メーターも半独立の3連タイプでなかなかよい。ただタコメーターは中央の方が良かったか。指針も真下にくるようなタイプの方が個性を主張できたと思うが。オーディオは2DINタイプでもOKだから現代のニーズにはぴったり。かつてのビートは1DINどころか専用ステレオのみ、カプチーノはやっと1DINが入るのみと個性あるクルマと引き換えに、オーディオに関しては不自由するところがあった。コペンの場合そこは評価できるが、インパネのセンターはほぼ直角なデザイン、それも結構、高さもあってスポーティ感は若干少ない。
エアコン吹き出し口とハザードスイッチの配置とデザインはNBロードスターそっくりである。
エンジンルームは大きなエンジンカバーがあり、最新の高級ユニットという感じがする。コペンは全てのグレードがターボ車のため、インタークーラーはどこに付いているのかと言うと・・・グリルのウラにちょこんと付いていた。小さい!
さて実際に走ってみてはどうか。これはターボ車か?というくらい加速がスムーズ。一気にトルクが盛り上がる軽ターボを想像していたのなら期待はずれではある。
かつてのスパルタンな軽スポーツに比べると、良く言えばマイルド。ハンドリングも鈍であるし、FR車でないからテールを流して・・・みたいなことを考える事が出来ないくらい乗ればフツーの軽自動車。運転席のシートポジションは高く、助手席の方が低い。しかし軽カーでスパルタンなクルマを今ごろ出して受けるかというと、やはりダメだろう。スポーツ重視の実用度外視、せまいコクピットでスポーツ走行を楽しむというのは、もはやマニアックなのである(悲しいが・・・)。
たまにクルマで言う「非日常」を味わいたいけど、そんなに肩の力を入れて乗るクルマではなく、セカンドカーとして休日のドライブを楽しむという方にコペンはピッタリと言える。2人で乗るのには狭くなく、皮シートで適度な高級感もあって、オープンにするのもスイッチ1つでOKという、いたれりつくせりなクルマ。そういうあなたにはコペンはオススメ。スポーツしたい人には向かないと言えるのではないだろうか。
FF車というだけあってか、足元はこのように広々している。写真ではお見せできないがシート後ろのスペースは無いに等しい。リアガラスは当然熱線入りのガラスで視界はよく、メッキのロールバーとエアロボードも装備されている。
ロールバーはオープン時に後ろから見た感じがひきしまって見えるし、信号待ちなどで後ろからトラックのおじさんに後頭部を見つめられるプレッシャーを軽減する役目もある。エアロボードはオープン時の車内への風の巻き込み防止になる。また驚きなのはサンバイザーの形が妙だと思っていたら、サンバイザーを車外へ出すように立てれば、これまた風の巻き込み防止になるような形状らしい。
このダイハツ・コペンというクルマ、結構見所たくさんのクルマといえる。話題性もあり販売台数も順調らしい。納車には数ヶ月待つ場合もあるという。しかし、今回コペンを用意していただいたダイハツの営業マンさんに聞いたのだが、圧倒的にAT車が多いという。実に意外かつ悲しい事実である。こういう車こそマニュアルでキビキビと走るべきだろう!
今回の試乗でかつての軽スポーツブームの再来を夢見ていた私は、味付けが全然ちがうコペンと、時代のニーズの変わりようを痛感し「もう、そんな時代は来ないだろうな」と思った。