだけど田舎の村では目立っちゃうよね、みたいな容貌も良い塩梅。
あまり多くは語らないし、ハッキリ言って女の子に押しまくられてるが、餌付けされる様子は自然で初々しいし、あんな時代にインテリでいる事の厳しさを思わせる毅然とした様子もまた良い。
身分違いだからと孫娘の純情を諫めるお婆ちゃんも良かった。そのくせ割れてしまった食器を修理に出してくれたりして。あの修理の様子も素敵だった。

物語は二人の間の息子の視点で語られるが、その息子が父母の馴れ初めを知り、母の一途過ぎる思いに触れて、当の母を見送るくだりは感動的だ。
そしてその後の彼の身の処し方にも、感動して涙してしまった。
村の景色や風俗、食べ物、美少女の着る赤い綿入れ。ダサい髪飾り。
素朴な皮を被って、当時の時代背景をも臭わせ、初恋から人生を語る、なかなかに技巧的な造りの傑作だと思う。

パッション(2004)

これはなあー。
いただけないわ、ハッキリ言って。

ヨーロッパの教会なんか行くと総天然色リアリズム等身大の血まみれキリスト像があったりして、元々そういうモンだとは思っていたんですが。
こうまでして見せなきゃ分からんのかい、っつーか、これ見てなんか分かった気になるんかい、っつーか。
うんざりです

残酷描写もいいさ。血でも内蔵でも、せいぜい飛ばしてよ。
面白ければ、私は評価するさ。
開始15分で捕まって、後の110分エンエンと痛めつけられるキリスト。
(ちなみに上映時間は127分、残りの2分は復活ね・笑)
良く言えばスタンダードなのかなあ。
何も新しい発見が無かった。
脅迫して人を従わせる態度が気に食わないわ。

メル・ギブソン監督、『ブレイブハート』のラストの絶叫が快感で、クセになっちゃったのかしら。
マグダラのマリア役のモニカ・ベルッチの、異様な程の美しさまでが鼻についてしまいました。

あ、あった、新鮮なところ。
あのでかい赤ん坊は、恐かったわ。

パッション(2012) 4/15

最初の頃『ワーキング・ガール』みたいな、あるいは『ショーガール』みたいでもいいや、野心家の女のバトル映画かと思いきや。
憎たらしい美女上司が唐突に殺されて、いきなりのホラーサスペンスに。
それまでもクセ強いなーと思っていたら、そうですか、デ・パルマでしたか(笑)。
それにしてはかなり、抑えめではあったかな。

悪女クリスティーンを演じるレイチェル・マクアダムスが、とっても美人。
パニック・フライト』の彼女ね。なるほど。
対するイザベルを演じるノオミ・ラパスは、美貌ではちょっと見劣りするものの、ナカナカの存在感だった。
天使のような金髪色白で悪魔のような性悪女vs.ゴツめの黒髪パッツンで才能溢れる薬中女。そこに絡むは横領二股ロクデナシ男と赤毛のかわい子ちゃん風レズビアンの助手。
どいつもこいつもクズです(笑)。助手のダニちゃん一人くらいマトモかと思ったが、案外一番クズだったかも。

スプリット・スクリーンって言うんだ。
普通の映画だとばかり思ってボーッと見ていたら、殺害シーンにいきなりこの画面二分割が使われてて目が覚めた。
おかしいよ、この映画(だってデ・パルマだもん)と。
自宅でシャワーを浴び寝室へ向かう(そして喉をかっ切られる)クリスティーンと、バレエ『牧神の午後』に見入るイザベルの(不自然なまでの)アップの顔と舞台上のバレエダンサーのカットバック。
このバレリーナがまた凄い美人だったんだが、それはともかくこの演目もちょっと異様だし(笑)イザベルの顔は怖いし。

トリックと言うか、サスペンスの種明かし自体は(例によって)なーんだ、という程度なのだが、二転三転してくれて、それなりに楽しめた。
しかし女3人、皆悪賢くて性格悪っ!そしてそれぞれに、わずかな隙から綻びが身を滅ぼす。
順を追って真相を整理すると何てこと無い犯罪だが、全然整理(もちろん意図的に)されてない画面を見せられるので、それなりに引き込まれる。
レイチェルの葬儀に彼女に瓜二つの女性が参列し「双子はいたんだ…」とか、刑事が「まだ(無実の罪で捕まえた、と思っている)イザベルに謝ってないんだ」と、物凄い豪勢な花束を抱えて訪ねて来るとか、怪し過ぎ!
種明かしではイザベルの薬物依存はフェイクだったとされるが、じゃあラストのアレやコレはなんなのさ、と。

しかしデパルマにしてはおとなしい、と思えば、実は『ラブ・クライム 偽りの愛に溺れて』というフランス映画のリメイクらしい。
だからかな、最後の最後で意地を見せた、って感じなのかもな。
なんだかんだ、映画を見始めた頃からずっと、嫌いじゃないです、デパルマ。
そんなに無茶苦茶尊敬もしてないけどな。

パッセンジャーズ

ああ、なるほど。このテでしたか…。
何の予備知識も無く見たので、ちょっと期待した方向と違ってた、というのはあったけど。
こういうモノの中では、丁寧に作られてて良い出来なのではないかと。
なるべくネタバレしないように、ちょっと気を使って書きたくなるわ。

冒頭にごくごく簡単に飛行機事故のシーンがあって、呆然と生き残った(と思われる)人々がチラリ。
そこからすぐにクレア目線に移行してしまうのだが、終始不安と言うか違和感がつきまとう、上手い演出だったと思う。美しい音楽がミステリー感を後押しする。
クレアは素人目にも優秀なカウンセラーとは言い難く、生死を分ける体験をした上こんなテキトーな"専門家"に任された生存者達はお気の毒、と思って観てたんだが(笑)。
含む所が多かったせいか、結果的には全く悪意の無かった"教授"や"隣人のおばさん"の態度が、とても不気味に見えてしまって、その辺も程良くミスリードされたと言うか、結果に首を傾げたくなると言うか。
だってランドリーでブラウス畳まれるとか、怖いじゃん。あのおばさんの表情も気持ち悪かった。「人生はすぐ終わり」みたいな話も、終わってみればなぜそんな残酷な事を言ったのか意味不明
しかし結末を知って見返してみると、恋に堕ちるエリックが"初対面"で半裸で登場、というのは笑える。
このエリックも、最初からマトモじゃないと言われているが、本当に怪しくてな。ほぼストーカーだし。しかしチャーミングではありましたが。

"生存者"のチームカウンセリングで、一番印象深かったのはクレア・デュヴァル演ずるシャノン。
ちょっと見ると太々しいような態度や表情が、ショック状態はこうかも、と思わせたり、あるいは元々こんな人なのかも、と思い直したり。リアルな存在感があったように思う。終盤の事故での表情も良かった。
あとデヴィッド・モースがね。切ないわね、あの立ち位置。
日本でもそんなような酷い事故があったから、あまり庇い立てはできないが、所詮人間のやる事。
どんなに悔いても取り返しの付かない事を、せめて見守るしかない。
最初は普通に大企業のイヤな奴、と思ったのに、思わぬ展開に胸が痛んだわ。名演技。
そして、私にも姉がいるので、クレアと姉との関係にも胸が締め付けられた。
女兄弟って世界一辛辣だったりするけど、心が通じて良かった。そして美人姉妹であった。

結末は正直、あまり私好みとは言えないものだったけど、ある意味ハッピーエンドと言えなくもない、かも。
少なくとも"あの期間"に、クレアはエリックと恋を成就させ、姉への愛情を再確認し、生きる意味の一部なりとも掴んだと思うから。
いささか美しく描き過ぎの嫌いはあるものの、繰り返すが取り返しの付かない事ならば、受け入れるしかない、少しでも良い方向に。
懐かしい人々(や、犬)が「知らせに」来てくれる、というシステムは、なかなか良い、心優しい解釈だと思う。
誰が来てくれるだろう…なんて、つい想像したくなった。

それはそうとアン・ハサウェイは美しいね。
ちょっと人形的過ぎて、あまりシリアスで現実的な役だと違和感があったりもするんだが。
そういう意味で、終始夢の中のようなこういう映画にはとても映える気がした。
実は一番好きなのは『ゲット スマート』だったりするんだが(笑)あのバカバカしい世界に彼女のアニメから抜け出したような容姿はso cute!だったわ。

バッド・エデュケーション

いや〜。きっついわぁ、これ。
ホモがどーこー言う気は無いが、こうまでアカラサマな醜態を見せつけられるとなぁ。しかも全然救いが無いし。いい奴一人も出て来ないじゃんっ?

トーク・トゥ・ハー』は良かったけど、このアルモドバル監督*は一筋縄ではいかない、という印象は持っていた。かなりヘンな嗜好の人だな、とも。
今回はそれが全開。でも、開いて深みが見えるかと思いきや、むしろストーリー的には情緒もヘッタクレも無くなってしまった気がするな。
とっくにカミングアウトしている監督の「自伝的映画」という触れ込みだけど、まさかねぇー、だって殺人事件だし!エライコッチャ。

でもさすが、と言うか、絵はやっぱり美しくて、ガエル・ガルシア・ベルナルの女装姿もビックリする程キレイ。歌も、趣があって素敵だった。
最初「君にあの役は無理」と言われるだけあって、男姿と女装との落差、と言うか変わりっぷりはスゴイ(どっちも綺麗なんで落差ではないな)。けど濡れた白ブリーフ姿は………カンベン…………(泣)。
家の中やプール、教会等、しっとりとした美しい舞台装置に見入ってしまう。優しくかぶる音楽も、相変わらずいいセンス。
現実・回想・劇中劇を重ね合わせて展開する構成は、混乱しそうになるもののストーリーへの興味をそそり、独特の雰囲気を盛り上げる。

でもなぁ。酷すぎるでしょ、やってる事。
泣かれてもなあー………(脱力)。
子供への性的虐待、脅迫に、身分詐称、セクハラ、麻薬売買、売春行為、殺人。
考えてみれば、男を殺すのも、女を殺すのも、圧倒的に男。その男と男の組み合わせだから、ホモの痴情のもつれって、本当に凄まじいのかもな。
嫌いじゃないんだけど、ちょっとダイレクト過ぎて、引いてしまいました、残念。

*アルモドバル監督『抱擁のかけら

バッド・ガールズ

あ、コレ好きなんだわ、けっこう。

マデリーン・ストー(美形!)、メアリー・スチュアート・マスターソン(清楚で可憐)、アンディ・マクダウェル(アンニュイ美人)、ドリュー・バリモア(ピチピチ!)なんじゃこの娼館、グレード高過ぎ!
けど、正直私は「私娼婦です」って人に実際会った事が無いのだが、彼女らは何と言うか品が良すぎてどうなんでしょ。蓮っ葉な態度を取る場面がいくつもあるけど、あまりサマになってるとは言えないな。
だからこそ、共感も応援もできるのかもしれないけど。
見事なまでにタイプの違う美女を4人揃えた上に、娼婦の衣装、カウガールスタイル、西部劇風ドレスと、それぞれ色々着て見せてくれて、ガンアクションも乗馬も見事にこなしての大サービス。楽しい!

対して男性陣の、なんともショボくていじましい事。
コーディのお相手にもなるジョシュ。なんだよ〜もう、縛られてる大事な人質撃ち殺すわ、後から縄解いて偽装工作までしてすぐバレて、美人に叱られて挽回しようとして捕まるわ、取引材料にされた挙げ句後ろから撃たれてジ・エンドって(泣)。かつてこんなにもカッコ悪い西部男がいただろうか?
悪役チームも最初はもうちょっとマシな所もあるかと思ったが、本当にクズの外道ばかりだった。
でもキッドは数年前に消えたコーディのドレスを後生大事に持っていたりして、実は未練タラタラだったのかな?それを本人に気取られそうになって逆上、と、見えなくもなかった…とすればコーディ、罪作りと言うよりはニブチン女(笑)そして幸薄そう。
キッドの父ちゃんも、人質になってのあの暴言は、息子の足枷にならないためワザと…って『トゥルー・ロマンス』のウォーケン的なのか、タダのヤな奴なのか(見た感じ後者)不透明でな。
…あ、いたいた一人、牧場主のフランク。
勝手に押し掛けた侵入者達(女4人ばかりか野郎までも!)に一人怒りを爆発させた後、「オヤジが死んでから初めての客だ、歓迎するよ」とニッコリ。
な、なんてイイ奴なんだっっ!!!!
あそこは不意打ちで、感動してしまった。間抜けでサエないし戦力にもならないけど、器の大きいイイ男じゃないですか?
アイリーンの嘘も見抜いてちゃんと認めてる。この二人は幸せになるだろうな…。ホッコリ。

あまりに女性贔屓なもので、監督は女性かと思ったけど違った。
…でも、『告発の行方』の人か。なるほど納得。マデリーン主演の『不法侵入』も面白かった。
あれだけ派手に撃ち合って、しかも多勢に無勢、最新式の武器まで相手方に渡った状況で、プロの荒くれ男達につい先日まで単なる娼婦だった4人(ジョシュとフランクは戦闘面では頭数に入らない)が勝ってしまうばかりか、一人として擦り傷一つ負わない、というのはどうなのよ、とは思ったが。
殺せとは言わないし、盛り上がるからとは言いたくないが、一人くらい弾当たっても良かったんじゃ?
それと、西部劇の様式美なのでしょうが、弾切れのキッドにコーディが弾を恵んでやるシーンもなんだかな。してやらんでいいってそんな奴に。コーディ強すぎだし。
娯楽映画はそれでいい、とも思うが、あまりに女性サイドに寄り過ぎてるのが安っぽく見えてしまって残念ではある。
ただ、この時代の男尊女卑ぶりは半端じゃなかったようで、夫が死ぬと土地の権利を失うとか、なんじゃーそりゃー!な法律がまかり通ってたりとか、目撃者がいっぱいいたにもかかわらず暴漢を撃ったコーディは問答無用で絞首刑にされそうだったし。
そういう背景があるから、むしろ女性陣に甘々な展開でも、気分良く観る事はできた、かな。

結局土地の件は御破算になってしまい、お金は手に入れたものの、牧場に残るアイリーンを除く3人は行き場も無く、探偵の追跡も続く。
続編狙いという感じでもなく、まあ落としどころとしては、これ位が良いバランスなのかな、と思った。
疾走感の続くラストシーンは爽快だ。
繰り返しになるが、4人の女優、特にストーの美しさとバリモアの愛らしさは必見。
馬や馬車、銃器の扱いもキッチリ出来ていて、よくある女性のアクションに対する気恥ずかしさも感じさせない。
そんなに内容が濃いワケでもないが、最後まで気持ち良く観られて、意外と心に残る、楽しい映画だ。

ハッピーフライト 

珍しく、初見は友人と一緒に鑑賞。
散々一緒に大笑いして、終わってから「で、ドコがハッピーだった?」「無事に着陸できてハッピー」「そっか」てな会話を交わした。

当初あまり感じなかったが、なかなかの豪華キャスト。そしてそれぞれが、持ち味を生かして好演してると思う。
矢口監督は『ウォーターボーイズ』が大好きだし、元々群像劇が好き、コメディ好き。そして飛行場とか、むしろパイロットが大好きだ(笑)。
しかしモチロン、航空機事故は怖い。下手すれば不謹慎にもなりかねない。
そういう意味で、タイトロープなシチュエーションではあったが、上手にあしらっていたと思う。
天下のJALの全面協力を取り付けた時点で、ある意味「勝ったも同然」な部分もあるが、その特典をいかんなく発揮して、旅客機とその周辺の雰囲気をタップリ見せてくれている。

しかし機長が時任三郎で副操縦士が田辺誠一って、どんなイケパラ航空会社(笑)。たださえあの制服で男っぷり五割増し位なのに、やりすぎですアンタ達。
コメディ要素のために、いささか不謹慎と言うか、「コクピットでこんなユルい事やってんの!?」という部分はあったが、機内食の小競り合いとか、ありそうで笑えた。
副操縦士のイッパイイッパイな表情も笑えたし、ちょこちょこ挟んで来る操縦のウンチクも楽しい。
吹石一恵さんは制服が似合って本物みたい。でもあんなアテンダントがいたら用も無いのに呼びつける客が後を絶たないかも…(笑)。
寺島しのぶのチーフもキマッてた。どんなクレーマーも寺島さんがやって来て頭下げたら引き下がりそう。なんなんだあの風格は?
こういう仕事できそうな女、好き。

飛行機一台飛ばすのに、本当にたくさんの人の力が必要なんだな、と改めて思ったのも収穫だった。
乗組員はもちろんだけど、整備士や管制官、グランドスタッフ。
私は特に田畑智子の役に肩入れしてしまった。
ハッピーエンド好きではあるが、こんなに嬉しく思えるエピソードは珍しい。
彼女の仕事に対する一所懸命さがヒシヒシと伝わって来て、どうにもこうにも応援したくなるのよ。
それ以前に青年との出会いと展開が自然で良く出来ていて、やり取りが面白く、お互いの距離の取り方も爽やかで。ああこんな事でご縁が途切れて欲しくないな、と、本気で思って見守ったわ。

そんなワケで、綾瀬はるかは最低だったな。あ、役柄がね。
ラストのウインク&サムズアップの絵ズラは凄く可愛かったけど、どうなの?あのお調子ぶり。
浮き足立って仕事の足は引っ張る、当然の叱責にベソベソ泣く、客の前で弱音を吐く。かろうじて役に立ったとはいえ、女性があれだけいて他に思い付く人がいなかったのか?というような内容だし。なのに無事帰った途端に己の手柄のように…(笑)可愛かったからいいけど。

適度にハラハラはしたし、飛行機は怖いとも思いはしたけれど、終わってみれば(鳥以外)ほぼ皆がハッピーで、後味も良く、キレイにまとまった印象。
色取り取りのエピソードをバラ撒けるだけバラ撒いて、笑いを交えてサクサク回収して見せる。こういうタイプの造りが、実はけっこう好きなのよ。

ハッピー・フライト(グウィネス・パルトロウ版)

グウィネス・パルトロウって、こんな役もやったのね。
…と、言っても結局は、いつもの優等生役だったけど。
前半の露出過多な制服やビキニ姿は新鮮で、それにとてもスタイルが良いのを再認識、そして続く一流スチュワーデスのエレガントな姿は、やっぱりいつものお上品なパルトロウさんでした。

中盤までは楽しく観ていられたんだが、正直あまり後味の良い話ではなかった。
田舎育ちのヒロインが一念発起して、地方の弱小航空会社からステップアップしていくサクセスストーリーかな、と思いながら観てて、最初の会社の同僚二人もとっても美人で可愛かったので、いわゆる女の子の友情モノかとも思ったし。
お相手の男性があまりにも私の好みでなかったせいで、きっとコイツは若気の至りで、そのうちもっと彼女にふさわしいイイ男が現れるに違いない、いやむしろ副操縦士(ロヴ・ロウ)が本命かと思ったが、単なるイケメンの無駄遣いだったし。
頼れる先輩のシェリーはあっけなく途中退場で再登場ナシ、ちょっとダメな所はあるけど親友だったクリスティーンは、まさかの決裂(一方的に相手に非がある形で)、それも取っ組み合いで別れてそのまま終了。
何故かちょっと食事をしただけで「アナタは見所があるわ」なんて言い出すカリスマスチュワーデスのサリー(キャンディス・バーゲンだ…こちらも大スターの無駄遣いっぽい)は占い師みたいにパーフェクトで弱味ナシ、どこまでもヒロインに入れ込んで味方してくれる。
そして、当て馬ポジションとばかり思った恋人とまさかの再縁…でも別にいいんだけどさ、全然嬉しくないハッピーエンドだったわ。
しかもなに、あのラストシーン。
ああ、バカバカしいもの観ちゃったな、というのが正直な感想になってしまった。

訓練所の教官のヤブニラミは、見てると釣られてこちらの目も寄ってしまいそう(笑)。
なかなか強烈なキャラだったけど、やはりあまり笑えなかった。採用試験でシェリーを落としたのは目についての発言のせい?というのが引っかかってしまったし。これも何のフォローもナシ。
なんか理不尽な事や可哀想な事がそのままほったらかしで、ヒロインだけがいい子で恵まれて、あまり心から応援も祝福もする気になれなくなってしまった。

グウィネス・パルトロウは魅力的で、どんな衣装も綺麗に着るし、野暮ったい田舎娘から最前線の一流スチュワーデスまでの変化も無理無く演じていたんだけど。
彼女のPVとしては良いのかも、だけど、ちゃんとした女優さんにソレは失礼な話よね。
「夢を追う君が好き」みたいに言ってたクセに彼女の出世に怒り出すとか、あの男は顔だけじゃなく全然いい所が見付けられなかった。(強いて言えば家族が仲良しな所と、弁護士の勉強してるところ?)
私の好みとしては、働く女の子に友情は大切なのに、もうちょっと大事に扱って欲しかったな。

ところで酸素マスクの誘導文句が「他人を助ける前にマスクを付けて」と言うのが面白かった。
エンディングの歌の歌詞にも入っていた所を見ると、かなり重要事項なのかな?
そのダンスシーンでは、クビになったクリスティーンもノリノリで踊ってて、なんだかますます「はあぁ〜」な気分になってしまったんだけど。
あまりハッピーなフライトじゃなかったな。

バトルシップ 

この手のヤツはつまらなそうだな〜と思って、期待しないで観たらやっぱり退屈してしまった。
予想はしたものの、なんだか勿体ない。
海戦モノ大好きなんだよね。
終盤の「アレは記念艦だぞ!」「昨日まではな」からの爺さん軍団大活躍!とか、泣ける程好みのプロットなのに。
おまけに米海軍とタッグを組んで死闘を繰り広げるのは、我らが日本海上自衛隊!その指揮官は私的日本で一番セクシーな男優・浅野忠信。
…なんだけどなぁ…………。

やはり主人公の魅力の無さは大きいな。
少年漫画的、無茶をするバカなんだけど、ちょっと長い事バカ過ぎる。容姿も平凡で、正直冒頭で髪を切ったら誰だか分からなくなってた(笑)。
ヒロインも胸には見惚れたけど…むしろ胸だけが立派過ぎて余計に印象を薄くしてるかも、ってくらい、タダのブロンドちゃんだった。
脇役陣は、いつも哀愁のリーアム・ニーソンも、タフで凛々しいリアーナ(この人歌手でモデルだって?顔小さいと思った〜!)も、CG万歳な義足姿の黒人元ボクサーも、ヘタレと見せて最後は頑張るオタク青年も、パターンながらなかなかにチャーミングだった。
むしろ主役二人が凹んでしまってるような…特にヒロインは、リアーナの存在感の前で可哀想みたい。

浅野セクシー忠信が大活躍なのは、役者的にも脚本的にも嬉しかったんだけど、どうしたんだろう、今回全然、セクシーじゃない。おかしいな。
日本語吹き替えの台詞も妙に棒読みで、コレがあの浅野さん!?…まあ、吹き替えは特殊技能だから仕方無いとしても。なんだか無色透明な"日本兵"過ぎて、残念。

最初の頃の、海の水がザワザワしたり半透明のシールドが張られたりの辺りは、流石のCGで楽しかったんだけど、本体が現れるに従ってイマジネーションが平板になる、『インディペンデンス・デイ』を踏襲する尻すぼみ感
火炎車みたいな武器とかも、あまりカッコ良くないし、エイリアンのスーツもイマイチ。敵側のビジュアルに魅力が無いのはつまらない。
見た目だけでなく、高度な文明でもって宇宙を超えて来たエイリアンが、全く知的コンタクトを取ろうとしないのも凄い。
って言うかアメリカ的にはそういうモンなのか…"未開人"には問答無用。自分達がやって来た事だからな…。

よりによって"真珠湾"で米軍と日本軍(と、ここでは言ってしまおう)が共に闘う、というのは、どういう嫌がらせなんだろう(笑)いや「もう水に流してあげたよ」って事かしら?
でも、だったら思い出そう。真珠湾を取ったからって、敵は後から後から無限に押し寄せて来るんだよ。某大な人数と財力と科学技術が、控えているんだよ。
と、いうワケで、勝った勝ったと喜んで式典やってていいんかい、という、どう考えてもハッピーでは済まないであろうエンディングを、口を開けて見送ったのであった。

花田少年史 幽霊と秘密のトンネル

冒頭から寒い応酬にドン引きしてしまった。
幾ら何でもお母さん下品すぎ、ガキは口悪すぎ。お父さんひ弱すぎ(笑)。
って、つい習慣で"(笑)"入れちゃったけど、ほぼ全く笑えなかった。

タイトルだけは良く聞いていて、軽く期待を持って見たんだけど、そうですか、原作は面白かったのね。
でもコレ観た後では原作も観てみようとは、思わないなぁ…。
なるほど設定は楽しそうだと思ったんだけど。
臨死体験の後に幽霊と交信できるようになった少年、謎の美少女幽霊との交流、父と一緒に海に出て一人死んでしまった同級生の父親。
いい話にいくらでもできると思うのに、いちいちハズして台無しにしてる印象。
そもそもギャグが全く笑えないし、「ここ笑うとこ?」みたいな心無い扱いが何度もあって辟易した。
時代設定もなんだか適当で、回想シーンも入るものだから、なんともおぼつかない不安な空間にイライラした。

"マルコメ坊や"みたいな主演の少年は元気一杯の熱演だったし、母役篠原涼子、父役西村雅彦も好きな部類の役者だし、死んだ友人役の杉本哲太も良い佇まいではあったのだが。
いかんせん脚本が酷すぎて、皆の努力が水の泡
あの運動会の借り物競走?酷いよねぇ。
2006年にもなって、あんな表現が堂々とまかり通る、それも設定は現代と言うから驚きだ。
あの状況で何故周囲は誰も何もせずじっと見物しているのか。レースはとっくに終わってるよ…。
そもそもあんな田舎で、父親のいない子がいるのが分かっているのにお題を"お父さん"にするとか、それをまた父に死なれた子が引き当てるとか…そして父の幽霊と長々と話す間、誰も先を促したり独り言を聞き咎めたりしない。そんな異常事態の中で、再婚相手になろうとしてる男性は何の疑問も持たず呑気にビデオを撮り続けている…。
この適当過ぎるくだりで完全に視聴意欲を失った。

とはいえ、主に北村一輝見たさに最後まで頑張ったワケですが。
その北村のからむ父娘話がまた最悪だったな。
先に書いたように回想シーンの時代設定の適当さに呆れ、若かりし両親のあまりのダサさに呆れ、北村のゲスさにときめき(笑)。
かなり胸糞悪い展開だがまあ、それはいいとして、最後の"成仏"の顛末が…うん?私今『さくや妖怪伝』観てたんだっけ???突然の妖怪大戦争に口アングリ。
なんかもう、そろそろクライマックスの頃合いだから派手に盛り上げないとダメかな、みたいな、突然のスペクタクルで、近頃こういうの多いなと、先日見たアニメなんかも思い出した。
そう言えば幽霊の聖子ちゃんは何故成長したのかな?セーラー服が着たい一心で?
…まあ劇中での言い訳がどうであれ、実情は「安藤希をセーラー服幽霊役に」ってだけだと思うけど。
でも死ぬのは子供じゃないとダメだし、北村が父親では若過ぎる、とか。
なんかもう、もっと日常的な小さい話でいいから、丁寧に作ってくれたらいいのに。

救いと言えば安藤希ちゃんの白セーラー服姿が可愛かったのと、悪玉北村一輝の色気と、あと犬と猫が可愛かった。

パニック・フライト

あらら、全然ノーチェックだったんだけど、面白かったわ。
日本では劇場公開もされなかったそうだけど、もったいない!
確かに予算はそう多くなさそうだけど…ヒロイン(&同僚)は美人だし、悪役は憎たらしいし、サスペンスはずっとダレる事なく持続するし。つまり脚本・演出・キャストがとても良い、頑張ってる映画

しいて言えば、悪役の"切り裂きジャック"キリアン・マーフィーが最初からキモくて怪しいのが丸分かりだったのと、最後の飛行機を降りてからの解決が暴力的に過ぎた事、かな。
まあ好みの問題もあるとは思うが、見知らぬ素敵な男性とたまたま知り合ったらご縁がありそうで…と、軽くワクワク感があった方が正体が露見した時の豹変ぶりが引き立つと思うんだけど。「両親殺して…」発言とか、すでに冗談に聞こえない(笑)。
終盤明かされるヒロインの過去の傷の事も考えると、見知らぬ男性に対しては彼女は相当警戒心が強いはずなのに、飛行機待ちとは言え同席して一緒に呑む相手としてはちょっと、見た目が怖すぎたな。

邦題がよろしくない事もあって(原題は『夜間飛行便』という意味だそう)飛行機が墜落しそうになるとかハイジャックされるとか、そういうのを予想してしまったのも残念と言えば残念。
飛行機内でのやり取りは、動きを制限された中でとても緊迫感があって面白かった。
終わってみれば、もう少し他の乗客も活躍して欲しかったな、というのはあったけど。あの賢そうな少女とか、「もう一声!」って気がしたし、「堕ちる堕ちる」騒いでた若者達も何かしてくれよと。
でも、最初に空港でやり込められた短気なオッサンが医者だったのはちょっと笑えたな。パパの本を巡るオバサンとのやり取りや、荷物を上げ下げさせる金髪美女の無駄なお色気とかも良い配置。
あと、あの少女はちゃんとオシッコできたのかしら、心配(笑)。

ヒロインは有能なホテル従業員で、あれこれ気配り目配りはお手の物、頭の回転が速く行動力もある。
加えて、過去の酷い出来事。
これを入れる事で、ああまで頑張る彼女の存在に説得力が出来た、と思う。
「私はずっと自分に言い聞かせて来たの」「事故だったって?」「いいえ、もう絶対に負けないと」グサッ!プシュウゥ~~~…ヒー。
父親が妙に心配性なのも、父娘間に流れる微妙な空気も、なるほど納得。それがあると無いでは最後のパパの活躍の印象が全く違っていたと思う。

終盤、飛行機が着陸してからは、ちょっと荒い印象を否めない。
と言うかヒロイン強すぎる(笑)。首にボールペンは刺す、他人の車は強奪する、パパを張ってた殺し屋は迷わず盗んだ車で轢き殺す…挙げ句、首に風穴開けたまま追って来た犯人を、なんとバットで迎え撃つ!!!これは…相手がダメージ受けているとはいえ、大胆。
最後は予想が付いたとはいえ、前述の理由もあってそれなりに感動的だった。
せっかくデキる女をヒロインに持って来たのだから、そして勝手知ったる実家を最終戦舞台に選んだのだから、もう少し頭脳戦と言うか、地の利を生かすとか(隠した鍵で裏口から入るシーンのような…『ホーム・アローン』的な)相手を騙し討ちにするような展開があったら良かったな。欲を言えば、ではあるが。
彼女が首をぶっ刺しバットで殴り付け銃で撃ったのは、テロリストでもあり、真昼の駐車場の男でもあったのでしょう。

テロはどうするかと思ったら、ボートの件も面白かった。アイディアがいっぱい。
首を刺されたジャックが喋っちゃうのは残念だった、あれ仲間に電話連絡できちゃうじゃん。
まあ多分、ツッコミ所は色々あるのでしょうが、ホラーで名を馳せた監督らしく、ハラハラドキドキと適度なユルさのバランスがとても心地良い。
この手の映画はヒロインの恋愛がカラむのが多いけど、本作に限っては恋愛要素皆無なのも好印象だった。
そしてラストの、美女二人のやり取り。「貴女はヒーローよ」爽快でした。

似たタイトルで飛行機でヒロインが闘う点も同じ『フライトプラン』より、ずっと面白かったし脚本も無理が少なかったと思う。ヒロインの顔も好み…いえ、ジョディ・フォスターも好きなんだけどさ。

パニック・マーケット

マーケットに何が!?
と、思ったらサメパニックものだった(笑)。
なんじゃあそりゃあ。

劇場公開では3D上映だったらしく、そういった見せ場がいっぱいありそうなのは何となく分かる。
でも、どうせ立体視するなら飛び出すサメや飛び散る手足ではなくて、もっと綺麗なモノがいいな…。
と、思ったけれど、冒頭の海シーンこそ「あれ?タイトルと中身間違えた?」と思ったものの、舞台がマーケットに移ってからはテンポ良くどんどん進み(景気良く人が死に)退屈しない良心的な作りになっている。
まあホオジロザメがどんだけお腹空かせてるんだ…という疑問は残りますが。

パニック映画の醍醐味は、災害自体の怖さもそうだけど、直面する人間模様にあると思う。
この映画はいかにもB級臭プンプンにも関わらず、意外にちゃんと人物配置が整っていて、それぞれにキャラ立ちもシッカリして面白かった。
有名どころが出演してない割に皆のビジュアルも良くて、人物の見分け(加齢のせいかドンドンこれが苦手になってる)も容易
状況の怖さもヒシヒシと伝わって来る。
父と娘、愛があるのに別れた恋人同士と、胸キュン要素も周到に揃えられてる。
まあ、死ぬ人と生き残る人に、個人的には多少の不満は残りましたが。

わんこが無事で良かった。
あの華僑?シンガポールの男の子は、何だか助けて欲しかったな。
別にあれやるの、白人でもいいじゃん? 
何の落ち度も無いいい子だったのに。
あと駐車場の女はイラッとしたわ。
愛犬を失った(と思った)ら、そりゃ悲しいけど、お陰で自分は助かったという事を棚に上げて彼氏責めまくるとか。
だったら最初から自分で抱えて移動すればいい。
でもまあ犬が無事で本当に嬉しかったよ。

後はアレだよね、私としては『ポセイドン・アドベンチャー』が基本になってるので、最終決戦で刑事さんが自己犠牲を払うのかと思った。
まあ、そういうヒロイズムも時代遅れなのかもしれないな。
あの危なっかしい娘を置いては行けない気持ちも分かる(笑)。
サメのやっつけ方も面白かったし、狭い空間で色々と頑張って工夫してるのが見て取れて、退屈しなかった。
気軽に見るには分かり易く楽しめて、まずは満足。

パニッシャー

コミック原作ね。なるほど。

せっかくのトラボルタで、トラボルタパートは悪くなかったものの、主人公と殆ど絡まないし、何とももったいない
キレキレの残虐性と妻溺愛からの逆上と、なかなか面白かったんだけど。

何と言っても主人公が魅力薄
トーマス・ジェーンって誰やねん、と思ったら『ミスト』でしたか!!!
あれもつまらんかったなぁー。
主演務めるタイプと違うと思うんだけど。
ついでに『クリスティーナの好きなコト』ね。アレも女の子3人で持ってる映画だったわ。
アクション映画の主人公が好みじゃないのってキツイ。

コミックらしい極端な残虐さや文字通りマンガチックにデフォルメされた人物像が鼻に付く部分はあるが、トラボルタはそんな事は物ともせず生き生きしているし、善良なドロンボー一味みたいな隣人トリオが可愛かった。
(あ!そう言えばドクロマークも出て来るし…笑)
"息子の復讐"のために無差別皆殺しも凄いが拷問も怖かった…殺されなくてなにより。

古くは『ダーティハリー』から、捻ったところでは『デスノート』まで。
どうしようもない悪党どもは誰か途方も無い強い奴がバシバシ退治してくれたらいい。
そんな事は思いますよ、正直。
でもそれを行う者も、神か狂人でない限り安らかに生きる道は閉ざされる、と思う。
だから復讐を果たしたフランクが自殺を考えた事はスンナリと頷けたし、別にそのまま死んでもいいんじゃ、と思ったんですが。
シリーズ物にしたかったらそうもイカンのか。多分原作との兼ね合いで、という事でしょうが。
でもトラポルタもう出せないじゃん?
自分は家族と共に死んだ、だから残りの拾い物人生は、悪党を裁くために捧げるのだ…と、これはこれで立派な決意ではありますが。

バニラ・スカイ

先に『オープン・ユア・アイズ』を観てしまっていたので、初見時は解り易さと見慣れた顔(トム&キャメロン)に軽さを感じてしまったが、改めて観直すとかなり好みのタイプの映画。
夢オチと言うとダメな作品の代名詞のように使われるが、コレはコレでキチンと成立している、確信犯的ストーリーである。
『未来世紀ブラジル』という傑作もあった事ですし。
リメイクとしてもスマートでよろしいかと。

とは言え、オリジナル版でもヒロインを演じたペネロペ・クルス。
同じ役だけど、やっぱり『オープン・ユア・アイズ』の方が生き生きしていたかも。
やはり彼女の豊かさ、懐の深さ、熱い血潮のようなモノは、薄くて軽いハリウッドでは扱い切れないのかな、と、これ以外にも色々観た結論ではあるのだが。
それでも、“運命の女”という名に現在最もふさわしい女優だと、改めて思う。
トムがお熱を上げて連れ帰った気持ちも分かる、うん。分かるよ。
この映画のペネロペは、結局大半が生身の女性ではなく、わずかなインプットにより生えて来た男の妄想の女
男はまず美貌に惹かれ、それから彼女の純粋さに捕まる。
美しくグラマラスで、セクシーで、魂は無垢。
そりゃ夢中にもなりますわな、とは思うけど、真相を知れば男の勝手な思い込みで成り立っているにも関わらず、ペネロペという女優は軽々とその概念を具現化して見せてくれる。
こりゃトムも夢中になりますわと。

しかし天下のキャメロン・ディアスをセフレ扱いとは、バチが当たるぞと思ったら本当に当たりましたね(笑)。
とは言えこの映画のキャメロンはメチャクチャ怖い。
本来チャームポイントである平たい顔と明るい色の瞳が、爬虫類じみてとても怖い。
こういう女がああいう扱いを受けてああなっていくという心理は説得力があり、中盤以降の悪鬼のような扱いも様になって凄まじい。

主演のトムは置いといて(いや好きだけどね)、後半主人公を支えるカート・ラッセルも"理想の父親"ぶりがとてもいいし、出番少ないけどティルダ・スウィントンも、異世界へ導く案内人がとても良く似合う。

どうしてもオリジナルと比べると見劣りしてしまうが、表現が平板な分内容は解りやすく、ハリウッド版リメイクとしては出来の良い部類ではないかと思う。

ハプニング

予備知識ナシに観て、な、なんか『ミスト』臭が…と、思ったら。
シャラマンさんでしたか………納得と言うかウンザリと言うか。

マーク・ウォールバーグ、売れっ子だよねぇ。
ぶっさいくだと思うんだけど。まあ俳優の価値は容姿だけではないとはいえ、こんな主役は楽しくないなー。
シャラマン監督は、最初の『シックス・センス』以外は結局"当たり"が無いし、むしろドンドンレベルが下がってる(御病気進んでる?)印象なんだが。コレ観てその感を強くした。
絵や雰囲気は良かったはずなんだが…今回、美しい画面も殆ど無し。

内容的には、相変わらずの理屈の通らないメルヘン仕様で、全くモヤモヤしてしまった。
なぜ「植物が人を狂わせる」と確定するに至ったか、全然分からなかった。
なんかヤマカンで言ってみました→どうもソレッぽいかも→何となく知らないうちに終わってましたとさ。
うーん。盛り上がらね〜!

途中で食事をご馳走になるエキセントリックなお婆ちゃんが、かろうじてちょっと面白かったんだけど、全然活躍しないですぐ退場してしまったし。
奥さん役の女優さんが美人で、『ビバリーヒルズ青春白書』のシャナン・ドハーティーかと思ったら違った。残念。
って言うか全体的に残念。

もういい加減、思えば『シックス・センス』以後、この監督の作品を観るたびに「もういいや…」と思い続けて来たのだが、本当にもういいや
グロい人死に映像を頭カラッポにして見たい人にはオススメかも。

バベットの晩餐会

"食べる"という行為はそれ自体、罪悪を伴う。
他の生き物の命を横取りする事で、我々は皆生命を繋いでいるワケで、生きている限りそこから逃れられる者はいない。
だからね、この映画に登場する敬虔で純朴な人々にも一理あるとは思うのですよ。

冒頭から引き込まれる。
タダゴトじゃないモノが始まろうとしてるのがアリアリと感じられる、灰色の海辺の町の景色に被さる、メランコリックなピアノの音。
最初の期待は裏切られる事無く、画面も音も、役者の演技も、脚本の組み立ても、本当に丁寧で美しい映画だった。

牧師の"美人姉妹"の若かりし頃の、どうにも歯痒い恋愛?エピソード。
作中ではこの牧師は皆に尊敬されているようだが、この父親はどうなんだろう。娘二人を有形無形に縛り付けて、いわば食い物にしたという気もするよ。
またまんまとそれに従ってしまう、素直で清純な娘達。TVもネットも無い時代の田舎暮らしって怖い…。
ところでこの姉妹、若い頃と老年で女優が交代するけれど、姉と妹反対の方が良くない?顔立ち的に。

映画を見終わってまずやった事は、PCで「フラン」のレートを調べる事だったと言う…(笑)。
良く考えたら19世紀の物語で、今とは全然貨幣価値も違うんだけど。
時代劇の大判小判みたいな感覚だな。なんか凄いぞという事だけは伝わる。

デンマーク映画を観る機会など殆ど無いので、キャストも見知らぬ顔ばかり、荒涼とした海沿いの田舎町の風景も、19世紀の衣装風俗も、とても新鮮でエキゾチックに感じた。
厨房の様子も興味深い。魚を切ったまな板を放置!その手は溜め水で指先をすすぐだけ!!バペット以前の料理の不味そうな事!(笑)
老嬢姉妹の微妙にペアルックっぽい衣装の数々も(質素なのだろうが)とてもエレガントで可愛かった。
バペットの魔女のようなフードマントもイイ感じ。
敬虔な信者の人々は、彼女を魔女と疑ぐるが、だからと言って彼女を攻撃せず、己が美食の誘惑に負けまいと(食べるけど)決意するところが、何とも善良で愛らしい。
いよいよ渾身の晩餐会、パリから買い集めた食材を運んで行進する様は童話の一場面のようだった。もちろん先頭を行くバペットは魔女ね。
そうそう、街の家並みがまたね、メルヘンぽくてね。小さな藁葺き屋根の家々。暮らしはストイックそうだけど。

晩餐会に集う老人達が皆、良い面構えでたまらない。
私は特に、小柄な"ソルヴァイ"お婆ちゃんが大好き。小さな目がキラキラしてて、なんて可愛い表情をするんだ!!!
不倫問題で揉める爺さん婆さんも、ウェイター役の少年も、キッチンの隅でご機嫌な御者のおじさんも、皆善良で可愛い。
最初は敬虔な思い込みから料理を楽しむまいと決意する面々が、それでも美味しい物にとまどい、だんだん機嫌が良くなっていく様も自然だし説得力があり、本当に楽しかった。
美味しい物って本当に、理屈抜きで人をゴキゲンにするよね。
…料理が高級過ぎて味の想像が及ばないのが、残念ではありますが(笑)。

姉妹の"恋"が、ここに繋がっているのも趣深い。
バペットを二人に託したのは妹の声に魅せられた歌手パパンだし、晩餐会には姉に恋焦がれた"将軍"ローレンスが列席、唯一それなりの美食の知識で解説役を務める。
将軍のバペットの料理を讃える言葉の中に「情欲と精神が混ざり合い…」みたいなのがあって、ああ行き着く先はソコかな、なんて思ったり。
…しかし出会いの機会が少ないとは不幸な事だ。
あのパパンさんみたいに接近戦で迫られたら引くわ〜。たださえ声はデカい顔は濃い。純情可憐な神父の娘を怖がらせてどうする…いや、彼も純情だったのよね。
そして若い頃突然去った将軍は、「ずっと貴女と一緒だった、これからも」と言ってまた去って行く。姉もうるうると感慨の眼差しで答える。
美しいシーンだが、私だったらキレるかも(笑)勝手に消えてサッサと結婚しといて何言ってくださるやら。
まあ感動しましたけどね。

バペット役の女優さんも、大柄でオカマみたいな所も含め、意志の強そうな表情やドッシリした仕草に風格があって良かった。
シェフは大層な肉体労働だろうから逞しい身体は説得力があるし、そう美人ではないが堂々とした風情が田舎町の人々を圧倒するのも頷ける。
ただ終始口を開けてる所がちょっと気になった…天才シェフが鼻悪いの?みたいな(笑)。

終盤、バベットの言い放つ言葉が胸に刺さった。
「貧しい芸術家はいません」。
そうだ、だから描けなくなった私は、こんなにも貧しいのだ。

バベットの晩餐会 (byココアちゃん)

いいでしょう、この映画。まるで印象派の絵画が動き出すみたいな。
もちろん北欧らしく、あまりカラフルでなくて寂しい漁村なのですがなんとも美しい…。
(たしかに姉妹のお父さんは理解できないけど)
姉妹もいい味だしてるけど脇役がいいですよね。
特に私がお気に入りなのは御者さんです。
彼がキッチンでお相伴させてもらって、その都度誰よりも
「これは美味い!!」って表情をするの。
セリフはないのにものすごく美味しい、って顔が言ってる。
見事です。ああ、本当に美味しいのだな、ノックアウト!の表情です。
あのキャラが物語にメリハリを付けてたように思います。
村人たちとの比較にもなって。
美味しいものは言葉いらない、ですよね。

しかしうずらのパイ包み焼き、食べてみたい〜。
デザートも、クグロフ菓子に果物とシロップと洋酒を豪快にかけて、飾りの
小さなバラはバタークリームかな…ああ、
焼き菓子って最高だよな…。給仕の男の子の鼻の形がかわいいね。
日本人では有り得ない…あの子は未成年なんだろうね、でも残り物のお酒を
失敬しちゃってたところも可愛い。このへんがフランス人?
冒頭のバベットがコーヒーのお供にクッキーみたいの焼いてたでしょ。
あれも美味しそうで美味しそうで…。憧れちゃうなー。ああ…あんな暮らしを
してみたい、と一瞬思ったのでした。笑。
しかし「タラのゲロスープ」みたいの、本当に不味そうね。笑。

ちなみに当時の1万フランは多分100万円くらいではなかろうか、と。
なんかに書いてあったか…。
私も「貧しい芸術家は〜」のセリフにやられました。
白眉です。

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<管理人からお返事>

そうそう、この映画と『リトル・ミス・サンシャイン』は、ココアちゃんがDVDを貸してくださいまして、おかげさまで素敵な映画に出会えました、ありがとう。
この『バペット〜』みたいな映画を観ると、まだまだ世の中捨てたモンじゃないな、と生きる意欲が湧いて来ます。大げさ?(笑)



バベル

キクチリンコ(爆)
なぜいちいちパンツを脱ぐ?

…いえ、分からないでもないんですがね。
あまりにも直接的というか露骨過ぎてさ。
最後は父親の前で全裸だもんなぁ。
多分海外から見ると、「制服を超ミニにして」「"援交"を行い」「夜の渋谷を徘徊する」日本の女子高生は、性欲の塊にでも見えるんだろう。ソコは最重要ではないワケで、この映画でも"チエコ"はかなりヤバい所まで行っちゃってる特殊な女の子ではあるんだが。
あまりにも痛々しいと言うか見苦しいと言うか、辛かったなぁ、見てて。

『バベル』ってくらいだからね、人間の愚かしさや身勝手さが全面に出て来るのは仕方無いのだけれど。
出て来る人物の殆どが感じ悪くて、感情移入しにくいったら。
ほぼ全面的に被害者であるブラピとケイト・ブランシェットの夫婦さえも、悲劇は置いといてヤな感じだなーと。
それにしても、ブランシェットの真っ白な肌や明るい金髪は、モロッコの景色に似合わない。その絵ヅラだけで「異邦人」「いるべきでない者」という印象が固まる。

聖書のバベルの塔のくだりは何となくは知っていたが、世界の原語が共通でない理由付けになっている事までは知らなんだ。
言葉が通じない=心が伝わらない、というのがこの映画のテーマなのだろうし、そういう意味ではキクチリンコの聾唖の少女は最も主題を語るにふさわしい設定人物なのだけれど。
いかんせん、パンツ脱ぎすぎ

物語は大きく分けて4つ。
怖さも知らず銃を持ってウッカリ遠くのバスを撃ってしまう年端もいかぬ少年。そのバスに乗ってて狙撃されるアメリカ人観光客。その撃たれた夫婦の子供達を預かるベビーシッターが、子供達を連れて国境越えの挙げ句砂漠で立ち往生。そしてパンツを脱ぐキクチリンコ。
正直登場人物の誰にも感情移入できなくて(みんなヤな奴)、けっこうキツい映画だったが、最後にシッカリ全てが繋がってまとまったのは気持ち良かった。

そうそう、子供達を連れ回さざるを得なくなった移民のおばさんベビーシッターは、やった事は悪いけど気持ちは分からないでもない。
島国に暮らしていると、国境問題というのは見えにくいけれど、このおばさんのような人にとってみれば「なぜ見えもしない線があるの?」という感じだろう。こちらもとてもテーマに近い立場と言える。
祝いの席から一転、めかし込んだ姿でメイクも髪もボロボロになって砂漠を駆け回る太ったおばさんの姿は印象的で感動的だった。
天使のような子供達の無事を祈ると共に、唯一少し思い入れができた人だったかも。
バスを狙撃する少年も、兄弟間の張り合いとか貧しさから来る無知とか、色々考えると分からないでもないのだが。そして結末の悲惨さには胸が痛むのだが、それにしてもバカ過ぎてな…。

と、こう丁寧に見て行くと、それなりにテーマ性もシッカリしており、それぞれの事情もキッチリ描けていて、良心的な映画だと思うのだが。
無名の日本人女優が大抜擢、というニュースに乗せられて見たせいか、どうにもこうにもキクチリンコのパンツの行方ばかりが気になってしまう、残念な印象でありました。

ハムナプトラ/失われた砂漠の都 

一部で「砂漠のインディー・ジョーンズ」と呼ばれたとか何とか。
って言うかインディージョーンズって舞台の大半砂漠じゃん(笑)
冒険活劇だし、ちょいホラー?ファンタジー風味だし、エジプトだし。
面白い要素は物凄く揃っているのに、なんか、なんだかイマイチ乗れなくて、公開当時から不思議に思っていたこのシリーズ。
…うん、主演がね、好みじゃないのよ。

イムホテップ最高なんだけどなー。ジョナサン兄ちゃんも大好きだし。砂漠の民の黒衣の彼(オデッド・フェール)も最高にかっこいい。せこい小悪党のベニーも印象深い。
でもやっぱり、出ずっぱりのヒーローとヒロインが好みじゃないって辛すぎる。
設定も悪くないのよ、冒険家のヒーローにエジプトオタクのヒロイン。
でもブレンダン・フレイザーはワイルドな冒険家にしてはドタドタしてるし、レイチェル・ワイズには全く知性を感じない
なんか二人して油っぽいんだよね…砂漠でラクダに乗りながら見つめ合うシーンとか、いいトコなはずなのに「うわ、油臭い…」ってなっちゃって。
レイチェルさんは役によってはとても綺麗なんだけど、エヴリンはダメだわ。

とは言え、なにしろ本当の主役はイムホテップだし、砂漠だし、ピラミッドだよね!
イムホテップのミイラから人間に戻る過程が面白くて、怖いと言うより(いや現実に遭遇したら気絶モンだけど)ユーモラスでチャーミング。あの目玉の飛び出し具合とかね。ギクシャク動く感じとか。
人間型になった時はちょっとガッカリしちゃった(笑)。
ギリギリ20世紀の作だけど、CGもふんだんに使ってて、ある意味正しいCGの使い方と言うか、見たい景色を見せてくれた点でもとても良かったんだけど。
あと飛行機野郎の爺さんが良かった。
ああいうシーンは映画らしくて好き。できれば生きて活躍して欲しかったけどね…。

舌を噛みそうなアナクスナムンは、いわばファム・ファクタル。
それに相応しい美貌とスタイルの文句なしの美女(パトリシア・ヴェラスケス。ちょっと江角マキコさんに似てると当時思った)だけど、あまり他では見掛けないような…と思ったら、スーパーモデルですって。
なるほど納得。

主演男女が好みじゃないのは全くもって私の個人的事情で、本当に残念なんだけど、見るたび面白い部分に気付く、楽しい映画だと今は思う。

ハムナプトラ2/黄金のピラミッド 12/3

なんか二本目にしてすでに蛇足感満載なんですけど。
とりあえず、ロック様が怪獣に!
と、いう点を高く評価したい。
でもどうせなら生身のロック様のアクションがもっと見たかったけどな。

何がつまらないって、元々あまり推してなかったヒーローとヒロインが一話で結ばれて、続編は結婚して子供と共に活躍って。
正直子持ち男に全く色気を感じないタチなので、ここですでにかなりのマイナス点(元々ブレンダン・フレイザーは好みにカスリもしないんだけど)。
だってアクション映画のヒーローはセクシーでなくっちゃ
またこの息子がこまっちゃくれて可愛く無いのよ。
そんなこんな、最初から乗り気じゃなくて申し訳無いんだけど、砂漠もピラミッドもロック様も大好きなもので。
あ、ジョナサンとイムホテップも好き。
って言うかいっその事、地元民アーデス(セクシーなオデッド・フェール!)が主役だったら良かったのに。
オレンジ色の砂漠に、あの濃い〜容姿が映える映える。

前作ではかすりもしなかった、取って付けたような生まれ変わり設定は必要だったのか???
そしてまあ、レイチェル・ワイズのエジプト衣装の似合わなさよ(笑)。
対峙するのがエキゾチックな完璧美女のパトリシア・ヴェラスケス(この名前がすでに美女)だから、尚更ね。
そして女二人の格闘場面が長い長い。すっかり飽きてしまいましたわ。
そもそもエヴリンは図書館勤務のエジプトオタクだったはずなんだけど、いつの間にあんなに戦闘能力付けたのか…あ、前世の記憶?
でもまあ日本の女優でこれできる人、って思ったら、なかなか凄いかもしれないけどね。

スペクタクルに関しては、よくもまあ次から次へ、ってサービス満点。色んな手段を総動員してる感が楽しい。
まあ今見るとCGはぎこちないけど、その辺私はあまり気にならない、大切なのはイマジネーション。
魔法の呪文で死んだママが生き返る、とかはあまり良いセンスとは思えないけど、死んだイムホテップが生き返るのはとても楽しい。
大暴れのスコーピオンキング(お顔がロック様!)も楽しいし、砂漠の民が黄泉の軍団と対峙して、来るぞ来るぞ…来たー!消えた。ってシーンも大好き。
割れた床下に亡者がウジャウジャ、っていうのも夢に見そうな名シーン。

そしてまさかのラスト…えぇ、何千年も股にかけた恋じゃなかったのかアナクスナムン!?って。
イムホテップの諦観した顔が悲しかったな。
そしてジョナサン兄ちゃんは、今回も私のオアシスでした。

ハリー・ポッターと賢者の石<第1話>

嫌いじゃないのよ、このシリーズ。
子供達の魔法学校という設定は楽しいし、眼鏡っ子の主人公に勝ち気な優等生女子、ちょっとヘタレな親友、という王道三人組も可愛い。動く階段とかフクロウ便とか、魔法学校のケープ式制服とか、大小道具もいちいち楽しく可愛らしくて、ワクワク材料がいっぱい。
そもそもちょっと前まで、少女向けのアニメはほぼみんな魔法使いモノだったじゃん。需要がある上にディティールが良く出来てるから、それだけで楽しいのよ。
ついでにウチの甥っ子1号が、三人組と同世代というのもあって(しかもちょいポッター似)、一緒に成長していく感じも個人的に良かった。
…でも映画が大好きかと言うと、実はそんなでもなかったりする。
何と言うか、根底に流れるモノが暗いと言うか陰惨過ぎる気がして(実はまだ結末を知らないんだが)これ子供に見せて大丈夫なの!?という気がしてるんだよね。
そして、「選ばれたる特別な子」が主人公なのはよくある話だけれど、このシリーズのハリー君は色々選ばれ過ぎちゃってる感じで素直に応援できない。主人公サイドに敵対する人々(ハリーの育った家庭とか、マルフォイ一家とか)に対する冷たい目線も居心地悪い。
流石は階級制度の根強いお国柄、なのか…???
てなワケで、一応全作制覇するつもりではあるが、各々の感想は手短に、簡潔に、行きたいと思います。

カワイイよねぇ、ハリー、ロン、ハーマイオニー。
しかし何気に悪役のドラコ君が一番の美少年ってのが私好み(笑)。
実に10年間を、ほぼ同じキャストで撮り通すという大企画で、特に子役はどう成長するか読めない部分も大きいので、楽しみかつ心配ではありましたが。結果がまあ、可も無く不可も無く、と感じるという事は、概ね成功だったんでしょうね。
あと私、マクゴナガル先生が好きだな。なんかすごい、"魔女"ってイメージにピッタリで。
3話くらいまでは先に原作を読んでいたので、ハグリッドはちょっとイメージと違ってガッカリだったんだけど、回を重ねるうちに慣れてしまった。なかなか愛嬌があるし、良いと思います。
ロンの一家、特に双子の兄ちゃん達も好き。
そしてスネイプ先生…(笑)大好き♪なんかいつも間が悪いと言うか要領が悪いのかな、このヒト、なんて思っては笑ってしまう。『ダイ・ハード』の悪ボスがこうなろうとは、予想だにしなかったわ。
原作でも思ってたけど、ダンブルドアってけっこう無能。でないと子供達の活躍の場が無くなっちゃうから仕方無いんだけど。でもリチャード・ハリスは独特の風格があって、つい観てる間は尊敬しちゃうという(笑)。途中で亡くなったのは本当に残念です。

 

で、第一話『ハリー・ポッターと賢者の石』。
第一作という事で、特にお話は充実してると思う。
子供達がなにしろ可愛いし、箒で飛ぶ練習とか、でかいトロールとトイレで闘うとか、ワクワク要素がいっぱい。蛇と話すシーンも好きだ。
…でも、今回に限らないけど、あの「クィディッチ」ってスポーツ、ゲームとしてはすこぶる出来が悪いと思う。もうただ、「シーカー(=ポッター)」をスターにしたいだけのために作られたルール。団体戦なのにシーカー以外の頑張りが全然勝敗に影響しないというね。
この辺りの詰めの甘さと言うか贔屓の引き倒し感が、どうも好きになれないんだけど。
あとあのケンタウロスは、ちょっといただけないなぁ。トロールは良かったんだけど、あまりにCG臭くて残念。
私の好みとしては、人間部分の上半身は普通に人間にやって欲しかったんだけど。下半身はキグルミでもOK(笑)。

そして突然のオトコマエぶりを発揮する、チェスのシーンのロン!!!
ここはちょっと涙ぐんでしまった。
まあ結局、大した怪我も無く済んでしまうんだが(笑)、あれ最初から覚悟して黙って始めてるよね。
いつもヘタレで頼りないロン君だけど、サスガは名門魔法一家の息子。そしていつもヘタレっぷりを見てるからこそ、ここぞという時に勇気を振り絞る姿が感動を呼ぶのだよ。
実を言うと私、三人の中ではロンが一番お気に入り。

あの鏡は…怖い。見たくない、けど見てしまうだろうな。だから怖い。
映画化が決まった時点で大ヒット作品になっていたので、第一作の造りもかなり強気(二作目以降がポシャる事などあり得なかったのだろう)で、謎や疑問が大量に次回へ持ち越されていて、独立した1本としては全く評価できないんだけど。
実は私はハリーの生い立ちや「名前を言えないあの人」に関しては大して気にならないので、別にいいや。
ストーリーの根幹とも言える部分に興味が無くても、魔法を巡るアレコレや子供達の可愛らしさ、クセのある大人のキャラの面白さだけで、充分次を観る気にさせられる、それはそれで凄い事だと思う。

ハリー・ポッターと秘密の部屋<第2話>

マンドレイク(笑)。
こういうの、見てみたいのよね、実写で。
冒頭の空飛ぶ車とか、ロンのママからの「吠えメール」とかね…不死鳥とか。蜘蛛とかね。ロン君のビビり方が最高。大蛇も動きが美しかった。
そういう点では、今回は何と言っても卑屈な小人の"ドビー"が白眉。
造形といい表情といい、本当に良くできている、と言うか良い演技してる。
"呪い"を解いてまんまと自由にしてやったくだりは、このシリーズには珍しいカタルシスがあった。

タレント作家みたいな先生も面白かった。最初からロンとハリーがイヤ〜な顔する辺り(笑)。そしてこういう男はやっぱり信用できないという(笑)。
安定のスネイプ先生との対決?も楽しかった。
三人組の容貌は、この回が一番可愛いかも。
エキセントリックな幽霊の眼鏡っ子も面白い。意外と重要なんだよね。
トム・リドルもナカナカの美青年で大変よろし。悪役は美形でなくては盛り上がりましぇん(笑)。

クィディッチはずっと引っ張るんだろうなぁ…誰も何も言わなかったんだろうか、あの盛り上がらないゲーム。アレが入って来ると見る気が失せるわ。箒で飛ぶのは楽しいんだけどな。

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人<第3話>

うわ、ハリー君が育っててビックリ!
時系列的に仕方無いとは言え、あの可愛らしい子供達がもう見られないと思うとちょっと残念ではある。美少年美少女が美男美女に育つとは限らないしね…さてさて。

そしてゲイリー・オールドマン!(笑)嬉しい。ルーピン先生も良かった。あんな事情で去って行くのは切なかったけど。でも二人ともまた出て来るみたいで期待。
ハグリッドの"動物好き"も微笑ましく、動物達を見るのがまた楽しい。
動物と言えば、ロンのネズミはショッキング!しかもタダの不細工と思ったら、かなり凶悪だったし。
大人っぽくなったと共に、ハリーもダークサイド丸出しにして来たね。「殺す」連呼とか、かなり好戦的。
こういう所が、私はちょっと怖くてダメなんだと思う…心がパサパサします。
でもストーリーは、誰が味方で誰が敵!?というハラハラ感はなかなかで、面白く見る事ができた。
シリウスとルーピン先生、からのスネイプ先生が、またしても…プププ、で。やっぱり好きだ、この人。

あの顔がグニュニューンって吸われるの怖かった。
オチの時間移動ネタは、あまり好みじゃないのでどうも…個人的にはガッカリだったんだけど。
なんか魔法とは別ジャンルの気がするんだよね。そしてコレを許してしまったら他の魔法の価値が下がると言うか(クィディッチにおけるシーカーと同じね)。やるならキッチリ厳しい制限を付けて欲しいんだけどな。
でもとにかく、バックビークたんが無事で良かった♪ヒッポグリフの造形も綺麗だし、仕草がカワイイのよ。

ハリーポッターシリーズ byココアちゃん 

「ハリーポッターとアズガバンの囚人」
おかん曰く、
「ほら、ハリーポッターと…預けたカバン、って言うの?」
ですって。
おかんの聞き違いでした。
あ、このシリーズいっこも見てないけど。

 

ハリー・ポッターと炎のゴブレット<第4話>

えええぇええ〜〜〜〜〜!?
セドリック兄さん殺しちゃうの!?そんなアリかよ………orz

なんとハリポタ初、ロードショー鑑賞した本作。多分何かのお付き合いだったんだけど、思いの外刺激が強かった。
元々このシリーズのダークな色合いが肌に合わないと思っていたんだけど、ちょっと今回はもう…きつい、色々と。
お父さんが可哀想でな…ひどい、ひどいよ。元凶は主にハリーだし。

そもそもあの大会だの競技だの、いい加減にしろと言いたい。
競技者の大切な人の命をコマにするとかなんなん。寝てる間に誘拐して眠らせてって。しかも制限時間に間に合わなかったら終わり。終わりって!
あれポッターが頑張って二人連れ戻さなかったら、あの美人さんの妹は永遠に戻らなかったって事だよね?
そこを誰一人怒らないのが納得できない。ただハリーを称えるだけ。
続く競技で死者が出たところで、確信したわ、ダンブルドアは無能どころか諸悪の根源。コイツ信用しちゃダメ!
そういう話じゃないのでしょうが、常識的に考えたら更迭モンでしょ。もしくは逮捕。

「あの人」復活シーンは怖かった。
もはやファンタジーよりホラー
そしてあの、ハンサムなレイフ・ファインズが…(笑)、最後はちゃんとした顔になるのかな?
こればかり言ってるが、本当に子供に見せていいのかな、これ。私はイヤだな…。

片や、学園モノ路線では思春期真っ盛り。
甘酸っぱくなっちゃったりして非情に居心地の悪い思いをした(笑)。
エマ・ワソトンちゃんは美人だけど、もう少し幼い頃の方が可愛かったような。顔がシャープになり過ぎてちょっと怖い。ハーマイオニーはあの可愛げの無い性格だし。
まあ悲惨な成長を遂げる子役が多い中、随分幸運な方だとは思いますが…むしろハリーが心配かも。

そう言えばコレを見て以来、このシリーズ観なくなってたんだっけ。あの湖の部分で見切りが付いたと言うか。まあ完結したし、一応観るつもりだけどね、これから。

ハリー・ポッターと謎のプリンス<第5話>

え、スネイプ先生、えっ、えええぇ!?
てっきり、怪しいようで単なるお間抜けキャラだと思って油断していたのに。
完全にやられました。
ってか名優アラン・リックマンの残り少ない勇姿なので、シリアスな見せ場があってなにより。
ああ、本当に惜しい人を…(涙)。
ちなみにダンブルドアに関しては、何の感慨も無し。
実はほぼ全ての元凶だよね、あの爺さん。しかも肝心な所は子供任せのダメ教師

前にもドラコが一番美少年と書いたけど、悪役(しかも小物)マルフォイ一家は本当に美形揃い。
ドラコも美少年だが、ママが美しい!
ドラコ役のトム・フェルトン君は、シリーズ撮影中ずっと美白のため日焼け止め塗りまくりだったとか。その努力が報われる、印象的な容姿だったと思う。
そして突然のネビル大活躍、どうした!?気付けばイケメンに育ってるし。

物語の主軸は"あの人"ことヴォルデモート(そろそろ伏字も通用しなくなってる)との決戦に向かって進むが、合間にチラ見える思春期の恋愛模様が微笑ましい。
なし崩し的にイケメン枠に収まった?ロン君を巡り、積極的な早熟娘とお高い優等生(=ハーマイオニー)のトライアングル。
だいたいこの年頃は男子の方が幼稚なもので、自分の感情にも無自覚なロンの様子がもどかしくも愛おしい。

この後の暗く厳しい展開を思うと胸が痛む。
子供達を巻き込む戦いなんて見たくない。しかも被害甚大なのは分かってる。
でも現実世界でも、今日も子供達は戦いに殺されているのだわね…。

と、いう訳で、一人旅立つポッターに付いて行く決意を固めるハーマイオニー。
さすが優等生。ロン君置いてきぼり(笑)。

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団<第6話>

うーん。
「あの人」関係にあまり興味を惹かれない(それって大筋に興味無いって意味)からな…。
物語は佳境なんでしょうが、楽しい描写が減って戦いにシフトされるにつけ、私の興味は薄れて行く。
まあ、ここまで来たら結末まで付き合いますけど。

不思議少女のルーナちゃんが可愛い。
どうせならポッター、こういう子と恋をしたら面白いのに。
物語の主流は恋愛ではないし、ルーナは"天才"や"伝説"に靡くタイプでもなさそうなので、まあ脈は無いか(笑)。
それでも後半けっこう活躍するので嬉しかった。

「たかがマルフォイ」呼ばわりには笑った。
いわゆる「のび太のクセに〜」みたいな扱いね。
確かにマルフォイは小物だし、美形の両親もどことなく間抜けに描かれて来たから、ガチで敵に回るとは思わなかった。
原作者がイギリス人だからなのか、このシリーズって階級、家柄、血縁、伝統etc…にこだわりが高いと言うか比重が重いよね。
あの家庭に生まれて、マルフォイが他に生きようがあったのか、なんて事を考えてしまうワケですが。
シリーズ最初からちょっと感じていたんだけど、ハリーの預け先家庭の描き方も、あまりにマンガ過ぎて辛いのよ。
この世界、主人公に仇なすモノは徹底的に貶められる、なんか残酷と言うか酷薄なんだよね。

相変わらず不思議生物は楽しいし、ハグリッドは泣ける程イイ奴で、そこは文句なしに楽しめる。
アンブリッジおばさん先生が怖い、キモい。
凄いイヤなとこ突いて来るけど、小学校教員とかにいるいる、あのタイプ。
(まあ物語は大発展するのでソレどころじゃない巨悪になって行くんだが)
チリチリ頭のパンク姉ちゃんみたいなH・B・カーター。ああいうキャラは冷めるわ
カーターは良い女優さんなんだろうけど、時々(たいがい)ウザい、割と雰囲気クラッシャーな気がする。
ああいう衣装であの性格なら、申し訳ないが若いキリリとした美女で見せて欲しかったな。もしくはクールビューティーな熟女。もちろんナイスバディの。悪いがカーターさんはチンチクリンだもの。
ケチばかり付ける気はないけど、目に付くのは苦手な部分。物凄いキャラクターの数で全体が把握できない(汗)。

そして、え、シリウス、死んでしまうん!?
本当に?
(まさかこの後あんなに大量の死人が出るとは思いも寄らず…この時は)
そうそう、いよいよヘタレのロン君がイケメン枠に侵入して来ました(笑)。
いいぞ、いいぞ。

ハリー・ポッターと死の秘宝1.2<第7.8話>

とうとう来ました最終章。
映画は二本に分かれてるけど、完全に続きの内容なので感想はまとめて書きます。

いや〜ロン君が本格的にイケメン枠でんなー(ロン贔屓の私はニヤニヤ)、ハーマイオニーとすっかりガチの両思い。
…と思いきや、あわや三角関係!?な展開もあったりして、若いっていいな〜、と遠い日の花火を思い出すのでありました。
だってね、あのハーマイオニーのエロシーンを思い浮かべて身悶えるロン、妄想上のお相手はハリー…あの、可愛かった三人組が。
これはもう、リアルタイムで10年間、彼ら(役も役者も)の成長を見て来たからこその感慨で、シリーズ完結してくれてありがとう、と心から思ったわ。
それにしても"ヘタレ"で始まったロンが、イケメンで英雄でヒロインの王子様とは。さすが名門の子息。
…いや、思えば最初から、チェスで自己犠牲を(びびりまくりつつ)敢行した時から、彼はオトコマエで私のヒーローだったのだけど。

で、ドビー!!!
泣いたよ私。
キモいし鬱陶しいし別に好きじゃなかったんだけど。
醜くて悪気の無い者って、とてもいじらしい。埋葬シーンは美しくて悲しかった。
まあこの後そんな事がささいな出来事に思えてしまう程大量の人死にを見せられるワケですが。

残念ながら最後まで「あの人」関連に心が動かなくて、秘宝がどうの箱がどうのと言われても、面倒臭い
ただ、今までハリーだけが"選ばれし者"感が強かったのが、皆がそれぞれに頑張って参加してる感じは良かった。
…その分被害も皆に及ぶんだけど。
「あの人」は蘇ったら鼻もちゃんとするのかな、と勝手に思っていたんだが、完全復活を果たした後もあんな顔のままだった。なんなんだ。
魔法に関しては、単純な方が楽しめる。皆が変身した粒の揃わないハリーがズラリと円陣を作って並ぶ様子はシュールで笑えたし、ハーマイオニーがベラトリックスに化けて潜入するシーンはH.B.カーターが可愛らしくて笑ってしまった(前回悪口を書いたけど)。
ネビルとルーナの美男美女カップル?の大活躍も嬉しかった。

そして決戦、まさかの死者累々。
王妃マルゴ』もビックリの死骸の山に、正直私はドン引きしてしまった。
もう最初からずっと言ってて、要は私が客層から外れているという事なんでしょうが。ここまでやる必要があったのか?と。
小人気キャラも随分とやられちゃった。もちろん子供も。
でも正直私は、最後にはハリーが死ぬかも、と思っていたので、そこはホッとしたんだけど、それにしても、後味悪っ!
目玉の先生もロンの双子の兄ちゃんの片方もショックだった。あの双子地味に好きだったのよ。

ダンブルドアって、やはり信用しちゃイカンかったのよね。
と言って他に頼れる大人もいない少年少女たちが哀れだ。
それよりスネイプ(号泣)!もーアンタはやっぱり不器用で、多分ドジな奴。愛しい。
私の中では『スネイプ永遠の愛』にタイトル変わっちゃったよ。
ドラコは辛そうで、どうなっちゃうんだとハラハラしたが、まあ生き延びて良かった。
あとは、私の大好きなマクゴナガル先生がご無事でなによりでした。
気品がありお茶目で勇敢で、大好き。猫に変身するのが全く違和感ナシ。作中最も魔女らしい魔女だと思う。
そうそう、ロンのネズミがまさか、まさかの展開で、あれも心カサカサになったな…。

結末は一応、多大な損害と犠牲の上に勝利をおさめ、ハッピーエンドと言えばそうなのでしょう。
ロンとハーマイオニーは納得だが、ハリーとジニーが結婚というのは…あれ?君達いつの間に??みたいな印象だった。
戦いの方が忙しくて、合間にバタバタッと恋愛感情も盛り上がっていたのでしょうが、うーん。
そもそも(少なくとも映画では)ジニーって端役だったじゃん。ロンの妹というだけの理由で存在を記憶してはいたけど、"妹"以外どんな子なのかほぼ分からない。見た目も地味だし。
でも、ハリーにとっては、ロンのウィーズリー家というのは憧れの家族だったんじゃないかな、とは思う。大人数で賑やかで、肝っ玉母さんが取り仕切ってて、とても家族らしいぬくもりのある家族。きっとずっと、羨ましかったんだと。
その家族の一員になれて、親友のロンともハーマイオニーとも親戚関係になって、それは嬉しいだろうな、と。
たくさんの血が流され、悲しい別れがあっても、人は乗り越えて幸せになって行かなくてはね。

そこで終われば良いものを!
なんだか原作者は「ハリーとハーマイオニーを結婚させればよかった」とか言ってるそうで。
前々から薄々思っていたんだけど、この原作者バカだよね。ホントなんにも分かってない!
と、歯痒く思う程度には、10年続いたこのシリーズに私も思い入れができたって事でしょうか。
最初に「各々の感想は手短に、簡潔に」なんて書いてるのに結局全作長々書いてしまったし)


バリスティック 8/26

いや〜。
この頃のバンデラス、少し脂っ気が抜けて渋みが増して、めっっっっっちゃ素敵なんですけど!
シャッター下ろす前に両手を上げてる所とか、ルシーリューにやられて無防備に横たわって見下ろされるところとか、理不尽なまでのセクシーっぷりに打ちのめされたわ(笑)。

でも、この映画のスーパーヒーローは、ルーシー・リュー。
なんでしょうかこの人は?
出て来た頃は「うわ〜アジアン丸出し(でイヤ)!」って思ったんだけど、それは短い間だった。
今回も映画の出来はともかく、ルーシーはとても魅力的。
寡黙で感情を外に出さず、しなやかな肢体でアクションもバリバリにこなす姿は、何か猫科の獣じみてて存在感にワクワクする。
派手なドンパチの末に少年の前に現れる初登場は本当に美しくかっこよくて、見事な"ひとめぼれシーン"だった。まあ劇中見てるのはガキ一人なワケだが(笑)。
それにこの人、全然老けないんですけど…ちょっと怖い程。

そんなセクシーなバンデラスとチャーミングなルーシーで、ちょっと色っぽい展開でもあるかと期待したんだが。
ゴツくて常に不機嫌な元妻と、生まれて一度も会った事も無い息子とヨリを戻してめでたしめでたし、という、全く持って食い足りない流れにガッカリでしたわ。
悪役もあまり迫力が無く印象が薄いし。
元妻とは愛し合ってた前提があるだけで、活躍もせず、良い時を全く見せてくれないから魅力が全く伝わって来なくて、全然思い入れができなかった。
妊娠中に今夫である悪役に拾ってもらった割には妻の態度が横柄で「やな女」にしか見えないし。
息子はまあいいけどさ。罪は無いしね。
でもこういう、男が何も知らないうちに子供が生まれて成長してました、って話、良くあるけど、男性は嬉しいもんなのかしらねー?
女もさー、お腹の子の父親が死んだからってすぐ他の男の妻になって、いい生活してんじゃないよ、って気持ちになりますわ。しかも偉そう。可愛く無い

悪役のガントという男、一目惚れした人妻のために身分も捨て人を殺め悪の世界に君臨って。
ご苦労様だよね。凄い巨悪のように言われてるけど動機が片思いって(笑)。
しくじった部下に自決を強要したり義理の息子の体内に殺人兵器を埋め込んだりと極悪非道ぶりを見せる割に、部下にケチョンケチョンに言われて(こうなったのはアンタのせいだ!とか)黙っちゃったよね(笑)。
しかし、いくらアメリカ広くてもね、恋人同士がお互い死んだ事にされて数年間というのも嘘臭い
そして時限殺人兵器、簡単に取り出しちゃってるじゃんー(笑)!
何かもう、端々が甘い、甘すぎる。

最後は余韻を持たせるべきお別れシーンなのに、変な折り鶴?で大笑いさせられちゃったし。
あのヘロヘロの鶴はちょっと可愛かったけどな。

と、話は本当に古臭くてつまらなかったけど、アクションはとにかく派手派手だったし、なにしろルーシー・リューは爆発が似合う!
そしてバンデラスの、コート姿で銃を構える姿の美しさ。
最後に二人並んでちょっとシンミリ話すシーンがあるのだが、身長差といい顔の造作といい、絵になるのよこの二人。
バンデラスとルーシーがかっこよかっただけに、内容の薄さが本当に残念だ。

パリ、テキサス

ヴェンダースにナタキンとあって、張り切って観に行った。
派手さは無いけど、そして何も解決しないんだけど、後味の良さが不思議な映画だ。

いわゆるロード・ムービーなんだろうな、いい加減な父親と、ほったらかしにされていた息子(小学校低学年くらいか?)が再会し、逃げた母親を訪ねて旅に出る。
ファミリーという物に何となく不信感のある私は、これくらいの親子関係が入り易い。
多分、ダメな父親は、責任の無いところでたまに会うと面白い奴だったりする可能性が高い、気がする。

そして見つけた母親は、何やら風俗系の仕事をしている。
マジックミラーの向こうとこちら、声だけで、客が元亭主と分かって、キラリと振り返るナスターシャ・キンスキー。
はっきり言って、見せ場といったらここくらい。
修羅場も抱擁も無く、父は息子を妻に託してまた旅に出る…って、オイオーイ!というラストなのだ。

うっかり美しく生まれてしまったために、男の勝手な妄執のおかげで人生かき回される女。キンスキーは『テス』でも『マリアの恋人』でも、そしてここでも繰り返し演じている。
単なるはかな気な美女ではなく、クセの強い、意志も気性も強そうな彼女が、なぜ?…いや、だからこそ摩擦が起きるのだわ。

ヴェンダースの詩情あふれる画面、丁寧なディティール描写は、「なんじゃあこりゃあー」なストーリーも美しく歌い上げてしまう。
でもあのオヤジ、これからどーするつもりなんだろう。

パルプ フィクション

デンデケデンデン…と、景気のいい音楽に乗って、踊りまくるジョン・トラボルタとユマ・サーマン。
センスの良いコマーシャルフィルムに、まず心奪われた。
宣伝に惹かれて観ると、期待外れもままある事だけど、今回はアタリ。楽しかったー。

軽快なテンポ、凝った構成、イカシた音楽に、個性的なキャスト。
でも、この映画の一番の魅力は「ミもフタも無い唐突さ」だ。
すごいオーラと存在感で登場したユマ・サーマンは、あっという間に退場しちゃうし、ギャングの闘争とはいえものすごくサクサク人を殺すし、主役のトラボルタまでがあんなありさま。
(このへんちょっと、たけし映画を思い出させる、こっちのが先だけど)
自ら「パルプフィクション」(三文小説)を名乗るだけあって、チープで薄っぺらな人物描写が、「案外現実はこんなモンかも」っていう気にさせられるから不思議。
それもこれもひっくるめて、なんしろクールの一言、軽い目眩とかなりの疲労を伴うけど、この疲れ方は私には心地良い。

豪華キャスト、なんて言われてるようだけど、トラボルタはこれ以前、長い事パッとしなかったし、ユマ・サーマンだってそんなメジャーじゃなかった。ブルース・ウィリスは、もちろん『ダイハード』で超有名になった後だけど、「で、なにもの?」って感じがまだあった頃。
で、トラボルタは完璧なチンピラぶりと、やっぱこれでしょ!のダンスシーンで、サーマンは短時間ながら妖艶で退廃的な美しさで、そしてウィリスは「ダイハード」が単なる儲け役じゃ無かった事を証明して、それぞれの立ち位置を固めた、気がする。あ、サミュエル・ジャクソンも、今じゃこれでもかの超売れっ子だけど。

大好きな『トゥルーロマンス』の脚本も書いたタランティーノ監督、かなり注目して楽しみにしてたんだけど、『ジャッキーブラウン』は(私的には)サイテーだったので、ちょっとビミョーかな。(顔はキライなので映画に出るのはやめて。)
この『パルプ…』と『ジャッキー…』の距離って、実はそんなに遠くなくて、つまり元々かなりピンポイントを狙ってる感じだから、はずれるとゼロなのかも、って気がするんだけど。
久々に新作が出るらしくて、ユマ・サーマンとルーシー・リューの戦いだって、ちょっと楽しみ。

パルプフィクション(by 踊るタイサねこ)

映画って漫画に近いっちゅうか、漫画原作多かったりするよね。  ハリウッド映画なんて特に。で、思い出したのが、有名な日本おたくクエンティンィン・タランティーノ。
パルプフィクションはかなり好きだ。ブルース・ウィルスは6センスよりもずっと良い演技だと思うし、ジョン・トラボルタなぞスランプ(当時)脱出の熱演だ。同じくタランティーノの無茶苦茶(?)映画フロムダスク・ティルドーンも大好き。馬鹿馬鹿しさ100%強盗の馬鹿兄弟VSバンパイヤ軍団の映画で私の好きなハーベイ・カイテルは出てるし、当時まだそんなに有名じゃなかったジョージ・クルーニがカッコイイの。あ、長くなっちゃった! 

バロン 

大好きテリー・ギリアム監督の、"失敗作"として有名な、この映画。
公開当時も楽しく見たが、改めて見てみても、失敗したのは興行であって、作品ではないと確信できる。

ニギヤカでカラフルで、わやくちゃなギリアムワールド。今回は特に、徹頭徹尾『現実世界』にこだわらず、好き勝手やってる印象。お金があるんだか無いんだか(笑)凝りまくりかと思えば思い切り良くカチワリにしたり、しかし89年公開とは驚きの特撮映像の洪水。
ストーリーは起承転結を楽しむタイプのものではなく、その方面を期待すると裏切られる。そんな事には開始と同時に気付くはずだから、浮き世は忘れてこのカオス世界に身を投げてしまおう。楽しいよ♪

ほら吹き男爵が、すごくチャーミング。見ようによっては(と言うかどう見ても)この人、博打好き、女好きのタダのダメ爺さんなんだけど、貴族らしい品の良さとオットリ尊大な態度を見ていると、なんだかニコニコしてしまう。ストレスが無いんだろう、キラキラした目が少年のよう。それに勇気だけは人一倍あるんだよ、この爺さん。
でも、この映画の事実上の主役は、芝居小屋の少女・サリーちゃん。歳に似合わぬクールな美貌に、いい具合に歯が抜け替わってる最中で、そのバランスが無茶苦茶可愛い。利発でおしゃまな表情も、目が離せない大熱演。
子役がユマ・サーマンに似てるなと思ったら、そのユマ・サーマンが、もう大人だったのにビックリ!
ホタテ貝からヌードで現れるヴィーナスの登場シーンは、ギリアムらしいバカバカしさと美しさが同居したハイライトだ。私としては、女神はもっと豊満な方が好みだけど、それでもこのサーマンは本当〜に美しく、キャストの男性陣と一緒に口をアングリ開けて見てしまう(笑)。

月のシーンのロビン・ウイリアムズのグダグダは、ちょっと下品でしつこいが、やはりギリアムらしいシュールさが魅力。頭と身体の関係等、深読みすれば色々ありそうな、でも何も無いのかも(笑)。子供に配慮して「くすぐってるんだ」という男爵が可愛い、と思ったら、本当にくすぐっていたりして。
個人的には、月を脱出する時のペーパームーンと、その周囲を回る星座表みたいな宇宙のデザインもすごく好き。ロープのくだりも、この世界ならと説得されかけて裏切られる、爆笑。
それから、やはり特筆すべきは、"死神"の造形。うをおぉ〜、かっこいいっ!!!大好きだ。繰り返し登場するたびに、ゾクゾクしてしまう、素敵。
家来達も全然有能そうに見えないんだけど、それぞれに活躍して楽しい。
皆が歳を取ってしまって、「もう無理なのよ…」と幼いサリーが諭すシーンは、悲しくて泣けてしまった(この映画で泣くか、私…)。

物語は大冒険だけど、ハラハラドキドキは殆ど無い。あまりにも何でもアリの世界だから、気を揉むだけ無駄だもの。男爵が剣を振るってトルコ兵の首を跳ねても、残虐さは皆無、牧歌的だ。
男爵の葬式は、どう挽回するのかとハラハラしたけど、やっぱり何でもアリの肩すかし。でも、芝居小屋と冒険談のキャストが重複していたりして、一応の配慮がある、らしい。
傑作『未来世紀ブラジル』は悪夢を体現したが、こちらは楽しい夢を追求し、徹底して肯定している。それはそれで、ギリアムさんの闘いなんだろうな、とは思うけれど、スクリーンの上はあくまでも楽しくお気楽だ。
気持ちに余裕の無い時は、あまりのホラ吹きぶりに見続けるのが苦痛に思えるかもしれない。
ポッカリ時間が空いた時、ゆったりした気分で、好きなお菓子でも食べながら、グダグダ見たい。手元に置いて、何度も適当に流して見たい映画だ。

あ、出番は少ないけど、犬がとっても可愛いです。

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー 

うーん。
なんでしょうかこの、やっつけ感

ハン・ソロが全然ハンソロに見えて来なくて、って言うか私がハリソン・フォード好き過ぎるのか?
ただのその辺の若造だった。
でももっと気になったのはヒロイン。
この女に悪党の親玉が執着するか?
仕事もできそうには見えないし、なんじゃこのちんちくりんは。ロリか、ロリなのか!?
しかも途中からポニーテールですよ。やはりロリ狙いなのか???
この女優、新版ターミネーターでサラ・コナーやってるんだ。酷い。
ちなみに私的理想のサラ・コナーはトランプ夫人・メラニアさん(笑)。喧嘩強そうで好き。

ロボットのキャラクターも無理矢理でわざとらしいしなー。
でも最後カルリジアンが満更でもなかったの分かってちょっと救われたし、なにしろあのファルコン号の頭脳が"あの女"だと思うと楽しいじゃないの。
とは言えちょっと、彼女のターンは面倒臭かったな。

ポール・ベタニーは大好きな俳優さんなんだけど、女がロリなせいでバカみたいに見えちゃって悲しかった。
あんな女がアキレス腱とは大人の男として情けない…ベタニーがもったいない。
ソロの最初の師とも言えるベケットの造形はなかなか魅力的だし、その男を倒さざるを得ないというソロの体験は、おそらく彼の一生を縛ったであろう事を思うと、なかなか感動的シチュエーションなんだけど。
何だか薄味だったなー。
若いとはいえソロはウロウロしてるばかりで全然爽快感が無いし、なによりハリソン・フォードに似ても似つかない
大スターで大人気キャラだから、下手にタイプが近くなる事を避けたのかもしれないけど、逆効果でしたね。
大幅劣化版でも、せめて面影を追いたかった。

オトコマエだったのがチューバッカ!
彼はセリフが無い(あるけど我々には通じない)けど、葛藤や感動が伝わって来た。
仲間のために一旦離脱、危機を救ったら仲間の手を振り切ってソロの元へ戻る…なんてイイ奴なんだ!
前半で退場したタコ星人パイロットの死に様も良かった。
あとタンディ・ニュートンもね。こんなワイルドな役も似合うんだ。
この二人はアウトローらしさを貫いて美しかった

正直、何を出されても「えーコレがハン・ソロの若い頃?」と、不満に感じてしまっただろうとは思う。
だって青春時代のアイドルだもの。映画を見始めて日も浅い頃、砂に水が染み込むように受け入れたヒーローだもの。
でもだからこそ、ソロ以外の部分ではぐうの音も出ないような出来の良いものを見せて欲しかったのに、現実はこの安っぽさ。
宇宙空間での戦闘シーンなんて、60年代円谷プロのテグス撮影みたいだったよ。
同じくスター・ウォーズのスピンオフである『ローグ・ワン』でダダ泣きした記憶があるだけに、何とも残念な適当映画だった。

パンチライン 

時々こういう良作を長い事見逃していて、ああシマッタと思うと同時に初見の感動を今味わえたラッキーに感謝したりする。
派手さは無いしモヤモヤする部分もあるが、それも含めて面白かった。

若きトム・ハンクスとサリー・フィールドが、とてもチャーミング。
でも最高に良かったのは、サリーの夫役のジョン・グッドマンだな。
なんか一番スタンダップ・コメディアンが似合いそうなんですけど(笑)。
ライラが美容院で失敗してうちひしがれて帰った時の、娘達と夫の慰め方が凄かった。
理解があろうがなかろうが、こんな夫がいたら裏切れないわ。基本デ○は嫌いだけど、本当にグッドマンそうなんだもん、この人。

けど正直、この手のスタンダップコメディって、面白さが伝わりにくい。
英語が聞き取れたら、もうちょっと楽しめるのかもしれないけど、字幕を追っている限りではピンと来ないと言うか。コメディセンス自体も彼の国とはズレている気もするし。
だから劇中、ドカンドカン受けてる場面も乗り切れず、客がドン引きのシーンもピンと来なくて、そういう点ではとても残念。ダジャレや言葉遊びの類なんて理解できないもんね。
でも、それを考えに入れても、スティーヴンはまだしもライラのギャグは面白いとは思えなかった。
最初の頃に「君はセックスネタが似合う女か?」とわざわざスティーヴンに言わせているのに、結局彼女が最後に到達したのは「(夫との)セックスネタ」だったという…漠然とエロ話をする得体の知れない女から、具体的な家庭を持った主婦へと"一皮剥けた"というのは分かるんだが、結局より具体的な下ネタでしたか(笑)。
それを大笑いして見てるグッドマン@夫は、本当にイイ奴と言うか、大丈夫かこのダンナと言うか…ちょっと付いて行けないな。グッドマンの良い笑顔に癒されてウヤムヤだけど(笑)。
スティーヴンの方は、多分トム・ハンクスの巧さも相まって、ウケるのは良く理解できた気がするし、大失敗の場面は本当に心が痛かった。彼にシンクロして辛い思いを共有してしまった。
この頃のハンクスは、普段の陽気な人なつこさと共に、ああいう危うさがとても良く似合う。

分からないではないのだが、店長のロミオには軽い殺意を覚えたわ。
映画監督とプロデューサー、芸人と興行師、マンガ家と編集者。同じモノに関わりながら、目指すベクトルが全く違う両者であれば、それぞれに解り合えない部分やぶつかる点があるのは当然ではある、
ではあるが、あまりに無神経な言いよう、重ねて媚びるやり口がリアルなだけに、見るのが辛かった。
正直、最後の"決戦"シーンでは、はじかれた爺さんの事ばかりが気になっちゃった(結局病状はたいした事無かったのかな?)し、優勝者のバラし方も最低で、話の本筋よりそっちに気持ちが行ってしまったくらい。

そして本筋の方の、ラストの落ちの付け方ですが。
最初に「良作を見逃していてシマッタ」と書いたけど、もう少し若くて野心に燃えてた頃の私が最初に観てしまっていたら、随分と違う感想になっていた気がする。
せっかくの優勝を棒に振るなんてライラはバカだ、とか、譲ってもらってニヤニヤしてんじゃないよスティーヴン、とか(笑)本気で思ってしまってそう。
そして、そこで受け入れられないと、多分この映画はダメだよね。
今観た感想はと言えば、ライラがTVに進出したところでそんなにいい事は無いだろうし、スティーヴンは実力に自信があるからあそこで黙って受け入れたのだろうし、実際チャンスを生かせるのも生かすべきもスティーヴン。何の文句もないですわ。

上記のような、己の勝手な事情で凝り固まった考えに囚われている者以外なら、確実に楽しめてちょっと泣けて納得できる、良く出来た青春映画(そう、子持ち主婦だって青春よ!)だと思う。

バンディッツ(2001)

いや料理しながらヘドバンはマズイでしょ。出来上がったご馳走にはもれなく赤毛が入ってるよ。旦那がご飯食べてくれなくなったのはそのせいだよきっと。

と、とっても印象的なケイト=ケイト・ブランシェットの登場シーン。
いきなり思い付いて刑務所脱走するジョー(ブルース・ウィリス)も、身体の不調を延々理屈っぽく語り続けるテリー(ビリー・ボブ・ソーントン)も、それぞれ登場からキャラ立ってて愛嬌があって、スンナリと引き込まれた。
でもブルースとブランシェットの共演ってだけでもけっこうキャッチーなのに、そんなに評判は聞かないな、と思ったら、うん。
最後まで見ると納得と言うか、中盤以降少しダレるのね。
結末も"いとこ"がスタントマンと名乗った時点で大方の予想が付いてしまい、それでも見せ方が面白ければ良かったんだけどそうでもなかった。

でも、登場人物が本当に皆(スタントの従兄弟君はもちろん、"お泊まり強盗"の人質達も、TVショーの司会者も、ケイトの旦那までも!)チャーミングで憎めなくて、いちいち楽しく可愛かった。
残念だったのは"ピンクブーツ"の彼女くらいかな。けっこう重要な活躍をするのだし、もう少しクセのある所を見せて欲しかったという思いと、でもそれに時間割かれるのは勘弁、という思いと。けど出番一瞬でも面白い人は面白いよね。
最初のお泊まりの家族との食事シーンは秀逸。その前のティーンエイジャーカップルとのやり取りも面白かった。
ジョー&テリーの変装もいちいち笑えたし、そこに加わるケイトが逆にどの服装でも綺麗で凄い。さすが。
オレンジ色の髪が逆光で光が透けて、文字通り炎のように光るところも美しかった。
通常ならあり得ない二股上等!の設定も、ケイト(女優)の下品にならない存在感と、ケイト(役柄)のフラストレーション、「アウトローで行きましょ」というセリフの(この場での)説得力の前では不快感無しに見られる。
実際、ジョーとテリーの両方の特性を兼ね備えている男性は、ある種理想的であると同時に、ケイトを苛立たせ傷付け続けた夫との対局にあるのだから。
…まあ私だったら、眺めの良い家の素敵なキッチンだけでも旦那の性格なんかどーでもいいからココで一人で楽しもう、って思っちゃいそうだけど(笑)、いかにもなクールビューティーのケイトさんが「愛について何も知らないの、そう見えないでしょ?」なんてやばい、ずるい。かわいい。

スタント君の「腕が燃える〜」が大好きだったので、繰り返しやってくれてとても嬉しかった。
やっぱりアレだ、ピンクちゃんが、呆れて(燃える話を)聞いてるだけじゃない何かしら面白い娘だったら良かったのになぁ。どう見ても美人枠だけどたいしてインパクトは無い女優だし、もうちょっと何かやらかしてくれてたら可愛かったのにね。ピンクのブーツにしてからが地味だし。

正直、犯罪者が逃げ果せる話って、あまり思い入れしたくないんだよな…と思いつつ。
私は『バウンド』やら『トゥルー・ロマンス』が大好きだ。残念ながら『スティング』は未見!なのだが、だってもう、今更観ても驚きも感動もできないと思うんだよね…。
そんなワケで、あまり感心しない展開とはいえ、これでアンハッピーエンドだったらドッチラケな展開だったし、可愛い皆が幸せになって欲しいと思いながら観ていたので、まあ結末に文句は無い。
ただ、"最後の仕事"の見せ方をね、もう少し何とか、うまくできなかったのかなぁーと、残念なのよ。
だってスタント君がいて、伏線と言うよりネタバレ状態なのに、せっかく半ば喧嘩別れみたいにして離れたんだから、もう少しそこで引っ張るとかさ。せっかく時系列を入れ子にしたりしてるのに、もうちょっとねちっこく構成してほしかった。
退屈したのはその前の、三角関係のゴタゴタの辺りなんだけど、これは仕方ないのかなぁ。まあ私はどっちかって言ったらブルースで選べちゃうんで(笑)でもケイトがテリーに惹かれる理由はとっても理解できる。
だからこそあの三人の「まあ三人でも」に至る話し合い?ゴタゴタを、もう少し面白く練り上げて欲しかったかな。

そんなこんな、豪華キャストでシチュエーションも面白く、キャラクターも魅力的なのにイマイチな評判だった理由がよく分かる内容ではあったけれど、好きか嫌いかと言えば私は好き
明るい方向にキレ過ぎていて、感動という類の物は無かったかな。
そこは案外重要だったのかも。

バンテージ・ポイント

時間を巻き戻して別の角度で同じ事件を何度も見せるという手法は時々見掛ける。
コトが"大統領狙撃"と物騒だし、場所は群衆がひしめき合う広場、爆弾まで爆発!
と、出だしは引き込まれたのだが。
巻き戻しも繰り返し過ぎると「またか」となるし、ストーリーの流れがブチ切れて集中力を削がれる。
なんとなく早めに各自の役割分担が見えてしまい、意外な展開と言える程のものが無かったのも、良心的と言えばそうなのだが残念。
巻き戻しのたびに少しずつ違った局面が見えるのだが、正直それを把握するにはかなりの緊張感が要求され、片手間では見られないのでちょっと疲れた。
結果、巻き戻しを生かしたストーリーと言う程でも無かったように思う。

でも細部はなかなか面白い。
大勢の群衆を爆弾で吹っ飛ばすテロリストが、一人の少女を避け損ねて自爆という皮肉。
わからないでもないのだが、ちょっと立ち位置が違っていたらあの少女も爆弾でバラバラになってたはずなのにね。
大統領が影武者を見ながら「似てないし」とぼやくシーンは笑ってしまった。
逃走中のテロ犯人が車中「不要なモノは始末しろ」のくだりもドッキリした。
カーチェイスも銃撃戦もナカナカの迫力。と言うか、かなり荒っぽくて力が入ってる感じ。

キャラクターも立ち位置は予想通りでも、それぞれの造形は良かった。
まず最も印象に残るのは短パン太めの黒人観光客ハワードで、この人の愛嬌がバラけがちな全体を引っ張っていたと思う。
最終兵器となるべく投入された美少女は、笑って泣いてるだけだけどそれでいい、いやそれがいい。真っ白なワンピース姿は多分、天使とかそういう辺りを狙っての事だろうし、ちゃんと功を奏している。
アメリカ代表にしては品の良過ぎる(笑)ウィリアム・ハートの大統領も、ちょっとトボけた味わいで、プンスカしたり拗ねたりビビッたり、でも太々しさもあり、確かな存在感があった。
スペイン勢も美人テロリスト、元特殊部隊(主犯の人と似てて混乱した)、警官と、それぞれ印象的。

一観光客に過ぎないハワードは頑張り過ぎ&活躍し過ぎ(太ってるのに走る走る!)だし、復帰お試し中のはずのバーンズは無敵過ぎだし、地元警察官エンリケは騙され過ぎ&無策過ぎだし、シガニー・ウィーバーはちっとも暴れないし。暗殺するはずだった大統領をなぜか殺さず誘拐するし。
文句を言い出したらキリが無いのだが、そこここの描写が面白かったのでよし、というところか。
いささかアイディア倒れの感はあるが、モブシーン好きの私には冒頭のパニクる群衆だけでも一見の価値はあった。

ハンナ 

"殺人兵器"として育てられた美少女のアクション映画………なんかあったね邦画でも。"あ"とか"ず"とか"み"とやらいうね。時々、日本人でいる事が恥ずかしくなるわ(笑)。

いえね、この映画、決してそんなに上出来ではないと言うか、脚本ヒドイよね?(と、言ってもある水準はクリアしてるけど、↑アチラと違って)
いったい何がしたかったんだパパ?とか、遺伝子操作までされてる上ストイックに鍛えまくった割には普通に強い程度だぞハンナ、とか、ホテルのおじさん殺さなくて良くね?とか、オカマ弱いでしょ、とかまあ、頭がクエスチョンマークで一杯になっちゃう筋書きなんだけど。
それでも、途中気にならなくなっちゃうくらい、引き込まれた。

主演の"美少女"シアーシャ・ローナンは、いわゆるアイドルタイプではないが、スッキリした美形で北欧風の金髪色白碧眼。表情に透明感があって、こういった特殊な役にピッタリ。ビックリする程アクションも達者。そうか『ラブリーボーン』のあの子か…こう来たか、という感じ。
画面がいちいちスタイリッシュで美しかったりリリカルだったり、雪原から中東、砂漠に森林、ヨーロッパの大都会、遊園地にお菓子の家と移り変わる背景も、油断せずただ撮ってない感じがとても心地良い。そこで繰り広げられる、シュールなまでの格闘の数々も、良く錬られていて見応えタップリ。
加えてケイト・ブランシェットの重厚なヒールに、哀愁漂うエリック・バナのパパと来て、ピエロのグリムおじさん、いかにもなアメリカのヒッピー系列の一家(少女との「初めての友情」もいいが、偽善臭ぷんぷんの母親が秀逸)、オカマの暗殺者(弱そうだけど残虐性はピカイチ)と脇役も充実。
けど、追跡劇が盛り上がるに連れて、ふと「なぜパパはわざわざマリッサに知らせたの?」とか思い出しては首を傾げてしまって、正直足を引っ張られた。

ドイツ=ナチス=人体実験(=悪逆非道)、というのがどうしても入れたかったんでしょうかね?
ヘンな設定を取っ払って、SF風味も削って、もっと普通にできなかったものかと、それで充分楽しめたし余計な雑念も入らずに済んだのに、と思うんですがどうでしょう。
もしくはもっと設定を大事にして、ハンナを超絶怪人にしてCG満載の大スペクタクルアクションにするか…片手でオカマを持ち上げて振り回すくらいの(笑)。あるいはとんでもなく残虐な一面をシレッと見せるとか。
監督は「これはメルヘンだから」と申し開き(笑)をしているそうで、そう言えばこの歯痒さは『ヴィレッジ』なんかに似ているかも、と納得はしたものの。
私としては、画面の出来に対するストーリーの詰めの甘さが残念でならない。

…で、私はてっきりマリッサと「あいむゆあまーざ〜〜〜!」「のおぉ〜〜〜!!!!」なスター・ウォーズ展開かと待っていたんだが、これまた肩すかしに終わった。
だって顔立ち似てるじゃん、ケイトとシアーシャ。凶暴なとこも。

ハンニバル 

なんと言っても、傑作『羊たちの沈黙』の続編、である。
どうしたって期待してしまう。レクター博士とクラリス捜査官の、その後の物語なのだから。
しかし期待通りとは言い難い。ああ、やっぱり。

言いたかないけど、やはりクラリス役をジョディー・フォスターが降りてしまったのが、本当に残念だ。
新米で危うげだった『羊たち〜』のクラリスは、本作ではすっかり大人の女性、優秀な捜査官に成長している、という設定だが、ジュリアン・ムーアでは落ち着き過ぎでつまらない。あらためて、ジョディの存在感て凄いなぁ。
ストーリーも、エグいシーンはちゃんとある(過剰な程)ものの、異様な不健全さが全編を覆い尽くしていた前作とは比べようも無く「普通」な印象だ。
肝心要のレクター博士の描き方も、あれでは間抜けな色ボケじじい(爆)である。ちょっと悲しい。

*リドリー・スコットは好きな監督だが、しごくマトモで、健全なタイプなんで(そこがいいんだけど)、こういう素材は無理があるんじゃないだろうか。
相変わらず風景や家屋、家具調度は素晴らしく綺麗だし、画面に奥行きがあり、ムーアもちゃんと美人に撮っているんだが。その奥行きの先に、「何が潜んでるか知れたもんじゃないぞ」という胡散臭さが、全然無いの。
不条理とか、ヘンタイとか、どうすんだよこれワヤクチャだよ〜という不安定さが、きっと苦手なんだと思う。レクター博士という理屈の通らない存在とは、相性が悪そう。
決して出来は悪くない(むしろ2度目が意外と面白かったくらい)映画だけれど、傑作の続編としては物足りない、残念。


*参照 『エイリアン』『キングダム オブ ヘブン』『グラディエーター

追記久々にTV放送で観た。物凄いカットの仕方で、全然話が分からなくなっていた。何しに出て来たんだレイ・リオッタ?もしこれを観て映画の出来を判断してる人がいたら悲し過ぎる…。

Hero(英雄)

えーと、しょぼくない?

タイトルといい、大掛かりな宣伝、前評判から、もうちょっとスケールの大きなものを想像していたので、本当にガッカリ&退屈してしまった。
評判を取った「原色使いの画面」は、まあ所々綺麗な絵はあって楽しめたけど。
(私はイチョウのシーンが好き、撮影中口に入って大変だったらしいけど。あ、目だったっけ?)
でも結局ワンアイディアですぐ飽きちゃったし、前々から薄々思っていたけどやっぱりジェット・リーはダイコンのイモ野郎だしさ。
あんなに吊られてばっかじゃ、せっかくの少林寺が泣くって。
ワイヤーアクションは、好きずきでしょうけど、あまりにもリアリティが無さ過ぎて、私は楽しめないな。こいつら仙人!?って、それはお国ガラなのかもしれないが(笑)。

なにしろストーリーが、全然好みじゃないの。
さんざっぱら現実味の無いホラ話を聞かされた挙げ句、あれだものー。
宣伝の仕方にも問題はあるんだろうが、あの空一面に矢が飛ぶシーン。
あれを見せ場にするなら、「どうやってかわすの!?」って思うじゃない、どんなに荒唐無稽でも、取り敢えず答えを求める。それが、えーと…‥うぶー。

「大儀のために己を捧げる」っていうの?
おじさん達は好きなんだろうなあ。
それでなんか、深い物を語り合ったみたいな、「所詮女には解らない」とかさ。
マギー・チャン(綺麗でしたね)いや「飛雪」は正しいよ。
動物界ではオスの大半は「捨て駒」だからなあ。女の遺伝子には、そういうの組み込まれていないんでしょうね。

※最後の一行、書いた当時は面白がって読んでた自称学者の名を出したのですが、近頃の言動は目に余るので削除しました。関わりたくない。

ピエロがお前を嘲笑う 4/15

なかなか前評判が良く、賞を取ったの何のと聞いていたし、ドイツ映画というのも観る機会が少ないしで、結構期待して観たんだが。
んー、つまらん…。
106分の上映時間が「嘘でしょ!?」ってくらい、長く感じた

そもそもバーチャル空間に興味が無い(笑)。
『トロン』も『バイオハザード』も『マトリックス』も、全然響かなかった。
『トータル・リコール』(シュワ版)くらい、リアル世界で肉弾相打ってくれたら別だけど(笑)。
ハッカーとか無意味なイタズラ仕掛けて世間を騒がせるだけの"チーム"とかにも興味も憧れも無く、好きにもなれないので、そういう連中がどうなろうとどうでもいいし。
まだ、調子に乗った若造集団が本物の大人にお仕置きされて怖さを知るが手遅れでした、みたいな話なら見応えはあったかも知れないが。
仰々しく登場した「カリスマハッカー」も「ロシアの組織」も、ヘボい事(笑)。 

前宣伝では「衝撃のドンデン返し」みたいなのを押し出していたそうだが、要は『ファイトクラブ』をベースに『ユージュアル・サスペクツ』で味付け、というところか。
肝心の二度目のドンデン返しが、結局何をどうしたのかが説明されず、いきなり欲しくもないウィンクを食らって(笑)呆然となった。
思えば『ファイトクラブ』はノートンの名演とブラピの圧倒的カリスマ性、『ユージュアル・サスペクツ』もケビン・スペイシーの完璧な役作りが勝因の映画。
主人公のベンヤミン青年に、そこまでの吸引力は感じられず、冒頭から出頭しての彼の証言を映像化するという構成も、辛気臭いナレーションが延々続いて眠くなる。
言ってしまえば、彼の証言を映像化してるなら彼は嘘のつき放題なワケだしね。

滅多に見ないドイツ映画という事で、演者は知らない顔ばかり。
それが、変な思い込みを持たずにスタートできて良い場合もあるが、今回は最後まで「誰が誰やら…」状態で、つまり思い入れが誰にもできない。
強いて言えばおばさん捜査官の人が目に止まったけど、トリーヌ・ディルホム。
デンマークの女優、シンガーソングライターだそうで。唯一俳優らしい空気感があって救われた。

映像も音楽もスタイリッシュと言うのだろうか、チカチカして暗くてせせこましく、私の神経を逆撫でするタイプ。
かなりイライラさせられた。
これで最後に「ヤラレタ!」と思えれば、良い目眩しと言えたかもしれないが。
長くて退屈な1時間46分だったわ。

ピクセル

すいません、最初に謝っちゃいます。
私は全くこの映画の客層ではなかった
ゲーム、殆どやった事ないので。

「TVゲームの世界が地球を侵略しにやって来る」というトンデモ設定も、一応SF的な説明は付けてあって、なるほど考えたな、と思うべきか、随分余裕のある侵略軍だなと笑うところなのか。
昔の決闘みたいに敵に武器を選ばせるというね。
好きだった人は心踊る光景なのかなぁ。
ほぼ知識が無い私でも、あの丸い黄色いのが実写の街中にいる光景はシュールで面白いとは思ったが。

唯一笑ったのは"岩谷教授"。
もしやと思ったらやはり実在の人物、しかも似てる
そしてまさかのビッチ発言(笑)。
何と言うか、日本発のゲームをリスペクトしてくれているのかな、どうなのかな?

あまり書く事ないので余談。
アダム・サンドラーの吹き替えがあり得ない程悪声で硬い芝居と思ったら柳沢慎吾でした。
アイドルならまだしも、ナゼ!?

蜩ノ記

評判の良い時代劇と言う事で観てみたけど…うん、こういう方向か。
ごめん、すごく退屈
でも全体に丁寧に造ってあるのは分かって、何となく名作扱いしないと格好が付かない、という気はする(笑)。

役所広司は大好きでいつもかっこいいんだが、今回は安定感はあるものの、特に目を引く見せ場も無く。
と、言うか、登場人物誰にも見せ場らしきモノが見当たらない、それくらい平板な印象だった。
画面も"引き"ばかりで、劇場で観ればそれなりだったかも知れず申し訳ないのだが、我が家の小さい液晶画面では誰が誰だか状態で、表情なんて全然楽しめない。
野外の景色も綺麗な所を撮っていて、苦労の跡が偲ばれるんだが、例えば水面の向こう岸が一切入らない画角とか、斬新と言うか「これってアリなんだ!」と驚いた。     

かろうじて波風と言えば、息子が代官屋敷に殴り込みを掛けるシーンなんだが、その息子役の子役が超絶にヘタクソで、観ているこちらがオロオロしてしまった…舌がもつれてヘンな薬でもやってるかと思った。普段あまり"大根"とかって気にならない方なのに、これは酷い。
(ごめん、てっきりオマケのジャ○タレかと思ったら違うのね。ますます謎)

原田美枝子という人は、どちらかと言えば蓮っ葉なイメージが強かったが、地味な衣装で所作の美しい、武家の妻を好演していて意外に思った。娘役の堀北真希も、まあ無難ではあるが品が良い。
岡田君は…ちんちくりん(笑)。
喧嘩の相手になる青木崇高が、脳天気な役で重苦しい作風に風を吹き込んでいた。しかしバカ過ぎる(笑)。この人は『るろ剣』でもとても良かった。好き。

"侍"とか、"日本古来"とかを押し出しているつもりなんでしょうが、どちらかと言えば昭和初期の日本人観に近いような。
まあなんか、つまらなかったです。

美女ありき 

絶世の美女って誰?」と問われたら、私ならまず一番に、ヴィヴィアン・リーを思い浮かべるだろう。
とにかく美しい。

長いことタイトルしか知らなかったが、こんな内容だったとは。
ネルソン提督、怒ってないかな?(笑)
どうやらこのレディ・ハミルトンというのは実在の人物(絶世の美女)らしいけど、言ってしまえばダブル不倫物語。
なんか美しく美しく言い訳がましく作ってあって、それがかえっていじましく感じられてしまう。おいたわしやネルソン提督。

前半、踊りの名手という設定のエマは全然踊って見せないし(ヴィヴィアン・リーは踊りは苦手?)、盛大なパーティは会話で説明だし、場面は殆ど屋敷の中で舞台芝居を見ているような気分になって来たところで、突然海戦シーンに突入、これが意外に長々と続く、といった具合に、バランスの悪い印象。
ただただヴィヴィアン・リーと、ネルソン役のローレンス・オリヴィエの、美男美女っぷりに感動する映画。
(アネーク・エーメとジェラール・フィリップの『モンパルナスの灯』を思い出した。)
 でも、二人が言い交わすシーンはちょっと面白かったな。ヴィヴィアン・リーの百面相にオリヴィエの唐突な告白。こんなのがキマるのも、美男美女なればこそ。

原題は『Lady Hamilton』とシンプルだが、この邦題はまさしく言い得て妙!
『美女ありき』これ以上でもこれ以下でもない、すごいタイトルだわ。

ところで、この撮影の直後に美男美女は結婚したんだそうで、そういう意味では『Mr.&Mrs. スミス』みたいな位置か。
そういうの、あまり出来の良い映画は無さそうな気がするな…。

美女と野獣(仏独版)  

なんと言ってもアニメ版はディズニーの中で未だ最高傑作と思っている『美女と野獣』なんだが、どうしても比べてしまう悲しさか。
悪くはないんだけど、正直面白くはなかった。
特に、ストーリーアレンジが、なんとも陳腐

ベル役のレア・セドゥは、今まで意識した事のなかった女優さんだが、本作ではとても瑞々しく可愛らしく美しく、ちょい生意気な表情も板に付いて、とてもチャーミングなベルだった。
胸が凄いのがいちいち気になってしまった(笑)けど、それも含めて健康的でナチュラルな生命力に溢れてて、私的には理想のベルだったと思う。フランスギャル凄い!
まだ未見だがディズニー版実写のエマ・ワトソンは、シャープ過ぎて私のイメージと違うと思う。まあ、そのうち観るけど。
ヴァンサン・カッセルは…セクシーで大好きなんだけど、魔法の泉から浮かんで来た胸毛ボーボーの赤ブラウス姿には笑ってしまった。いやおフランス的には笑うトコじゃないんでしょうが、どうもね。

絵がとても美しく、CGを駆使しつつも頼り過ぎない演出は嬉しい。
田舎の風景も屋敷内も、とても綺麗。もう少し暗さを抑えて見せて欲しかったけど、赤い薔薇の花びらが落ちるシーンなんかは露出具合も完璧な演出だったと思う。
野獣がベルに選んで着せる豪華なドレスの数々も色とりどりで美しく楽しかった。
行動的過ぎるベルにあのデザインはきつそう、とは思ったけど(その分ラストシーンのナポレオン調?は良く似合ってた)。
ダンスシーンの青いドレスが一番好きかな。ただ、あのシーンはもっと盛り上げて欲しかった…残念。

ストーリー、特にサイドストーリーと言うか(原作をキッチリ読んだ事は無いんだが)おそらくは劇場映画にするために付け足したかな?と思われる、パパの倒産〜兄の放蕩〜ならず者乱入、のパートと、金の雌鹿と王子のパート、そしてソレを夜な夜なベルに説明していくというところね。
極端な話、一切合切不要だと思った。
特に冒頭からベルがお城に到着するまでの長い事!
王子が野獣に変えられた理由も、まず詳細に理由付けする必要性があるのか?疑問である上に、それをいちいちヒロインに知らせる必要は、全く無いと思う。
同時に、そんな余分なモノに尺を取られて、肝心の"美女"と"野獣"の心の繋がりが全然描けないまま"感動のラストシーン"に突入してしまった印象。
むしろ野獣の過去を知る事で、ベルは愛よりも同情したのでは、と勘ぐってしまいそうな情の薄さだった。
あるいは、"昔の女"雌鹿に誘導されて操られているだけで、本来の"運命の女"は結局は雌鹿さんなんじゃないの、とか。
離婚再婚もポピュラーな現代において、過去に別の人がいる、という設定は悪くはないものの、むしろ取り扱いは昔以上に注意が必要な気がする。

全体から見ると余計だと感じたが、ならず者のボスと女占い師の関係は見応えがあった。この辺りがやはり、フランス〜って感じなんだけど。
エキゾチックな女占い師が雌鹿の声を聴くのは無理もないし、良いアクセントになったのに…残念だ。
それにちょっと考えたら、あの人たち(ならず者達)は借金を取り立てに来ただけで、本当に悪いのは長年踏み倒した上に何の権利も無いお城の宝を自分のモノのように差し出す兄達だったりするんだが、"森の王"はどんだけボンクラなんだって(笑)。
そしてクライマックスに…盛り上げたかったのは分かるし、せっかくだからCGも派手に使いたかったんでしょうが…まさかここで大魔神に遭遇するとは(爆笑)!
も〜やめてよぉ〜ファンタジックと言うより世界観台無し。
冒頭の、パパの薔薇泥棒を叱るシーンはそれなりに良かったんだけど。
あんなハリウッド的な取って付けたような大技はいらんから。あっても短時間にしてほしかった。

そう言えば金の雌鹿の正体が露見するシーンも、本来なら涙を誘う名シーンであって欲しいのに、いきなりの全裸で失笑してしまった…しかも見えない配慮のポーズで瀕死(笑)。
美しい女優さんが脱いでくれたというのに、笑われてどうする、というね。
胸毛王子と共に、フランス人とは気が合わないかも、と思った場面だったわ。

反対に一番感動したのは、あのベッドの下とかでキュルキュルしてた奴らの正体を知った時!!!
ごめん、本作で唯一泣いた。
そうなんだよ、奴らはそういうモンなんだよ…(感涙)ああ、愛しい。

最後に"野獣"のビジュアルについてだが。
ライオン丸???
正直、アレでは最初はビックリするけど、そんなに怖くも気持ち悪くもない、と思うのよね。
まあハンサムな王子が突然ああなっちゃったら悩むレベルではあるけれど、どうせ指差して嘲笑う輩もいないのだし、ベルにしたって慣れればどうって事ないと思うようになるはず(いい奴なら)。
おそらく原作では"醜い野獣"程度の描写ではないかと思うけど、それがライオン丸ってちょっと、ヌルすぎる。
そもそもライオンは、醜くない
どの動物と特定できないのが原則として、牛とか猪とかゴリラとか、だと思うのよ、"獣"に使うモチーフとしては。あとはパグやブルドッグ的な犬とか。ケモノでなくていいならガマガエルとかカニとかオコゼとか…やり過ぎるとまたお笑いになっちゃうけど、まあ、そんな事も不満に感じたのでした。
あ、あと表情ね。
猿の惑星』があれだけできたのだから、今の技術ならどんな事でも可能なはずなのに、終始無表情なライオン丸。
アレじゃあ恋は生まれない。
名作『美女と野獣』アニメ版は、野獣の表情がとてつもなくチャーミングで哀しくて、王子に変身した瞬間「え〜?(不満)」って思ったわ。

ビック 

う〜ん、こんな楽しい映画、なかなかないよ。大好き。
このトム・ハンクスは、本当にスゴイと思う。

今や名優の名を欲しいままのトム・ハンクスも、この頃はまだ、ほんの駆け出し。
『スプラッシュ』の時は、「こんなイモニイちゃんにダリル・ハンナが惚れるかぁ?」
なーんて思って、ちょっと引いちゃった私だったけど、相変わらずイモニイのトム・ハンクスに、バリキャリ美人のスーザン(エリザベス・パーキ ンスっていうんだ、他で見ないな、美人なのに)が恋しちゃう気持ちは、とっても良く分かる、気がする。
身体は30歳(推定)、心はウブで無邪気な13歳の少年、ジョッシュ。演じるハンクスは、ほんとに自然で魅力的。そしてちょっぴり、ブキミ。そりゃそうだ、態度仕種が中学生で、見た目はオッサンなんだもの。

面白いのは、ジョッシュにかかわる大人達が、ものすごく子供っぽい面を見せる事。
社長とのピアノ連弾(大好きなシーンだ)、下心マンマンで彼の部屋に来たスーザンとのトランポリン、ライバル社員とのスカッシュ。みんなどこかで、頑張ってオトナやってるんだ。大人のアナタなら、自分を振り返ってニガ笑いがもれるはず。
そして勝手な深読みや誤解の果て、「彼は大人よ」の名セリフ。
…でも、笑いながらフト思う、オトナって、なに?

出世して、恋もして、ジョッシュはだんだん、よくいる大人みたいになって来る。
親友をないがしろにして、「大事な仕事なんだ」なんてね。
「大きくなりたい」という子供の夢は、いつか必ず叶う、思ったようではないにしろ。「子供の頃に帰りたい」という大人の望みは、絶対に聞き届けられる事が無い。
これ以外どうしようもないラストシーンは、やっぱり切なくて胸に迫る。
でも、ついて行けないスーザンの気持ち、とても良く分かる。

しつこいようだがトム・ハンクス、本当に少年の目、少年の口元、少年の走り方!
私の中ではこの『ビック』がトム・ハンクスのナンバー1、次が『プリティ・リーグ』、と思ったら、同じ監督の作でした。

ビッグ・ガン 

世紀の二枚目アラン・ドロンの、ちょっと渋味が見えて来た頃の容姿だけでも観る価値はアリ。

アリなんだけど…どうもね、私、70年代のこの手の映画が苦手
冒頭からあまりに頭の悪い主人公の言動に共感できず、えげつない暴力描写(ミニスカートの女性一人を男数人でタコ殴りとか)といい、唐突なアンハッピーエンディングといい、どうにも性に合わなくて、楽しめない。
それでも、完璧な美貌に紛れもない陰惨さを漂わすドロンの表情が、陳腐な内容を補って余りある説得力を持っているのも事実だとは思う。
ぶっちゃけ見てしまいますよ、ああまで美しい男は。

それはともかく、ヨーロッパの街並みや、当時のファッションなんかは楽しめる。
お決まりお約束そのままのカーチェイスシーンも、襲撃側のタクシーが可愛らしい黄色い欧州車(車種は分からない)で、目に楽しかった。
シチリアの素朴な大教会での結婚式のシーンも美しかった。

恥ずかしながら、脂っこいイタリア男が多数出演するせいで(イタリアンマフィアなんだから仕方無いんだけど)誰が誰やら状態で、しかもそれぞれの役割分担の説明がサッパリしてて分かりづらく、その上裏切りや掌返しが入り乱れ……女が裏切らないのは、さすがドロン、なんだが(笑)もう全体を把握し切れない。
何度も巻き戻し確認をしてしまったが、いや〜ドロン美しいわ(って、結局ソコに目が行ってしまう)。
ラストシーンのアノ人が誰かもなかなか理解できなくて、あれ?デニーロ?と思ったら違った(笑)いくら何でもハゲ過ぎだけどやりかねないし、だってホクロの位置まで同じってどういう事よ?
後は可哀想なお友達、ドメニコ役のマルク・ポレルがイケメンだったな。ちょいオーランド・ブルーム寄り。 

ラストは衝撃的と言うよりか、ぶっちゃけこの時代(70年代)にとても多かった、ああいうの。
好みではないんだが、綺麗にキマった方だとは思う。
なにしろ直前の、一瞬油断し切ったドロンの花のような笑顔がだな……うん。

ビッグ・バグズ・パニック

あ〜もうね、時たまこういう掘り出し物があるから、『午後のロードショー』はやめられない!
てなワケでTV放映を見ての感想になってしまいますが。
面白い!!!

タイトルと装丁から、気軽に見てうまくすればツッコミ所を笑えるB級映画、とばかり思って見始めたら、アラ不思議。アッと言う間に引き込まれて、物凄い前のめりで見た。
なにしろ脚本が素晴らしい。キャラクターもいちいち個性的で魅力的。コメディ要素のセンスも良く、そのギャグに伏線を被せて来る辺りが何とも私好み。
そして切なく感動の親子ドラマに、サワヤカな恋愛模様に、クセになりそなちょいグロ画面。

まず主人公のクーパー君。
サエない見た目の上、冒頭から電話で父親に叱られ、会社でクビを言い渡され、ああまたこの手の負け組キモオタ青年か…と、思いきや。頭の回転が速く行動力もあり、コイツはタダモノではないとすぐに分かる。でも、ちゃんと律儀にカッコ悪いとこがまたいい。
父親との会話もいいが、サラとのやり取りが絶妙で、こんなツンデレかわいこちゃんに最後は「貴方以上の男が?」と言わせてしまうのも納得である。
そしてヒロインのサラ。なにしろ見た目がカワイイ、気が強くて行動的で辛辣、という、この手のコメディの王道要素満載だが、その要素がいちいち出来が良くて嫌味が無い。
ついでにB級ヒロインによくあるようにタンクトップの豊満ボディなのに、全然不自然なサービス感(『アナコンダ3』)が無く元気一杯な印象。そして賢い。こういう場面で邪魔にならない女の子は大好き。
二人のやり取りが面白くて、『羊たちの沈黙』の引用辺りですっかりハートを捕まれた。
後はやっぱり、お父さんだよねぇ。
退役軍人で息子に厳しく、剛胆でかなり過激な性格だけど、犬には滅法優しいという。泣けるのよこのオヤジ(笑)。そしてかっこいいのよ。

音に敏感な怪物達と、耳の聞こえない青年というカップリングも良かった。
そしてあの聾唖のヒューゴ君、しまいには野良犬に懐かれたみたいな扱いになってて笑った。
お天気お姉さんのキャラ造形も秀逸。
ある種の映画に必須の"おっぱい要員"でありながら、それに終わらない。登場と同時に「リーダーを決めなくちゃ!」からの、スニーカーを見下す目、いつでもどこでも化粧直し…それを冷めた目で心配するクーパーとサラ。そして予想を上回る自爆っぷり…。
笑えるんだけど、良く人間を見てるな、と唸らされる。
同じ巨大昆虫の『ミスト』とは雲泥の差。こっちが雲よ、もちろん。

てか君達(誰!?)『物体X好き過ぎだよ(笑)。
私も大好きだけど。
グロが割と抑えめで、笑える描写が多いんだが、お天気お姉さんの兄がハイブリッドになって迫る時の口の中のトゲトゲしたのが妙に怖くて、実は何度も巻き戻してしまった…な、なんか生理的に…怖い物見たさと言うか。

ビッグ・フィッシュ 

ちょっと遅ればせばがら、観てみました。
おお。
今まで観たティム・バートン作品で、最高かも。私的に。

だいたいティム・バートンって、いつの間にあんなちゃんとした人になったんだっけ?なんか色物系と言うか極マニアックな人だったと思ったんだけど。いかにも元いぢめられっ子が力無い恨み言を並べてるみたいな映画撮ってたじゃない?
いつの間に。えー話やんか。
画面こそキテレツ感が残るものの、フツーに感動できる「いい話」になってる。
ビックリです。
主演のユアン・マクレガーも、『普通じゃない』だの『ムーラン・ルージュ』だのと印象の悪い映画を観てたので(『スター・ウォーズ』はかっこいいけど)、あまり気が進まなかったんだけど、すごくいい。今までごめんなさい。

とは言えバートン監督のこだわりは続いていて、またしても「父と息子の軋轢と葛藤」がテーマ。でも、息子の視線だけに偏らず、バランスの良いオトナっぽい世界観になっている。大人であるからこそ、あの父親には価値があるのだから。
父親の語るホラ話は、どれもシュールでユーモラスで、伸び伸びした映像美が存分に楽しめる。
優しい巨人、結合性双生児の美女、森の魔女。サーカスに狼男、そして運命の女神である、最愛の妻。
黄色い水仙のシーンは、本当に忘れられない美しい夢のよう。
父親の語る回想シーンと、息子の生きる現在のシーンの各役者が、とても良く似ている事もポイントが高い。
妻役のジェシカ・ラングは、76年版『キング・コング』の美女だった人。美しいお婆さんになった。年老いた夫婦の純愛は、胸と目頭を熱くした。

 現実に、こんな風に分かり合い、認め合って最後の別れができる事は少ないかも知れない。そうできなかった後悔をも含めて、美しい映像と音楽、優しい台詞の数々が、浄化してくれるような気がした。

羊たちの沈黙 

う〜〜〜〜〜んんん。
すごい。
変態ここに極まれり。

なんとも、よくぞここまで、気持ちの悪い人物やら事柄やらを集めて来たもんだ。
しかも、その集合体は、どこかクールで品が良い、多分映画の完成度の高さの為せる技だろう。
物語は、連続猟奇殺人事件の捜査のためにFBI研修生の若い娘クラリスが獄中の猟奇殺人犯レクターにアドバイスを乞う、という設定で、最初の猟奇殺人、「ふくよかな女性ばかりを狙って皮を剥ぐ」というだけでもスゴイのに、獄中のレクター博士の異常ぶりに、すっかり影が薄くなってしまう。
とは言え、恐いもんは恐い訳で、単身乗り込むクラリスの度胸はアッパレ。あんなイカしたカットバックは初めて観たし、小道具で怖がらせる手口もgood。ホント、ハラハラしたあー。
「サナギが被害者の口に突っ込まれている」という事態もブキミなんだけど、そのサナギを調べる奴がまた、物凄いブキミで、しかもさり気にクラリスをナンパしてたりする。ホント、気が抜けない。

クラリス役のジョディ・フォスターは、これまでにも色々いい役をこなしていたけれど、いかにも頭良さげなクールすぎる美貌は、正直「イマイチ」な印象だった。人間ぽくないんだもん。
でも今回の、犯人に怯え、レクターを恐れ、指導員クロフォードを慕うクラリスは、すごく存在感があった。「FBI養成所の優等生」という役所も彼女の堅さにピッタリで、小柄でケツのデカい(失礼!)クラリスが恐さをこらえて必死につっぱる様子はリアルで好感が持てる。
アンソニー・ホプキンスのレクター博士に関しては、もちろんこの映画の人気に貢献しているのは分っているけれど、私的にはちと不満。
もう少し見目麗しい方が好み、っつーか、アンタのアップはもういいよ、みたいな。
ブキミさは良く出ていたけど、うーん、私の好みからすると、ちょっとアブナさがロコツすぎて。

とは言え、レクター無しにこの映画は成り立たない。クラリスとのガラス越しのやり取りも終止緊張を強いられたし、脱走の手口は本当に「おおっ!」と感嘆させられた。形はどうあれ、図抜けて頭のいい人を見るのは、それだけで快感だ。そしてラストシーン、これは絶対、「また会いたいよーな、恐いよーな」。余韻を残して幕は降りる、カンペキ。
こんなスゴイ奴が、どうして捕まったんだろう?と、いう疑問の答えは、『レッド・ドラゴン』にあるけれど、残念ながらレクター博士の恐さはこちらが上。独房で修行を積んだのかしら。

羊たちの沈黙(byココアちゃん)

しょっちゅうCSでやっているので何十回見たやら・・・。
何回見ても見飽きない、正真正銘の名作ですね。
見るたび「ああ、こうだったんだ」とか小さな発見があって楽しい・・・。
で、先日もひとつ見つける。
ラストで、クラリスがへっぴり腰で変態「バッファロービル」と対決し、見事に事件を解決しますよね。
その時、救出されたキャサリンが助け出される時にプードルを抱きしめたままなの。
変態の愛犬、彼女にとってはあの地獄の穴倉で、必死にそのプードル「プレシャス」を利用して戦うのだけれど、忌まわしい存在であると同時に、温かい無垢な生き物でもある・・・極限状況の中で犬がどういう存在だったのか、安っぽいヒューマニズムなんかじゃない、なんか妙なリアリティを感じるのです。
変態野郎もプードルだけは可愛がっていたし。
全てが終わった時、犬を放さなかった彼女が、おぞましい物語の中で小さなえくぼみたいに光っている。もちろんその後飼ったりはしないだろうけどね。
こういうキメの細かさがこの映画をグロテスクなだけじゃない品のある格調高い作品にしているのだなあ、としみじみ感心してしまう。監督さんの名前も知らないクセに。
あ、あの蛾の説明の二人組ね。片方が寄り目。これだけでりっぱにヘン。
アンソニー・ホプキンスね。いいじゃないですか、あのビジュアルで。
ヘンに綺麗だとクラリスとの恋愛にシフトしちゃいそうで。
でもレクター博士はクラリスを好きなのよね。
あの惨劇の檻で、資料を返す時、一瞬二人の指が触れるでしょ。
あれが愛の告白と、そして永遠の別れ・・・究極のプラトニックラブ。
ラストの電話、「羊の声は止んだかい?」で完璧の着地。

二度目のオスカーで余裕のジョデイに比べ、初受賞のアンソニー・ホプキンスはレッ
ドカーペットで狂喜乱舞したそうな。

>

管理人のお返事:うん。なんかね、格調高いんですよね。エグいのに。
考えたらレクター、他に適役思い付かなかったわ。イメージ固まっちゃったからなぁ。それだけ好演だったし映画自体の完成度が高かったんでしょうね。

ホプ爺、嬉しかったのね。可愛い。

ヒッチャーU 心臓"完全"停止 

いやぁ。
『ヒッチャー』が、あまりに秀逸な出来だったんで、『2』が出てるのは知ってたけど全く期待してなかった。
予想以下でした…。
と言うか、話が繋がってる続編なのにまずビックリ。生き延びた(前作の)主人公がアッサリ逝っちゃうのにまたビックリ。そしてクレジットで、演者が前作の少年と同じトーマス・ハウエルだった事にまたビックリ(笑)濃い顔は相変わらずだけど、そうね20年近く経ってるんだもんねぇ…なぜ、こんなに時を経て?
しかもこのすぐ後にはマイケル・ベイ版が出てるし…?

ぶっちゃけ、前作はほぼ、ルトガー・ハウアーが全てだったと思うんだ。
むしろその他の部分を潔く切り捨てて、意味も無ければ理由も無い。オチは流石に付けたけど、っていうシンプルかつ単純さが、ハウアーの怪演をクッキリと浮かび上がらせていた。
…と、まあ前作の感想ばかり書きたくなってしまうんだが(笑)。

冒頭は、なかなか良かった。
雷雨の中の少年"救出"劇は予想外の展開で、迂闊にもちょっと期待してしまった。
これ、このままハウエル君いやジムのトラウマ克服ストーリーで良かったんじゃないの???ありきたりだけど。
あんな体験した後では後遺症が残るのは無理もないし、ハウエル君は顔が濃くて好みじゃないけど、なかなか良いイカレッぷりだったのに、残念。
女優さんはナチュラルな美人&ナイスバディで、それはそれで良かったんだけどさ。
個人的にも、女が延々と襲われるのって、正直見続けるのが苦痛…悲鳴もうるさいし。だけどそれより、ストーリーとしてどうもね。
(なんか『エイリアン2』で、あんなに大騒ぎで救い出したニュートが『3』開幕と同時に死んでた事にされてたみたいな台無し感…)
途中から「ん?これ『ヒッチャー』だよね???」って、話の運びがズレて来てしまってるし。
前作の途中で「これホラーだよね」と笑ったのとは全然別の意味で、本気でホラーしてどうする。『13金』にしたかったんかい?

そして何より、肝心要の"ヒッチャー"がね。
北欧的美貌のハウアーは、それだけで得難い存在だったワケで、その上での狂気、しつこさ、哀しさと、ある種無邪気さまで網羅していた。それと比べちゃいけない、いけないけど。
あまりにカジュアル(笑)。マヌケな顔、喋り過ぎ、キモいけど不気味さが無い。芝居がイッちゃってない割に、意外性を追求し過ぎて自分の小指切り落とすとか、殺人鬼が己の戦闘能力削いでどうする?
マギーに罪被せる事に終始してて、こうなるとむしろ「何故こんな事を?」と問いたくなってしまう。
問答無用で殺したいんだよ、という説得力が無いのよ。
マギーの性格も、恋人を殺されたからっていきなり「アンタを殺してやる!」ってこちらが殺されそうな場面で叫ぶのはちょっと、一般人としては勇敢過ぎやしませんか???

と、まあ、アレコレ言うのも馬鹿らしい雑な映画だったけど、つくづく前作は良い出来だったのだと改めて認識したわ。
また観直したいものです。

ひまわり

古い映画である。
直球ド真ん中の、メロドラマだ。
誰も悪くないのに、皆が悲しい思いをしてしまう、運命の皮肉。

子供の頃(つまり大昔だ)、ソフィア・ローレンがスクーターのCMに出演していた。「世界の美女」とのアナウンスを背負って。
まだ洋画に馴染みも無く、幼く無知だった私は、「ゴリラの国では美人かも」なぞとフトドキな事を思っていた。子供には、難しいよね、あれは。
大人になって、名画座で「ひまわり」を観て、己が愚かさに打ちのめされた。
美しい人だったんであった。

冒頭、映画の雰囲気は明るく健康的だ。
ローレンとマルチェロ・マストロヤンニがイタリアの街(どこだ?)で恋をして、結婚する。なんと言うか、っ物凄くストレートでおおらかな恋人達、殆ど気がふれている。
後にイタリアに行ったり、色々情報が入って来るようになって、どうやらあちらではわりと普通らしいと分かったけれど、当時は呆然としたものだ。見慣れたアメリカ映画のだらしの無い恋愛とは違う、筋金入りのクレイジーラブ(でも英語なのが悲しい…)なのだ。
そして、ローレンも、マストロヤンニも、とても素敵。
声も身体も大きくて、表情にキレがあって。
ローレンのナイスバディは、健康美そのもの。恐いと思った顔も、大人になって見てみれば、香り立つ趣深さだ。

物語は急転直下、悲しい方向へと走り出す。
冒頭の明るさに脳をやられているので、この不幸はひときわ身にしみる。
明るいローレンも眩しく魅力的だが、暗い彼女の迫力はまた凄い。
マストロヤンニのロシア妻、確か「戦争と平和」の女優さん、可愛らしくて、清らかで。泣かせるんだ、これがまた。
そして、何と言ってもハイライト、列車のシーン。
本当に、ドスンと胸を付かれた気がした。
驚きの後を、涙が追い掛けて来る。
予備知識無しに観に行って、本当に良かった。

高田の馬場の狭い名画座で、その日は満席だった。私は立ち見の、それも2列目。手すりにも掴まれやしない。
列車のシーンの後、人がひしめき合う立ち見席で、泣くのが恥ずかしくて必死で耐えようとしていた時。
前に立っている大江千里みたいなオシャレなお兄さん(当時はオシャレだったのよ)が、黒縁の眼鏡をそっとはずすのが、涙でかすんだ視界の端に見えてしまった。
あー、そうだよ、いいんだよ、泣いちゃって。
だって本当に泣けるんだもん。

…それにしても、イタリアには3回行ったけど、マストロヤンニみたいなスマートな紳士にはお目にかからなかったなあ。
渋谷の街でミフネを探すようなものなのかしら。

ひみつの花園 

幼い頃に読んだ少女小説とは関係ナシ。
ウォーターボーイズ』が大好きで、西田尚美さんも好きな女優だが、これはいただけない。
かなり良い評判を聞いていたし上記の理由もあって見たけど、私的には全く笑えも感動もせず、ただひらすらにウザい映画だった。
確かにちょっとブラックでシュールな演出は『ウォーター〜』にも『スウィングガールズ』にも見受けられたが、ここまで露骨だと引いてしまう。ああいうのは乗って見てるから受け入れられるのだと再認識した。
キャバクラでUFO!とか、病院で人形を振り回す子供とか、「その分お金ください」とか、笑い所なんだろうな…と、虚しく見送った。
結末もだいたい予想が付いてしまい、カタルシスよりも徒労感が押し寄せる。
矢口監督のかなり初期(1997年)の作品だから、ここからあのようにソフィスティケイトされた、と考えれば納得はいくけれど。

西田さんは、役柄が好きになれないので残念だったが、物凄く頑張っているのは伝わって来たし、やはりいい女優さんだと思う。心底気持ち悪かった(褒めてます)。利重剛さんも好演。
そう言えば私、『エロイカより愛をこめて』の大ファンだけど、"どけち虫"ジェイムズ君は面倒臭くて好きになれなかったな。お金自体が好きな人って嫌いなのかも。あくどく稼いで贅沢三昧する人は好きだけど。

ビロウ

予備知識は潜水艦でホラー、という程度で、取りあえず船が好きなんで、あまり期待も無く観てみたら、意外にも丁寧で面白く、すぐ引き込まれた。
ホラー要素はあるが、あまり濃くなくて、むしろ潜水艦という密室の中での疑心暗鬼の人間関係と、深海という危険な場所での生存危機のサスペンス。しかも時は大戦最中という。
なかなかに迫力ある映像で、人がいっぱい死に、キャストも知った顔はいなかったが皆熱演である。

残念ながらメカに弱く、潜水艦についてのアレやコレやが良く理解できなくて、途中歯痒い思いをした。
あ〜なんか危ないんだな、というのは充分伝わって来たんだが、「そうか油圧のせいか!」とか、そういう理解の仕方をしたかった(笑)。
それでも、潜水艦内の雰囲気はリアリティがあって、あちこち見学できて嬉しい気分。
修理のために暗い深海へ出て行くとか、怖い怖い。しかもあまり信用できない人と一緒に。
スクーバダイビングの歴史はそう長くはないはずだが、あの時代の技術ってどの程度だったんでしょ。
海中シーンはごくわずかだが、細かい浮遊物がフワフワしてたりしてリアル。そしてマンタだマンタ♪
と、別方向に楽しく見てしまったが、あんなモノに夜の深海で遭遇したひにはパニックだわ。

紅一点のクレアさんも美女だが、オデル大尉がイケメンで、殺風景な戦艦内でも目に楽しい。
ちょっとクレアは最後まで顔も髪も綺麗過ぎてナンだったけど…あれだけの美女なら、汚しても充分耐えられるハズ、むしろもったいない。
このレベルの美男美女を揃えながら、色恋沙汰には一切発展しないのも、むしろ潔くて好印象。
ブライス大尉が、かなり始めのうちからヤな感じだったのが、ちょっと残念と言えば残念。
冒頭のオデルとの船首での会話の時なんか、素敵な上司に見えたんだけど、そのままラスト近くまで頑張って欲しかったな。
ちょっとクセモノのスタンボンがパニクッた時にビンタをくらわすクレアはサスガ看護師。ラストで礼を言うスタンボンもいかしてた。
他にも個性的なチャーミングな乗組員がいっぱい出てたんだが、狭い中に大勢過ぎて誰が誰やら把握しきれなかったのがもったいなかった。

確かにホラー仕立てで幽霊らしき存在もあるのだが、幽霊よりも潜水艦が怖いし、それ以前に怖い戦争中だし(笑)。
意外にも船好き要素が満足できた、何でも観てみるモンだな、と棚ぼた気分になれました♪

…で、"ビロウ"ってナンだ!?

「ふ」へ