杉並「住基ネット裁判」報告(4)第4回口頭弁論 2005年5月25日
1.東海道線不通で臨時の裁判長登場
杉並区が「横浜方式」での住基ネット接続と国賠請求を求めて国・都に対しておこした「住基ネット受信義務確認等請求訴訟」の第4回口頭弁論が、2005年5月25日午前11時、東京地方裁判所712号法廷で行われました。
6月15日に杉並区のwebサイトに訴訟資料が掲載されています。
この裁判の裁判官は、菅野博之、鈴木正紀、本村洋平の3名ですが、当日、菅野裁判長は東海道線が不通のため登庁できませんでした。
被告の国・都側から準備書面(3)が陳述されましたが、臨時の裁判長から国・都側に対して、以下の指摘がされました(やりとりはよく聞きとれませんでしたが、このような趣旨だったと思います)。
「裁判所として国賠請求について国・都側が書いている適法性なしの主張が採用できるか、維持できるか、疑義がある。国賠請求について『本案後』の主張をするかどうか検討し、するなら追加してほしい。」
これに対して国・都側の弁護人から、書面で出した方がいいのかとの質問がされ、裁判長は具体的に示してほしい、と伝えました。
次回口頭弁論については、裁判長から、双方に検討をしてもらうこともあり、また7月下旬から夏休みになるので、7月あたまに日程を入れたいと提案され、結局、7月20日午前10時30分、712号法廷で行われることになりました。書証の提出期限は7月13日となっています。
今回の裁判所から国・都側に対しての発言で、「本案前」の弁論だけで門前払いで判決がでる、という展開はないように思われました。
今後、国・都側から損害賠償請求に関して「本案」である住基ネット受信拒否や「横浜方式」採用の違法性等についての弁論が予想され、次回以降は住基ネットに関する「本筋」のやり取りになるかもしれません。
2.国・都側の準備書面(3)について
第4回口頭弁論に提出された国・都側の準備書面(3)は、次のことを改めて述べています。
- 訴えは法律に定めのない機関訴訟に該当し,「法律上の争訟」に当たらない
- 仮にこれが機関訴訟に該当しないとしても,同請求は法律上の争訟に当たらない
- 本件国賠請求に係る訴えが併合提起の要件を欠く
- 本件国賠請求に係る訴えが法律上の争訟に当たらない
また前回、杉並区は準備書面の末尾で、次の2点を明らかにするよう国・都に求めました。
法律上の争訟性を欠き不適法と解されるから、却下されるべきである、とするものです。
- 東京都は「このまま住基ネットに速やかに全面参加しない場合には,法的拘束力のある地方自治法第245条の5の規定による是正の要求について,総務省と調整を進めていきます。」(甲第13号証)と表明しているが、国と東京都の間で,是正の要求につき,いつ,どのような「調整」がなされたか。
- 被告国及び被告東京都は,原告の住基ネットに関する本件事務処理が違法としながら,現在に至るまで,上記規定による是正の要求をしなかった理由。
不参加自治体への対応という点で、国・都の見解を注目していましたが、今回の準備書面(3)で国・都は次のように述べ、任意で釈明に応じる意思はないとしました。
『是正の要求に関して具体的にどのような措置を執ったかということは,法律上の争訟性の有無とは何ら関係のない事情である。また,上記事情について現時点で釈明することが,本件の本案に関する訴訟関係を明瞭にするために必要であるものとも認められない』
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初版:2005年08月01日、最終更新日:2006年02月12日
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